ドレイク・ルフトの領地なので、ルフト領なんですよね。
ドレイク領の方が分かりやすいとは思うのですが、ギブン領はロムン領とかニー領とかは言いませんから、それに合わせる形で。
それと、ガロウランをガロウ・ランと正式名書に変更しました。
「アクセル、アクセル。そろそろ起きて」
「ん……?」
聞こえてきた声に、薄らと目を開ける。
今の声は……レモンか? いや、レモンも決して朝は強くないから、いつもならまだ俺と同じベッドで眠っている筈だ。
「マリュー……? 千鶴か? それとも美鶴? ……もう少し眠らせておいてくれ」
「……呆れた」
そう言葉を返してベッドに手を伸ばそうとして……その手の当たる感触がベッドとは思えない程に硬い事に気が付く。
その硬い感触に目が覚め……そして、ようやく俺は自分の現状を思い出す。
そうだった。そう言えば俺はゲートで別の世界に来たんだったな。
そしてマーベルと会って……
「ああ、マーベルか」
「お・は・よ・う」
何故か俺の方を見て不機嫌そうに朝の挨拶をしてくる。
何だ? 何かあったのか?
「どうした?」
「……別に。ただ、随分とお盛んだと思っただけよ」
ツン、という表現が相応しいくらいの様子を見せる。
……これでデレれば、ツンデレになるんだろうが。
お盛んというのは、多分俺の恋人達の事だと思うんだが……寝惚けて何か言ったか?
とはいえ、俺の場合は恋人が10人以上いるからといって、それに後ろめたい思いを抱く事はない。
「まあな。恋人が大勢いるのは事実だから、お盛んと言われればそうかもしれないな」
「……そう」
俺の言葉が意外だったのか、少しだけ驚いた様子を見せるマーベル。
何か意外なところがあったか? それとも、俺が素直に恋人が多数いるのを認めたのに驚いたのか。
「とにかく、まずは朝食だけど……これからどうしたい?」
「どうしたいって言われても。アクセルは何かある? 私はこういう体験をするのが初めてだから何とも言えないけど、アクセルは何度も同じような体験をしてるんでしょ?」
そう言うマーベルに、少し迷う。
これが普段であれば、基本的に転移した世界では即座にトラブルに巻き込まれるのが多かった。
そしてトラブルに乗じて、成り行きで……という形になる事が多い。
勿論それだけではなく、他にも色々な感じではあったが……ともあれ、ここまで自分の判断で行動しないとならないのは、久しぶりじゃないだろうか?
トラブル誘引体質とか言われる事も多かったが、もしかしたらその辺はどうにかなったのかもしれないな。
そう思った、それがフラグになったのか。
不意に、部屋の扉が激しく叩かれる。
それはノックをする為に誰かがやったといったようなものではなく、明らかに高圧的な、自分が上にいるからこその行動。
『出て来い! ここにいるのは分かってる!』
扉の向こう側から聞こえてくる高圧的な叫び。
もしかして、昨日俺がエルフ城に忍び込んだ痕跡が見つかったとか、そういう事だったりするのか?
いや、魔法使いとかはいなかったし、そもそも俺は仮面を被っていたし、気配遮断のスキルも使っていた。
俺がエルフ城に侵入したというのは、まず見つからない筈だ。
だとすると……何だ?
そんな疑問を抱くが、今の状況でこのまま部屋から出るのは不味い。
幸いにして、特に何か持っていく必要がない以上……
「マーベル!」
「きゃっ!」
咄嗟にマーベルを抱き寄せるような形で引き寄せる。
マーベルの、アメリカ人らしく平均よりもかなり大きな双丘が俺の身体に潰されてる感触があったが、残念ながら今はそのような感触を楽しむ余裕はない。
「悪いが、魔法を体験して貰うぞ。言っておくが、ちょっと感じたことがない感触だろうけど、出来れば悲鳴は上げないようにしてくれ」
そう告げ、影のゲートに身体を沈めていく。
「きゃっ……」
影に身体が沈んでいく感触に悲鳴を上げそうになるマーベルだったが、それでも俺の言葉を覚えていたのか、部屋の外に響くような悲鳴を口にする事はなかった。
そうして全体が影に沈み……次に姿を現したのは、この部屋のベッドの下。
正確には、床にある影から顔だけを出した形だ。
今の状況では、それこそこの場から逃げるといったような真似も容易に出来る。
だが今の状況を思えば、何が起きたのか分からない以上は少しでも情報を入手したいというのが正直なところだった。
そしてベッドの下に俺達が移動したのとほぼ同時に、部屋の扉が破壊されて兵士達が中に入ってくる。
3人の兵士達は、当然ながらアの国の兵士らしい防具を装備している。
そんな兵士の後ろには、宿の従業員が戸惑った様子でいた。
こうして見ると、どうやら宿の従業員が何らかの理由で俺達を売った……といったような訳ではないらしい。
そうなると、この兵士達が最初から俺とマーベルを目当てにしてこの宿にやって来たという事か。
……何でだ?
「おい、いないぞ! 本当にこの部屋に泊まっていたのか!?」
「ま、間違いありません。お探しの2人はこの部屋に泊まってました!」
「なら、何でいない? ……待て。ベッドにはまだ微かに温もりがある。だとすれば、さっきまでこの部屋にいたのは間違いない」
そんな兵士の言葉に、マーベルが厳しい表情を浮かべる。
女として、自分が眠っていたベッドに触れられるというのは……ましてや、まだ温もりが残っているところに触られるというのは、とてもではないが許容出来なかったのだろう。
とはいえ、マーベルも現在の状況が色々と切迫しているというのは理解しているのか、自分が眠っていたベッドを好き放題に触られても実際に何らかの行動に移る様子はない。
……とはいえ、俺が眠っていたのを起こしたのがマーベルだったのを考えると、もしかして俺が起きるすぐ前にマーベルは起きたのか?
ベッドにはそう長い間温もりが残っていたりはしないだろうし。
そんな風に考えていると、マーベルの視線が俺に向けられる。
どこか責めるような色があるように思えるのは、この一件の原因が俺なのではないかと、そう思っているからだろう。
俺はそれに対して首を横に振る。
エルフ城に忍び込んだが、仮面を被って気配遮断のスキルを使っていたのだから、基本的に見つかる筈はない。
魔法の類を使われたのなら、話は別だったが。
「くそっ、逃がしたか。……荷物はどこだ? 荷物には、まだ服が残っている可能性がある」
「ひぃっ!? そ、そんな事を言われても分かりませんよ。荷物をどこに置くのかってのは、客によって違うんですから!」
「本当か? 言っておくが、隠し立てをするとフラオン王からどのような命令がされるか、分からないぞ」
その会話を聞いて納得する。
なるほど。どうやら俺がエルフ城に乗り込んだ件ではなく、俺とマーベルが昨日売った服が理由か。
確かに、この世界の服と比べると俺とマーベルが売った服は文字通りの意味で技術レベルが違う。
服程度で? と思わないでもなかったが、今回の一件を考えると騒動になるには十分だったらしい。
それも兵士の言葉から考えると、貴族がどうとかいった訳ではなく、フラオン自身が動いているのか。
何もそこまで……と思わないでもなかったが、その辺は今更の話か。
「取りあえず事情は分かった。ここから脱出するぞ」
マーベルの耳の側で小さく呟くと、それがくすぐったかったのか、マーベルが身をよじる。
……影の中では、当然の話だがマーベルの身体は未だに俺に抱きしめられている。
そんな状況で身体を動かせば、俺の身体に押し潰されているマーベルの双丘が激しく動いてこちらを刺激してくる。
うん、取りあえずこのままだと色々な意味で危ないので、この宿から脱出した方がいいな。
幸い、宿泊料金は一晩分だけしか払っていないので、このまま脱出しても金銭的なダメージは多くないし。
荷物の類も、俺の空間倉庫に入ってるので問題はない。
つまり、このまま宿を脱出しても被害らしい被害は特にないのだ。
そうして宿から脱出するが、宿の周囲には他にも何人か兵士がいる。
俺達が逃げ出したら捕らえるつもりで、こうして包囲していたのだろう。
それどころか、ユニコーン……いや、昨日野菜を売りに来た男によると、ユニコーンじゃなくてユニコン・ウー。ただし一般的にはユニコンと呼ばれるんだったか。
ともあれ、ユニコンの姿もある。
しかも昨日の馬車を牽いていたような馬ではなく、もっと大きなユニコンだ。
これは恐らく馬車を牽く農耕用のユニコンと軍馬用のユニコンの違いだろう。
馬であっても、農耕用の馬と軍馬……いや、競走馬の類ではその外見は大きく違う。
どうやら向こうは、そこまでしても俺達を逃がしたくなかったらしい。
本当に服だけで大袈裟なと思わないでもなかったが。
ともあれ、宿の近くで姿を現すのは危険だと判断して、城……というか城下街から一気に離れる。
……そうして俺達が姿を現した場所は、昨日この世界に転移した時にマーベルと一緒に目を覚ました場所だった。
「ふぅ。……どうやら、俺じゃなくて俺達が原因だったみたいだな」
「そうね。アクセルのせいにしたのは悪かったわ。ごめんなさい」
あっさりと謝罪の言葉を口にするマーベル。
この辺りの潔さは、マーベルのいいところだよな。
「ともあれ、これであそこにいる事は出来なくなった訳だ。そうなると、どこに行くかだが……」
そう言い、意味ありげな視線をマーベルに向ける。
マーベルはその視線を見ると、呆れたように口を開く。
「どこか目的の場所があるんでしょ? なら、勿体ぶってないで言ったら?」
「ルフト領に行きたい。というか、現在はそれ以外に目的らしい目的はないし」
「ルフト領? オーラバトラーを開発したっていう、ドレイク・ルフトの?」
「ああ。……ちなみに、オーラバトラーってのは人型機動兵器で、それ以外にもオーラボムって奴があるぞ。形としては……何と表現すればいいのか微妙だが、簡単に言えば空を自由に飛ぶクラゲ的な? いや、寧ろあの運用方法は戦闘ヘリとかそっち系か?」
昨日格納庫で移動するのを見た限りでは、速度はそこまで速くはないが、空中で上下左右前後、あらゆる方向に移動出来るようだった。
ぶっちゃけ、戦闘ヘリよりも自由度は高いと思う。
ただ、台座の上に乗ってるような感じなので、戦闘ヘリのように敵の攻撃を防ぐといったような真似は出来ないという難点もあるが。
また、そこまで速度が出ないと予想したのは、あくまでも昨日の格納庫での一件を見ての話だ。
ドロは当然ながら、格納庫の中だったからこそ移動速度を落としていたという可能性は否定出来ない。
もしかしたら、戦闘機並みの速度を出せる可能性もあった。
……いやまぁ、台座に乗っている状態でそんな速度を出したら、乗っている方がそもそも保たないだろうが。
生身で戦闘機並の速度の移動となれば、間違いなく死ぬ。
まぁ、ここはファタンジー世界のようだから、もしかしたら何らかの魔法とかそういうので風圧をどうにかする可能性は否定出来ないが。
「……何でそんな事まで知ってるの?」
「昨夜、マーベルが寝た後でエルフ城に忍び込んだからな」
「貴方ねぇ。そんな事をして見つかったらどうするのよ?」
「そう簡単に見つかるような真似はしないよ。忘れたのか? 俺は生身でどんな場所からでも生きて戻る事が出来ると信じられているからこそ、こうしてこの世界にやって来たんだぞ?」
「それは……まぁ、そうかもしれないけど」
実際に影のゲートを体験し、空間倉庫を見せているからか、マーベルも俺の言葉に不満を抱きつつもそれを飲み込んだ様子だった。
「ともあれ、ルフト領では色々と大きな動きがあるらしい。それに、個人的にはオーラバトラーとかドロにも興味があるし」
特にオーラバトラーは、純粋な科学技術によって生み出されたロボットという訳ではなく、動物の肉を使って動いているという非常に珍しい兵器だ。
そういう意味でも未知の兵器である以上、出来れば色々と情報を仕入れたいし……何より、実機を確保したい。
実機を確保という意味では、エルフ城でもやろうと思えば可能だった。
ただ、ろくに整備も出来ない様子のゲドを入手しても、意味はない。
それなら最初からしっかりと整備されたゲドを入手した方がいい。
問題なのは、オーラバトラーというのはまだ生み出されたばかりの兵器である以上、欲しいと言ってすぐにはいそうですかと向こうが渡す訳がないという事か。
何しろ、アの国の王であるフラオンですら3機程度しか保有してないのだから。
だとすると、俺がゲドを貰う為には何らかの交換条件を示す必要があるな。
空間倉庫の中には色々と交換条件となりそうな物があるので、それを使えばどうとでもなるが。
場合によっては力で強引にどうにかしようとする可能性もあるが……そうなったらそうなったで、こっちも同じように力でゲドやドロ、それ以外にも何かあったら奪うといったような真似をすればいい。
「で、どうだ? ルフト領に行くという事で……構わないか?」
そんな俺の言葉に、マーベルは少し考えた後で渋々とだが頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637