転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2737話

「お帰り」

 

 宿に戻ってきた俺に、マーベルがそう言ってくる。

 マーベルにしてみれば、扉を開けて入ってくるのではなく影のゲートから姿を現しただけに、驚いてもおかしくはないんだが。

 異世界に来たって点で、そんな事を考えても仕方がないと判断してるのか。

 

「起きてたのか。……寝ていてもよかったんだけどな」

 

 既に夜中……というには少し早いが、眠っている者も多いだろう時間だ。

 感覚的には、午後11時くらいといったところか。

 

「アクセルがドレイク・ルフトに会いに行ったんだから、それを放っておいて眠るような真似は出来ないわよ」

「そうか。悪いな」

「いいわよ。それで、どうだった?」

 

 マーベルにしてみれば、俺を待つというのもそうだったが、ドレイクとの接触で得られた情報を出来るだけ早く聞きたいという思いもあったのは事実だろう。

 同盟の話の後に色々と得られた情報を説明する。

 

「取りあえず、この世界は地球の海と陸の間にある、バイストン・ウェルという名前らしい」

「……は?」

「まぁ、海と陸の間にあるってのは、ある意味で比喩だと思うけどな」

 

 普通に考えれば、陸と海の間って何だよって突っ込みたくなる。

 陸と海の間……砂浜? いや、砂浜だって陸だろうし。

 

「でしょうね。普通に考えれば、そんな場所があるとは思えないもの。それで、他には何かあった?」

「ドレイクの下には地上人……マーベル達のような連中をそう言うんだが、その地上人が2人いるらしい。で、その2人が技術者で、オーラバトラーを開発したらしい」

「……どうやって?」

「それは俺に聞かれても分からないな。一応念の為に聞いておくけど、マーベルのいた世界では人型機動兵器ってなかったんだよな?」

「ええ。少なくても私は聞いた事がないわ。もしかしたらアメリカ軍で秘密裏に開発している可能性もあるかもしれないけど。エリア51とか」

 

 エリア51? と思ったが、どこの世界かで聞いた覚えがあったな。

 アメリカ軍がUFOを研究してるとか言われている場所だ。

 

「どうなんだろうな。その可能性もないとは言わないが……実際に会ってみないと、何とも言えないというのが正直なところだ。ともあれ、地上人がいるというのが分かった時点で、こっちとしては収穫が大きかった。大きかったんだが……難題というか、判断に困る提案もされた」

「判断に困る? 一体何を?」

「単純に言えば、同盟を求められた」

「同盟って……じゃあ、向こうはアクセルが国の代表だというのを信じたの?」

「どうだろうな」

 

 これは誤魔化している訳でもなんでもなく、純粋に判断に困るところだ。

 普通に考えれば、俺の説明を全て信じて同盟を結ぼうなどと考えるような事は普通ないだろう。

 それでも俺に同盟を提案してきたのは……俺の言葉を多少ではあるが信じており、もし本当だった場合の為にだろう。

 また、王であるというのを信じないにしても、俺はドレイクの部下達が警備をしている中で平然と城の中に侵入し、あろうことかドレイクの部屋にまで入り込んだ。

 その辺が役立つと考えた為か。

 

「で、どう答えたの?」

 

 真剣な様子で尋ねるマーベル。

 実際、俺と行動を共にしている以上、マーベルにとってもドレイクとの同盟というのは他人事ではないのだろう。

 

「明日の日中にドレイクを尋ねる事になっている。その時、返事をする事にした」

「……で? どうするの?」

「俺としては受けたいというのが正直なところだな。オーラバトラーにも興味はあるし」

 

 もしここでドレイクの話を断るようなことがあった場合、これからオーラバトラーを入手するのはかなり難しくなる。

 それ以外にも、ドレイクがオーラバトラーを開発している以上、この先新型が開発されるとすれば当然ルフト領からだろう。

 ……まぁ、オーラバトラーがもっと大々的に広がるようになれば、他の国でも独自のオーラバトラーを開発するという可能性は否定出来ないのだが、そのようになる為にはまずゲドを広める必要がある。

 問題なのは、そのゲドが広まるのがいつくらいかという事だろう。

 これで、ドレイクがアの国の国王であれば、国同士の付き合いという事でオーラバトラーを売って広めるといったような真似も出来るのだろうが……現在のドレイクの立場は、結局のところアの国の領主でしかない。

 そうである以上、オーラバトラーを広めるのは難しい。

 にしても、そんな状況で一国の王と主張している俺に同盟を求めてくるってのは……正直どうなんだ?

 単純に、俺の国王だという言葉を完全には信じ切っていないから、取りあえず手元に置いておきたいといったところか。

 それに、ドレイクの部屋にいきなり姿を現したのも、向こうにしてみれば気になるところだろうし。

 

「そう。……でも、この世界でロボットを開発したんでしょう? 妙な事を考えている可能性はない?」

「あるかどうかと言われれば、あるだろうな。けど、その辺りの事情を考えても今の状況ではドレイクと手を組むのが一番いいと判断した。ドレイクの下にいる2人の地上人からも話を聞いてみたいし」

「それは……」

 

 マーベルとしても、自分と同郷の人間には会ってみたいのだろう。

 勿論、地上からやって来た者達であっても、アメリカからという訳でじゃないだろうが。

 それこそ、日本からやって来た連中とかがいてもおかしくはない。

 

「だろう? それに……これはまだ何の根拠もない俺の感覚だが、マーベルは恐らくオーラバトラーに乗る才能を持っている筈だ」

 

 感覚と誤魔化しているが、この世界の原作のことを考えれば、恐らく間違いはない。

 いやまぁ、今の俺にはこの世界の原作についての知識はないから、絶対とは言えない。

 言えないのだが、それでもこれまで多くの世界を経験してきた事や、現在のこの世界の状況を考えれば何となくこの世界の原作がどういう状況なのは予想出来る。

 つまり、オーラバトラーが存在する以上、ファンタジー系のロボットによる戦いが起きるといったような感じだろう。

 そして俺と最初に接触したという事は、マーベルも恐らく原作キャラの可能性が高く、そして原作キャラである以上はオーラバトラーに乗って戦うといったような事が出来てもおかしくはない。

 ヒロインなのか主人公なのか、その辺は俺にも分からないが。

 ……実はこれでヒロインだったら、もしかしたら自分はオーラバトラーに乗らないで、後方からの援護だったり指揮だったりをするという可能性は否定出来ないのだが。

 

「私が……?」

「ああ。ドレイクと同盟を結んだら、マーベルがゲドに乗れるか試してみよう。勿論、マーベルだけじゃなくて俺も試すけどな」

 

 ゲドの能力が具体的にどのくらいの性能なのかは分からない。

 だが、初めて開発されたオーラバトラーである以上、ザク……それもザクⅡではなく、旧ザクといった感じか?

 フラオンの所にあったのを考えると、ある程度量産はされてるんだろうが……だが、このファンタジー世界で量産するってのは難しくはないか?

 2人の地上人がいるという話だったが、そんな2人だけで量産するといった真似は出来ないと思う。

 あ、でもベルトコンベアとかの知識を伝えれば、ある程度量産が出来たりする可能性はあるのか?

 

「……分かったわ。取りあえずアクセルの言う事だし、信じておく。けど、ドレイク・ルフトという人物が信じられないような相手なら……私は一緒に行動するのは難しいわよ」

「だろうな。マーベルの性格なら、そんな風に考えるのは分かっていた。けど……マーベルも見たと思うが、エルフ城とラース・ワウ、どっちの住民が幸せそうだったのかを考えると、個人的にはフラオンよりはドレイクに協力した方がいいと思うけどな」

「そうね。それは否定しないわ」

 

 マーベルもエルフ城とラース・ワウのどちらも見ているからこそ、俺の言葉に納得出来たのだろう。

 

「そう言えば……ギブン領の方はどうなの?」

「そっちか。そっちも評判を聞く限りだと悪くないんだけどな」

 

 実際、ギブン領の領主はかなり有能で、ギブン領を今まで以上に繁栄させているらしい。

 あくまでも噂で聞いた感じでは、情のギブン領、理のルフト領といった感じだ。

 そういう意味では、何となく俺と合わなさそうな気がするんだよな。

 それこそ、感情で暴走しそうな気がするし。何より……

 

「ギブン領にはオーラバトラーがないしな。いや、あるかもしれないけど、もしあったとしてもそれはドレイクから購入したか、もしくは贈られた物だろうし。そういう意味で、俺の中では取りあえずギブン領に行くという考えはないな」

「そう。……取りあえず私もアクセルと暫く行動を共にさせて貰うわ」

 

 マーベルの様子を見る限り、オーラバトラーを開発したドレイクにどこか警戒心を抱いているように思える。

 いやまぁ、普通に考えればそんな風に警戒してもおかしくはないのかもしれないけど。

 ともあれ、マーベルからも了承の返事を貰った事で……俺とマーベルは、明日に備えて寝るのだった。

 勿論、マーベルがベッドで俺は床だったが。

 

 

 

 

 

「これが……」

 

 目の前にある城を見て、マーベルがそんな声を漏らす。

 まぁ、普通に生活していれば、城を間近で見るといったような事は基本的にないしな。

 一応エルフ城は見たが、それは離れた場所でだったし。

 そして当然の話だが、城の中に続く場所には兵士が立っていて怪しい奴を近づけないようにしている。……俺の場合は、昨日影のゲートでスルーしたが。

 だが、今日はドレイクから直々に招待されている以上、そんな真似をする必要はない。

 マーベルと共に城に近付いていく。

 当然だが、兵士は城に近付いてくる俺とマーベルを警戒するが……それでも、横暴な態度で何も話していないうちに追い払うといったような態度を取らない辺り、兵士としてしっかり教育されているのだろう。

 ドレイクの部下の兵士の全てが、そんな風に教育されているとは限らないが。

 

「アクセル・アルマーだ。ドレイクと約束があって来た」

「は! 話は聞いております。中にお入り下さい。すぐに案内の者が来ますので」

 

 門番は俺の言葉にすぐそう返す。

 礼儀正しいな。

 マーベルはそんな兵士の態度に少し安心した様子を見せていた。

 マーベルにしてみれば、やはり兵士という普段から戦闘訓練を受けているような相手に対しては、緊張することもあったのだろう。

 俺と違って、マーベルはあくまでも一般人だ。

 そのような態度であっても、おかしくはない。

 ともあれ、やがてユニコンの馬車に乗って兵士がやってくる。

 別に、馬車で移動しなきゃならない程に広い訳じゃないと思うんだが……いや、これはこっちに気を遣っての事か。

 

「マーベル」

「ええ」

 

 俺の言葉にマーベルが頷き、馬車に乗る。

 馬車とはいえ、いわゆる箱馬車の類ではない。

 きちんと人が乗る為に開発された馬車だったが、屋根がない類の馬車。

 

「アクセル」

 

 俺の横に座っているマーベルが小さく呟く。

 その声に何だ? と思ってマーベルの方に視線を向けると、そこでは空を見てるマーベルの姿が。

 マーベルの見ている方に視線を向けると、そこではドロが数機、編隊を組んで空を飛んでいた。

 

「ドロか。……オーラバトラーは操縦出来る者が限られているらしいけど、ドロの方は普通に操縦出来るんだな」

「申し訳ありませんが、私はその辺に答える許可を貰っていませんので」

 

 御者をやっている兵士は、そう誤魔化す。

 いやまぁ、オーラバトラーもオーラボムもルフト領にしてみれば非常に機密度の高い兵器だ。

 ……いや、ゲドを操縦出来る者が限られているというのを考えると、寧ろドロの方が主戦力といった扱いになるのか?

 だとすれば、兵士が答えられないのも当然か。

 そんな風に考えている間に、城の前に到着する。

 一応、さっきの門番がいた場所も城の前と表現してもいいんだろうけど……これはこれで難しいよな。

 そんな風に考えつつ、馬車から降りる。

 

「こちらです」

 

 ここまで御者をやっていた兵士が、別の兵士に馬車を渡すとそう告げてくる。

 城の中は、昨日も見たので俺は特に何も思うところはなかったが、マーベルは珍しいのか、興味深そうに見ていた。

 城……城か。オーラバトラーがなかった時ならともかく、オーラバトラーやオーラボムが出来たのを考えると、何気に城ってこれから役に立ちそうにないよな。

 いや、ゲドの武器はオーラソードしかなかったみたいだったから、意外と何とかなるのか?

 ただし、地上人が2人いる以上、火薬を使った兵器を用意してもおかしくはない。

 そうなれば、本当に城というのは意味がなくなってしまうだろう。

 とはいえ、それが具体的にいつになるのか……それは俺にも分からなかったが。

 そんな事を考えている間に、ドレイクと謁見する為の部屋に到着するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1637

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