「では、アクセル王との同盟を祝して……乾杯!」
『乾杯!』
ドレイクの言葉に合わせ、パーティ会場にいた者達はそれぞれ持っていたコップを掲げ、そこに満たされている酒を飲む。
なお、俺は酒があまり得意ではないとして、ジュース……というよりも果実水にして貰った。
ここで俺が酒を飲んだら、下手をしたらラース・ワウが壊滅する可能性もあるしな。
ともあれ、ドレイクの言葉によってパーティは始まった。
そんな中で真っ先に俺に話し掛けてきたのは、当然のようにドレイク。
だがドレイク以外にも2人の女が一緒にいた。
1人は謁見の間で少しだけ顔を出した、ドレイクの娘のリムル。
だとすれば、もう1人の……何だか妙に化粧の濃い女はドレイクの妻といったところか。
「アクセル王、こちらは儂の妻のルーザ・ルフト。リムルは謁見の間で挨拶をさせたが、覚えているかな?」
「ああ、覚えている。……アクセル・アルマーだ。よろしく頼む」
そう言った瞬間、ルーザが険しく眉を顰める。
見るからに俺の言葉遣いが気にくわないといった様子だ。
ドレイクの妻……アの国でも大領主と言うべきドレイクの妻と考えれば、そういう態度であってもおかしくはないのか?
……とはいえ、それで俺も不満を覚えないかと言われれば、その答えは否だ。
ドレイクが俺と友好的にやろうとしているのに、その妻のルーザがこんな態度というのはどうなんだ?
「アクセル王には、これからも色々と協力して貰いたいと思っているので、よろしくお願いする」
「ああ。報酬の方をしっかりとして貰えれば、こっちは問題ない」
「おや、報酬などと……王たる者の言葉とは思えませぬな」
「ルーザ!」
ルーザの嘲弄するような態度に、ドレイクが怒鳴る。
まぁ、ドレイクは俺がどういう力を持っているのか直接自分の目で見て知ってるしな。
それに比べると、ルーザは俺の強さについて人から聞いた程度の知識しかなく……百聞は一見にしかずを地でいってる感じだな。
「……失礼」
ドレイクに注意されて渋々といった様子で謝罪の言葉を口にするルーザだったが、それはあくまでも見せ掛けだけで、その表情には悪かったという思いはない。
それどころか、こちらに対する苛立ちが浮かんでいた。
ドレイクの妻としては、どうなんだろうな。
プライドだけが高い、典型的な無能といったような感じがするんだが。
「失礼した、アクセル王。……ルーザ、お前は部屋に戻っていろ」
「分かりました」
ドレイクの言葉に、ルーザは素直に頷いて俺の前から立ち去る。
ルーザにしてみれば、俺の同盟を祝うパーティには参加したくなかったといったところか。
「何か、嫌われるような事をしたか?」
「……申し訳ない」
そう告げると、ドレイクは俺と顔を合わせにくくなったのか、リムルに視線を向ける。
「リムル、儂は色々と回らねばならん。アクセル王のお相手は任せるぞ。くれぐれも失礼のないようにな」
ルーザのように。
言葉には出していないが、実際にはそう言ってるのは何となく理解出来た。
リムルはその辺を理解しているのかいないのか、ともあれドレイクの言葉に素直に頷く。
「はい」
「では、頼む。……アクセル王、マーベル・フローズン、楽しんで欲しい」
そう告げ、ドレイクは俺の前から立ち去る。
そしてすぐにバーンやガラリアを呼んで何かを指示していた。
そんな様子を見れば、俺の前から立ち去ったのはルーザの件だけではなく、純粋に忙しかったのだろう。
「アクセル王、マーベル……貴方達は悪しきオーラ力を持つ者ですか?」
ドレイクがいなくなると、不意にそんな事を聞かれる。
にしても……オーラ力? これもまた、本来なら『オーラりょく』と読むのが『オーラちから』といったようになってるんだろうな。地上人が『ちじょうじん』ではなく『ちじょうびと』であるように。
この辺はバイストン・ウェル特有のルールか何かか。
「取りあえず、そのオーラ力ってのが何なのかは分からないけど、そういうのはないと思うぞ」
そう言いながらも、何となく予想する事は出来る。
悪しきという言葉がつくくらいなのだから、そこにあるのは個人によって違う何かなのだろう。
俺で言えば、例えば魔力とか。
……にしても、俺とドレイクの同盟を祝うパーティでこうして聞いてくるとか……本気か?
普通に考えれば、父親の同盟相手に喧嘩を売ってるように思われても仕方がない。
この辺はドレイクが娘を甘やかしてきた影響か。
ドレイクがリムルという自分の娘を可愛がっているのは、少し見れば分かる。
妻のルーザがあんなのだから、余計にそう思うのか?
そんな疑問を抱いていると、リムルは少し困ったように口を開く。
「オーラ力というのは……その人の持つ力の事です。生体エネルギー……と言えば分かりやすいですか?」
「……なるほど」
どうやら俺の予想とそう間違ってはいないらしい。
ただし、リムルの説明から考えると、魔力よりも気の方がそれらしい。
勿論これは俺の……そしてシャドウミラーというか、ネギま世界の考え方なので、他の世界ではまた別の考え方があったりもするのだろうが。
「取りあえず、自分では悪しきオーラ力とやらを持ってはいないと思うけどな。マーベルはどうだ?」
「私は……自分で分からないから、何とも言えないけど」
「そうですか。……では、早くここから出て行った方がいいでしょう。でなければ、貴方達もまた悪しきオーラ力に染められる事になるかもしれません。そしてここを出たら、ギブン家を頼るといいかと」
本気か?
リムルの言葉にそう思ったのは、俺だけではない。
マーベルもまた、俺の横でリムルに驚きの視線を向けていたのだから。
普通に考えれば、娘が父親との同盟をすぐに破って出ていくように言い、その上で父親と決して友好的な関係ではない隣の領地に行けというのは……幾ら何でも少し信じられない。
それだけではなく、それをこんなパーティの中で言うというのも、また正直どうよ? と思わないでもない。
マーベルにとってもそれは同様だったのか、思わず周囲を見回していた。
ドレイクの娘が、本気でこんな事を言ってるのか?
それとも、もしかしたら俺達がドレイクを裏切らないのかどうかを確認する為に?
普通に考えれば後者だろう。
とてもではないが、今の状況で普通に亡命――という表現が相応しいのかどうかは微妙だが――を勧めてくるといったことは考えられない。
もし本気でそのような真似をしているのなら、それこそリムルは考えなしに動いた感じだろう。
少なくても、そういう無能は味方にいると厄介な存在となる。
「リムル様? どうかされましたか?」
と、不意にそんな声を掛けられる。
その声を聞いた瞬間、リムルは一瞬緊張した様子を見せ……だが、すぐにそれを消して首を横に振る。
「何でもありません。マーベルから地上の話を聞いていただけです」
そう告げ、リムルはその場を立ち去る。
残ったのは、俺とマーベル……そして声を掛けてきたショットだ。
もう1人の地上人のゼットはどこだ? と思ったが、少し離れた場所でガラリアと話しているのが見える。
「ショットか。お前とは俺も話したいと思っていたところだ」
「それは光栄ですな、アクセル王」
「……別に無理をして敬語を使う必要はないぞ? 公の場では敬語を使って貰う必要はあるが、そうでない時は普段の言葉でいい」
「そうか。では、そうさせて貰おう」
俺の言葉に、あっさりと言葉遣いを変えるショット。
俺としては接しやすいので問題はないのだが、それでもまさかこうもあっさりと態度を変えるとは思わなかった。
「こちらもアクセルとは会ってみたいと思っていた。……とはいえ、このような場ではな。アクセル、明日にでも機械の館にまで来て貰えないか? あそこでならゆっくりと話が出来る」
「機械の館?」
「そうだ。オーラバトラーやオーラボムを始めとして、各種機械の兵器を作っている。そこには私の執務室もあるから、余計な邪魔が入るような事はない。それに……ドレイク様からも、オーラバトラーについて教えておくようにと言われているしな」
なるほど。機械の館というのは少し珍しい言い方だが……ようは、研究所とか開発施設とか、そういう場所らしい。
これも地上人やオーラ力と同じような言い表し方といったところか。
「分かった。明日にでも行かせて貰う。……マーベル、お前もそれでいいか?」
「ええ。私がオーラバトラーに乗れるかどうか、試しておきたいし」
「ふむ。マーベルだったかな? 私が見たところでは、君は聖戦士としての素質は高いように思える」
「……聖戦士?」
ショットの口から出た大層な名前に、マーベルは疑問の表情を浮かべる。
聖戦士という新しい単語に視線をショットに向けてその意味を尋ねた。
「聖戦士ってのは一体何だ?」
「詳しい事は明日教えるが……そうだな、簡単な事を言えばオーラ力が強い地上人の事だ」
「……それなら、ショットやゼット達も聖戦士なんじゃないか?」
「私とゼットも分類するとなれば聖戦士になるのかもしれないが、どちらかと言えば研究者や開発者といった一面を重視されているからな」
そう言われてみれば納得は出来た。
普通に考えて、パイロットと研究者のどちらが希少なのかと言われれば、それは当然後者だ。
いやまぁ、パイロットであっても極端に腕の立つ者……具体的に言えば、シャドウミラーの実働班やUC世界ではアムロ、シャアといったような、一定レベル以上の実力を持つ者であれば話は別だが。
一般的なパイロットと研究者や開発者の場合では後者を重視するのは理解出来た。
「話は分かった。にしても、聖戦士か。また随分と大袈裟だな」
そう言いつつも、UC世界での俺の異名は月の大魔王だ。
それを考えれば、聖戦士というのはそこまで大袈裟なものではないのか?
というか普通に考えた場合、大魔王と聖戦士だと明らかに俺が倒される側に回ってないか?
「そのような世界だと、認識して貰うしかないな。……アクセル、君にも明日は絶対に機械の館まで来て欲しい。アクセルが異世界……私やマーベルのいた地上とはまた違う世界から来たというのであれば、それは非常に興味深いからな」
「だろうな。多分、満足させる話は出来ると思う」
実際、俺が今まで経験してきた事は普通ならとてもではないが無理なものだ。
ショットが具体的にどのような話を聞きたいのかは俺も分からないが、それでも俺が経験してきた中にはショットの興味を惹く話があるのは当然だった。
「期待してるよ。それと、アクセルにはゲドを渡すように言われている。整備の類はこちらでやるが、アクセルの専用機となる以上は色々と調整する必要もある。その辺も明日やるつもりだ」
そう言い、ショットは俺の前から去っていく。
取りあえず明日の約束が出来たのは、俺にとってもマーベルにとっても幸運だった。
にしても、機械の館か。
具体的にどのような場所なのか、かなり気になる。
これは明日が楽しみになってきたな。
そんな風に思っていると、また1人俺に近付いてくる相手がいた。
「アクセル王、初めまして。私はミズル・ズロムと言います」
そう言い、一礼する男……ミズル。
見た感じでは礼儀正しく、武人といった感じか。
「今日のバーンとの戦い、見事でした。アクセル王は一体どこであれだけの力を? 地上での戦いは近接戦闘の類は殆ど用いられないという話を聞いていたのですが……異世界では違うのですか?」
「そうだな。魔法とかがある世界もあるし。……ん?」
ミズルと話していると、不意にどこからか虫らしき存在がパーティ会場に入ってきたのを見つける。
いや、虫……虫? 違うあれは……
「妖精?」
「は? ……ああ、ミ・フェラリオですか。全く、どこにでも入ってくるのだから困ったものです」
言葉通り、面白くなさそうな様子を見せるミズル。
マーベルに視線を向けると、妖精……いや、ミ・フェラリオを初めて見た事から驚いたのか、唖然とした視線をそちらに向けていた。
マーベルの常識を思えば、そうなるのも無理はない。
改めて、このバイストン・ウェルがファンタジー世界であると納得してしまうな。
とはいえ、それで魔法の類がないというのはどうかと思うが。
「アクセル王、お気を付け下さい。ミ・フェラリオというのは始末に悪い存在です。下らない悪戯を繰り返すような、そのような者達ですので」
「そうなのか? まぁ、そう言われればそうか」
俺が知っている妖精――あくまでも物語とかでだが――は、基本的に悪戯好きだ。
それもただの悪戯ではく、場合によっては洒落にならないような悪戯をする。
あ、でもネギま世界には妖精のような連中もいるのか。
そのような連中も悪戯好きだと、円や美砂から聞いた覚えがある。
「ええ。下らないちょっかいを出してくるようなことがあれば、こちらに知らせて下さい。相応の対処をしますので」
その言葉に、俺とマーベルはお互いに視線を向ける。
どうやら妖精は虫か何かのような扱いを受けているらしい。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637