パーティが終わり、俺は部屋に戻るとベッドの上で横になっていた。
床の上には俺が脱いだ服が散らかっているが……これらはメイドが後で洗ってくれるらしいので、特に気にしない。
にしても……疲れたな。
パーティではミズルがやって来たのを皮切りに、多くの者達が俺とマーベルに話し掛けてきた。
中には友好的ではない者もいたのだが、そのような相手であっても自分達の上司たるドレイクの同盟者という立場にいる俺に挨拶をしないという訳にはいかなかったのだろう。
……最初の方の数人ならまだしも、次から次に挨拶に来る連中に関しては、あまり名前を覚えていない。
名刺の類でもあれば話は別だったが、このバイストン・ウェルにそんな代物がある訳がない。
これで特別有能だったりすれば、俺もある程度は名前を覚えるといった事も出来たのだろうが……生憎と俺に話し掛けてきたのは、量産型貴族といったような者達が殆どで、そういう意味だと名前を覚えるのは難しかった。
まぁ、今はそこまで名前を覚える必要もないだろうけど。
将来的に関わる事になったら、その時に改めて名前を覚えればいいんだし。
そんな風に考えていると、不意に扉がノックされる。
こんな時間に誰だ?
そう思ったが、メイドが服を回収に来たのだろうと中に入るように言う。
だが……部屋に入ってきたのは、メイドではなくマーベル。
「マーベル? こんな時間にどうしたんだ?」
時間としては、まだ午後11時をちょっとすぎたところだ。
だが、これが地上であればまだしも、このバイストン・ウェルにおいては真夜中に近い。
無理をすれば明かりをどうにか出来るのだろうが、それでも必要のない時はそこまで明かりを使いたくないと思うのは当然だろう。
そんな時間に男の部屋に来るというのは、普通に考えればそういう事なのは間違いない。
だがマーベルの性格を考えれば、そのようなことはまずないというのも十分に理解出来た。
知り合ったばかりの俺に身体を許すとは、到底思えない。
だとすれば、何か別の理由で俺の部屋にやって来たといったところか。
「少し眠れなくて。今日だけで色々とあったから」
「だろうな」
どうやら俺の予想通り、そういう目的で俺の部屋に来た訳ではなかったらしい。
「興奮して眠れないってのは、そう珍しい話じゃない。そういう意味では、マーベルが眠れなかったのはそうおかしな話ではないという事になるな」
「そう? ……けど、アクセルにそう言われると、納得するしか出来ないわね。実際にこんな事になるなんて、1週間前には思ってもみなかったもの」
マーベルは、地上ではただの大学生だった。
それが気が付けばこんな事に巻き込まれているのだから、不安に思うのも当然だろう。
そういう意味では、俺はマーベルに弱音を言ってもいいと思われるくらいには信頼されているといったところか。
とはいえ、マーベルにしてみれば俺は自分と一緒にこのバイストン・ウェルにやって来た唯一無二の仲間だ。
幸いドレイクの下にもショットとゼットという地上人が2人いるのは判明したが、それでもマーベルにしてみれば、現在このバイストン・ウェルにおいて一番親しい相手は俺という事になるのか。
「ほら、これでも取りあえず飲め」
そう告げ。缶の紅茶を空間倉庫から取り出す。
本来なら、コーヒー程ではないにしろカフェインがあるらしい紅茶は、寝る前に飲むのに相応しくはない。
あ、でもこれは茶葉で淹れた紅茶ではなく、缶の紅茶だ。
カフェインとかそういうのは心配しなくてもいいのか?
その辺、詳しくないのであまり分からないが。
ともあれ、ペルソナ世界のスーパーで購入した缶の紅茶はマーベルにとっても十分に美味かったらしく、嬉しそうにしながら紅茶を飲んでいる。
「これ、日本語よね? じゃあ、これは日本で購入した紅茶なの?」
「ああ。日本には縁が深いしな。俺の国から繋がっている世界も、日本がそれなりにある」
そう言ってなんだが、日本はそこまであるか?
ネギま世界とペルソナ世界の2つだけ。
転移したと世界というだけなら、Fate世界やナデシコ世界も日本だったが……Fate世界の場合はサーヴァントとして召喚された形だし、ナデシコ世界の場合は……最終的には火星だしな。
それでも色々な世界で俺が日本と関わりが深いというのは、間違いのない事実だ。
「日本……ね。羨ましいわ」
紅茶を飲みながら、そう呟くマーベル。
日本がそこまで好きなら、紅茶じゃなくて緑茶でも出すべきだったか?
元々禅とか好きなマーベルだけに、緑茶の方が喜ばれたのは間違いない。
「それで、何か話があるんじゃないのか? まぁ、ただ話しに来たってだけでも構わないが」
紅茶を飲んで一息吐いたところで、そう尋ねる。
そんな俺の言葉は図星だったのか、マーベルは数秒前の表情とは打って変わって真剣な視線をこちらに向けてくる。
「明日、オーラバトラーに乗ってみるという事になったけど……上手くいくと思う?」
なるほど。そっちの心配だったか。
とはいえ、考えてみればマーベルの心配は当然なのかもしれないな。
様々な人型機動兵器に乗ってきた俺と違って、マーベルはついこの前までは普通の大学生だったのだから。
車やバイク辺りには乗った事があってもおかしくはないが、それらと人型機動兵器とは性質が大きく違う。
「俺は何とかなると思っている。あくまでも俺の勘だけどな。それに、もし動かなければ動かないで、ショットやゼットの手伝いをするという方法もある」
「……私は技術者じゃないわよ?」
「それでも、大学生なんだから色々と知識は持ってるだろ? 別にショットやゼットのように、本格的にオーラバトラーを開発しろとは言わない。それに……地上について知っている分、ショットやゼットに色々とアドバイスも出来るかもしれないし」
これはバイストン・ウェルの人間にはどうしても出来ない事だった。
前提となる知識が違っているのだから、それも当然だろう。
また、バイストン・ウェルはファンタジー世界である以上、騎士とかはともかく一般市民の教育はほぼされていない。
それこそ、簡単な読み書きや計算の類も出来ない奴が多いらしい。
そういう意味では、マーベルはショットやゼットにしても相応に頼りになる可能性は十分にあった。
だからこそ、今の状況ではマーベルには色々とやるべき事、出来る事はあるのだ。
「そう? ……そうね。アクセルにそう言われたら、少しは元気になったわ。何とかなりそうよ」
「そう言って貰えると、こっちも嬉しいよ」
「ふふっ、ありがとう。……じゃあ、私はそろそろ寝るわね。明日も早いでしょうし」
少し話して落ち着いたのか、マーベルはそう言って笑みを浮かべてから部屋を出ていく。
どうやら、マーベルの中にあった緊張も少しは解消されたらしい。
後は……全て、明日か。
俺もオーラバトラーを実際に操縦するのは初めてだし、それを楽しみにして眠るのだった。
翌日、俺とマーベルは機械の館にやって来ていた。
機械の館はラース・ワウからそう離れていない場所にあるが、それでもドレイクの同盟者の俺を歩いて移動させるのは……という事で、兵士がユニコンの馬車を用意し、それに乗ってやって来た。
そうして機械の館にやって来たのだが……
「随分と活気があるわね」
機械の館を見て、マーベルが感心したように言う。
そう、実際機械の館はかなりの活気に満ちていた。
元々ラース・ワウはエルフ城よりも活気に満ちていたのだが、この活気はそれよりも上回る。
それだけ多くの者がここで働いており、ゲドやドロを製造しているのだろう。
「おお、アクセル。よく来てくれた」
そう言って俺達の前にやって来たのは、ショット。
ショットの隣には、もう1人の地上人の技術者ゼットの姿もあった。
昨日のパーティではショットと結構話したけど、ゼットとは挨拶程度しかしてなかったな。
……ゼットがガラリアと話していたというのが大きいのだが。
「約束通り来させて貰ったよ。今日はオーラバトラーについて色々と教えてくれ」
「勿論そのつもりだ。代わりに、こちらも異世界の人型機動兵器について教えて貰えると助かる」
異世界の人型機動兵器か。
さて、何について話すべきか。
俺が乗ってきた人型機動兵器となると、それこそ多種多様だ。
PT、AM、KMF、MS、VF、戦術機といったところか。
ただし、MSはMSでSEED世界、W世界、UC世界とかなり違いはあったりするが。
そんな風に考えながら、俺とマーベルは機械の館の中でもショットの執務室に通される。
機械の館はオーラバトラーを開発、製造したりする場所ではあるが、当然のように書類仕事の類もある。
そういう仕事をする為に、ショットやゼットには執務室が用意されていた。
……書類仕事をする以外にも、こうして誰かと話をする為の応接室的な役割もあるらしいが。
そんな執務室にあるソファに俺とマーベルが並んで座り、その向かいにはショットとゼットが並んで座る。
「何か飲み物でも……」
「いや、それはこっちで用意しよう」
そう告げ、空間倉庫からペットボトルの紅茶を4本取り出す。
「これは、また……」
「うお……」
ショットとゼットの2人の口から驚きの声が漏れる。
マーベルは今まで何度も俺の特殊なところを見ている為か、特に驚いた様子はなかったが。
ショットとゼットは、渡されたペットボトルをしっかりと確認し……そして、飲む。
中身が普通の紅茶だと知ったのか、驚きつつも安堵した様子を見せる。
そして気を取り直し、ショットが口を開く。
「まずは、オーラバトラーについて説明しよう。この説明が終わった後で、実際にゲドに乗って貰う。それで構わないか?」
ショットの言葉に、俺とマーベルは頷く。
いきなりゲドに乗ってみるというのも面白そうだとは思ったが、オーラバトラーは俺が今まで乗ってきた人型機動兵器と色々と違うので、そういう意味でもしっかりと聞いておいた方がいい。
「では、まず一般的なロボットとオーラバトラーの違う点から説明しよう。まず最大の相違点として、オーラバトラーは恐獣と呼ばれる……そうだな、このバイストン・ウェルに棲息する生物の甲殻や筋肉組織、脳や三半規管といった部位を流用している」
「それは……まぁ、普通のロボットとは違うか」
エルフ城の格納庫で多少それらしきところは見ていたが、それ以外にも結構な数の生体部品が使われていたんだな。
「バイストン・ウェルにおいて人型機動兵器を開発するとなると、そのような手段を使うしかなかったのだ」
その言葉には、納得するしか出来ない。
こんなファンタジー世界で普通に人型機動兵器を作ろうというのは、無茶になる。
そうなれば、この世界にある物資でどうにかする必要があるのは事実だった。
その説明で俺とマーベルが納得した――マーベルは微妙な表情を浮かべていたが――のを見たショットは、説明を続ける。
「また、地上の機械と違ってオーラバトラーはオーラ力で動く」
「ショット、まずはオーラ力について説明する必要があるんじゃないか?」
ショットの説明にゼットがそう口を挟んだが、俺はそれに首を横に振る。
「オーラ力については、ある程度知っている。言わば、この世界における人間の生命体エネルギーとかそんな感じの奴だろ?」
昨日、いきなり悪しきオーラ力ですか? とかリムルに聞かれたんだよな。
……今にして思えば、俺って悪しきオーラ力を持ってるように思えるのか?
「大体そんな理解で構わない。そして今も言ったが、オーラバトラーはオーラ力で動く」
「つまり、電気とかガソリンとか、エナジーフィラーとか、そういうのはいらないのか?」
「そうだ。……エナジーフィラー?」
俺の口から出た言葉に疑問を口にするショット。
咄嗟に口に出てしまったな。
「エナジーフィラーってのは、俺が行った世界にあった人型機動兵器の動力源だな。……それに関して話していると長くなるから、オーラバトラーについての説明を頼む」
その言葉に少し残念そうな様子を見せつつも、ショットは言葉を続ける。
「分かった。オーラバトラーのコックピットには操縦桿やペダル、スロットルといったものがあるが……実際には、それらは殆ど使わない。オーラ力のみで操縦する」
「……具体的にどういう事だ? 考えれば動くのか?」
「その通りだ。より正確には考えるというよりもイメージだな。そのイメージを補強する為、コックピットには補助として操縦桿といった物がある」
「それは、また……」
これもまた、俺が今まで乗ってきた人型機動兵器と違う。
あ、でもT-LINKシステムを使って操縦する場合はイメージが重要になるから、そう考えると俺には結構慣れた感じなのか?
そう思いながら、俺はショットとゼットからオーラバトラーについての説明を聞くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637