1時間程オーラバトラーについての説明を聞いてから、俺達は実際にゲドに乗ってみる事になった。
本格的にオーラバトラーについての勉強をするとすれば、1時間では到底無理だ。
そんな訳で、俺達がショットやゼットから実際に聞かされたのは、オーラバトラーの概略だったのだが……それでもオーラバトラーが普通の人型機動兵器と比べて色々と特殊なのは十分に理解出来た。
中でも特に驚いたのは、オーラバトラーの装備は基本的にオーラソードと呼ばれる長剣のみということか。
ビームとは言わないまでも、火薬を使った銃火器の類はあってもいいと思ったんだが……その手の武器は現在開発している最中らしい。
ただし、この銃火器の類に使われている火薬は地上で使われている火薬とは違い、オーラバトラーと同様にバイストン・ウェルにある材料、具体的には植物を使って作った物らしい。
そんな訳で、少なくても今のところはオーラソードのみで、遠距離攻撃となるとオーラバトラー用に開発されたクロスボウのような存在とか。
基本的にオーラバトラーというのは近接戦闘を重視しているらしい。
「にしても、恐獣の生体部品を使っていると言われると、改めてしみじみと生物的に見えるよな」
機械の館の前に用意されたゲドを見て、しみじみと呟く。
エルフ城の格納庫で見た時もそうだったが、ゲドの顔はやはり生き物っぽい感じがする。
「そうね。……でも、これから私がこれに乗るのね」
ゲドを見ながら、若干緊張した様子を見せるマーベル。
それでも緊張が若干という辺りは、昨夜の一件がいい感じに緊張を解しているといったところか。
ちなみに、最初にオーラバトラーに乗るのがマーベルなのは、マーベル本人がまずは自分からと、そう言ってきた為だ。
人型機動兵器の操縦に慣れている俺の後だと、余計に緊張する……という事らしい。
前でもそう大差はないと思うんだが、取りあえずマーベルがそっちの方がいいと言うのなら、それはそれで別に構わない。
なお、俺とマーベルも動きやすい服装になっている。
オーラバトラーを操縦するのに操縦桿とかそういうのは本来必要ないのだが、それでもパイロットの動きやすさが重要なのは、やはりイメージで操縦するからなのだろう。
自分が動きやすければ、それだけオーラバトラーも動きやすいといったような感じになるのだろう。
「では、マーベル・フローズン。……操縦の仕方は先程話した通りだ。とはいえ、オーラバトラーに乗っても、最初は少し動かすだけにしておいた方がいいだろう」
「ええ、分かってるわ」
ショットの言葉に頷き、マーベルは膝を突いてコックピットが開いている……いわば待機状態のゲドに向かう。
「で、どう思う? マーベルは無事に操縦出来ると思うか?」
「恐らく大丈夫だと思うけどな」
ゼットが俺の言葉にそう答える。
とはいえ、ゲドに真剣な表情を向けている様子を見れば、言葉程に安心している様子ではないのだろう。
「彼女は聖戦士と呼ぶに相応しい存在になるかもしれない。……私はそう思っているのだがな」
ショットはマーベルが乗り込んだゲドを見ながら、そう告げる。
聖戦士という大袈裟な称号はともかくとして、俺もマーベルがオーラバトラーに乗れるのは多分間違いないと思っている。
俺と一緒にこのバイストン・ウェルに転移してきたのを思えば、間違いなく原作キャラだし。マーベルの性格からして、実際に前線で戦うタイプだろうし。
そして……ゲドが起動し、俺達は黙ってゲドの動きを見守る。
まず膝を突いていた状態から、ゆっくりと立ち上がる。
その後、足を踏み出し……
「歩いた」
ゲドの姿を見て、そう呟く。
言葉としては単純な内容だったが、ゲドが歩いたというのはマーベルがしっかりと操縦出来ている事も意味している。
オーラ力の操縦法……イメージだけで操縦するというのは、初めて乗るマーベルであっても容易に機体を動かせるという点が大きいよな。
勿論、実際に何らかの敵と戦うといった事を考えると、操縦訓練とかは必須になるんだろうが。
ともあれ、俺達の前で動いたゲドは数歩進むと止まる。
そして後ろを向くと、再び移動する。
「思っていた以上の操縦センスだ。それとも、オーラ力の影響か?」
ショットの言葉を聞きながらゲドを見続け……そしてやがて5分程が経過すると、ゲドは先程マーベルが乗り込んだ時と同じように地面に片膝を突き、コックピットを開く。
「ふぅ」
地面に降りると、マーベルは大きく息を吐く。
緊張していたのか、それともオーラ力を予想以上に消費したのか。
その辺りの事情は俺にも分からなかったが、それでもマーベルが安堵している様子は理解出来た。
空間倉庫の中からタオルを取り出し、近付いてきたマーベルに渡す。
「ありがとう」
「それで、初めて乗ったオーラバトラーはどうだった?」
「そうね。イメージで操縦するというよりも、オーラ力で操縦するといった表現がよく分かったわ。あの操縦方法は独特でしょうね」
「……どう違うんだ?」
「ちょっと言葉では説明しにくいわね。アクセルも実際に乗ってみれば分かると思うわ」
そう告げるマーベルの言葉に、それもそうかと納得する。
百聞は一見にしかずって奴だな。……俺が直接ゲドを操縦するんだから、ちょっと違うか?
ともあれ、ここでマーベルから話を聞くよりも実際に自分で乗ってみた方がいいのは間違いない。
「じゃあ、次は俺が乗るけど……構わないか?」
「問題ない。アクセルがどんな感想を聞かせてくれるか、楽しみにしてるよ」
「乱暴に扱って壊すような真似はしないでくれよ?」
ショットとゼットからそれぞれ応援の言葉を――ゼットは少し違うが――受けながら、俺はマーベルが降りたばかりのゲドに向かう。
「へぇ」
そのコックピットの中を見て、感心したような声を出す。
何故なら、そのコックピットの中身は俺が知ってる多くの人型機動兵器のコックピットと同じような感じだったからだ。
勿論、細かいところは色々と違う。
だが、それでも大雑把に見た感じではそう違いはない。
この世界の地球には人型機動兵器はない筈だ。
そんな状況でこんなコックピットを作ったのは……うーん、戦闘機のコックピットをベースにして、バーンやガラリアのような騎士にどういうのなら操縦しやすいかといった事を確認していったのか?
もしくは……この地球の日本にもロボットアニメや漫画があって、それを参考にしたとか。
その辺の事情は分からないが、ともあれショットやゼットが色々と頑張ったのは間違いない筈だった。
オーラバトラーの操縦は基本的にオーラ力によるイメージの割合が高い。
だとすれば、ここまで立派なコックピットじゃなくてもいいと思うんだが……いや、この辺はショットから話に聞いた時にもそうだったように、補助的な役割があるのか。
ともあれ、手を触れて色々と確認してコックピットの配置を確認してから、ゲドを起動させる。
次の瞬間、無事に起動したものの……何だか妙な音……金属音に近い音がコックピット中に響く。
何だ? 何かおかしい? いや、ついさっきまでマーベルが乗ってたんだから、そんな事はない筈だ。
つまり、恐らくこの状況が標準的なのだろう。
マーベルが操縦しているのを外から見ている時には特にそれらしい音は聞こえなかった。
そうなると、防音になってるか? ……いや、この場合は防音じゃないな。
ともあれ、ゲドが起動した以上はさっきのマーベルのように動かすとしよう。
イメージ、イメージか。T-LINKシステムの時と同じ感じで試してみるか。
そう考え、ゲドが歩く時の感覚をT-LINKシステムの時と同じようにイメージし……
轟っ!
不意に、コックピットが燃え上がる。
唐突な……それこそ、いきなりといったような感じで燃え上がったコックピットは、当然ながらそこに座っている俺に対しても炎が絡んでくるが……俺はただそれを驚きの視線で見ているだけだ。
えっと……あれ? 何があった?
「きゃああああああああっ!」
予想外の光景に戸惑っていると、ゲドの外からそんな悲鳴が聞こえてくる。
マーベルの声?
そう思いながら、取りあえずコックピットを開けようとするも、炎の影響でどこか曲がったのか、開ける事が出来ない。
「取りあえず邪魔だ」
ショットには悪いが、コックピットの展開部分を殴って破壊し、外に出る。
するとショットやゼットが慌てて部下に指示して、水を持ってくるように言っている。
一瞬……本当に一瞬だが、もしかしたら今回の件はショットやゼットがコックピットに発火装置でも仕掛けたのか? と思わないでもなかったのだが、この様子を見る限りそれは考えられない。
そもそも、そんな罠が仕掛けられているのなら、俺じゃなくてマーベルが乗ってる時に発動していないとおかしいし。
遠隔操作出来る発火装置という可能性もあったが、ファンタジー世界のこのバイストン・ウェルでそんな物を入手出来るかどうかは微妙だろう。
まぁ、オーラバトラーの部品にそういうのに流用出来るようなのがある可能性は十分にあったが。
そして……そんなショットとゼットから少し離れた場所では、手を口に当てて悲鳴を上げているマーベルの姿。
……そうか。俺が色々と異常なのは見せたが、それでも炎に包まれても大丈夫だとか、そんな風には分からなかったのか。
炎に包まれたままコックピットから飛び降り、地面に着地する。
そこまですれば、当然のように周囲にいた者達も俺の存在に気が付くが……俺はそれに構わず、手を一振りする。
その一振りで、炎は全て消えた。
正確には、白炎によって炎そのものが燃やされたのだが、その辺は俺だけが知っている事だ。
そうして炎を消してから、マーベルのいる方に近付いていく。
「アク……セル……?」
「ああ」
「え? だって、今……」
「炎くらいで俺がどうにか出来ると思ったのか?」
「……馬鹿……心配させないでよ」
俺を見てそんな風に言ってくるマーベル。
うん、俺がどれだけ心配させたのかは予想出来たけど、少しやりすぎた感じか?
とはいえ、まさかゲドに乗ってこんな事になるとは思わなかったし。
マーベルが落ち着いたのを見てから、俺は空気を読んだのか少し離れた場所でこっちの様子を見ていたショットとゼットに視線を向ける。
「一応聞いておくが、今回の件はお前達どっちかの仕業か?」
「違う」
「そうだ、わざわざ地上人を相手にそんなことをする訳がないだろ!」
ショットは即座に否定し、ゼットもそれに続く。
俺は地上人じゃないんだがな。
あまりの出来事に混乱しているといったところか。
とはいえ、この様子だと誤魔化しているとかそういう訳じゃないらしい。
いや、単純に演技が上手くてそれで誤魔化しているという可能性もあるが、それでも普通に考えればやっぱり俺達を殺そうとする理由はない。
マーベルや俺がドレイクと敵対しているのならまだしも……もしくは俺とマーベルに人型機動兵器の知識があって、ショットやゼットの立場を脅かすとかなら、そういう風に考える可能性も否定は出来ないが、俺はある程度の知識はあるが、それはあくまでも広く浅くといった程度の知識でしかなく、マーベルにいたっては地上では普通の大学生だった。
その辺の事情を考えれば、ショットやゼットが俺を排除するといったような事を企むとは考えにくい。
そうなると、バーンやガラリアを始めとした騎士達はどうだ?
騎士達は王を名乗っているものの、国の1つも持っていないという事で自分達の主君に近付く怪しげな相手と認識していた。
だからこそ、俺を排除しようと思ってもおかしくはないが……いや、それもないか。
ともあれ、理由が不明なのは間違いない。
「そうなると、何が理由でこんな感じになったんだ?」
「それは……正直分からない。だが、何かがあったのは間違いない。それを解明してみせる」
真剣にそう言ってくるショットの様子に、改めて嘘を吐いてはないだろうと判断する。
技術者として、自分の開発したオーラバトラーがこういう事態を引き起こしたのを心の底から悔しく思っている様子だ。
「分かった。なら、ドレイクには俺の方からも問題にしないように言っておく。……とはいえ、ゲドを1機失ってしまったのは、ドレイクにとっても痛かったんじゃないか?」
「そうでもないさ。ドレイク殿も言っていたが、ゲドはあくまでもオーラバトラーの技術を確立する為の機体だ。現在他にも何種類か新型機を開発中だ。……とはいえ、オーラバトラーを製造するには恐獣の各種部位が必要になる以上、量産に向いていないのは事実なのだがな」
そう告げるショットの言葉に、ゲドは旧ザク的な存在なのかと、納得する。
このゲドをベースとして、現在新型機を開発中なのだろう。
俺にとっては、それは嬉しい事だが……開発中という事は、まだ出来ていないという事を意味してもいた。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637