取りあえず、バイストン・ウェルでの目的は決まった。
地上に出る以外にもオーラバトラーの技術を色々と入手するといった事や、恐獣の死体を入手するといった目的があったのだが。
……個人的な希望を言わせて貰えば、バイストン・ウェルで恐獣を生きたまま捕らえて、それをホワイトスターの牧場に持っていって繁殖させたかった。
そうなれば、ホワイトスターで独自のオーラバトラーを開発するといった真似も出来たんだろうが。
いや、素材の確保となるとワイバーンと一緒の牧場は不味いか?
ホワイトスターはまだ使われていない場所が多いので、いっそ使われていない場所を丸々一区画恐獣の専用区画にするのもありかもしれない。
その辺りの話も、結局ホワイトスターと繋がらなかったので意味はなかったのだが。
ともあれ、ゲートがエラーを起こして向こうと繋がらない以上、このまま出しておくのは、ただドレイクに無駄な興味を抱かれるだけだと判断し、現在は空間倉庫の中に収納している。
ちなみに、まずないとは思うが、万が一、億が一にもゲートの方で何らかの故障があったら……という可能性を考えて、他にも幾つかのゲートを空間倉庫から出して試してみたのだが、結局のところそれらは全てエラーを起こした。
こうなれば、やっぱりオーラ力とかが理由なのは間違いないらしい。
「じゃあ、行ってくるわね。……アクセルも後で機械の館に顔を出すのよね?」
引っ越してきた翌日、メイドの用意してくれた朝食を食べ終わったマーベルがそう言ってくるのに頷く。
「ああ。とはいえ、俺は特にやるべき事はないんだけどな」
マーベルが機械の館でやるのは、ゲドを使ったオーラバトラーの訓練。
当然だが、それはオーラバトラーに乗れるからこそ出来る事であって、魔力のせいでオーラコンバータを破壊してしまう今の俺にはまだ出来ない。
ゼットが数日で俺が使っても問題のないオーラコンバータを作ると言っていたが、それが完成するまでの数日は俺もやるべき事はない。
メイドからドレイクに会いに来るようにと伝言を聞かされているので、恐らくは何かドレイクが俺にやって欲しい事はあるんだろうけど。
ともあれ、ドレイクとの用事を終わらせたら機械の館に顔を出してみようと思う。
ゼットが開発中のオーラコンバータの件で、俺が何らかの協力が出来るかもしれないし。
ともあれ、マーベルが家を出ると……ドレイクとの約束の時間まで、俺は特にやるべき事がなくなってしまう。
「さて、こうなると暇だな。……いっそ、恐獣を狩りに行くのもいいかもしれないけど、勝手にそんな真似は出来ないしな」
以前聞いた話によると、オーラバトラーの部品となる素材を持つ恐獣というのは、かなり強力……もしくは凶悪な性格をしているのが多い。
いやまぁ、恐獣といった名前になるんだから、そんな性格なのは当然かもしれないが。
騎士だったり、ドロだったりを使って倒すのが一般的らしいが、俺の場合は生身で倒せる自信がある。
それだけに、実際に試してみたかった。
それに恐獣というのはあくまでもそういう存在を一括りにした総称だしな。
恐獣の中にはオーラバトラーよりも巨大な奴もいれば、人間よりも小さい奴がいるらしい。
そんな風に考えつつ、取りあえず俺は時間まで雑誌を読んで時間を潰す。
そう言えば、俺が雑誌を読んでいると何故か妙な出来事が起きたりするんだが……まさかこれが何らかのトリガーになってるとかないよな?
いや、ないか。
実際にこうして雑誌を読んでいても、特に何も起きないし。
「アクセル王」
ふと、そんな声を掛けられる。
声を掛けてきたのは、この家で働くことになったメイドだ。
……間違いなく、ドレイクの手の者なんだろうが。
「どうした?」
「いえ、アクセル王は強力なオーラ力を持っていると聞きます。それをどのように使われるおつもりですか?」
「そうだな。取りあえず今は特にこれといって何かをやろうとは思っていない。今の俺が希望しているのは、あくまでもオーラバトラーだ」
「何故アクセル王は、オーラバトラーにそこまで興味を持つのです?」
「何故と言われてもな。純粋に珍しい技術だからというのが一番大きな理由だ」
少なくても、現在シャドウミラーでオーラバトラーのような生体兵器とでも呼ぶべき人型機動兵器は存在しない。
また、魔力……ではなく、オーラ力を使うというのも興味深い。
ぶっちゃけ、オーラコンバータがあれば推進剤とかそういのはいらないという事なのだから。
……まぁ、逆に言えばオーラ力が低いとゲドのように動かす事もまともに出来ないんだが。
「なるほど。では、それが原因でドレイク様に協力をしているのですか?」
「そうだな。そんな一面もある」
「では……もしドレイク様以外に、オーラバトラーを開発するような勢力があった場合、そちらに協力するのですか?」
ん? こいつ……
「どうだろうな。その時になってみないと分からない。それに、結局のところオーラバトラーを開発したのはドレイクだ。だとすれば、オーラバトラー開発に関するノウハウの類は、ドレイクのところが一番充実していると思うんだが」
「そうですね。そのように仰って貰えると安心しました」
あれ? 違うのか?
今の話の流れから、てっきりこいつはドレイクと敵対している、もしくは危険視している勢力の手の者かと思ったんだが。
純粋にドレイクの事を心配していた?
……まぁ、今はそこまで気にする必要はないか。
向こうが何か妙な真似をしたら、それはそれで対処すればいいだけだし。
「そう言って貰えると、こっちも助かるよ。……じゃあ、俺はそろそろドレイクとの約束の時間だから行かせて貰う」
「はい、行ってらっしゃいませ」
そう言い、頭を下げるメイド。
さて、このメイドの正体は一体なんなんだろうな。
最初はドレイクと敵対していたり、危険視している相手が送り込んできた女なのかとも思ったが、こうして見る限りではドレイクの為に行動しているようにも思える。
取りあえずこのメイドの事は放っておいてもいいか。
そうして、俺は影のゲートで転移するのだった。
「おお、アクセル王。家の方はどうだったかな?」
執務室に入ると、そこでは書類に目を通していたドレイクが嬉しそう尋ねてくる。
ドレイクにしてみれば、自分の用意した家には自信があったのだろう。
実際、あの家はそれなりに使いやすく、中庭も俺が要望した通りある程度の広さが合った。
唯一にして最大の難点は、中庭に設置したゲートがホワイトスターと繋がらなかった事だろう。
ただし、ドレイクにはその辺は秘密にしているのだから、その件で責めるといったような真似は出来なかったが。
「悪くない家だった。思ったより広くて快適だよ。メイドも派遣して貰ったから、家事とかそういうのは任せられるのも助かるし」
「そうか。喜んで貰えて何よりだ。昨日の一件の礼、とする事は出来たかね?」
昨日? と、一瞬戸惑うも、そう言えばあの家を入手したのはゲドの件の謝罪代わりだったな。
「その辺は特に気にしなくてもいい。昨日の実験を見て貰えば分かったと思うが、俺はあの程度の炎でどうこうなるような柔な身体はしていないしな」
「改めて、異世界というのは恐ろしいところなのだな。アクセル王のような存在がいるとは……もしかして、他にもアクセル王と同じような力を持つ存在がいるのか?」
「そうだな、全く同じって訳じゃないが……炎が全く効果がないとか、そういう奴ならかなり多いな」
ネギま世界やペルソナ世界には、極めて強力な奴もいる。
……刈り取る者とか、この世界では一体どんな存在になるんだろうな。
エヴァ辺りをこの世界に連れてきたら、それはそれで面白そうな気がしないでもなかった。
「ぬぅ……異世界……」
ドレイクは俺の言葉にそう呟く。
一応、嘘は言っていない。
そういう意味では、俺の言葉は決して間違っていなかった。
ともあれ、ドレイクをこのままにしておく訳にもいかないか。
「それで、俺を呼んだ用事は? 勿論、あの家の使い心地を聞きたかったってだけでもいいんだが」
「む? いや、それもあるが……本題は違う。アクセル王と儂は現在同盟関係にあるとはいえ、今の状況ではアクセル王は仕事がない」
「それを言われると辛いな」
実際、ドレイクのその言葉は決して間違いではない。
今の俺はドレイクの同盟者という立場ではあるが、家とか食料とかは普通にドレイクから貰っている……言わば、養って貰っている身だ。
「それで、こちらから幾つか提案がある。まず1つ目は、騎士の模擬戦相手になって欲しい。この前のバーンとの戦いを見せて貰ったが、アクセル王の戦闘力はかなり高い。うちの騎士達にとっても、アクセル王との戦いはいい経験になる筈だろう」
「そうだな。この世界の平均的な強さは知らないけど……」
それ以上は言わないでおく。
バーンがドレイクの側近のような立場にあり、騎士達を率いているのを見る限り、間違いなく強者なのだろう。
騎士を率いる身で大事なのは、本人の強さよりも部下を率いる指揮能力だと思うんだが……バーンの様子を見る限り、そちらの能力よりも自分の強さを重要視しているのは間違いない。
であれば、そのバーンは騎士団の中でも最強……とまではいかなくても、強いというのは間違いのない事実。
「そうしてくれると助かる。それと、もう1つ。……正直なところ、こちらがアクセル王に頼む本命なのだが、恐獣を狩ってきて欲しい」
「なるほど」
こっちの依頼が本命とドレイクが言うのは理解出来た。
オーラバトラーを製造するには、恐獣の素材……もっとぶっちゃけると死体が必要だ。
だが、恐獣という名前がある通り、その辺の素人が簡単に倒せるような相手ではない。
だからこそ、俺に頼んだといったところか。
ドレイクは俺の強さを知っているし、何より……こう言ってはなんだが、ドレイクにしてみれば俺は別に死んでも構わない存在だ。
いや、勿論生きていた方が色々と便利なのは間違いないだろうが、それでも今の状況を思えばそこまでの重要性はないのだろう。
同盟者に対して、その扱いはどうかと思わないでもないが。
また、俺が空間倉庫を使うのは、ゲイ・ボルクを取り出した時の一件でドレイクも知っている。
具体的にどのくらいの量を空間倉庫に入れられるのかまでは知らないだろうが、上手く行けば恐獣の死体をそのまま持ってくるといった事も出来るのではないかと、そう期待してもおかしくはない。
実際には一匹や二匹の恐獣の死体どころか、数百匹、数千匹、数万匹であっても空間倉庫には普通に収納出来るのだが。
同盟者のドレイクだが、そこまで説明する必要もないんだろう。
何より、そう思っておいて貰った方が倒した恐獣の死体を自分の分、確保しやすい。
別に倒した恐獣の死体は、全てドレイクに渡す必要はない。
恐獣の素材によってオーラバトラーが製造されている以上、技術班に対してのいい土産になるだろう。
何より、バイストン・ウェルは直接ホワイトスターと繋がる事が出来ない。
一応地上に戻った後でならゲートが正常に起動するかもしれないという予想はしているが、それだって絶対ではないし……何より、地上とバイストン・ウェルを自由に行き来出来るとも限らなかった。
その辺の事情を考えれば、やはり確保出来るうちに可能な限り確保しておいた方がいい。
……この先、バイストン・ウェルでオーラバトラーが主流になった場合、恐獣の素材不足になるかもしれないと思えば、やはりここは前もって先に動いておくべきだろう。
「分かった。騎士の模擬戦も面白そうだが、恐獣を倒して死体を集めてくる方が、もっと面白そうだ。そっちをメインにさせて欲しい。ああ、勿論そっちだけって訳じゃなくて、騎士との模擬戦も時間があればやるけど」
「助かる。それで、兵士は何人くらい連れていく? こちらとしても、出来れば大勢預けたいのだが、そこまで余裕はないのだが」
兵士? と疑問に思ったが、考えてみればドレイクが知っている俺の強さというのは、バーンを正面から倒すといったものと、ドレイクの部屋に侵入した時の気配遮断くらいだ。
普通に考えれば、俺が単独で恐獣と戦うとは思っていないのは当然か。
ただし、俺としては倒した恐獣を幾らか……具体的にどのくらいなのかは実際に戦ってみないと分からないが、自分の分として確保する予定だ。
それだけに、出来れば俺1人でやりたい。
「いや、兵士はいらない。最初に恐獣の棲息している場所まで案内してくれれば、次からは全て1人でやらせて貰うよ」
「……正気か?」
本気かではなく正気かと尋ねたのは、それだけドレイクにとって俺の口から出た言葉は信じられなかったからだろう。
このバイストン・ウェルの人間にしてみれば、そんな風に思ってもおかしくはない。
おかしくはないんだが……だからといって、俺にとって一番大きな利益の出る方法で行動するのは当然の事だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637