転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2758話

 機械の館の前に、以前見たのと同じような光景が広がっていた。

 オーラコンバータとコックピットだけの部位が置かれているのだ。

 まぁ、俺が使ったら燃えてオーラコンバータはともかく、それ以外の場所も駄目になるかもしれない以上、必要最低限の部位だけでテストをするのは当然だろう。

 それはいい。それはいいんだが……

 

「オーラコンバータは新型だって話だったけど、こうして見た限りではゲドの物とそう変わらないみたいだが?」

 

 そう変わらないどころか、見た目には全く同じに見える。

 これ、実は新型でもなんでもなく、ゲドの奴って事はないよな?

 

「心配するな。外見は同じでも、中身は違う」

 

 俺の横に立つショットが、自信満々にそう言う。

 あのオーラコンバータを開発したのは、ショットではなくゼットだった筈だが……まぁ、同じ地上人の技術者という事で協力したんだろう。

 

「だといいんだけどな。これでまた火が出たら、洒落にならないぞ。いやまぁ、俺は前回も見た通り、火傷とかはしないから問題ないけど」

「大丈夫だ。ただ、一応こちらで出来る試験はしたが、それはあくまでも出来る限りのもの。アクセルの持つ魔力というのを使っても本当に大丈夫なのかどうかは、実際に試してみるまでは分からないだろう」

 

 そう言われると、俺も頷くしかない。

 実際、この一件においては魔力というバイストン・ウェルの人間だけではなく、地上人のショットやゼットにとっても未知の存在を使ってオーラコンバータを動かすのだ。

 その辺はやはり実際に動かしてみなければ分からないだろう。

 

「分かった。なら、早速やってみるか。ゼット、準備はいいか?」

 

 新型のオーラコンバータの様子を見ていたゼットに声を掛けると、ゼットは頷く。

 

「大丈夫だ。少なくても設計通り性能は発揮している。……本当なら、こんな馬鹿げたオーラコンバータなんて、作る予定はなかったんだけどな」

 

 自分で作ったにも関わらず、呆れたように言うゼット。

 そんなゼットの様子を眺めつつ、俺はコックピットに乗り込む。

 

「よし、やるぞ。離れてくれ」

「分かった。頑張れよ、皆見てるぞ」

 

 その言葉に、改めて周囲の様子を見る。

 すると、多くの技術者や騎士……それどころか、俺を怪しんでいるバーンやガラリアの姿もあり、少し離れた場所にはドレイクの姿もあった。

 バーンやガラリアはともかく、ドレイクまで見に来るというのは少し予想外だったな。

 それだけ、俺がオーラバトラーを動かせるかどうかというのは、大きな意味を持つといったところか。

 マーベルが少しだけ心配そうな様子でこちらを見ているのが印象的だった。

 ともあれ、全員が離れたのを確認してから、オーラコンバータを起動させる。

 出来るだけ魔力を絞るような形で、少しずつ……少しずつ魔力をオーラコンバータに流していく。

 そうして、数秒……オーラコンバータが起動した。

 外では見ていた者達が起動したオーラコンバータを見て声を上げる。

 

『おおおおお』

 

 そうして声を上げはするものの、当然ながらオーラコンバータのある方に近付いてきたりはしない。

 俺もまた、オーラコンバータを動かしはするものの、特に何もしない。

 というか、ここにあるのはあくまでもコックピットとオーラコンバータだけである以上、この状況で何かをしようとしても意味はないのだが。

 ともあれ、起動したからといってすぐに止める訳にはいかない。

 まずはある程度の時間、起動し続けても何も問題はないのかどうか。そしてどれくらいの魔力なら大丈夫なのかというのを確認していった。

 幸いなことに、30分くらいの間オーラコンバータを起動し続けていても特に問題なく動いている。

 それ以外にも、発する魔力は意図的に絞るような事をしなくても普通に発している魔力でなら特に問題がないと理解した。

 俺の持つ魔力を最大限に発揮するような事になったりすれば、またどうなるのか分からなかったが。

 その辺は試してみてもいいんだが、それを行った場合はこのオーラコンバータが破壊されるという可能性も考える必要があった。

 ゼットから聞いた話によると、このオーラコンバータは製造する際にドレイクが恐獣の素材を購入しているリの国から入手した、希少な素材を使っているという話だ。

 そうである以上、迂闊に全力を出す……といったような真似は出来ない。

 そして、外にいるショットとゼットがもう終わってもいいと、そう手で指示したのを確認し、オーラコンバータに魔力を流すのを止めていく。

 そうすると、当然オーラコンバータの機能も止まった。

 ふぅ。

 もしかしたら、本当にもしかしたらだが、万が一にもオーラコンバータが停止しなくて、暴発するといった可能性があった。

 まぁ、そうなっても俺の場合は特に問題がなかったりしたのだが。

 

「アクセル! よくやってくれた!」

 

 嬉しそうにそう叫ぶのは、ゼット。

 まぁ、この新型……新型と表現してもいいのかどうかは分からないが、ともあれこのオーラコンバータはゼットが開発したものだった以上、こうして嬉しそうにしているのは当然だろう。

 ちなみに、バイストン・ウェルの人間にとってはそこまで重要ではない代物なのだが、シャドウミラーの人間としては魔力でオーラコンバータを動かす……つまり、魔力を電気に変えると言ってもいいこのオーラコンバータはかなりの発明品だったりする。

 ぶっちゃけ、俺やエヴァのように高い魔力を持っている者がこれを使えば、幾らでも電気を生み出す事が出来るのだから。

 まぁ、シャドウミラーにはブラックホールエンジンがある以上、実際に採用される事は基本的にないと思ってもいいだろうけど。

 

「取りあえず、これで俺もゲドを操縦出来ると思ってもいいのか?」

「ああ。ただ、実は相談がある」

「相談?」

「そうだ。まぁ、詳しい話は後でショットから聞いてくれ。これは決してアクセルにとっても悪い話じゃないと思うから」

 

 いい話、ねぇ。

 まぁ、ゼットがそう言うのなら、取りあえず期待しておくか。

 具体的にどんな話なのかは分からないが。

 

「アクセル王、見事だった」

 

 バーンを引き連れたドレイクが俺の側までやって来て、そう声を掛けてくる。

 バーンの方は表情に出さないようにしてはいるみたいだが、それでも雰囲気で決して俺に対して好意的な訳ではないというのは理解出来る。

 とはいえ、その気持ちは分からないでもなかったが。

 

「そう言って貰えると俺も嬉しいが、褒めるなら俺よりもこのオーラコンバータを開発したゼットを褒めた方がいいじゃないか?」

「うむ。勿論そのつもりだ。このオーラコンバータは一般的な代物ではない。しかし、そのような一般的ではない物を作れたという点は非常に大きい」

 

 ドレイクの言葉に、ゼットは複雑な表情を浮かべつつも、嬉しそうな様子を見せる。

 ドレイクに褒められたのは嬉しいのだろうが、一般的ではないというのが微妙に引っ掛かっているといったところか。

 普通に考えれば、そういうのを作れるからこそ技量が高いといった認識でもいいと思うんだが。

 

「これで、アクセル王もゲドを使える事になるのですか。おめでとうございます」

 

 バーンが俺を見てそんな風に言ってくる。

 へぇ……不満を抱いているのは明らかなのに、それでもこうして言ってくるのか。

 これは面の皮が厚いって奴か?

 

「バーンにそう言って貰えるのは嬉しいな。いつも模擬戦をしているから、お世辞か?」

 

 ピキリ、と。

 そんな俺の言葉にバーンは一瞬顔を引き攣らせる。

 あれ? 何でそんな風になる?

 別に嫌みとかじゃなかったんだが。

 

「そうですね。アクセル王にはいつも色々と面倒を見て貰ってます。お館様、そろそろ時間の方が……」

「ふむ、そうか。では、悪いなアクセル王。出来ればもう少し話をしたかったんだが、儂もこう見えて忙しいのだ」

「だろうな。もう実験は終わったんだし、仕事に戻った方がいいぞ」

 

 実際、ドレイクの仕事が忙しいというのは間違いのない事実だろう。

 何しろ、ドレイクはアの国の中でも非常に大きな領地を持つ領主だ。

 その上、オーラバトラーやオーラボムの売買に関しても行っており、その辺の事情を考えれば忙しくないというのは有り得ない。

 それ以外にもアの国で一番大きな領地を持つ領主となれば、それだけで様々な仕事があるだろう。

 フラオンからの仕事が回されてこないだけ、まだいいのか?

 いや、実はフラオンからの仕事も回されてたりはしないよな?

 

「アクセル」

 

 ドレイクとバーンが立ち去ったのと入れ替わるように、マーベルがこっちにやってくる。

 実際、ドレイクとの話が終わるまで待ってたんだろうが。

 

「無事よね? 何も問題はない?」

「見ての通りだ。こっちにとっては、特に何も問題ない」

「そう。大丈夫なのは見て分かったけど、それでも心配するのは当然でしょう? 前回の事を思えば」

 

 真剣な表情でそう言ってくるマーベルを見れば、からかうような真似も出来ない。

 

「そうか、悪いな」

「無事ならいいわよ。……それで、これからどうするの?」

「ショットが何か話があるらしい。だよな?」

「ん? ああ。さっきも言ったが、アクセルにとって悪い話じゃないと思うぞ」

 

 近くで他の技術者に色々と指示を出してたゼットが、俺の言葉にそう頷く。

 

「そんな訳で、俺はこれからちょっとショットと話そうと思うけど、マーベルはどうする?」

「よければ私もその話を一緒に聞いてもいい?」

「うん? それはまぁ、構わないとは思うが。アクセルに関する話だし、聞いてもそこまで面白くはないと思うぞ?」

 

 一応といった様子で尋ねるゼットだったが、マーベルはそれでも構わないと頷く。

 

「ええ。こう言ってはなんだけど、アクセルだけだと妙な事に巻き込まれそうな予感がするのよ」

「俺を何だと思ってるんだ?」

 

 マーベルの様子を見る限りだと、俺を1人にしておけば妙な提案を受けかねないといったように言ってるように思える。

 まぁ、今までの俺の言動を見れば、そんな風に思ってもおかしくないのかもしれないが。

 

「言って欲しい?」

「止めておく」

 

 そうしてこの一件については取りあえず終わり、俺達はゼットに言われた技術者に案内されて、機械の館にあるショットの執務室に向かう。

 

「ショット様は色々と他の者に指示をしてから来ますので、もう少々お待ち下さい」

 

 そう言い、俺達を案内してきた技術者は頭を下げると去っていく。

 

「こういう部屋に、俺達を入れてもいいのか? 執務室ってことは、機密情報とかもあるだろうし」

 

 そもそも、機械の館という施設そのものがドレイクにとっては機密情報の塊だろう。

 そんな中で、ショットの執務室となれば、それこそ本来ならとてもではないが他人に見せることは出来ないような、そんな書類とかがあってもおかしくはない。

 もし万が一……本当に万が一だが、俺がこの執務室にある書類を持ってギブン家に逃げ込んだりしたら、一体ドレイクにとってどれだけの被害になる事やら。

 勿論、俺はそんな事をするつもりはないが。

 何しろ、俺が一番欲しているのはオーラバトラーの技術だ。

 そしてここにはオーラバトラーを開発したショットやゼットがいて、領主のドレイクもオーラバトラーの開発には全面的に協力している。

 つまり、ここがバイストン・ウェルの中で一番オーラバトラーの技術を得られる場所なのだ。

 だというのに、わざわざここで設計図とかそういうのを盗んだとしても、それを持ってギブン家に行くなんて真似をすれば……それこそ、まずは機械の館を建造するところから始める必要がある。

 とてもではないが、そんな面倒な真似はしたくない。

 まぁ、ドレイクが領主として最悪の相手なら、そんな真似をした可能性もあるが。

 少なくても、俺が見たところではドレイクは領民に慕われているし、本人も領主として有能だ。

 最大の難点としては、妻のルーザに色々と問題があるといった点か?

 リムルもリムルで、何故か俺達を悪しきオーラ力の持ち主と認識してる。

 あ、あとはシルキー・マウを捕らえているというのも難点か。

 こうして考えてみると、何気に難点が多いんだよな。

 まぁ、領主である以上は政略結婚とかそういうのだったかもしれないし、ショットやゼットを召喚する為にはエ・フェラリオが必要で、それによってシルキー・マウを捕獲したというのも……取りあえず納得出来ない訳ではない。

 見た感じでは、シルキー・マウも水牢とかいうのを用意はしていたが、虐待はしていなかったし。……まぁ、あの状況が虐待だと言えばそうかもしれないが、そもそもここはファンタジー世界のバイストン・ウェルだ。

 人権? 何それ美味しいの? といった世界であるのを思えば、ドレイクの所業は寧ろシルキー・マウに配慮していると言ってもいいかもしれない。

 そんな風に考えながらマーベルと話していると……

 

「待たせたな」

 

 20分程が経過し、ショットが姿を現すのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1648

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