執務室に入ってきたショットは、遅れた事を謝ると執務机の引き出しから何枚かの書類を取り出し、俺の向かいに座って口を開く。
「さて、アクセルに来て貰った件についてだが」
「何でも、俺にとっていい話だってゼットが言ってたな」
「そうだ。現在、私とゼットはゲドの後継機を作っている。だが、そのオーラバトラーは2種類ある。……これだ」
そう言い、ショットが手に持っていた書類をテーブルの上に置く。
そこには完成予想図なのだろう。2つのオーラバトラーが描かれている。
勿論、そこにあるのはあくまでも絵だけで、実際にどのような性能を持っているのかといった事は何も書かれていない。
それでも、その2種類のオーラバトラーが全く方向性の違う機体だというのは、見て理解出来た。
まず1機目は、言ってみればゲドの正当進化形といった感じだ。
運動性や機動性を重視した外見。
これはゲドの後継機という事で納得出来たのだが、もう1機の方は何と言うか、ゲドと比べると全く方向性が違うオーラバトラーだった。
丸っこい印象というか、そんな感じ。
見るからに重装甲で、力もありそうに思える。
なるほど。これはある意味でUC世界におけるドムに近い発想か。
ドムは重装甲とホバー移動による高機動力を持ち、一撃離脱を基本としたMSだった。
連邦軍にビームライフルを始めとしたビーム系の兵器がなければ、有効なMSだったのは間違いないだろう。
ビーム兵器の出現で、重装甲というのは全く意味がなくなったが。
だが……それは逆に言えば、ビーム兵器があったからこそだ。
このバイストン・ウェルにおいては、当然だがビーム兵器などといったものは存在しない。
だからこそ、こっちのゲドとは全く別方向のオーラバトラーが開発されているというのも、分からないではない。
それに、高機動力というのは敵の攻撃を回避出来てこその話だ。
パイロットの中には技量の問題で敵の攻撃を回避出来ないといった者も多いだろう。
そういう意味では、敵の攻撃を受けてもダメージを最小限に抑えられる重装甲というのは、決して悪い話ではない。
「こちらのゲドに似ている機体がダンバイン。そしてゲドと全く違う機体はドラムロという。今回の話はダンバインに関係しているのだが、どうせだからまずはドラムロについて説明するか」
そう言い、ショットはドラムロについて説明する。
機体の特徴としては、やはり俺が思った通り重装甲というのが売りだったが、もう1つの売りとしてドラムロの手にはフレイボムが内蔵されているらしい。
フレイボムというのは、ドロの触手の先端に装備されている武器だな。
遠距離攻撃手段を内蔵武器として持っているというのは、何気に大きな意味を持つ。
ダンバインの方を見る限りだと、フレイボムは装備されていない。
つまり、ドラムロは重装甲だけではなく攻撃力も強化されている訳か。
ドラムロに誰が乗るのかは分からないが、新米パイロットが操縦をするのにはダンバインよりもドラムロの方が使いやすいだろう。
「なるほど。悪くない機体だと思う。俺には向いてないけどな」
オーラバトラー以外であっても、重装甲の機体というのは基本的に好みではない。
いやまぁ、俺の操縦特性というか、扱うのが得意なのは高機動型だし。
どうしても、重装甲の機体だと重量が増して機動力や運動性に制限が掛かるんだよな。
「そう言って貰えると嬉しいな」
この様子を見ると、ドラムロは何気にショットにとっても自信作だったのだろう。
「けど、ゲドの時点でパイロットがいないのに、ドラムロを開発しても意味はないんじゃないか?」
「その点は問題ない。色々と調整することによって、オーラ力が地上人程に高くなくても操縦出来るようにしてある。これがあれば、全員といった訳ではないが、バイストン・ウェルの人間であっても相応に高いオーラ力を持っていれば、オーラバトラーは操縦出来る筈だ」
「そんな事も出来るのね。なら、何でゲドはそんな風に作らなかったの?」
ショットの言葉に対し、マーベルがそう尋ねる。
俺もそれは気になっていたところだ。
そんな便利な装置があるのなら、わざわざゲドをマーベルだけに操縦させる必要もないだろうに。
そう思ったのだが、ショットはマーベルの言葉に対して首を横に振る。
「ゲドはオーラバトラーの雛形だ。……だが、雛形であるが故に、その性能は決して高くはない。性能の関係で、どうしてもパイロットに強力なオーラ力が必要となる。何より初めてだから、技術的な問題や素材的な問題でバイストン・ウェルの人間では基本的にゲドを動かすオーラ力は足りないんだ」
そういう理由があったのか。
ゲドは初めてのオーラバトラーである以上、ショットやゼットも色々と考えながら開発したのだろう。
その結果として技術的な蓄積がされ、ドラムロのようにバイストン・ウェルの人間でもある程度のオーラ力の強さを持つ者であれば操縦出来るドラムロが開発されたと。
「なるほど、事情は分かった。まぁ、その辺をしっかりと考えるのはドレイクの判断だろうから、俺からは特に何も言ったりはしないけどな。で、ドラムロについてはそれでいいとして、次はダンバインだな」
「うむ。ダンバインの開発を主導したのはゼットだが、私も色々と協力している機体になる。まずダンバインの一番大きな理由として、強大なオーラ力……それこそ、ゲドを操縦するよりも大きなオーラ力がなければ、普通に動かすことも難しい」
「それは、つまり……ゲドの特性をより極端にしたといった感じか?」
「そうなる」
少しだけ驚きの表情を浮かべつつ、そう告げるショット。
まさか俺がそこまで的確な事を言うとは思ってもいなかったのだろう。
人型機動兵器という存在に慣れている身としては、そこまでおかしな事ではないのだが。
「なんでまた、そんな事を?」
「聖戦士というのは、高いオーラ力を持つ。そのような人物が乗る為だ。オーラバトラーというのは、パイロットのオーラ力によって性能が極端に上下するという特色を持つ。そういう意味では、オーラ力よりも濃いエネルギーを持つアクセルは、オーラバトラーのパイロットに向いていると言ってもいいのだろうな」
「そうなると、ゼットの作ったオーラコンバータは痛し痒しといったところなのか?」
「そのような見方が出来ない訳でもない。だが、現状のオーラコンバータではアクセルの魔力を受け止めきれないのも事実。アクセルがオーラバトラーを操縦するとなれば、どうしても今回の一件が必要だったのは間違いない」
そう告げるショットの様子を見る限り、嘘はないと思ってもいいだろう。
いや、もしかしたら無理矢理その辺を誤魔化しているという可能性もあるが。
「ちなみにそのダンバイン、俺はともかく、マーベルは乗れるのか?」
今はゲドに乗っているマーベルだったが、そのゲドの後継機があるというのなら、それに乗るに越した事はない。
性能は当然のようにダンバインの方がゲドよりも上がっているのだろうし。
「実際に乗ってみなければ何とも言えないが、それでもゲドで取ったデータから考えると、ほぼ問題なく乗れるだろう。ただし、これはあくまでもデータだ。実際に乗った訳ではないから、何とも言えない。ただし、あくまでも私の予想というか印象ではあるが、マーベルならダンバインを操縦出来ると思う」
「そういうものか。で、ダンバインの性能は? 特徴としては、ゲドの後継機だけあって、高い運動性や機動力を持ってるって感じなんだろうが。武器は?」
「ゲドと同じくオーラソードは標準装備となる。それ以外は、オーラショット……フレイボムよりも射程と威力が高い滑腔砲だな。それと、アクセルからのアドバイスからヒントを得て、ショットクローという武器を装備する事になっている」
「ショットクロー?」
俺のアドバイスとなると……複合武器か、それともスラッシュハーケンのどっちかか?
「ああ、KMFという兵器にある、スラッシュハーケンだ」
「なるほど、そっちをとったか。個人的には複合武器も捨てがたいんだけどな」
「それも将来的には開発予定だ。だが、今の状況では余裕がないのでな。ああ、勿論スラッシュハーケンといっても、そのまま流用した訳ではない。その性質をオーラバトラーに合わせて、使いやすいように改修はしたが」
「まぁ、それは当然だろうな」
ショットやゼットのような技術者としての天才が、俺の言葉だけでそのまま同じ武器を流用するといったような真似をしないのは納得出来る。
これがその辺にいる技術者なら、下手にオリジナリティを出してどうしようもなくしたりといった真似をしてもおかしくはないのだが。
「つまり、ダンバインは聖戦士が使う分、一般の兵士が使うだろうドラムロと比べても性能が高いと認識してもいいのか?」
「その通りだ。ただし、新技術を組み込んでいたり、オーラコンバータも新型の物を使っているので……総じて性能は高いが扱いにくい機体となっている」
ピーキーな機体は、何気に大好物だったりする。
そういう機体程、乗りこなした時に高い性能を発揮するのだから。
「俺に対するいい話ってのは、ゲドの他にこのダンバインを渡すって事か?」
その問いに、俺はてっきりショットがその通りだと頷くと思った。
思ったのだが……ショットが行ったのは、首を横に振るといった行為だった。
それはつまり、ダンバインを俺に譲渡する為にこの場を設けた訳ではないという事になる。
「どういう事だ? 今までの話の流れからして、ダンバインを俺に譲渡するものだった筈だが?」
「違う」
「なら、何でわざわざドラムロやダンバインについての話を俺にしたんだ? ……もしかして、ドラムロを俺に渡すつもりなのか?」
「それも違う」
再度首を横に振るショットに、俺は半ば脅しの意味も込めて殺気を向けて口を開く
「ショット、俺はお前のお喋りに付き合う為に呼ばれたのか? 俺にとって、いい事ってのはお前からの話を聞く事だったなんて、馬鹿な話じゃないよな?」
「違う! そんなつもりはない!」
俺の殺気を感じたのか、ショットは顔を真っ青にしながら、慌ててそう告げる。
技術者であっても俺の殺気を感じ取れるのは、これもオーラ力が影響しているのか?
一瞬そんな風に思ったが、今はそれよりも別に話を聞く必要がある。
ショットが俺をからかう為にこんな真似をしたのだとしたら、相応の対処をする必要があった。
「俺にダンバインを渡すつもりもないのなら、何でわざわざこんな話を俺にしたんだ?」
「アクセルに渡すのはダンバインではない。ダンバインのプロトタイプとして開発した機体、サーバインだ!」
「サーバイン?」
その名前を聞き、取りあえず殺気を収める。
ショットの様子からして、これは嘘やブラフといったものではなく、本当の話だと理解した為だ。
実はこれも嘘か何かで、俺をからかうようなつもりであるといったことになったら、今度こそ本当に影槍か何かで身体を貫くなり、刈り取る者を召喚するなりしようと、そう思ってはいたが。
「で? 何だってそのサーバインが俺に譲渡される事になったんだ?」
「現状では、アクセルくらいしか乗れないからだ。……いや、場合によってはアクセルであっても乗れるかどうかは微妙だろう」
「そんなに凄い機体なのか?」
「凄いというか、ダンバイン以上に極端な機体だ。ダンバインの説明をした時にも話したと思うが、オーラバトラーというのは同じ機体であっても、パイロットのオーラ力によって全く違う性能となる」
「そんな事を言ってたな。それでダンバインは敢えて莫大なオーラ力を必要とする設計になったんだろ?」
「そうだ。だが……ダンバインを作る前に、そのプロトタイプとしてサーバインというオーラバトラーを開発した。この機体は、それこそ起動するだけでもダンバイン以上に強大なオーラ力を必要とする。その必要なオーラ力が、とてもではないが持つ者はいないと判断して、サーバインから数段必要なオーラ力を弱めたのが、ダンバインとなる」
「つまり、サーバインは言ってみればショットやゼットがはっちゃけすぎてしまったオーラバトラーという事になるのか?」
「ん、こほん。そう言われれば、間違っている訳ではない。とにかく、もしサーバインが当初予定した通りの性能を発揮した場合、それは現状……そして、恐らくだがこれから開発されるだろうオーラバトラーの中でも最強の性能を持つといったことになってもおかしくはない。……どうだ、アクセル? このサーバインに乗ってみないか? 勿論プロトタイプだけに、今は武装もオーラソードしかないが、それは色々と改良していこう」
その言葉に、俺は少し考え……やがて頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648