サーバインの換装作業は、結局数時間程掛かった。
最初は1時間かそこらで終わるのかと思っていたのだが。いやまぁ、考えてみれば当然だろうけど。
ただ単純にオーラコンバータを以前までの物と入れ替えればいいというだけではない。
きちんと他の場所に接続されているのかどうか、オーラマルスが問題なく連動しているか、一度外した装甲がしっかりと装着されているか。
色々と確認したり調整したりといったような事をする必要があるのだから。
そんな訳で、結局サーバインを実際に動かすのは午後からとなった。
「何だか、随分と見物人の数が多いな」
オーラコンバータを起動させてみた時も、結構な人数が見物に集まっていた。
だが、こうして見ている今は、以前よりも明らかに人の数が多い。
今回もまたドレイクが来てるんだが、実はドレイクって暇だったりするのか?
いや、そんな事はないか。
何だかんだと、領主としては有能なドレイクだ。
それだけに、暇というのは有り得ないだろう。
普通に考えれば、サーバインが本当に起動するのかどうかが気になっているといったところか。
サーバインの性能は聖戦士用に開発されたダンバインよりもかなり高いらしいからな。
そういう意味では、ドレイクがサーバインの存在を気にするのは当然だろう。
「気をつけてね。アクセルなら大丈夫だと思うけど」
マーベルが心配そうにこちらに視線を向けてくる。
マーベルにしてみれば、自分がゲドに乗っているからか、余計に気になるのだろう。
サーバインはダンバインのプロトタイプ……つまり、直接的な意味でゲドの直系機って扱いだし。
流れ的には、ゲド、サーバイン、ダンバインという進化系統なのだから。
「そんなに心配しなくても、多分大丈夫だと思う。実際に乗ってみないと何とも言えないけど」
マーベルにそう返してから、俺は片膝を突いた駐機姿勢をとっているサーバインに向かう。
空を飛べる俺にしてみれば、別に立っている状態であっても問題はないんだが……まぁ、見栄えとかそういうのもあるんだろうから、ここでは特に不満を言うつもりはない。
コックピットに乗り込む。
こちらのコックピットは、やはり最初に見た時と同じような立って操縦するタイプだった。
このタイプのコックピットは、どうも慣れないな。
サーバインに乗っていれば、そのうち慣れてくるとは思うんだが……まぁ、今はいいか。
そんな風に思いながら、コックピットを閉じる。
さて、じゃあこれで起動だな。
サーバイン……俺の魔力で無事に動けよ。
そう思いながら、オーラコンバータを起動させる。
「ぐ……これは……」
かなりの勢いで魔力を吸収されていくのが分かる。
なるほど、これは動かそうとしてもバイストン・ウェルの人間には動かせない筈だ。
いや、それどころか現在唯一の聖戦士たるマーベルであっても、多分起動させるのは難しいんじゃないか?
自分のステータスを表示させてみると、SPがもの凄い勢いで減っているのが分かる。
100、200、300、400、500……と、消費SPが500を超えたところでようやく魔力の消耗が減っていく。
それでも魔力の吸収速度が落ちたというだけで、俺のSPの現在値が減っていくのは変わらないのだが。
そしてSPの消費が700を超えたところで、ようやく完全にSPの減りが停止した。
サーバインも、コックピットからでも分かる程、エネルギーに満ちている。
「ふぅ」
取りあえず、無事にサーバインが起動したと判断して息を吐く。
今はもう、他人のステータスを見る事が出来ない以上、オーラ力とか魔力とか、その辺の数値を確認する事は出来ない。
いやまぁ、ステータスはSPはあっても魔力とかオーラ力とかはなかったが。
SPが魔力というのはあくまでも俺の場合の話なので、それが他の相手にも採用されるかどうかは分からないが。
ともあれ、バイストン・ウェルの人間がオーラ力をどのくらい持っているのかどうかは分からない。分からないが、それでも俺のSPがどれだけ消耗したのかを考えると、サーバインを動かす事が出来ないというのは納得出来る事だった。
次の問題としては、サーバインを起動させるだけではなく、普通に動かすにもSPを消費するのか。それ以外にも、再度サーバインを起動させる時に、またSPを700消費するのかといったところか。
俺のSPは時間が経てば回復するので、そこまで深刻ではない。それでも、SPの消費が激しいというのは大きな問題だろう。
「サーバイン、起動した。次は動かしてみるぞ」
外部スピーカでそう告げると、サーバインの周囲で様子を見ていた者達の口から歓声が上がる。
映像モニタでは、何人か面白くなさそうな表情を浮かべている者も確認出来たが。バーンとか。
それでも多くの者が喜んでいるのは分かる。
開発したのはいいが、今まで誰も動かす事が出来なかったオーラバトラーだしな。
それだけに、実際に動いているのを自分の目の前で見る事が出来たというのは、技術者達にしてみれば非常に嬉しい事なのだろう。
まずは、歩く。
サーバインに限らず、オーラバトラーというのは基本的に飛んで移動する事を前提としているらしい。
とはいえ、だからといっていきなり起動したサーバインで飛ぶなんて真似も出来る筈がない。
そんな訳で、まずは歩いてみる。
1歩……2歩……3歩。
そんな風に歩いてるのを見て、再び周囲では歓声が巻き上がった。
映像モニタを見る限りでは、喜んでいるのは技術者の方が多いように見えるな。
技術者だけに、サーバインがどれだけの性能なのかというのは、理解しているのだろう。
だからこそ、俺がそのサーバインを容易に動かしているのを見て、歓声を上げていたのだ。
その気持ちは十分に理解出来た。
技術方面に詳しくない者達の場合は、サーバインが動いた事に歓声を上げているものの、その意味を正しくは理解出来ていない。
とはいえ、MSよりはマシだが、それでもT-LINKシステムを搭載しているニーズヘッグに比べれば反応速度は微妙に俺に追いついていない。
これはもう、混沌精霊とT-LINKシステムという組み合わせに慣れてしまった以上、他のどの機体でも恐らく完全に満足する事は出来ないのだろう。
「後は……もう少し機体を動かしてみるか。ただ歩いている程度だと、そのうち飽きるだろうし」
呟き、オーラコンバータの横にある鞘からオーラソードを引き抜く。
ちなみに映像モニタと表現しているが、実際にはこれは恐獣の素材を使った……マジックミラー的な存在なので、正確には映像モニタという表現は正しくないんだろうが、面倒なので、それで統一している。
ともあれ、その映像モニタに表示されたオーラソードは、明らかにマーベルが使っているゲドのオーラソードとは格が違った。
形そのものは、細かい差異はあれどそう違いはない。
となると、素材となっている物がゲドの使っているオーラソードとは違うのだろう。
サーバインは、元々希少な素材を大量に使われているので、オーラソードも同様であっても驚くべき事ではない。
とはいえ、そうなればそうなったで問題もある。
オーラソードというのは、あくまでも物質だ。
そうである以上、どんなに上手く使っても摩耗して……最終的には破壊されてしまう。
消耗品である以上、それは仕方のない事なのだ。
しかし、それだけに希少な素材をオーラソードに使うというのは……まぁ、その辺は最悪ゲドやダンバインが使っているオーラソードを流用すればいいか。
あのオーラソードも、決して悪い性能という訳じゃないんだろうし。
そんなオーラソードを軽く振るう。
最初はゆっくりと、そして少しずつ速度を増していくように。
ダンバインのプロトタイプという形だからか、操縦方法はゲドよりもイメージの方を重視している形になってるな。
まぁ、俺がゲドを操縦したのはオーラコンバータが魔力の影響によって燃えるまでだったので、そう長い時間ではなかったのだが。
その短い時間であっても、ゲドに比べれば間違いなく操縦はイメージを重視する方に向いている。
こうなると、ダンバインがどんな操縦方法になっているのか少し気になるが……まぁ、その辺はマーベルがダンバインを受け取ってから聞いてみればいい。
オーラコンバータの影響で、俺がダンバインに乗るといった事はまず出来ないのだから。
そんな事を考えている間に、オーラソードはかなりの速度で振るわれるようになっていた。
取りあえずその行動を一旦止めると、次に……いよいよオーラバトラーの真骨頂、空を飛ぶべくオーラコンバータに魔力少し多めに流していく。
キイイイイイン、という金属音に近い音が周囲に響くが、これはマーベルがゲドを操縦している時にも聞いてるので問題はない。
俺がゲドに乗った時に聞こえてきたような音じゃなかったし、安全なのは間違いないだろう。
それを確認し、オーラコンバータのスラスターを全開にして、一気に飛ぶ。
もの凄い勢いで映像モニタの景色が流れるのを見ると、当然の話だがゲドよりも高い加速力を持っているのは間違いないないらしい。
そうしてある程度の高さまで飛んだところで、高度を維持しつつ飛ぶ。
うん、こうしてサーバインで飛ぶ感じは、基本的に生身で空を飛ぶ時とそこまで違いはないな。
勿論、細かい場所では結構違っていたりするのだが……それはあくまでも、小さな違いでしかない。
そのまま数分経過し、そろそろ地上に戻った方がいいかと判断して地上に向かう。
特に問題なく地上に到着すると、今日のところはこんなものだろうと判断して、駐機姿勢を取ってコックピットから下りる。
「ふぅ」
『うわああああああああああああああああああああああああああああああっ!』
そんな俺の様子を見ていた者達の口から上がるのは、大きな歓声。
いや、そこまで喜ぶようなことではないと思うんだが……何でだ?
「アクセル王、まさかあそこまでサーバインを乗りこなすとは……ショットからは、普通の人間にはサーバインを操縦する事は出来ないと、そう聞かされていたのだが」
「だろうな」
普通の人間に操縦出来ないというのは、俺にも納得出来た。
何しろ、サーバインを起動する時に消費した魔力はかなりの量だったのだから。
ダンバインのプロトタイプという事で、それこそ操縦性とかを度外視して性能のみを追求して開発されたのがサーバインなんだろうが……ある意味、W世界のトールギスと似たようなコンセプトと言ってもいいだろう。
もっとも、トールギスは起動させるだけで魔力やオーラ力をあそこまで消耗するといったような事はなかっただろうが。
ともあれ、あれだけ消耗するというのを考えると、オーラ力が地上人よりも低いバイストン・ウェルの人間には……いや、地上人でもそう簡単に動かすような真似は出来ないだろう。
「実際、魔力をかなり消耗したからな」
「それは、大丈夫なのか?」
「問題ない」
俺の持つスキル、SPブーストはSP回復の効果も入っている複合スキルだし。
とはいえ、その辺はドレイクに話す必要はないだろうが。
「そうか。ともあれ、サーバインを動かす事が出来た以上、あの機体はアクセル王の物だ」
「ありがたく貰うよ。これでようやくオーラバトラーに乗れる」
「はっはっは。喜んでくれて何よりだ」
嬉しそうに笑い声を周囲に響かせるドレイク。
本心からそう思っているのか、それとも俺と親しいというのを他の者達にも見せつけようとしているのか。
その辺は俺にも分からなかったが、それでもドレイクが上機嫌なのは間違いのない事実だった。
「ショットには、俺がサーバインに乗れるのなら色々と改修作業を頼むと言っていたんだが、それは構わないか?」
「構わんよ。それによって、オーラバトラーの技術力が上がるのだ。それを思えば、改修作業も望むところ。それよりも、現場の意見を口にして使いやすいオーラバトラーになるようにしてくれると、こちらも助かる」
なるほど。オーラバトラーを開発したのはいいものの、実際にそれを操縦した経験のある者はほとんどいない。
ゲドの後継機のドラムロで、バイストン・ウェルの人間もオーラバトラーを操縦出来るようになる。
だからこそ、その前に色々と問題点となる場所は洗い出しておきたい……といったところか。
そういう意味では、ドレイクにとって俺がサーバインの操縦をしたり、どういう風に改修すれば使いやすいのかを教えるという事は、大きなメリットとなる。
とはいえ、サーバインを改修して貰う以上、俺が一方的に利用されている訳でもない。
なら、別にそのくらい手を貸すというのは構わないだろう。
「任せろ。そっちは俺の方でも色々と意見を出してやる。その代わり……サーバインだけじゃなくて、ダンバインとドラムロも予備部品一式と共に報酬として貰いたいな」
「それは……」
まさかそこまで要求されるとは思わなかったのか、驚くドレイク。
だが、最終的にはオーラバトラーを使った模擬戦もやるという条件で話は纏まるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648