「で? アクセルはまたバーンとの仲を険悪にした訳だ」
機械の館で、ゼットは呆れたように俺に言ってくる。
ドレイクとの一件についての感想がそれってのは……いやまぁ、ドレイクに釘を刺しておくのが重要だと思ったから、やった事に後悔はしてないんだが。
「それは否定しない。とはいえ、バーンは元々最初から俺を嫌っていたからな」
「ガラリアから聞いた話によると、嫌っているというよりは警戒しているといった方が正しいらしいがな」
「そんなものか? いやまぁ、普通に考えれば理解出来ない訳でもないけど」
バイストン・ウェルの人間が異世界という存在を理解出来るかどうか分からないが、ともあれ俺はそんな意味の分からない場所からやって来て、その上で一国の王と名乗っているのだ。
部下らしい部下もないままに。
それを思えば、バーンやガラリアが自分の主君に近付く俺という存在を警戒するというのは、分からないでもない。
とはいえ、それが面白いかどうかと言えば、また別の話だったが。
「ともあれ、だ。結局盗まれた物の詳細は判明したのか? マーベルのゲドが奪われたというのは、聞いてるが」
「ああ、それが一番の大物だったのは間違いないな。ただし、それ以外にも現在開発中のオーラ増幅器の設計図と現物も持っていかれたのだが痛い」
ゼットの話によると、オーラ増幅器は地上人ではなくドレイクの兵士であってもオーラバトラーを操縦出来るようにするという意味では、非常に大きな意味を持つ。
それこそ、ゲドを奪われるよりもよっぽど損害的には大きいだろう。
「それはまた、随分といいところに目を付けたな」
「ああ。勿論オーラ増幅器だけではなく、他にも色々なパーツを奪われてはいるが、そっちはそんなに重要な代物じゃない」
「とはいえ、他のパーツが盗まれたのも、痛い事は痛いんだろ?」
「それは否定しないが、オーラ増幅器以外の代物は、その気になればどうとでも対処出来る代物だ。そうなると、やはり厄介なのはそっちだろう。せめてもの救いは、まだ開発途中で色々と技術的な問題があるから、すぐに実用化出来るといった訳ではない事か」
面白くなさそうな様子を見せるゼット。
まぁ、自分達が開発したゲドやオーラ増幅器といった諸々を奪われたのだ。
それで苛立つなという方が無理だろう。
「で、今回の一件で技術者も何人か消えたって話を聞いてるが?」
「そうだよ。そっちも頭が痛い。折角使えるように育ててきたのに、十分一人前になったと思ったら、この騒動だ。しかも腕のいいドルプルまで消えたのは痛い」
ゲドやオーラ増幅器の件もそうだが、技術者がいなくなったのも痛いらしい。
ドルプルというのは、俺も何度か話した事がある。
ショットやゼット程ではないにしろ、バイストン・ウェルの人間としてはトップクラスの技術を持っていた筈だ。
そいつを始めとして、他にも何人かいなくなったのだ。
ゼットが面白くないと思うのは当然だろう。
「ましてや、ドルプルはダンバインの開発にも関わっていた奴だ。これでギブン家は一気にオーラバトラーの技術を入手した事になるな」
「やっぱりギブン家なのか?」
今のところ、どこの勢力がゲドやオーラバトラーの部品を盗んでいったのかというのは、まだはっきりと分かっていない。
俺はメイドのムーラがギブン家に通じていると予想していたので、ギブン家の仕業だと予想はしていたが……何らかの確定的な証拠がある訳でもなかった。
だからこそ、ゼットがギブン家と明確に口にしたのを見て、何かその証拠でもあるのかと思ったのだが……
「いや、証拠はない、証拠がないが、今のルフト領に今回のような一件を仕掛ける相手となると、ギブン家しかない」
「フラオンとかは? ……いや、ないか」
自分で言っておいてなんだが、即座に却下する。
エルフ城に忍び込んでフラオンを見た限りでは、とてもではないがそのような事をするとは思えない。
ドレイクを慮ってそのような真似をしないというのではなく、そこまで頭が回らないといった形で。
しかも、そもそもフラオンはゲドをドレイクから貰っているし。
その辺の事情を考えれば、フラオンがそのような真似をする必要は考えられない。
「だろうな。あるいは、アの国の領主ではなく他の国からやって来た可能性もあるが」
「ああ、そっちの可能性は高そうだな」
アの国は、ハワ、ケム、リ、ク、ミと5つの国に囲まれている。
当然それらの国にとって、国土を広げるという意味ではアの国を攻めるというは十分な選択肢となるだろう。
隣接している国を攻めるという選択肢もあるから、必ずしもアの国でなければならないといった訳ではないのだが。
ともあれ、聞いた話によるとドレイクはアの国の領主達だけではなく、他の国ににもオーラバトラーやオーラボムを売ってるらしい。
それらの国が、より深いオーラバトラーの情報を得たり、ドレイクから買うだけではなく、自国でオーラバトラーを開発するといった事を考えた場合、ショットやゼットの下で経験を積んだ技術者というのは喉から手が出る程に欲しいだろう。
もしかして、ムーラは実は俺にギブン家を疑わせておいて、他の国の手の者という可能性もあるのか?
ギブン家の存在を匂わせていたのも、そちらの為か。
「ともあれ、ギブン家が一番怪しいのは変わらない以上、そっちの調査をするといった真似は出来ないのか?」
「難しいだろうな。何らかの証拠がある訳ではなく、単純に俺達が怪しいと思っているだけだ。そうである以上、そのような状況で無理矢理調べに行けば……間違いなく、こちらが悪役にされる。特にそうやって調べて、オーラバトラー関係の施設を見つけられないと最悪だ」
「つまり、それを見つければいいのか?」
そう尋ねるも、ゼットは難しい顔をする。
「どうだろうな。例えばゲドがあったとして、それはギブン家で購入した物だと言われれば、それまでだ」
「ドレイクはギブン家にオーラバトラーとかを売ってないと聞いたが?」
「そうだな。うちからは購入しないだろう。だが、うちから買ったゲドをギブン家に売るなり、譲渡するなり……といったような真似をする可能性もある」
「つまり、ルフト家とギブン家を争わせたいと?」
「そうなれば最善だろうが、そこまでいかなくても対抗出来る戦力という事にしておけば、こちらでも警戒する必要がある」
つまり、ドレイクに好き勝手にさせない為か。
問題なのはどこの勢力がそんな真似をするかだが、そういう風に考えている者は何気にかなりの数がいそうなんだよな。
であれば、そこから絞るのは難しい、か。
「そうなると、ここ以外で独自にオーラバトラーを開発したといった事になった場合、そっちが怪しいかもしれないな」
「可能性は高いが、そうとも言い切れないのが痛いな。……ゲドを購入して、それを解析してオーラバトラーを開発しているという勢力はそれなりにある。特にクの国の国王は熱心だな」
クの国……アの国の左隣にある国で、リの国の上だな。そして、ルフト領とも近く、接触しやすい。
そういう意味では、オーラバトラーを購入するという点でもそんなに悪くはないし、リの国と接しているので、恐獣の素材を購入するといった事も難しくはないだろう。
「なるほど、クの国か」
オーラバトラーを開発しており、リの国とも近い。
開発環境という意味では、決して負けていないだろう。
何よりも大きいのは、ドレイクが結局のところはアの国の領主の1人でしかないのに対して、クの国は国王が熱心にオーラバトラーを購入しているという事だ。
領主と国王。この2つの違いはかなり大きい。
それだけに、将来性という意味ではもしかしたらドレイクよりも上という可能性がある。
そうだな。何らかの理由でドレイクとの同盟を破棄する事になった場合、クの国に向かうというのも悪い話じゃないな。
今回の一件を見れば分かるように、俺はバーンからかなり怪しまれているし。
というか、バーンにしてみれば俺がドレイクと親しいのが許容出来ないといったところか。
クの国の件を知る事が出来たのは、大きな収穫だったかもしれないな。
そう思ったが、今の状況ではそれを表に出すような事はしない方がいいだろう。
「今回の件がギブン家の仕業として……ギブン家でもオーラバトラーを開発しているのは間違いないと思うか?」
「それは、ほぼ間違いない」
ゼットがそう言うが、俺にも納得は出来た。
それこそ、UC世界の一件を考えれば明らかだろう。
MSにはMSでしか対抗出来ない。
だからこそ、連邦軍も1週間戦争やルウム戦役で負けた後、MSを開発した。
それは何もUC世界だけではない。
SEED世界でも同様にザフトのMSに大きな被害を出した連合軍がMSを開発したし、ギアス世界でもブリタニアのKMFによって負けた日本はエリア11時代にKMFを開発した。
それらを考えれば、オーラバトラーにオーラバトラーで対処するというのは、難しい話ではなかった。
「そうなると、大々的に調べるのは無理でも、忍び込んで調べるといった真似をすればどうだ? ガロウ・ランとか、そういう仕事が得意なんだろ?」
この世界において、基本的にガロウ・ランというのは見下される存在だ。
だが、その能力は非常に高く、有用なのは間違いない。
だからこそ、ドレイクの下にもそれなりに有能なガロウ・ランは存在している筈だ。
そんな連中に調べて貰えば、ギブン領のどこでオーラバトラーの開発が行われているのかというのは、容易に調べられるだろう。
……いや、ドレイクがガロウ・ランを従えているように、ギブン家でもガロウ・ランを雇っている可能性があるのを考えると、容易にとはいかないだろうが。
「そのくらいはドレイクも考えてると思うが……どうだろうな」
俺の能力なら、それこそ向こうに見つかるといった事はないままに侵入出来る。
もし新型のオーラバトラーを開発しているのなら、その機体を奪うといった真似だって出来るだろう。
というか、この手の作業は今まで何度も繰り返してきただけに、俺にとってはかなり慣れたものだし。
そうだな。今度ドレイクに話してみてもいいか。
「それで、アクセル。少し聞きたい事があるんだが」
「何だ? 急に改まって」
「アクセルが今までに行った事がある世界について教えて欲しい」
「武器とかか? 以前教えただろ?」
俺がショットに説明した事によって、ダンバインにはスラッシュハーケンに近い使い方が出来るショットクローが装備された。
サーバインも、現在爪をショットクローにするべく改修中だ。
……そのうち、複合兵装についても開発されそうな気がするな。
だからこそ、また武器について何らかのアイディアが欲しいのかと思ったが、ゼットは首を横に振る。
「いや、違う。純粋に他の世界というのがどのような世界なのか、興味があるんだ。勿論、他の世界の技術に興味がないとは言わないが」
そんなゼットの言葉に少し驚く。
ゼットの事だから、もっと技術について詳しく知りたかったのかと、そう思ったからだ。
とはいえ、それは俺にとって悪い話ではない。
いや、寧ろ好意的に受け止められる。
「そうだな。ゼットは地上人だし、そうなると今の地球とそう時間の流れが変わらない世界の話はいいよな?」
具体的には、ネギま世界やペルソナ世界なんかは、数十年の程度の時間は違うが、基本的に地球である以上、そう違わない。
いやまぁ、数十年も経てば技術レベルは大きく違うので、今のゼットにネットとか携帯電話とか、そういう話をすれば間違いなく驚くだろうが。
それより、いつまでも話していられる訳ではないのだから、別の世界の話にした方がいいだろう。
「ああ、それで構わない」
「マブラヴ世界って世界がある。年代的にはゼットの世界の地球とそこまで大きな違いはないんだが、1967年に宇宙生物からの侵略を受けて、それから数十年もの間、その宇宙生物との戦いに明け暮れているといった世界だ」
「それは……何とも凄い世界だな」
「ああ。何しろ宇宙生物は強くてな。地球のかなりの範囲が宇宙生物……BETAによって、壊滅している」
それからも、マブラヴ世界について話していると、不意に部屋の扉がノックされる。
ゼットはいいところで……と不満そうな様子だったが、扉が開いてガラリアが顔を出すと、嬉しそうな表情を浮かべる。
本人は出来るだけその表情を押し殺そうとしていたのだが、生憎とゼットはその手の作業が苦手らしく隠し切れていない。
もっとも、ガラリアの方も騎士らしく色恋の類は得意ではないのか、自分がゼットに好意を持たれているというのには気が付いていないらしかったが。
とはいえ、こうもあからさまだと、そう遠くないうちにゼットの気持ちはガラリアに知られてしまいかねないと思うんだがな。
そんな風に思いながら、俺は生温い視線を2人に向けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648