転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2766話

 白い装甲を持つダンバインの一撃が、ガッターの首を切断する。

 激しく流れ出る血を眺めつつ、オーラソードの一撃はやっぱり強力だなとしみじみ思う。

 いや、オーラソードを使うというだけなら、それこそゲドでも使っていたのだが。

 それでもダンバインの一撃はゲドで振るった一撃よりも鋭く、威力があるように思える。

 勿論、ゲドはあくまでも最初に開発されたオーラバトラーで、ダンバインは聖戦士用に開発されたオーラバトラーだ。

 その辺の事情を考えると、オーラマルスやオーラコンバータ、それに武器となるオーラソードもゲドとダンバインでは違っているのは間違いないだろうし、そうである以上この結果は納得出来るものではあった。

 

『アクセル、もう夕方も近いし、今日はこれくらいにしない?』

 

 ダンバインの外部スピーカーから、そんなマーベルの声が聞こえてくる。

 その言葉に空を見ると、確かにそろそろ夕方になりそうな時間帯だ。

 にしても、俺達がいるここの上には、エ・フェラリオやミ・フェラリオといった連中が住んでいる水の国と呼ばれる場所があるらしい。

 そんな場所なのに、何故夕方とかあるのか……まぁ、この辺りはバイストン・ウェルがファンタジー世界だからという事で、あっさり解決しそうな感じだが。

 

「そうだな。じゃあ、ガッターを収納して機械の館に向かうか」

 

 俺とマーベルが恐獣……特にガッターを倒しているのは、ガッターが巨大な恐獣であるというのも大きい。

 当然ながら、機械の類が殆どないこのバイストン・ウェルにおいて、ガッターとかを倒すのは難しいし、倒しても持ち帰るのが大変だったりする。

 比較的小さめなら、ドロ数機で吊り下げて運搬するといった方法もない訳ではなかったが、マーベルが倒したガッターのように大きな個体であればそのまま持って帰るのが難しく、現地で大雑把に捌いてそれを運ぶ……といったような感じになったりもする。

 ドラムロの量産が本格化すれば、ある程度は持ち帰る事も出来るのだろうが……それでも巨大な個体となれば、持ち帰るのが大変だったりするのは当然だろう。

 そんな者達とは違って、空間倉庫を持つ俺はガッターがどれだけ巨大な恐獣であっても、収納するのは難しくない。

 それを示すように、ガッターの死体を空間倉庫に収納してから、ダンバインがこちらに近付いてくるのを待つ。

 オーラバトラーはKMFよりは大きいが、MSよりは小さい。

 7m程度の大きさなので、こうして近付いてきてもそこまで恐怖心はない。

 いやまぁ、これは人型機動兵器に俺が慣れているからというのも大きいのだろうが。

 

「よし、準備はいいな? 戻るぞ」

『ええ』

 

 ダンバインに乗ったまま、マーベルが返事をする。

 それを聞き、俺は影のゲートを発動するのだった。

 

 

 

 

 

「取りあえず、ガッターの数はある程度揃ったらしいな」

 

 夜、夕食を食べながら、マーベルと話をする。

 この食事はドレイクが新たに派遣してきたメイドが作ったのだが、ぶっちゃけ料理という点ではムーラの方が美味かった。

 ムーラの存在は、未だに見つかっていない。

 多分、ギブン家に行ってるんだと思うんだが……ドレイクもその辺は苦慮している形だ。

 ガロウ・ラン辺りを派遣してはいるんだろうが、ギブン家の方でもガロウ・ランを雇ってはいるだろうし、その辺は暗闘が激しくなりそうだな。

 

「そうね。でも、本当に報酬はドラムロでいいの?」

 

 マーベルの言葉に、俺は頷く。

 ガッターはドラムロの素材として使われているのだから、ガッターを狩った報酬としてドラムロを貰うというのはそう悪い話ではない。

 俺とマーベルが狩ったガッターの数を思えば、ドラムロ1機というのは少ない気もするが……まだ生産されたのは数機で、これから本格的に生産されていくというのを思えば、そこまでおかしな話ではないと思う。

 出来ればダンバインが欲しいところなんだが、聖戦士用のオーラバトラーとなると、ドレイクもそう簡単に報酬として支払う訳にはいかないだろう。

 それこそ、地上人を召喚した結果、ダンバインの数が少なくてドラムロに乗る……といったような事になったりしかねないし。

 

「ドラムロも量産機として考えれば、かなり性能は高いと思うぞ。何より、バイストン・ウェルの人間でもオーラ力が高ければ乗れるくらいに、操縦の垣根が低くなってるってのは画期的だ」

「でも、アクセルにはサーバインがあるでしょ?」

「ドラムロは別に俺が乗りたくて欲しがってる訳じゃないしな。ホワイトスターに戻った時、この世界からの土産ってことで欲しいんだよ」

 

 とはいえ、ホワイトスターには俺程ではないが魔力の高い者もいるし、気を使う者も多い。

 そんな連中にしてみれば、ドラムロのように操縦の垣根が低いという特徴に関してはそこまで重要視しない……か?

 技術班辺りなら、もしかしたら面白がってドラムロを改造してかなりとんでもないオーラバトラーを作ってしまいそうな気がするが。

 

「そうなの? なら、ドロとかそっちは?」

「そっちも欲しいのは間違いないな」

 

 実際に使う訳ではなく、技術的なサンプルという意味ではドロはそれなりに興味深い。

 クラゲ的な外見をしており、その触手の先からフレイボムを放てるというのは興味深い。

 また、ドロも戦闘機のように素早く空を飛ぶのではなく、浮遊して同じ場所に滞空し続けるといった真似も可能だ。

 そういう意味では、戦闘機ではなく戦闘ヘリ的な性格を持っているんだが、戦闘ヘリは飛ぶのにかなりうるさいのに対し、ドロは静かだ。

 ステルス的な使い方も可能となっている。

 夜襲をする時とか、戦闘ヘリよりもドロの方が圧倒的に向いているだろう。

 とはいえ、速度という点ではドロよりも戦闘ヘリの方が上なので、ドロが戦闘ヘリの上位互換といったようにはならない。

 ようは使い方だ。

 ドロの場合、パイロットというか搭乗員が装甲も何もなく、ドロの台座に乗ってるだけなので防御力も弱いしな。

 

「なら、そっちも貰うの?」

「そのつもりだ。聖戦士用のダンバインやようやく量産が始まったドラムロに比べると、ドロは現在もう量産されていて結構な数が輸出もされている」

 

 ぶっちゃけ、ドレイクと取引をしている者達の多くは、操縦するのが難しいゲドよりもドロの方を買ってるのは間違いない。

 ドロは4人で操縦をする事により、本来なら足りないオーラ力を十分に補えるという点も大きいだろう。

 それに、現在ドレイクと取引を行う者が戦うのは、基本的に盗賊……というか、ガロウ・ランとかだし。

 ドロも、そんなガロウ・ランを相手にする事を前提として、対地攻撃機的な性能を求めて開発されたらしいし。

 そうして、俺はマーベルと夕食を楽しみながら話を続けるのだった。

 

 

 

 

 

「ようやく、か」

 

 そう呟いた俺の視線の先には、装甲を赤く塗られたサーバインの姿がある。

 以前のサーバインと外見上の違いとしては、その赤く塗られた装甲以外だと左手にダンバインと同じオーラショットが装備されている事か。

 とはいえ、オーラショットは手首の爪……ショットクローを覆い隠す形で装備されているので、オーラショットを装備している時はそちらのショットクローは使えないんだよな。

 そのオーラショットも、基本的にはダンバインに使われている物を流用している形だが、ショットクローの形がサーバインとダンバインでは微妙に違うので、それに合わせる形で調整されているんだよな。

 つまり、このオーラショットを破壊してしまった場合、ダンバインのオーラショットをそのまま流用するといった事は不可能な訳だ。

 まぁ、調整と言ってもサーバインの手首に合わせる形にすればいいだけなので、そんなに難しい訳ではないのだが。

 ちなみに正面からでは見えないが、サーバインのオーラコンバータの下、腰の辺りにはオーラショットの予備弾倉も装備されている。

 

「どうだ? 満足したか?」

 

 その声に振り返ると、そこにはショットとゼットの姿がある。

 サーバインの改修に時間が掛かったのは事実だが、その成果としては……取りあえず、こうして見ている感じでは何の問題もないのは間違いない。

 

「そうだな、取りあえず外見を見る限りでは問題ないと思う。後は、実際に操縦して見る感じか。特にショットクローとかは、しっかりと把握しておきたい」

 

 装甲の塗り替えや、外部武装のオーラショットはともかく、ショットクローはサーバインには本来ならなかった内蔵武装だ。

 それを使えるようにした以上、ショットクローがしっかりと動くかどうかは確認しておく必要がある。

 まぁ、オーラショットを装備した事で微妙に重量バランスが変わったりもしているので、その辺も確認しておく必要があるが、やはり一番大きな理由としてはショットクローだろう。

 

「なら、十分に試せばいい。サーバインの改修は、こちらにも自信がある。アクセルの期待に添える事は、間違いない事実だ」

 

 ショットのその言葉に、ゼットも頷く。

 この2人が揃って頷くとなると、それだけサーバインには自信があるという事なのだろう。

 とはいえ、今の状況でそこまで言うとなると、本当に便利な代物なのは間違いないのだろう。

 

「分かった。なら、早速試させて貰う。とはいえ、ここでは不味いな。オーラソードで斬ったり、ショットクローやオーラショットを使ったりしてみたいし」

「そうなると、ラース・ワウから多少離れた場所に森がある。ガッターのような恐獣はいないが、武器を試すだけなら問題ない筈だ」

「分かった。詳しい場所は?」

 

 そう言い、ショットから詳しい場所を聞く。

 ちなみに、多少離れたという表現はオーラバトラーだからこそであって、それに乗らない場合……それこそユニコンに乗ってとかだと数日掛かるくらいの距離らしい。

 これを見ても、空を飛ぶというのが地上を進むのと比べてどれくらい違うのかを意味してるのは分かる。分かるんだが……

 

「この場所って、ギブン領の近くじゃないか?」

「そうなる。とはいえ、ギブン家とはそれなりに離れた場所でルフト領なのは間違いない。それを思えば、そこまで心配する必要はないだろう」

「……ドレイクの考えか?」

「バーンだな」

「へぇ……てっきりドレイクの考えかと思ったんだが」

 

 ドレイクにしろバーンにしろ、考えている事は分かりやすい。

 俺がサーバインの機体性能を確認するのと同時に、ギブン家の領地にも近い森で行われる事により、砲艦外交的な事をしようとしているのだろう。

 とはいえ、ムーラの一件は決定的な証拠こそないが、ほぼギブン家の仕業で決まりだ。

 それを思えば、今回の一件は警告と牽制の色が強い……と思ってもいいのか。

 

「どうする?」

「それはそれで構わない。俺もギブン家には思うところがない訳でもないしな」

 

 ムーラがスパイだった事は、証拠こそないが何となく理解していたから、それはそれで構わない。

 だが、マーベルのゲドを奪っていった事は、当然だが思うところがあった。

 とはいえ、ニー・ギブンとは一度恐獣狩りをしている時に会ったが、そんなに悪い印象はない。

 勿論話したのは数分程度でしかないから、それで相手の事を全て分かった気になるのは間違いなんだろうが。

 

「そうか、では頼む」

「ショットクローを撃った時の反動は、最初は慣れないかもしれないが……その辺は何とか慣れてくれ」

 

 ゼットのアドバイス……と言ってもいいのかどうかは微妙だが、ともあれそんな言葉に頷くと、俺はサーバインに向かう。

 ちなみに今日はここでサーバインを動かすという訳ではない為か、特に見に来ているような奴はいない。

 そうして俺はサーバインに乗り込み、オーラコンバータを起動させる。

 前回と同様、急激に消費していく魔力。

 とはいえ、前回程大量には魔力を消費する事もなく、サーバインは起動する。

 ふむ、そうなると……前回は初めてサーバインを起動させたから、あそこまで魔力を消耗したのか?

 それでも今回消費した魔力は、バイストン・ウェル……いや、聖戦士と呼ばれる者でも耐えられるかどうかは微妙なところだろう。

 

「サーバイン、起動した」

 

 外部スピーカーでそう告げると、サーバインの起動を見ていたショットやゼット、それと数は少ないが技術者達がそれぞれに安堵したり喜びの声を上げたりしているのが見える。

 にしても……このコックピットは相変わらず立ったまま乗るんだよな。

 このコックピットがサーバインの性能にも関係しているんだろうから、特にその辺に突っ込むつもりはなかったが。

 ともあれ、俺はオーラコンバータを使い、サーバインを空中に浮かび上がらせるのだった。

 

 

 

 

 

「あそこか」

 

 ラース・ワウから出発して、少し時間が経ち……目的となる森が見えてきた。

 その森でサーバインの様子を試そうと、そう思っていたのだが……不意に、森の中からこちらに向かって飛んでくる何か……いや、これはミサイルか!? ともあれ、そんなミサイルが飛んできたのを見て、慌てて回避する。

 何だ? 一体何が……

 そう思ってオーラソードを引き抜いたサーバインの映像モニタに表示されたのは、ゲドよりも異形と呼ぶに相応しい、2本の角を持った昆虫染みたオーラバトラーだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1648

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