最初にケミ城が出て来た場所を多少修正しましたので、気になる方はどうぞ。
min305さん、ありがとうございました。
食堂の中、気が付けば他の者達の視線も俺とガラリアに集まっている。
それこそガラリアの部下の騎士の姿もそれなりにあるが、だからこそ俺に向かって色々と思うところがあったりもするのだろう。
もっとも、だからといってそれに対してどうこう思ったりはしないが。
結局のところ、護衛を任されている者達の場合はガラリアさえこちらに協力的になれば、それでいいのだから。
「さて、まずガラリアが俺を信じる事が出来ない一番の理由、やっぱり俺が地上界からやってきた訳ではなく、異世界からやって来たからか?」
その問いに、ガラリアは無言で頷く。
どうやら俺が前から思っていた予想はやはり間違いではなかったらしい。
「そもそも、ガラリアは異世界という存在をどのような場所だと思っている?」
「私には理解出来ないが、聞いた限りでは全く信じられないような世界というのが正しいだろう」
「結局のところ、理解出来ないからこそ恐れている訳だ」
「恐れてなど!」
そう叫ぶガラリアだったが、未知の存在だからこそ恐怖し、疑うといったような感じなのは間違いないだろう。
本人は決してそれを認めるような真似は出来ないだろうが。
「恐れてるんだよ。まずはそれを認めた方がいい。でないと、どうにも出来ないぞ」
「それは……」
改めて言うと、ガラリアも多少なりとも認めるようになったのか、若干落ちつく。
「ましてや、俺は異世界の人間だからか、魔法を持つ。こんな風にな」
指先を白炎にし、そこから炎獣を生み出す。
リスの炎獣は、テーブルの上に降り立つと興味深そうに周囲の様子を見る。
『おおおお』
そんな声が上がったのは、ガラリア……ではなく、周囲で様子を見ていた者達だ。
炎獣というのは、やはりこのバイストン・ウェルにおいても珍しいのだろう。
にしても、ファンタジー世界たるこのバイストン・ウェルで魔法を使って珍しがられるというのは……正直、微妙な感じだ。
「このバイストン・ウェルにおいて魔法のようなものを使う事が出来るのは、エ・フェラリオだけだ。そういう意味でも、俺が魔法を使えるというのはバイストン・ウェルの者達にとっては驚くべき事なんだろうな。だが、この魔法というのはエ・フェラリオが使うのとは違う。それこそ、能力ではなく技術。少なくても、本人がその気になって頑張れば、ある程度は誰でも習得出来る代物だ」
「誰もが? それは例え私でもですか?」
「そうだ。勿論、才能によって限界はあるが。そうだな。例えばガラリアに分かりやすく言うとすれば、剣を使った戦いだ」
取りあえず、ガラリアに分かりやすいように説明する。
「剣を使って戦うといった行為そのものは、好むと好まざるとに関わらず、誰でも出来る。だが……その能力で兵士や騎士になるとすれば、当然だが才能が必要になる。……まぁ、中には家柄とか、剣の腕以外の特技があるとか、そういう理由で騎士になる奴もいるかもしれないが」
「なるほど」
俺の言葉に、ガラリアは納得したように頷く。
ガラリアにしてみれば、魔法がどうとか説明するよりも、自分が騎士なだけに騎士で説明した方が分かりやすかったのだろう。
もっとも、正確には騎士になるというのは剣の腕だけではない。
それこそ、幾ら剣の腕がよくても性格が騎士に向いていないようなものであったりした場合は、基本的に騎士になるといった事は出来ないだろう。
勿論、それはあくまでも本人の実力が少しだけ高いといった程度の話であって、もしこれが極端に……それこそバーンやガラリア達が纏まって掛かっても倒せるような剣の腕の持ち主であれば、一芸合格的な感じで騎士になれる可能性もあるかもしれないが。
「そう考えれば、魔法というのはそこまで不思議なものだとは思えないだろ?」
そう言うと、ガラリアは納得した様子で頷く。
とはいえ、魔法について教えて貰ったからといって、俺に対する不審が消えた訳ではない。
それでも、多少は友好的になってくれれば、俺としては十分だ。
「では、その……アクセル王が使っている魔法というのは、私も覚えられるのですか?」
「覚えられるかどうかで言えば、覚えられるだろうな。ただし、剣の技術もそうだが、覚えようと思ってすぐに覚えられる訳じゃない。相応に訓練が必要になる」
ネギま世界の魔法は誰でも覚える事が出来るのは、間違いない。
だが、すぐに魔法を習得出来る者もいれば、なかなか覚える事が出来ないという者もいるのは事実だ。
この辺は、純粋に才能の世界だ。
とはいえ、才能が足りなくても……高畑のように呪文を唱える事が出来ないといったような致命的な欠点でもない限り、訓練を重ねれば魔法を使えるようになるのは間違いのない事実だった。
「では、アクセル王。今度私に魔法を教えてくれませんか?」
「ついさっきまで俺を疑惑の視線で見ていたのに、いきなり変わったな」
「魔法を習得出来れば、手柄を挙げられる可能性も高くなりますから」
手柄、か。
ルフト領で生活をするようになってそれなりに時間が経つが、そんな中で色々と噂話を聞くということは珍しくはない。
そんな噂話の中に、ガラリアが手柄に逸って独断専行するといったものがあった。
何でも、ガラリアの父親は戦いの中で逃げ出したとか何とかして、卑怯者の娘として育ったとか。
それが本当の内容なのかどうかは、俺にも分からない。
ただ、そういう噂が広まっているのは間違いのない事実だった。
つまり、ガラリアにしてみればそんな父の汚名をどうにかする為に、大きな手柄を必要としているといったところか。
その上、ガラリアは純粋に騎士として見ても有能なのは間違いない。
それだけに、余計そのように思うのだろう。
「魔法を教えるのは構わない。だが、魔法を習ったからといって、よっぽどの才能でもない限りはすぐに使いこなすといった真似はできないぞ?」
幸い、俺の空間倉庫の中には魔法学校で使う初心者用の教本や、初心者用の魔法の杖といった物が収納されている。
これ、どこで収納したんだったか。
ともあれ、そのような物がある以上、魔法を習得しようと思えば出来ない事もないのだ。
また、このバイストン・ウェルはファンタジー世界で自然も豊かな為か、魔法が使いやすい環境にある。
魔法球の内部程ではないにしろ、魔法の練習をするにはそれなりに向いている場所であるのも、間違いのない事実だ。
そういう意味では、ガラリアの判断はかなり正しいものなのだろう。
ガラリアにしてみれば、俺の使っている魔法がどのようなものなのか、自分で確かめるといったつもりもあったのかもしれないが。
「よろしくお願いします」
素直に頭を下げて頼むガラリアの姿に、食堂の中で様子を見ていた他の者達がざわめく。
当然だろう。ドレイク軍の中でも、バーンとガラリアが俺という存在を強く警戒していたのは、誰もが知っている。
そんなガラリアが俺に頭を下げたのだから。
「分かった。だが、そうだな。ガラリアと俺だけで訓練をすると、色々と勘ぐる奴も出て来かねないか」
ガラリアの顔立ちは整っている。
美人と言っても構わない顔立ちだ。
体型の方は、お世辞にも女らしい身体付きとは言えないが。
もっとも、ガラリア本人は自分の身体付きについては特に何も思うところがないらしいが。
まぁ、聞いた話によると胸が大きかったりすると、激しく動き回る時に揺れて痛いらしいな。
それを思えば、騎士として身を立てるつもりのガラリアにしてみたら、胸が小さいというのは決して悪い話ではないのだろう。
ともあれ、俺が異世界の存在であるという事もあり……ましてや、マーベルとそういう関係であると示している以上、俺が女好きだというのはそれなりに知られているらしい。
地上人、つまり聖戦士とそういう関係になったという事で、妙な尊敬を受けたりもしているのだが、その辺は取りあえず置いておくとする。
マーベルはまだその辺を知らないらしいが、もしマーベルがそれを知ったら、間違いなく面倒な事になりそうだし。
「それは構いません。私としても、マーベルが一緒にいるのなら助かりますから」
以前にも思ったが、ガラリアとマーベルはそれなりに友好関係を築けているらしい。
ガラリアとマーベルでは、性格がかなり違うと思うんだが。
ガラリアは自分が手柄を立てることを重視している性格だ。
それに対して、マーベルは意思は強いが女らしさが強調されている。
いや、寧ろそんな風に性格が全く違う2人だからこそ、上手くいってるのかもしれないな。
ともあれ、何だか餌で釣ったような形にはなったが、ガラリアの敵意も大分薄まった。
勿論、これで本当に心の底からこちらに敵意を抱かなくなったといったようには思わない。
ガラリアの性格を考えれば、それこそ今回の一件で俺の懐に飛び込んで言い逃れがしようのないような証拠を手に入れるといったようなことを考えても、全くおかしくはないのだから。
それでも、以前の敵意や警戒心を過剰なまでに表している状況よりまだマシなのは、間違いない事実だった。
「それで、ケミ城に到着するまではどのくらいの時間が掛かるんだ? 明日にはもう到着するとかなら、あまり練習する時間はないが」
「いえ。クの国に入ってからは、ナムワンも速度を制限する必要がありますので。ケミ城に到着するまでは、数日は掛かるかと」
ナムワンは最初のオーラシップだ。
オーラバトラーで言えば、ゲド的な存在と言ってもいい。
とはいえ、ゲドやドロで得られた技術が使われている以上、信頼度は高いのだが。
確かショットから聞いた話によると、ナムワンの巡航速度は時速480kmで、最高速度は640kmだった筈だ。
これは、バイストン・ウェルではかなりの速度となる。
何しろバイストン・ウェルでは地上に道のある場所というのはそんなに多くはないし、その道もアップダウンが大きかったり、曲がりくねっていたりする。
そういう意味で、実際の距離はそこまで長くはなくても移動するのはそれなりに時間が掛かるのは間違いない。
ちなみに移動する際には基本的にユニコンとかが使われているんだが、それ以外にもショットが最初に開発したピグシーというオーラマシンがある。
このピグシーは何というか……KMFのガン・ルゥに似ているオーラマシンだ。
このピグシーは、それなりに移動速度は速い。
であれば、ユニコンや普通に歩いて移動するよりも随分と速いのは事実だが、それでもやはり空を飛ぶナムワンには追いつかない。
そういう意味では、やはりナムワンというオーラシップはドレイクが開発した中でも大きな意味を持つのだろう。
しかし、そんなナムワンではあっても、まさかクの国の中に入ってからも速度を出して飛ぶといった訳にはいかない。
そんな真似をすれば、俺達を敵だと認識する者もいるだろう。
アの国は国王がフラオンだから若干の例外ではあるが、基本的にこのバイストン・ウェルにおいて領主の持つ権力というのは大きい。
ビショットと取引をしているとはいえ、クの国の中にはそれを面白くないと思う領主がいてもおかしくはない。
そういう領主にしてみれば、ナムワンという存在を素直に通すといったような真似はせず、出来れば自分達で確保したい。そう思ってもおかしくはなかった。
「数日……まぁ、そのくらいあれば、素質があるのなら魔法を使えるようになってもおかしくはないかもしれないな」
俺の場合は魔法を習得したのはスライムを使って麻帆良に攻め込んできた魔法使いを吸収してだったので、そういう意味では魔法の習得について詳しくはない。
だが、エヴァから以前ちょっと聞いた話によると、魔法球の中では魔法が使いやすいという話だったので、それに準じる環境のバイストン・ウェルでも同じように魔法を使いやすいという可能性は十分にある。
「本当ですか?」
「その辺はあくまでも才能次第だけどな。基本的に魔法というのは誰でも使えるようなものだし」
繰り返すように、誰でも魔法を使えるといった事を話す。
それでようやく安心したのか、ガラリアは頷く。
「分かりました。こちらもすぐに準備をします。今日、これからでもお願いします。少しでも早く魔法を習いたいので」
「どこか適当な部屋はあるか? 人が大勢いるところだと、集中出来ないだろうし」
そう言うと、食堂にいた他の者達が少しだけ残念そうな様子を見せる。
あわよくば、自分も魔法を習得したいと、そう思っていたのだろう。
基本的には誰でも魔法を習得出来ると言ったのが、他の者達に対しても希望を抱かせたといったところか。
とはいえ、俺はガラリアに教えるつもりはあるが、ガラリア以外の者に教えるつもりは今のところない。
どうしても知りたかったら、それこそ後でガラリアから聞けばいいんだろうし。
とはいえ、自分の手柄を挙げる事を優先するガラリアが、魔法を他の者に教えるかどうかは微妙なところだったが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648