「お、ナムワン。……いやまぁ、オーラバトラーを購入してるんだから、ナムワンを購入してても当然か」
ケミ城が近付いてきた頃、そのケミ城からナムワンが2隻姿を現し、俺達の護衛につく。
「ねぇ、ガラリア。一応聞くけど、あれって本当に護衛なのよね? 実はこっちの隙を窺っていたりとか、そんな事はない?」
ブリッジでクの国のナムワンを見て、マーベルがガラリアにそう尋ねているのが聞こえてくる。
マーベルにしてみれば、アの国の所属ではないナムワンがいるというのは、落ち着かない一面があるのだろう。
何しろ、俺達は一度襲撃されている。
それも襲撃してきたのはガロウ・ランの盗賊だけではなく、2機のゲドもいた。
ゲドは、到底ガロウ・ランに入手出来る代物ではない以上、当然あの襲撃の裏にはクの国の貴族が裏にいた筈だ。
それだけではなく、場合によってはビショットがいた可能性もある。
まぁ、ビショットが何故俺達を狙うのかといった疑問もあるのだが。
考えられるとすれば、俺達を殺せばナムワンとそこに搭載されたゲド……そして俺とマーベルのサーバインとダンバインを入手出来るからというのがあるが、ビショットの情報を集めた結果では、そのような馬鹿な真似はしないように思えた。
「護衛というのは間違いないだろうが、同時に私達が妙な真似をしないのかを見張るという目的もあるだろうな。……クの国にしてみれば、私達は他国の者だ。その他国の者がナムワンやオーラバトラー、ドロといった戦力を持ってここにいる以上、警戒するなという方が難しいだろう」
ガラリアのその言葉に、マーベルは納得した様子だ。
実際、友好的な関係ではあっても他国の者である以上は警戒するのは当然の話だろう。
「アクセル王、ケミ城に向かいますが、構いませんか?」
船長がそう尋ねてくる。
もう1隻のナムワンはドレイク軍の物だが、このナムワンは俺がドレイクから報酬として受け取った代物だ。
当然ながら、ケミ城に向かうといった判断をするのは俺となる。
「ああ、それで構わない。ケミ城に向かってくれ」
とはいえ、この状況でケミ城に行かないという選択肢は存在しない。
俺もビショットには会ってみたいと思っていたし、ここで待機しているといった選択肢は存在しない。
何より、ガラリアはもう1隻のナムワンの護衛として、俺のナムワンに乗っているのだから。
そんな状況でこのナムワンがケミ城に行かないといった選択肢は存在しない。
「分かりました」
船長が俺の言葉に頷き、ブリッジにいる面々に対してケミ城に向かうように指示する。
そうして合計4隻のナムワンはケミ城に向かう。
その途中で、ケミ城の街並みを見る事も出来たのだが……それなりに発展してるように思えた。
エルフ城よりは発展しているのは間違いない。
だが、ドレイクの住んでいるラース・ワウと比べると劣っているように思える。
この辺はドレイクの有能さを考えてのものだろう。
もっとも、ケミ城とラース・ワウではその大きさが違う。
結局のところアの国の領主の1人でしかないドレイクと、クの国の国王のビショットの治める場所では、その規模が違ってくるのは当然だろう。
「アクセル王、ビショット王は大らかな性格をしていますが、部下の中にはビショット王に強い忠誠心を抱いている者もいます」
つまり、俺の接し方の問題か。
向こうにしてみれば、俺が異世界の王だと言っても納得するかどうかは別の話だ。
実際にバーンやガラリアも俺に対して心の底から信じているかとなると、微妙なところなのだから。
いやまぁ、ガラリアは魔法という今までは全く分からなかった概念の技術を知らされており、こっちを信じ始めているのは間違いない事実なのだが。
「そうなると、俺はビショットに会わない方がいいかもしれないな」
「ビショット王は、アクセル王の事を知れば、是非会いたいと言うと思いますが」
「その場合は、個人的にといった感じだろうな」
公の場で会うのは、その辺りで問題になるだろう。
であれば、公の場ではなく個人的に会うといったような事をした方がいい。
「個人的に……ですか。話は分かりますが、向こうがそれを受けるかどうかは分かりませんが」
「だろうな。だが、こちらとしてはそれしか方法はないと思うぞ」
そう告げると、ガラリアは渋々といった様子で頷く。
ガラリアにしてみれば、出来れば俺とビショットを個人的な場所で会わせたくはないのだろう。
ともあれ、ここから先は色々と大変そうな事になりそうだな。
そんな風に思いながら、俺はナムワンがケミ城に降下していくのを眺めるのだった。
「ガラリアだったな。よく来てくれた」
「これば、ビショット王。自らのお出迎えありがとうございます」
近付いてきた相手に、ガラリアは深々と一礼する。
なるほど、あの男がビショットか。
外見で見る限りだと、国王といったようには見えない。
ドレイクの方が迫力のある顔つきだ。
……もっとも、それを言うならアの国の国王のフラオンもビショット程ではないが、とてもではないが国王といったイメージには思えないが。
ただ、ビショットの外見で見ると文官系の国王といったところか。
「ここに来るまでの間にガロウ・ランに襲撃されたと聞いたが? 本当に大丈夫なのか?」
「既にご存じでしたか。随分と耳が早いですね」
「私にも情報網というのがあるのでな」
さて、ビショットがあの襲撃について知っていたのは、どこから情報を入手したからなんだろうな。
それに、襲ったのはガロウ・ランとだけ言い切っているのもどうかと思う。
ゲドの件には一切触れていないのを考えると、その件は隠しておきたいのか、それともこの件についての情報は入っていないのか。
その辺でビショットの対応が理解出来そうだな。
「そうか。それで……そちらがアクセル王?」
ここで俺に視線を向けてくるか。
いやまぁ、普通に考えればこの場に王がいると知っているのに無視する訳にはいかないのは当然だろう。
問題なのは、どこで俺の存在についての情報を得たか。
普通に考えれば、ドレイクから知らされていたといった感じなんだろうが。
だが、ドレイクがそう簡単に俺の情報を流すか?
だとすれば、ビショットが今回の交渉を纏める為にやって来たドレイクの部下から、上手い具合に聞き出したといったところか。
ともあれ、俺の名前を呼ばれた以上は放っておく訳にはいかないと判断して1歩踏み出す。
「そうだ。俺がアクセルだ。よろしく頼む、ビショット」
そう言った瞬間、周囲にいたビショットの部下達が俺に鋭い視線を向けてくる。
中でも、特に強い視線を向けてきたのは、3人の男達。
髭面の男、身体の大きな男、右目に傷のある男。
……何だか見覚えのある組み合わせだな。
一瞬、もしかしてUC世界からこの世界に黒い三連星がやって来たのか? と思ったのだが、改めてその3人を見るとガイア達黒い三連星とは微妙に違う。
特に違うのは、オルテガ的な存在の奴だろう。
UC世界にいるオルテガは、粗暴という言葉が似合う男だ。……マリオンとくっついた事により、その粗暴さも幾らかは落ち着いたが。
しかし、クの国の黒い三連星のオルテガは、そこまで粗暴なようには見えない。
見えないだけで、実際には粗暴であるという可能性も否定は出来ないのだが。
これで、この3人が実はジェットストリームアタックのような攻撃を使ってきたりしたら凄いな。
いやまぁ、この世界も何らかの原作はある以上、そうおかしな話ではないのかもしれないが。
「ああ、よろしく頼む」
へぇ。
俺の言葉にそう返してきたビショットを見て、少しだけ感心する。
ドレイクが俺と敬語云々をなく話しているのは、俺の能力を実際にその目で見て知っているからだ。
俺を下手に挑発するような真似をした場合、最悪夜中に眠っている時に俺が侵入してきて、あっさりと暗殺される可能性がある。
そうならないようにする為に、俺とドレイクは互角の付き合い……いや、言葉遣いはともかく、ドレイクは俺をアクセル王と呼んでいるのを考えると、自分の方が下だと示してすらいた。
だが、ビショットはその辺について何も知らない筈だ。
ドレイクも、自分が何故俺を相手にそのような態度を取っているのかというのをビショットにわざわざ教えるとも思えないし。
もしかして、実はこれは俺にビショットを始末させようとしたというのは、少し考えすぎか?
ともあれ、そんな中でビショットは俺の言葉遣いを特に気にする様子もなく、普通に接してきた。
俺の危険さを本能的に察したのか、そもそもそこまでお互いの立場とかを気にしないのか。
何となく後者なような気がするな。
「そうだな、是非友好的な関係を築きたいものだ」
ビショットの言葉を聞き、この場にいるクの国の者達もそれ以上は何も言わなくなる。
取りあえずビショットの様子から俺を責める事は出来ないと、そう判断したのだろう。
ガラリアが安堵している様子も見て取れる。
ガラリアの立場としては、俺とビショットが揉めるというのはありがたくなかったのだろう。
そうなった場合、ガラリアはドレイクにどんな叱責を受けるのか分かったものではない。
「そうだな。そうなってくれれば、俺も嬉しいよ。何しろ、クの国でもオーラバトラーの独自開発を行っているんだろう? ドレイクが開発しているのとは別の種類のオーラバトラーというのは興味深いし」
「そちらに興味を持ってくれるとは嬉しいな。オーラバトラーの開発は私が主導で行っているのだ」
「それは、また……」
ドレイクもオーラバトラーを開発したという意味では間違った表現ではないが、実際に開発したのはショットやゼット、それに2人に従う技術者達だ。
そういう意味では、ドレイクの場合は正確にはオーラバトラーを開発するように指示を出した、というのが正しい。
そんなドレイクに比べて、今のビショットの言葉は指示を出したといったものではなく、本当の意味で自分が開発に関わっている……それどころか、自分が主導して開発しているといったように思えた。
国王としてクの国を発展させながら、オーラバトラーの開発も行う。
それだけを見ると、ドレイクよりも有能だと言われても素直に納得出来てしまう。
勿論、それはすぐにドレイクが無能になるといったような意味ではない。
だが、ドレイクとビショットが商取引という意味で繋がっているのは、意味深だな。
「おや、そこまで驚く事かな?」
「いや、普通に考えて驚くところだろう? ビショットは国王として働いていて、その上でオーラバトラーの開発までやってるんだから」
「はっはっは。アクセル王にそう言って貰えると、私としても嬉しいな。だが、生憎とまだ基礎技術を学んでいるところで、本当の意味で独自のオーラバトラーを開発するまでにはいたっていないというのが現状だ」
「新型兵器である以上、それはそうだろうな」
そう言い、ふと気分が向く。
いや、正確には気分が向くというのではなく、オーラバトラーを開発出来る勢力は多ければ多い程にいい。
そうして独自のオーラバトラーが開発されれば、俺が入手するという意味でも間違いなく利益になる。
「そうだな。なら……ゲドの発展系のオーラバトラー……それも聖戦士用のオーラバトラーを見てみるか? 分解するのとかは、技術者達と話して貰う必要があるが」
「ちょっ!」
俺の言葉を聞いていたマーベルが、何かを言いかけようとして止まる。
マーベルにしてみれば、自分のダンバインを勝手に見せてもいいのか、とそんな思いがあったのだろう。
いや、何か言いたげなのはマーベルだけではない。
ガラリアもまた、こちらに対して不満そうな視線を向けている。
ガラリアにしてみれば、クの国が独自にオーラバトラーを開発するというのは、決して喜ぶべき事ではないのだろう。
何しろ、もしクの国でオーラバトラーが独自開発されれば、ドレイクからわざわざ購入する必要がなくなるのだから。
とはいえ、ビショットの才能が本物だとすれば、どのみちそう遠くないうちにオーラバトラーを独自開発するだろう。
であれば、その完成度を高めるという俺の我が儘には付き合って貰う必要がある。
「本当かね?」
ビショットは先程までの柔和な表情のまま……ただ、目だけが鋭くこちらを見る。
それだけ、ビショットにとってダンバインという存在は気になるのだろう。
当然か。ゲドだけしかオーラバトラーを知らないのと、ダンバインというもう1種類のオーラバトラーを知っているのとでは、オーラバトラーの開発には大きな差が出て来る筈だ。
それを考えれば、ビショットにとって今の俺の提案は絶対に断る事が出来ないものだろう。
出来ればダーナ・オシーも見せたいところだが、それをどうやって入手したのかといった事を尋ねられると困るので、ダンバインだけで我慢して貰おう。
サーバインは……色々と特殊すぎるし。
「ああ、本当だ。オーラバトラーというのは、まだ出来たばかりの兵器だ。そうである以上、可能性そのものは多い方がいいからな」
そんな俺の言葉に、ビショットは嬉しそうに笑みを浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650