「ほう、これがダンバインか! ゲドとはやはり違うな」
白いダンバインを見たビショットの口からは、感嘆の声が漏れる。
ビショットにしてみれば、ゲド以外のオーラバトラーを見るのは初めてだった為か、かなり熱心に見ている。
ただし、その視線は珍しいオーラバトラーを見るといったようなものではなく、オーラバトラーの開発にも関わっている技術者としての視線だ。
最初にビショットからオーラバトラーの開発にも関わっているといった話を聞いた時は、もしかしたら大袈裟に言ってるだけなのでは? と思いもした。
しかし、このビショットの様子を見る限りでは決して大袈裟なものでないというのは明らかだ。
これ、ダンバインだけじゃなくて俺のサーバインまで見せたらどうなんだろうな。
そう思ったが、下手にダンバインを見せてからサーバインを見せるといったような真似をした場合、ビショットにとってはかなり面倒な事になりそうだという思いがあったので止めておく。
「ふむ、腕に付いている武器は何だ?」
「あれはオーラショットという武器で、フレイボムよりも射程が長い射撃武器です」
そうビショットに説明しているのは、マーベルではなく技術者だ。
ゲドを売る以上、当然の話だが何かあった時の為に技術者も必要となる。
それにクの国でオーラバトラーの研究をしている以上、ドレイクもクの国で何らかの発見があった場合は知りたいだろうし。
「ほう、フレイボムよりもか。だとすれば、ドロを倒す事も可能と?」
「そうですね。勿論パイロットの技量にもよりますが」
そう言い、技術者は俺とマーベルの方を見てくる。
その気持ちも分からない訳ではない。
マーベルは、現在バイストン・ウェルで唯一の聖戦士だ。
実際にゲドで恐獣を倒しているのは間違いないし、その技量はゲドを何とか動かせるといった程度のバイストン・ウェルの者よりも明らかに優れていた。
そして俺の場合は聖戦士以上の力を持つ者として認識されており、技術者がこちらに視線を向けてくるのもそうおかしな話ではなかった。
技術者の視線がこちらに向けられると、当然ながらビショットの視線もこちらに向けられる。
「アクセル王なら、そのオーラショットという武器を自由に使いこなせると?」
「他にも聖戦士のマーベル様も使いこなせるかと」
「ほう、聖戦士……」
そこで初めてビショットの視線がマーベルに向けられる。
ビショットにしてみれば、マーベルは今までそんなに気にするような相手ではなかったのだろう。
それこそ、俺の部下か何かだと思っていたのか。
だが、実際には地上からやって来た聖戦士であると言われれば、ビショットがそれに興味を持つなという方が無理だった。
「マーベル・フローズンといいます」
そう言い。マーベルは一礼する。
マーベルはドレイクと話す時も、相応の態度を取る。
勿論、ドレイクがいない時はドレイクの名前を呼び捨てにしたりしてもいるが。
「うむ。自己紹介をする必要はないであろうが、私はビショット・ハッタだ」
改めてマーベルに挨拶をするビショット。
この辺の律儀さは、本人の性格なのだろう。
「それで、マーベル。君ならこのオーラショットを使いこなす事は出来るのかな?」
「本当の意味で使いこなせているのかどうかは分かりませんが、それなりに使えているのは間違いありません」
「フレイボムと比べると射程が長いという話だったが?」
「間違いありません。ただ。フレイボムは命中した場所を中心に周囲を燃やすといった特徴があるので、そういう意味では目的によって武器を変えるといったようなことも必要かと」
「なるほど。それは興味深い」
「他にも、フレイボムは燃料となるタンクが必要なのに対して、オーラショットは予備弾倉を持てますので、その辺の違いも大きいでしょうね。それに、最悪残弾がなくなったら外装式のオーラショットは外してオーラバトラーの重量を軽くする事も出来ます」
そんなマーベルの説明に、ビショットは納得したように頷く。
「そう考えると、オーラショットの方が有利なようにも思えるな」
「ですが、フレイボムは兵士達の要望から搭載された武器です。ドラムロのパイロットは元はドロに乗っていた者達が多い為に、その意見は無視出来ません。使い慣れている武器の方がいいというのは事実ですし」
ビショットとマーベルの言葉に、技術者が慌ててそう言葉を挟む。
技術者にしてみれば、フレイボムの方を重要視しているのだろう。
全ての技術者がそう思っている訳ではないのだろう。
単純に、この技術者がフレイボムの派閥であるといったところか。
まぁ、実際にフレイボムが使いやすい兵器であるのは間違いない。
何よりも直接的に燃やせるというのが大きい。
「ふむ、そうだな。では……その件は覚えておこう。最善の選択肢としてはフレイボムとオーラショットの両方を装備する事だが、それは難しいのだろう。アクセル王、他に何かオーラバトラーの開発について思いつく事があれば教えて欲しい」
それを俺に聞くのか?
いやまぁ、ビショットにしてみれば、少しでもオーラバトラーに対する情報が欲しいのだろうし、そういう意味ではドレイクと一緒に行動していながらも、ドレイクの部下ではなく同盟者という扱いの俺には色々と思うところがあるのだろう。
それ以上に、俺とマーベルは実際にオーラバトラーに乗っているという点も大きい。
技術者の考えは勿論大事だが、実際にオーラバトラーに乗る者の意見というのも非常に大きい。
極端な話、技術者の理論的な意見だけを聞いて新型のオーラバトラーを開発した場合、そのオーラバトラーはスペックだけは高いが、スペックに現れない場所では性能が低いといった事にもなりかねない。
「そうだな。このダンバインはゲドの直系の機体でありながら、聖戦士用の機体だ。ドレイクの部下が一般的に乗るのは、ドラムロという重装甲のオーラバトラーとなっている。それを考えると、ドレイクとの違いを出す為にも運動性や機動性を重視したオーラバトラーを開発するといいと思う」
せっかくゲドを購入して研究し、更にはそれ以外にも色々とオーラマシンを購入しているのだから、わざわざドレイクの採用したドラムロと同じ方向性に向かわなくてもいいだろう。
ドレイクには重装甲の機体を開発して貰って、クの国には機動性を重視した機体を開発していって貰いたい。
勿論、それはあくまでも俺の希望であって、実際にそんな風になるのかどうかは分からないが。
幸いにして、俺のそのアイディアというか意見はビショットの好奇心を刺激したらしい。
ビショットは感心したように頷いていた。
代わりに、ドレイクの部下の技術者が少し困った様子を見せているが。
技術者にしてみれば、出来ればクの国には自分達と同じドラムロを採用して欲しかったというのが正直なところだろう。
そうなれば、いざという時に部品の共用も出来る。
だが、もしクの国が高機動型のオーラバトラーを量産するとなると、部品の共用が出来ないとは言わないが、それでも同じドラムロを使っている時に比べれば明らかに劣ってしまうのは間違いない。
それでも技術者が結局何も言わないのは、技術者もドラムロではなく高機動型のオーラバトラーを見てみたいという思いがあるからだろう。
「うむ、アクセル王の意見は聞くべきところが多い。検討してみよう。幸い、私の方でもまだ具体的にどのようなオーラバトラーを開発するのかというのは、検討中だったからな。そこでゲドの進化形のダンバインを見る事が出来たのは大きい」
「その言葉からすると、ダンバインとはまた違ったゲドをベースにしたオーラバトラーを開発するのか?」
「そうしてみようと思う。幸い、ゲドに関しては今までかなり調べている。それを参考にすれば、そのようなオーラバトラーを開発するといった事も不可能ではないだろう」
そう自信に満ちた様子で告げるビショットだったが、ゲドをベースにオーラバトラーを開発するとなると、やはり一番のネックはパイロットのオーラ力だろう。
ゲドはダンバイン程ではないにしろ、パイロットに多くのオーラ力を必要とする。
実際、ケミ城に来る途中で襲ってきたゲドのパイロットは、その性能を十分に発揮出来ているとは言えないような動きだった。
それこそ、マーベルが以前ゲドに乗っていた時は、もっと素早く動いていたのだが。
それが出来ない辺り、やはりゲドはバイストン・ウェルの人間が操縦するのは厳しいのだろう。
「ビショット王、お話中のところすいませんが、少し話しておきたい事があるのですが……」
俺とビショットが話しているところに、そう割って入ったのはガラリアだ。
「うん? どうした?」
「実は、ガロウ・ランの襲撃の際にゲドが使われておりまして……」
「ほう」
ガラリアの言葉に、ビショットは一瞬視線を鋭くする。
ここでその件を言うのか。
まぁ、それはそれでいい。
問題なのは、ゲドの一件をビショットはどこまで知っているのかといった事だろう。
先程はガロウ・ランに襲撃されたといったので、その辺の情報は入手しているのだろうが、それ以外の情報となると……さて、どうなんだろうな。
何よりもゲドを使ったというのが大きい。
これがせめてドロとかなら、それなりに量産されている事もあって言い訳が出来たと思うんだが。
「それで?」
ゲドが襲ってきたという事で、ビショットの視線は鋭くなってガラリアに先を促す。
だが、ガラリアも自分が手柄を立てるということに執念を燃やしている女だ。
そんなビショットの視線を受けながらも、特に気にした様子を見せずに言葉を続ける。
「幸い、ゲドはアクセル王やマーベルの協力もあり、無事に倒す事が出来ました」
ガラリアのその言葉に、ビショットはこちらに視線を向けてくる。
先程までオーラバトラーについて話していたとは思えない、鋭い視線。
この辺が国王としてしっかりと気分を切り替えているところだよな。
とはいえ、そのような視線を向けられても怯むといったようなことはない。
ビショットは王としては有能なのかもしれないが、俺が今まで会ってきた相手の中にはビショットとは比べものにならないだけの存在感を持った者もいる。
そのような相手の事を考えれば、ビショットの持つ迫力というのは大したものではない。
「ああ、無事に倒した。で、幸いにしてパイロットを2人確保出来て、それは現在ナムワンの中に捕らえられている」
「なるほど。ゲドを使っているとなると、私の国の貴族がちょっかいを出した。そういう事か」
「残念ながら、そうなるかと」
ビショットの言葉にガラリアが頷く。
本当に部下の暴走を知らなかったのか、それとも自分が命令した部下を切り捨てる決断をしたのか。
その辺りは俺にも分からないが、今の状況を思えばどちらであっても不思議ではない。
「では、一応その捕まっている者を見せて貰えるかな? もしかしたら、私の国の者ではない可能性もある」
「分かりました、では早速」
ビショットの言葉には、さすがに無理があるような気がする。
これが、せめてアの国とクの国の国境付近で襲ってきたのなら、その言い訳も通用しただろう。
だが、襲撃された場所はケミ城からそう離れていない場所だ。
そのような場所で他国の者に……それも2機のゲドに襲われるというのは、普通に考えて有り得ない。
もしそのような事があったとすれば、クの国の防衛力は穴だらけだという事を意味しているのだから。
とはいえ、このバイストン・ウェルはファンタジー世界だしな。
それこそ恐獣が棲み着いているような森とか林は、そこを通り抜けるといったような事が出来れば、相手に見つからずに他国に侵入出来るかもしれないが。
ただ、その場合でもガロウ・ランのように生身であればともかく、ゲドを使ってとなると、どうしても目立ってしまう。
「うむ。では、アクセル王にはここで待っていて欲しい。この件はあくまでも我が国とルフト領の問題なのでな」
そう言われると、俺も無理に一緒に行くような事は出来ない。
これで実は俺がドレイクの部下だったりすれば、また話は別なのだが。
しかし、現在の俺はあくまでもドレイクの同盟者という立場なのだから。
……ガラリアの方もここで俺が一緒にいれば、手柄を独り占めに出来ないと考える可能性もあるか。
「分かった。なら、俺はここで待たせて貰うよ」
そう言うと、ビショットは頷いてガラリアや他の面々と共に去っていく。
「ダンバイン、見せてよかったんですか?」
「今更だろ」
技術者が不意に話し掛けてきた声に、そう返す。
実際、クの国でダンバインとは違って普通の者でも乗れるオーラバトラーを開発してくれるというのだから、俺としては全く何の問題もない事だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650