その辺、色々と修正しました。
大鳥さん、ありがとうございます。
「何故止めたのです、アクセル王!」
闘技場に戻ってきて、ドラムロから降りたガラリアは俺を見ると真っ先にそんな風に叫んできた。
ガラリアの性格を考えれば、分からない話でもない。
ガラリアにしてみれば、今回のギブン家の襲撃は手柄を挙げる好機だったのだ。
だというのに、俺はそれを邪魔した。
ニャムヒーの名誉を回復したいガラリアにしてみれば、とてもではないが許容出来ない事だったのだろう。
とはいえ、ギブン家もただ攻めて来た訳ではない以上、もしあそこで追撃をしていれば、何らかの罠があった可能性が高い。
俺が行った時はオーラシップとダーナ・オシーと戦闘をしていたが、あれもより確実に罠に誘い込む為の行動だったという可能性が高い。
……まさか、そのような奥の手もなく、奇襲をしてくるなんて事はないよな?
いやまぁ、そんな罠があってもギブン家がいきなりルフト領を攻撃するというのは自殺行為に思えるのだが。
あるいは、バイストン・ウェルにおいてはその辺を考えても全く問題がなかったりするという可能性も否定は出来ない。
「落ち着け。あのまま敵と戦っていれば、多分……いや、ほぼ間違いなく、何らかの罠があった筈だ」
「ですが、それでも!」
「分かっている。そんな罠であっても、ガラリアならそのくらいは突破出来た可能性が高い」
「なら!」
「だが、それは可能性が高いだけで、絶対という訳ではないだろう。そして絶対ではない以上、下手をすればガラリアが……ドレイクの部下の中で最強のオーラバトラーのパイロットが死んでしまう可能性があった」
「それは……」
ドレイクの部下で最強という言葉が気に入ったのか、ガラリアの威勢が緩む。
代わりに、少し離れた場所で技術者と話し合っていたバーンからの視線が鋭くなった気がするが、それは取り合えず放っておく。
バーンとガラリアではどっちを優先するのか。
そうなれば、当然のようにガラリアだ。
いつまで経っても俺に対する疑惑の……そして今では憎悪の視線すら向けてくるバーンに対し、ガラリアとの関係はマーベルを通してだったり、魔法の訓練だったりでそれなりに改善している。
であれば、どちらを優先するのかは考えるまでもないだろう。
というか、実際にバーンとガラリアだとガラリアの方が技量が上なのは事実だし。
「だろう? それに、ギブン家はここまでの事をしたんだ。こんな真似をした以上、ルフト家とギブン家の間に戦いが起こるのは間違いない。なら、別に今ここで手柄を焦る必要もない筈だ」
ドレイクにしてみれば、自分が召喚した3人の地上人や同盟者の俺、そして今回の園遊会に招待された者達に対して、自分がどれだけの存在であるのかを示そうとしたのが、無茶苦茶になったのだ。
そうである以上、そのような真似をしたギブン家に対してこのまま何もしないという選択肢は存在しない。
であれば、それこそ潰された面子をどうにかする為にも間違いなくギブン家に攻撃を仕掛けるだろう。
フラオンがもっとまともな王だったら、こんな風にはならなかった可能性もあるが。
そう考えれば、やっぱりこの件はフラオンが原因なのかもしれないな。
「分かりました」
説得が効いたのか、ガラリアは気分を落ち着ける。
それにしても、このバイストン・ウェルにおいてはこうした領主同士の戦いってそこまで珍しくなかったりするのか?
あるいは、ドレイクがここまで領土を広げたのも隣接した領主の領土を吸収してきたからというのは、俺の考えすぎか?
もっとも、今ここでそんな風に考えても意味はないだろうが。
「アクセル!」
ガラリアとの一件が落ち着いたのを見て取ったのか、トッド、ショウ、トカマクの3人が俺に向かって近寄ってくる。
その近くにはマーベルの姿もあるが、マーベルは俺を一瞥して怪我をしていないと判断すると、ガラリアの方に向かう。
マーベルの視線には厳しいものがあるので、恐らくこれからガラリアに説教……というのはちょっと大袈裟だが、注意するのだろう。
ガラリアの件はマーベルに任せて置けばいいだろう。
そう判断し、俺はこちらに近付いてきたトッド達に向かって話し掛ける。
「まだいたんだな。もう、ドレイクの城に戻ってるとばかり思ってたんだが」
「ああ、ドレイクはもう戻ったみたいだけどな。俺達はアクセルが戻ってくると思って残ってたんだよ」
「……随分と親切だな。そこまでしてくれるようには思えないんだが?」
トッド達とはそれなりに親しいのは間違いない。
だが、それでも敵に襲撃された時にわざわざ俺を待っているというのはおかしい。
何らかの考えがあると、そう考えるべきだろう。
トッドは現役の軍人で、トカマクは元軍人だ。
その程度のリスク管理はしていてもおかしくはない。
あるいは、何かあったらドラムロを奪って乗って考えていたとか?
「アクセルに死なれたら困るしな。アクセルは俺達が欲しいのをかなり持ってるだろ?」
「そっちが目当てか」
トッドにしてみれば、ハンバーガーや携帯ゲーム機はかなり心を動かしたといったところか。
ちょっと意外だったな。
トッドはその辺に興味を持ったとしても、危険を覚悟してまで残るとは思わなかったし。
「うん? 何がだ?」
「いや、何でもない。ともあれ、見ての通り俺は無事だった。……向こうはこれから無事かどうかは分からないけどな」
視線の先では、マーベルがガラリアを叱っている。
これが俺やゼットといった面々がガラリアを叱った場合、間違いなく反発する。
マーベルはガラリアにとって数少ない女友達からこそ、反発されていないのだろう。
それと同時に、マーベルが自分を心配して言ってるからというのも大きい。
「女同士の話し合いには関わらない方がいいだろ」
しみじみとトカマクが呟く。
トカマクは過去に何かこういう経験でもしたのだろうか。
もっとも、ここでトカマクにそんなことを聞いたりしたら、色々と不味いことが出て来そうな感じがするんだが。
そんな風に思いつつ、俺は会話を続ける。
「とにかく、俺を待っててくれたのは嬉しかったよ」
「礼なら食べ物とか、さっきのゲーム機だったか? あれで返してくれればいいぜ」
「俺の部下になるのなら、その辺を考えてもいいんだけどな。そう簡単にやる訳にもいかないだろ」
そう告げると、トッドは面白くなさそうな表情を浮かべる。
とはいえ、トッドも本気で自分がこうして待っていただけで食べ物とかゲーム機を貰えるとは思わなかっただろうが。
「それで、アクセル。ギブン家ってのはこの領地の隣にあるっていう、あれか?」
ガラリアからの授業である程度は理解出来ていたのか、ショウがそう尋ねてくる。
とはいえ、その授業はあくまでもガラリアが行ったものであり……つまり、多分にギブン家に対する印象が悪いもののようだったが。
いやまぁ、実際にサーバインの件で俺を襲ってきた時の事や、ましてや今日のような真似をしたとなると、その印象も偏見って訳じゃないんだろうが。
何しろ宣戦布告の類もないまま、いきなりドレイクが参加している園遊会を襲ってきたのだ。
これはもう、テロと言っても間違いではないだろう。
あるいは、実はギブン家からドレイクに対して宣戦布告が行われていたが、それを表に出していなかっただけという可能性も否定は出来ない。
その辺がどうなっているのかは分からないが、ドレイクにとって俺は仮にも対等の同盟相手である以上、宣戦布告されていれば教えていても不思議ではない。
それがなかったという事は、多分まだ宣戦布告をされていない状況で攻撃されたんだろうな。
これにドレイクがどう対応するのかが疑問だ。
ダーナ・オシーというオーラバトラーの存在を知っていた以上、俺が知らない場所でギブン家とルフト家の軍がぶつかっていたのは、間違いない。
であれば、今までは戦っていてもそこまで大きな戦いではなかったのだろう。
遭遇戦……いや、小競り合いってところか。
ドレイクとギブン家の関係が悪いのが影響しているように、ルフト領とギブン領の住民の関係もそれに釣られるように決して友好的とは言えない。
であれば、今回の一件でも間違いなくより関係が悪化するだろう。
「ああ、そのギブン家だ。正直なところ、まさかこんなに露骨な真似をするとは思わなかったけどな」
「このバイストン・ウェルって、宣戦布告とかそういうのもないのか?」
ショウが信じられないといった様子で告げる。
いや、ショウだけではなくトッドやトカマクも同様だ。
「そのような事はない」
そう答えたのは、俺ではなくマーベルと話していたガラリアだ。
マーベルの説教から逃げるといったこともあるのだろうが、それ以上にバイストン・ウェルの常識をショウ達が間違って覚えるのを許容出来なかったのだろう。
「この世界においても地上界と同様に宣戦布告というのは存在する。だが、ギブン家はそれを無視したという事だ」
不満そうな様子のガラリア。
もっとも、その不満そうな様子はギブン家の宣戦布告もなしに行われた宣戦布告とテロ行為に対してもそうだが、それ以上にオーラシップとダーナ・オシーの追撃を途中で諦めるしかなかったというのが不満の原因か。
「これでドレイクが一体どう反応するのかだな。ギブン家にしてみれば、反撃されるのは予想してるだろうけど」
ギブン家にしてみれば、このような真似をすればどのような反応があるのかというのは、当然予想している筈だ。
それこそ、今頃はロムン・ギブンの住んでいる場所で防衛戦の準備がされているだろう。
村を攻撃するといったような真似をドレイクがするかどうかは分からないが。
普通に考えれば、略奪とかをするとその場所の敵意はかなり厳しくなる。
そこを占領するという意味では自殺行為でしかないんだよな。
ただ、このバイストン・ウェルはファンタジー世界である以上、略奪とか平気でしそうだ。
「お館様の事だから、このような真似をされた以上は放置しておくといった事はないと思います。……ちなみに、アクセル王ならどうしますか?」
そんなガラリアの言葉に、逃げられたのを追ってきたマーベルやショウ達3人の視線もこちらに向けられる。
俺がどう答えるのか、興味あるのだろう。
とはいえ、俺がドレイクと同じ状況になったらどうするか、か。
「まず攻めて来た相手を殲滅して、向こうが壊滅するまで徹底的に攻撃するな」
ドレイクと微妙に似ている状況となれば、それはホワイトスターに突然門が出来て門世界と繋がった事だろう。
それによって、門世界にある帝国からの攻撃によってホワイトスターに来ていた他の世界の住人は大きな被害を受けた。
その報復として、シャドウミラーは他の世界と協力して軍隊を組織して逆侵攻し、結果として帝国は皇帝や皇子達の死によって壊滅した。
そういう意味で、俺は徹底的に反撃をしたと言ってもいいだろう。
最終的に、門世界との繋がりはなくなってしまったが。
それでも門世界で得た物は多数ある。
ワイバーンを複数連れてくる事が出来たし、それ以外にもオークやオーガ、ゴブリンといったモンスターの各種材料。
何よりも大きかったのは、多数のエルフがホワイトスターに移住してきた事だろう。
エルフ達はホワイトスターの中では大きな役割を果たしている。
エルフとかが存在しない世界の住人からはエルフと話したり出来るというだけで大きな意味を持つし、ホワイトスターの運営というか労働力としてもしっかりと働いてくれているし、精霊の卵という実働部隊――正確には実働班見習い的な感じ――を結成してくれたりもしている。
個人的に俺を神扱いしているのが、微妙に不満だが……だからこそ俺を裏切るといったような真似をする事はない。
そういう意味では、エルフ達はかなりありがたい存在なのは事実だ。
「徹底的に……」
ガラリアは俺の言葉に何かを感じたのか、息を呑む。
バイストン・ウェルで騎士として戦ってきたからこそ、そういう方面に鋭いのだろう。
「ああ、徹底的にだ。少なくても、このまま何の反応もしないというのは侮られる要因になるだろうしな」
そう断言する。
これがバイストン・ウェルのようなファンタジー世界ではなく、この世界の地上界であっても……あるいは他の世界であっても、他国が宣戦布告も何もせずに半ば暗黙の了解で敵対している国に攻撃をするといったような真似をしたら、どうなるか。
それを考えれば明らかだろう。
「それで……ん?」
言葉を続けようとしたところで、兵士が1人こっちに近付いてくるのが見えた。
明確に俺に向かって近付いてくるという事は、俺に何らかの用事があるのだろう。
「どうした?」
「は! お館様がアクセル王に話があるとの事です」
「俺に?」
この状況でそのような事を言ってくるとなると、恐らくは今回の一件に何か関係しているのだろう。
そう思いながら、俺はドレイクに会いに行く事を決めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650