ドレイクの城は、当然ながら今回の一件で慌てふためいている者が多かった。
聞こえてくる声の中にはユニコンの用意だったり、武器を揃えろといったようなものが多いのを考えると、予想通り園遊会の一件で反撃をするのだろう。
そんな中で俺を呼んだという事は、もしかしてドレイクは俺にも協力要請でもするのか?
ギブン家はオーラシップ……それもナムワンではなく、ナムワンを改修したと思われる物すら持っている。
それを思えば、もしかしたらまだギブン家に予備の戦力があるかもしれないと、そう考えてもおかしくないだろう。
もし援軍要請の件なら、マーベルを連れてきた方がよかったかもしれないな。
そんな風に考えつつ、兵士の案内に従って城の中を進み、やがて前に何度かやって来た事のある部屋に到着する。
ドレイクの執務室だ。
「お館様、アクセル王をお連れしました」
『うむ、入れ』
部屋の中からの声に、兵士が扉を開けて中に入るように促す。
ここで躊躇うような必要はない以上、俺は素直に執務室の中に入る。
「アクセル王、急に呼び出してすまんな」
「いや、構わない。それでどんな要件だ?」
ドレイクからソファに座るように勧められ、そのソファに座りながら尋ねる。
「今日の襲撃において、ギブン家が使っていたオーラバトラーを見て、どう思った?」
俺の質問に素直に答えるのではなく、ドレイクの口からは再び質問が出て来る。
「どう思ったと言っても、そうだな。ドレイクの部下から技術者を何人も引き抜いていったとはいえ、クの国でもまだ独自のオーラバトラーを開発出来ていないのに、ダーナ・オシーを開発したとなると凄いな」
ダンバインの開発にも関わった技術者を引き抜いたとはいえ、他の国ですらまだ開発していない独自のオーラバトラーを開発したというのは、素直に凄い。
とはいえ、ダーナ・オシーは性能という点ではドラムロに及ばないのだが。
「その様子だと、アクセル王もギブン家が独自にオーラバトラーを開発したというのは知っていたのだな」
「ああ。ちょっと機会があってな。そういうドレイクもダーナ・オシーの事を知っていたようだが?」
「幾つかの部隊が遭遇した事がある」
そう告げるドレイク。
どうやら俺の予想が当たっていたらしい。
普通に考えれば、ギブン家がオーラバトラーを開発したのなら、それで敵対しているドレイクに攻撃をしない訳がないだろうから、当然だけど。
「それと、アクセル王。これは今日届いた情報だが、クの国でも独自のオーラバトラーを開発したらしい」
「……本当か?」
ビショットのやる気を思い出せば、この短期間で独自のオーラバトラーを開発出来てもおかしくはないのかもしれない。
普通に考えれば有り得ない事ではあるが、クの国はドレイクからゲドやドラムロを購入し、ドロやナムワンも持っている。
それらを分析して地道に基礎の部分を習得してきたからこそ、クの国でもオーラバトラーの開発に成功したのだろう。
「うむ。近いうちにここに来るらしい。その時、アクセル王からオーラバトラー開発についての助言を貰ったということで、感謝の気持ちとして開発されたオーラバトラー、アルダムという名前らしいが、それを1機アクセル王に渡すらしい」
アルダムか。
どういうオーラバトラーなんだろうな。
ドラムロのように重装甲のオーラバトラーではなく、機動力を重視した方向で開発すると言っていたので、高機動型なのは間違いないだろう。
ただし、開発したとはいえどうしても開発期間が短い以上、取りあえず開発してみたといった感じか?
譲渡するというのは、ガラミティと模擬戦をした時の約束……というか、賭けの結果だろう。
「なるほど、分かった。そのアルダムを受け取るのを楽しみにしてる。……もっとも、普通のオーラコンバータだと俺は乗れないだろうけど」
サーバインに使ったのと同じようなオーラコンバータを使えば、俺もそのアルダムに乗れるようになるだろう。
だが、実際にどんな感じなのかは見てみるまでは分からないよな。
「その辺は、ゼットに頼んでも構わないだろう」
「ゼットはゼットで忙しそうだけどな。……で、アルダムの件を知らせる為に俺を呼んだのか?」
「いや、違う。そうだな、本題に入ろう。率直に言うと、アクセルにはギブン家が開発したダーナ・オシーを1機奪ってきて欲しい」
「ダーナ・オシーを?」
いやまぁ、ドレイクがそう言う理由は分かる。
オーラバトラーを開発した人物として、自分の領地以外で開発されたオーラバトラーに興味を持っているのだろう。
アルダムについては、友好関係にあるビショットから購入する事が出来るだろうし。
そういう意味で、性能がそこまで高くはないがダーナ・オシーを欲しいと思うのは分かる。分かるんだが……
「何でわざわざ俺がそんな事を?」
「ナムワンの件で、2つこちらの要望を聞いてくれるという話だったな? その1つをここで返して欲しい」
ここでそのカードを切ってくるか。
そんな風に言われると、俺としても反対は出来ないな。
「分かった。じゃあ、いつ行けばいい?」
「明日、ギブン家に対する報復を行う。その時に行動を起こして欲しい」
「明日か。……で、ギブン家の機械の館はどこにあるのか分かっているのか? それが分からないと、俺もどうしようもないぞ」
いや、やろうと思えば出来るかもしれないけど。
だが、かなり労力を必要とするのは明らかなので、出来ればやりたくない。
「その辺の心配はいらない。ギブン家の領土にガロウ・ランを数人忍び込ませている。その中の1人が機械の館を見つけた。だが、警備がかなり厳しいようでな」
「だろうな」
ギブン家にとって、機械の館というのは最重要機密だろう。
ルフト家と同じように大々的に機械の館を建造するといったような真似は出来ないのだから。
そうである以上、警備を厳しくするのは当然だった。
「なら、その機械の館に案内して貰って、ダーナ・オシーを奪ってくればいいんだな?」
「そうだ。出来ればゼラーナも奪ってきてくれると助かる」
「ゼラーナ?」
「ギブン家のオーラシップの名前だ。ナムワンを改修したオーラシップらしい」
「それもガロウ・ランが調べたのか?」
「そうだ。とはいえ、こちらはギブン家の中でも知る者は知るといった情報である以上、機械の館を見つけるよりは楽だったがな」
ゼラーナか。
ナムワンよりも性能が上なのは間違いないし、園遊会の時に見た限りでは動かしている者の腕も悪くはない。
ニーの操るダーナ・オシーは技量的には未熟もいいところだったのに、バーンやガラリアと戦っても負けるような事がなかったのは、ゼラーナの援護があった為だ。
正直なところ、ニーの操縦技術ではバーンやガラリアは勿論、それ以外にドラムロで訓練をしている他の騎士と比べても劣っているだろう。
これは純粋に、オーラバトラーの数を揃える事が出来るかどうか、そして大々的にオーラバトラーを使った操縦訓練が出来るかどうかといったのが大きい。
もし明日行われるという報復攻撃を生き延びて、その上で多数の戦闘経験を積めれば、ニーも自然と操縦技術は上がっていくだろうが。
問題なのは、そこまで生き延びられるかだな。
「で、そのゼラーナとやらも奪ってこいと?」
「それは難しいだろうな。こちらが攻め込む以上、ゼラーナは間違いなく前線に出るだろう。勿論、奪えるのなら奪ってきて貰えば助かるが、今回の場合の最優先事項はあくまでもダーナ・オシーだ。出来れば完成品が欲しいところだが、なければ部品でもいい」
どうだ? そう視線を向けてくるドレイク。
ふむ、そうだな。そのくらいならそう難しくはないな。
「分かった。それならいいだろう。だが、さっきドレイクも言っていたが、これで残る借りは1つだ。それを忘れるなよ」
「勿論だ。ナムワンを売って作った貸しだからな。そう簡単に使うような真似はせんよ」
個人的には、出来るだけ早く使って欲しいというのが正直なところなんだが。
ドレイクの事だから、一体どういう時にこちらに要望してくるのかは分からないが。
「そうか。なら、ドレイクが頼むのをゆっくりと待つ事にするよ」
「そうしてくれ。……そう言えば、明日のギブン家への攻撃だが、地上人達を出す事にした」
「本気か? まだ、オーラバトラーにも乗った事がない連中だぞ?」
触るというだけであれば、機械の館でバーンのドラムロに少し触っていたのを見ている。
だが、それはあくまでも触ったといっただけであって、乗ってみたとしても動きの止まっているドラムロのコックピットに乗ってみたといった程度でしかない。
そんな状況で、ダンバインに乗せるというのはともかく、実戦に参加させるのは危険でしかないのではないか。
そう思ったのだが、ドレイクは全く気にした様子もなく頷く。
「ダンバインは、マーベルのお陰でそれなりにもう準備が出来ている。そして地上人3人は、オーラロードに乗ってバイストン・ウェルに来るだけの力を持っているのだ。であれば、突然ダンバインに乗って実戦に参加しても構わんだろう」
「オーラバトラーの特性を考えれば、いきなり実戦といった事も出来るかもしれないな」
オーラバトラーというのは、基本的には想像力で動かす機体だ。
勿論コックピットには各種装置があるが、それらは基本的に補助の為だ。
つまり、オーラ力と想像力さえあれば、いきなり実戦に参加しても対処出来る可能性が高い。高いのだが……
「けど、それだと下手をすれば折角の聖戦士候補の地上人が死んでしまう可能性があるぞ? それはドレイクにとっても望むところじゃないと思うが」
ドレイクが心の底から欲して、それでようやく手に入れた地上人。
今まで聖戦士は俺のところにいるマーベルしかいなかったから、ドレイクとしては是非とも自分の部下に聖戦士を欲しかった筈だ。
にも関わらず、地上人を使い捨てというか、強引に選別するような真似をするのはどうかと思ったのだが。
しかし、ドレイクは俺のその言葉に対して首を横に振る。
「儂が欲しいのは、名ばかりの聖戦士ではない。本当の意味で聖戦士と呼ぶに相応しい実力を持つ者だ」
なるほど、ドレイクとしても最初の聖戦士を俺に取られてしまった以上、自分の部下には実力のある聖戦士が欲しい訳か。
マーベルも実戦経験とかが豊富だし、聖戦士と呼ばれるだけあって高いオーラ力を持つ。
それだけではなく、操縦技術という点でも俺と訓練をした結果か、最初に比べるとかなり上がっている。
何しろ、ガラリアとの模擬戦ではマーベルの方が勝率は高いし。
その辺の状況を考えると、マーベルは聖戦士と呼ぶに相応しい実力はある。
「そうすれば、即戦力の聖戦士を手に入れる事が出来るのは分かるが、今は実力不足でもしっかり育てれば最終的に高い実力を発揮するという可能性もあるだろ?」
召喚された地上人3人の中で、真っ先に死んでしまいそうなのがトカマクだ。
ショウは日本人の男で召喚されたというのを考えると、恐らくこの世界の原作の主人公で間違いないだろう。
トッドは現役の軍人という事もあり、戦闘に慣れていてもおかしくはない。
だが、トカマクは元軍人という事で戦闘から離れて長いだろうし、訓練の類もしていない可能性が高い。
そういう意味でも、明日の戦いでトカマクが撃墜されてもおかしくはなかった。
「マーベルを出すか? 念の為に、戦力はあった方がいいだろう?」
「いや、明日は儂の戦力だけで対処する予定だ。アクセル王の力を借りるつもりはない。ダーナ・オシーの奪取を頼んでもいるしな」
「本当にいいんだな?」
「うむ」
ドレイクは俺の言葉に即時に返事をする。
どうやら、ドレイクは俺の言葉を聞くつもりはないらしい。
まぁ、ドレイクの軍隊はオーラマシンを大量に有している。
それを考えれば、ギブン家との戦いではギブン家とルフト家の戦力差は大きい。
そうである以上、普通に戦えばドレイクが勝つのだが……そのくらいはギブン家も理解している筈だ。
そんな後々の事を何も考えず、今日の襲撃をしてくるような真似はしないだろう。
「分かった。そこまでドレイクが言うのなら、これ以上は何も言わない。……聖戦士として活躍出来る奴がいるといいな」
「そうなってくれると、儂も嬉しいのだがな」
しみじみと呟くドレイク。
ドレイクにしてみれば、ギブン家との戦いは予定通りではあるものの、今日の園遊会の襲撃は予想外だったのだろう。
あるいは多少なら予想していた可能性もあるが、もし確信があれば園遊会を行うにしてもドレイク本人が姿を現すといったような事はなかっただろうし。
そういう意味で、ドレイクにとって今回の一件は色々と思うところがあってもおかしくはない。
「ギブン家か。そのギブン家を倒したら、次はどうする?」
「気が早いな。今の状況でそのような事は考えているような余裕はない」
そう告げるドレイクだったが、多分次の狙いはフラオンなんだろうなという事くらいは予想出来た。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650