ギブン家の機械の館から影のゲートで転移した俺が姿を現したのは、ラース・ワウに存在する機械の館だった。
ドレイクの住んでいる城から一番近くにある機械の館で、ルフト領にある機械の館の中でも一番大きな場所。
ショットやゼットの主な仕事場で、俺やマーベルも通い慣れている場所だ。
そんな場所に姿を現した俺は、近くにいる技術者に声を掛ける。
「ショットとゼットはいるか?」
「これは、アクセル王。はい、執務室の方で仕事をしています」
「分かった。なら、そうだな。多分ショットから連絡があると思うが、技術者達を集めておいてくれ」
「は? はぁ、それは構いませんが……」
技術者は戸惑った様子を見せる。
俺が何故そのような事を言ったのかが、分からなかったのだろう。
「理由は今は秘密だ。ただ、お前達にとっても悪い話じゃないのは事実だ」
そう言い、執務室に向かう。
ショットやゼットの部下達は、オーラマシン関係の技術という点においてはバイストン・ウェルでも最高峰の存在だ。
それだけに、自分達が開発した訳ではない――ギブン家に亡命した技術者が開発したのだから、同じようなものかもしれないが――オーラバトラーに興味を抱くなという方が無理だろう。
後はウィングキャリバーについても、それなりに興味を持ってもおかしくはない。
俺はドレイク軍で開発されているウィングキャリバーについては、全く詳しくない。
何しろ、影のゲートと空間倉庫がある俺は、そういうのを使う必要がなかったのだから。
それを思えば、ギブン家で開発されたウィングキャリバーが具体的にどういう性能なのかは分からない。分からないが、それでもショットやゼットにとって興味深いのは間違いないだろう。
とはいえ、俺がドレイクから頼まれたのは、あくまでもダーナ・オシーの予備機の奪取だ。
それを思えば、あのウィングキャリバーはショットやゼットに渡すといった真似をしなくてもいいんだが……あのウィングキャリバーの技術でドレイク軍の技術力が上がるのなら、それはそれで構わない。
「ショットとゼットはいるか?」
「少々お待ち下さい」
執務室の前には、護衛の兵士が立っていた。
ショットやゼットは、ドレイクにとって非常に重要な人材だ。
それを思えば、こうして護衛を用意するのは当然だろう。
とはいえ、その兵士も俺がドレイクの同盟相手だというのは知ってるし、そもそも今日こうしてショットやゼットに会いに来るというのは前もって聞かされていたので、すぐに面会が許可される。
「どうぞ」
そうして部屋に入った俺を待っていたのは、書類仕事をしていたショットとゼット。
ただし、ショットはともかくゼットの方は俺に強い期待の視線を向けている。
これはショットとゼットのどちらがより純粋な技術者なのかというのも影響しているのだろう。
「アクセル、どうだった?」
「問題なく、手に入れてきた。ダーナ・オシーの予備機と予備部品と設計図。それとついでにギブン家で開発したウィングキャリバーもある」
「それは、また……無事に奪ってくるとは思っていたが、予想以上の成果だな」
この成果はゼットにとっても予想以上の代物だったのか、驚きの表情を浮かべていた。
それでも嬉しそうな様子を隠し切れてはいない。
「それでどうする? 一応機械の館の技術者には集まるように言ってきたが」
そう言うと、ショットは微かに眉を顰める。
技術者を集めるというのは、面白くなかったのか?
とはいえ、ダーナ・オシーを確保してくるというのは、当然技術者達も知っていた筈だ。
だとすれば、ダーナ・オシーの件を技術者達に見せるのは当然の事だと思うんだが。
「そうだな。では、行こうか。ダーナ・オシー……どのような性能を持っているのか、興味があるのは事実だ」
ショットのその言葉を合図に、俺達は全員が執務室から出るのだった。
「アクセル王によって、ギブン家の開発したオーラバトラーを奪ってきて貰った。今回皆に集まって貰ったのは、その性能を確認する為だ」
ショットのその言葉に、聞いている技術者達はこちらに視線を向けてくる。
ダーナ・オシーを入手したという事に驚いたのだろう。
単純にダーナ・オシーに興味を持っているというのも大きいのだろうが。
「じゃあ、出すぞ」
そう言い、空間倉庫の中から2機のダーナ・オシーと、その予備部品、設計図、そしてウィングキャリバー。
1つ出す度に、技術者達の口から驚きの声が漏れた。
「こんな感じだな。後は、そっちで解析してくれ」
そんな俺の言葉に、ショットは一礼してくる。
……ゼットの方はダーナ・オシーに興味深そうな視線を向けていたが。
他の技術者達も同様で、ダーナ・オシーやウィングキャリバーに視線を向けている。
「では、このオーラバトラーとウィングキャリバーを調べるぞ」
ショットがそう言い、技術者達に指示していく。
中でもやはり希望者が多かったのは、2機のダーナ・オシーだろう。
ギブン家が独自に開発したオーラバトラー……正確には、自分達の元同僚が開発したオーラバトラーなのだから、そのように思うのは当然だろう。
ただ、ダーナ・オシーの性能は決して高い訳ではない。
そういう意味では、ここまで熱中しなくてもいいと思うんだが。
「ショット、じゃあ俺はドレイクに会いに行ってくる。ここは頼んだぞ」
「うむ、任せて欲しい」
そんな言葉を最後に、俺はその場から離れるのだった。
「アクセル王、今回の件は感謝する」
「そうしてくれ。取りあえず、これで借りは1つ返したぞ」
今回の仕事を引き受けたのは、ナムワンを貰った時の約束からきたものだ。
ドレイクからの依頼を2つ引き受ける。
そのうちの1つを、今回返したという事になる。
残るのは、もう1つの約束だ。
であれば、出来るだけ早く残るもう1つの仕事を引き受けておきたいところだ。
いっそ、フラオンの暗殺辺りでも頼んできてくれれば、こちらとしては楽なんだが。
あ、でもフラオンの暗殺はドレイクならやろうと思えば普通に出来るか。
それこそドラムロの量産が始まった今となっては、ゲドしか持っていないフラオンなどはいつでも殺せるだろう。
もっとも、ドラムロを使って堂々とフラオンを殺すといったような真似をした場合、それはドレイクがやった事だと公言するようなものだが。
もしそのような状況になれば、それこそギブン家は大々的にドレイクを責めるだろう。
ドレイクもギブン家に責められるといったようなことは面白くない。
ましてや、アの国で1人だけ突出して豊かで強力な軍備を持っているドレイクの存在を面白くないと思っている領主は多い。
ギブン家がそのような領主達を結集して、ドレイクと戦う……といったような事にもなりかねない。
「うん? どうかしたのか?」
俺の視線に何かを感じたのか、ドレイクはそう尋ねてくる。
そんなドレイクに、俺は何でもないと首を横に振ってから、口を開く。
「それで、これからどうするつもりだ?」
「さて、どうなるだろうな。今回の襲撃でロムン・ギブンがどう反応するかによって変わってくるだろう」
ドレイクにしてみれば、ギブン家がこのような強硬な態度をとってくるというのは予想していたのだろう。
とはいえ、だからといってドレイクも面白いという訳ではないのだろうが。
「いや、何でもない。それで、これからどうするんだ?」
「さて……ガラリアと聖戦士の3人が戻ってきてからであろうな。無事に生き残ってくれればいいのだが」
そう呟く言葉は、本気で地上人の3人を心配しているように思えた。
シルキーの力によって召喚された3人だけに、潜在能力という点では問題ないのだろう。
だが、潜在能力があるのと戦いで無事に生き延びられるかというのとでは、話が違う。
生き残ればそれだけドレイクの戦力となると考えれば、可能な限り生き残って欲しいと思うのは当然なのかもしれないが。
「取りあえず、出撃前に見た感じだとショウとトッドは大丈夫そうだったけどな。そうなると、問題になるのはトカマクだが、ドラムロに乗ったガラリアがフォローするって言ってたし、問題ないと思う」
これが、もしガラリアがドラムロではなくドロに乗っていた場合、トカマクがピンチになっても即座に助けられるかどうかは分からない。
しかし、今はドラムロだ。
ドロとドラムロの間には、そこまでの決定的な差が存在している。
「アクセル王の話を聞く限りでは、地上人の中でもトカマクは期待出来ないという事か」
「そうでもないと思うけどな。トカマクも今回の戦いを乗り切って、これから経験を積んでいけば十分聖戦士と呼ぶに相応しい実力を持つ事になる筈だ。ドレイクの場合は即戦力が欲しいんだろうが、もう少し長い目で見てやってもいいと思うぞ」
「ふむ」
俺の言葉に納得したのか、それとも不満に思いつつも口や表情に出す事はなかったのか。
その辺りは俺にも分からないが、ともあれドレイクはそれ以上何も言わない。
ドレイクにしてみれば、トカマクの存在はあまり面白くないのかもしれないな。
とはいえ、大器晩成型という可能性もあるから、ここでトカマクを切り捨てるといったような真似はしない方がいいと思うが。
「トカマクが無事かどうか……そして今回の攻撃でどれだけギブン家に被害を与えられたかどうかというのは、出撃した者達が帰ってくればはっきりするだろうから、命令したドレイクはゆっくりと待っていたらどうだ?」
「勿論、そのつもりだ。儂が慌てるような事になれば、下の者が動揺する。それに、こちらから送り出した戦力は十分だ」
ドレイクも、当然ながら自分が派遣した戦力については自信があるのだろう。
そう告げる様子には、不安の色はない。
とはいえ、今の状況でそのようなことを言っていても意味はないか。
「それで、問題なのはこれからどうするかだが……どうするんだ? ギブン家は今回の戦いで降伏してくるとは思えないけど」
「だろうな。儂もそのように気楽なことは考えておらんよ。ロムン・ギブンは骨のある男だ」
へぇ、この様子を見る限りではドレイクもロムンをそれなりに認めてるんだな。
ドレイクの性格を思えば、相手を無能と判断して過小評価するといったようなこともあるかと思ったんだが。
少なくても、俺が見ている限りだとドレイクはかなりの自信家だ。
勿論、それは何の意味もなく自信家であるという訳ではなく、しっかりと実力を持っているとうい意味での自信家だ。
この辺り、フラオンとは大きく違うよな。
いや、フラオンと一緒にすれば、ドレイクも怒るか。
「そうなると、まだ戦いが続きそうだが。フラオンが余計なちょっかいを掛けてくるって事はないか?」
フラオンは無能な人物ではあるが、それでもアの国の王であるというのは間違いのない事実でもある。
そうである以上、ギブン家からの要望によってフラオンが余計な真似をしないとも限らなかった。
「その可能性は、そう高くはない。こちらの方でも一応手を打ってあるからな。もっとも、そこまで大袈裟なものではなく、貢ぎ物を与えただけだが」
貢ぎ物という、自分より上の者に対する言い方をしながら、それを与えるという表現をする。
この辺りに、ドレイクがフラオンをどう思っているのかが透けて見えるな。
ただし、問題なのは……
「あのフラオンが、貢ぎ物程度でドレイクに恩に着るか? いや、それ以前のフラオンの性格を考えれば、ドレイクから貢ぎ物を貰ってもすぐに忘れて、その時にギブン家からの要請に応えたりしかねないぞ?」
「だろうな。だが、その時はまた貢ぎ物を与えればいい。そういう意味では、フラオン王は便利な存在であるのは間違いないな」
どうすればどのような反応をするのか。
それが分かっていれば、使いやすい存在だというのは事実なのだろう。
ドレイクの口調には、仮にも王であるフラオンに対する敬意の色は一切なかったが、その辺は俺にも理解出来たので、特に突っ込むといったような事はない。
フラオンがどのような存在なのかは、俺もよく知っていた為だ。
というか……あんなに無能で好き勝手やってるのに、よく今まで下剋上されなかったよな。
使い勝手がいいからこそ、実は何気に他の領主からも便利に思われていたのか?
「便利な存在か。ただ、ギブン家が動き回ると便利な存在も微妙に便利じゃなくなったりとかするのかもしれないから注意が必要かもしれないな」
「勿論、その辺は分かっている。何かあったらすぐ情報が入るように、手を回しているからな」
この言葉からすると、恐らくはスパイを何人か送り込んでいる訳か。
気分によってちょくちょく変わるだろうフラオンの様子を窺うのは必須なのだろう。
あるいは、ドレイク以外の領主も有能な人物であればスパイを送り込んで情報収集をするといったような事はしているのかもしれないな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650