転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2800話

 ドレイクと話をしていると、兵士が姿を現す。

 

「ドレイク様、ガラリア様達がお戻りになりました」

「それで?」

「は。ドロを2機失ったとの事です。それと、トカマク様のダンバインが損傷しているようです」

「何だと? それで、地上人はどうした?」

「怪我はないようですが……」

 

 ドレイクの言葉に兵士が口籠もる。

 それを見て、何となくトカマクがどのような状況なのかを理解出来た。

 恐らく死の恐怖に囚われているのだろう。

 とはいえ、それは無理もない。

 初めて乗ったオーラバトラーで実戦に参加し、その上で撃破され掛けたのだから。

 それでも生き残れたのは、ガラリアが助けたからか。

 出撃前にトカマクに注意しておくように言っておいてよかったな。

 勿論、俺が何かを言わなくてもガラリアはトカマクを助けた可能性は高い。

 何しろ、今回の出撃はガラリアにとっても手柄を挙げるという意味では大きい。

 自分の指揮する部隊の中で、聖戦士候補のトカマクが死ぬなんて事になれば、手柄云々どころか失態になるのだから。

 

「敵はゼラーナか?」

「は! そのように聞いております。それとダーナ・オシーが2機」

 

 兵士の言葉に少しだけ驚く。

 2機……つまり、ニーの他にまだオーラバトラーのパイロットがいたという事になる。

 ダーナ・オシーはドラムロと同じくバイストン・ウェルの者でも操縦出来るようになってはいるのだろうが、それでもパイロットには相応のオーラ力が必要となる筈だ。

 ギブン家、何気に人材が豊富だな。

 いやまぁ、元々ギブン家はルフト家と並んでアの国の中でも大きな領地を持つ家だったんだから、そういう意味ではそこまでおかしな話ではないのか。

 

「ちょっと様子を見てくるけど、構わないか?」

「うむ、アクセル王が行ってくれるのであれば、こちらとしても助かる」

 

 そう言ってくるドレイク。

 本来なら、地上人を召喚したドレイクが直接様子を見に行く方がいいんだが。

 もっとも、ドレイクは領主としての仕事をしなければならない以上、特に何かを言うつもりはなかったが。

 そんな訳で、俺は影のゲートでガラリア達のいる場所に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「これは、また……」

 

 兵士から話は聞いていた。

 だが、それでもトカマクの乗っていたダンバインがここまで被害を受けているのを見れば驚くなという方が無理だった。

 まず右腕は肩から切断されており、頭部も破壊されているのが分かる。

 右足は膝から先が失われており、左足は足首から先が失われていた。

 見るからに中破……いや、大破といった状態。

 せめてもの救いは、四肢と頭部には被害があるがコックピットのある胴体部分だけは無傷だったという事だろう。

 そこが無事だったのは、トカマクが聖戦士としての力を発揮したのか、それともガラリアが守ったのか。

 多分だが、後者のような気がする。

 そして他の面々の機体はと見ると、ショウとトッドのダンバイン、ガラリアのドラムロは特に被害らしい被害がない。

 ドロが2機撃破されたということだったので、ここに着地しているドロの数は減っているが。

 

「アクセル」

 

 聞こえてきた声に振り向くと、そこにはマーベルの姿があった。

 俺がここからいなくなった後でも、マーベルはここに残ってショウ達の心配をしていたのだろう。

 あるいは、何かあったらすぐ出撃出来るように準備をしていたのか。

 

「どうやら散々だったみたいだな」

「そうね。でも、誰も死ななくてよかったわ。……ギブン家にもそれなりに被害を与えたみたいだし」

 

 マーベルの言葉には、そうだろうなと納得した。

 恐らくはこの世界の原作の主人公たるショウがいるのだ。

 また、トカマクはともかくトッドも恐らく原作キャラだと思ってもいいだろう。

 そんな2人がいる状態で戦ったのだから、相手にも被害を与える事が出来るというのは十分に理解出来た。

 とはいえ、トッドの方に視線を向けると、そこではバーンがトッドを何か責めているように思えた。

 バーンがここにいるのは、ガラリア達が戻ってきたというのを知ったからか。

 そしてトッドに何かがあったのかを知り、不満を口にしているというところだろう。

 とはいえ、トッドもバーンに言われっぱなしって訳ではない。

 不満を露わに言い返していた。

 トッドとバーン……この2人ってどっちの地位が高いんだろうな。

 トッドは地上から召喚された地上人で、聖戦士。

 バーンはドレイクの懐刀。

 どっちが偉いのかと言われれば、微妙なところだろう。

 もっとも、ドレイクにしてみれば今はバーンの方が重要視されてもおかしくはないのだが。

 とはいえ、それはあくまでも今だけだ。

 将来的にどちらが重用されるようになるのかは、まだ分からない。

 マーベルの一件で、ドレイクが聖戦士という存在を過大評価や過小評価をしていなければ、その辺を心配する必要もないのだろうが。

 

「ドレイクに報告に来た兵士から聞いた限りだと、結果としては互角か……負けといったところか」

 

 実際にギブン家の戦力にどれくらいのダメージを与えたのかは、分からない。

 だが、ドロを2機失い、トカマクの操縦するダンバインは大破と呼ぶべき被害を受けた。

 それを考えれば、攻撃を仕掛けたこちらが負けたと思った方がいい。

 これでゼラーナでも撃破していれば、また別だったのだろうが。

 もっとも、ギブン家の機械の館から、ダーナ・オシーを2機と設計図、予備部品。それにウィングキャリバーまで奪ってきたのだ。

 それを考えれば、ギブン家に与えた被害はそれなりに大きいだろう。

 ギブン家にしてみれば、戦いでは勝った筈なのに気が付けば自分達の被害がかなり大きかったという事に不満を抱いている可能性もあるが。

 

「で、そろそろ聞きたいんだが……あれは何で言い争ってるんだ?」

 

 トッドとバーンの様子を尋ねると、マーベルは小さく溜息を吐いてから口を開く。

 

「ギブン家……いえ、ゼラーナとの戦いで、ショウとトカマクは戦ったらしいんだけど、トッドは戦わなかったらしいの。どこかに隠れていたらしいわ」

「それは、また。バーンが怒るのも理解出来るな」

 

 トッドが現役の軍人というのは、当然バーンも知っている情報だろう。

 だというのに、実際に戦闘になったところで戦わなかったともなれば、バーンが不満に思うのも理解出来る。

 ましてや、戦いという意味では全く素人のショウや元軍人のトカマクが戦っているのに。

 その上で、トカマクは技量が未熟だったというのもあってダンバインに大破と呼ぶべき被害を与えたが、それでも戦ったのは間違いない状況なのだ。

 もっとも、バーンにしてみればトッドが戦わなかったというのは面白くなかったのかもしれないが、客観的に考えた場合はそうおかしな話でないのも事実だ。

 何しろ、トッド達は今日初めてオーラバトラーに乗ったのだから。

 操縦も殆ど理解していないだろうから、その辺の事情を考えれば必ずしも間違いという訳ではない。

 惜しむらくは、このバイストン・ウェルがファンタジー世界であり、そういう冷静な判断よりも実際に戦った方が周囲に好印象を与えられるといったところか。

 ましてや、ドレイクは即戦力となるのを希望して、3人の地上人を召喚したのだから。

 

「取りあえず、ちょっと落ち着かせてくるか。このままだと、バーンがトッドを攻撃しかねない」

 

 見ている限りだと、双方共にかなり険悪な様子で言い争いをしている。

 まさかないとは思うが、バーンが腰の鞘から長剣を引き抜いてドットに向けて振るう……なんて可能性も否定は出来ない。

 バーンは以前俺を憎いという思いからギブン家に俺の情報を流して襲わせた疑いがあるのだから。

 

「お願い」

 

 マーベルもバーンの様子から危険だというのは理解したのだろう。

 そう俺に言ってくる。

 女の勘か、聖戦士の勘か。

 その辺りは俺にも分からないが、ともあれ言い争いをしている方に向かう。

 

「聖戦士であれば、戦いから逃げるなどといったような真似はしない筈だ!」

「本気で戦わせるつもりなら、オーラソードとかいう近接用の武装だけじゃなくて、ミサイルとか持たせろよな!」

 

 ん? ダンバインはオーラショットとか装備出来た筈だが、装備していなかったのか?

 だとすれば、余計にトッドがバーンの言葉に対して不満そうなのは理解出来る。

 ましてや、この時代の地上界では刀や剣なんかは使わない。

 使ってもナイフとかそういうのだろう。

 そんな軍隊の常識を持つトッドに、オーラソードだけを持たせて戦えというのは常識的に考えて無理だろう。

 バイストン・ウェルに召喚された時点で、常識は役に立たないと思わないでもないが。

 

「騒ぐのもその辺にしておけ」

「アクセル」

「アクセル王」

 

 トッドとバーンが話に割り込んできた俺に向かって、そう告げる。

 2人にしてみれば、ここで俺が話に割り込んでくるのは予想外だったのだろう。

 あるいは言い争いをしていて、俺がここに来たというのにも気が付いていなかった可能性がある。

 

「マーベルから大体の話は聞いたが、正直なところ今回の一件に関してはトッドの方が正しいと思うぞ。まだ完全にオーラバトラーを……それも聖戦士用のダンバインを乗りこなしている訳でもないのに、いきなり戦えってのは無理がある。それもオーラショットの類も持たせずに」

「そう! そうなんだよ! アクセルはやっぱり話せるな! 戦闘機だって、初めて乗った状態でいきなり戦闘に参加させるなんて真似は、普通しないんだからな!」

 

 トッドがようやく話が通じる相手が来たといった具合で嬉しそうに言う。

 そんなトッドと反対なのが、バーンだ。

 

「アクセル王の言いたい事も分かりますが、戦闘になるというのは承知の上で地上人の3人はガラリアと共に行動したのですぞ。だというのに、戦わないというのは許容出来ません。事実、他の2人はしっかりと戦い……トカマクは機体が大きく損傷するような激戦を行ったのですから」

「けど、ガラリアがいないとトカマクは死んでいたんだろう? そうなれば、折角召喚した地上人の1人が死んでいたんだぞ? ドレイクにとっても、そうなっていれば許容出来なかったと思うが?」

「それは……」

 

 言葉に詰まるバーン。

 この様子だと、トッド達を一緒に行動させるのはともかく、オーラショットの類を装備させなかったのはバーンの判断といったところか?

 

「もし本当に最初から戦闘をさせるつもりだったのなら、事前にしっかりと鍛えておくんだったな。マーベルのように」

 

 実際、マーベルは恐獣と戦闘する前にゲドを使ってしっかりと戦闘訓練を行っていた。

 その上で、クの国でゲドとの戦いもあったのだ。

 それに比べると、トッド達は一昨日召喚されて、今日すぐに戦闘に参加するといったような形になった訳だ。

 園遊会でギブン家がいきなり攻撃を仕掛けてきたのが、トッド達にしてみれば運が悪かったよな。

 そのせいで、こうしていきなり実戦をする羽目になったんだから。

 

「しかし、それは……いえ、アクセル王の言いたい事も分からないではないです。ですが、この件は言ってみればお館様の率いる軍の事です」

 

 つまり、同盟相手とはいえ俺は無関係なんだから、口を挟むなと。そういう事か。

 

「そう言われると、俺も口出しは出来ないな。とはいえ、それはあくまでもトッドがドレイクの部下でいる限りはだが。……どうする?」

 

 そう言って視線を向ければ、トッドも俺の言いたい事を理解したのか、笑みを浮かべる。

 

「なるほど。別に俺は無理にドレイクの下にいる必要もない訳だ」

 

 そう、それがドレイクにとっての欠点の1つ。

 もし俺がいなければ、トッド達はドレイクの下にそのままいるという選択肢しかない。

 あるいは、どうしてもドレイクの下で合わない場合はギブン家に逃げ込むか……かなり距離はあるが、クの国に行くというのでもいい。

 しかし、一般的に考えてそれはかなり取りにくい選択肢であるのも事実。

 そんな中で、ドレイクと一緒に行動してはいるが、れっきとした別の組織……それもドレイクが絶対に敵に回せないと考えている俺がいたとしたら、どうなるか。

 それにバーンも気が付いたのだろう。

 

「ぐっ、そ、それは……だが、アクセル王の下にいったところで、カリフォルニアのような土地を手に入れる事は出来んぞ!」

「そっちが問題なんだよな」

 

 はぁ、とトッドが意味ありげな視線をこちらに向けてくるが、俺に出来るのは無言で視線を返すだけだ。

 トッドが何を言いたいのかは、分かる。

 俺が異世界にある国の王なら、自分にそういう土地を与えるといったような真似も出来るだろうと、そう言いたいのだろう。

 実際、その気になればそのくらいは容易に出来る。

 出来るんだが、だからといって出来るのとやるのとでは、話が違う。

 そんな訳で、俺はトッドが何を言いたいのかを分かりつつも、それを口にする事はなかった。

 実際、そこまでしてトッドを引き入れる必要があるのかどうかというのは……今のところ微妙だしな。

 そうして、何だかんだと結局この話はこれで終わりになるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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