輝剣さん、ありがとうございます。
マーベルのダンバインを機械の館に残し、ショウやトッド達が待っている場所に影のゲートで戻ってくる。
そうして影からいきなり姿を現した俺を見て、まず最初に口を開いたのはトッドだ。
「おい、アクセル! それ、何なんだよ!」
「何って言われてもな。魔法だ」
空間倉庫とかも魔法扱いしている俺だが、この影のゲートは正真正銘、間違いなくネギま世界の魔法だ。
エヴァが普通に使っている魔法で、非常に使い勝手がいい。
……ただし、転移魔法は影のゲートに関わらずどの転移魔法もかなり難易度の高い魔法だったりする。
ガラリアやマーベルのように、未だに魔法を発動させる事も出来ずにいる状態では。とてもではないが使う事は出来ないだろう。
将来的に使えるようになるにしても、随分と先なのは間違いない。
「魔法って……ああいう真似も出来るのか」
感心したようにショウが呟く声が聞こえてくる。
トカマクやガラリア、それに技術者や兵士の面々も影のゲートから出て来た俺に向かって、色々な視線を向けていた。
この技術者達……ダーナ・オシーの件で後で俺を恨まないといいんだが。
そう思いながら、俺はこちらに向かって飛んでくる白いダンバインを見つけると、そちらを指さす。
「見てみろ。マーベルの乗ったダンバインが来たぞ。飛んでる姿を見ただけでも、ショウやトッド達と安定性が違うのは分かるだろ」
そう言うと、魔法に興味を持っていたショウやトッド達は俺の指さす方を見る。
そこには、空を飛ぶダンバインの姿があった。
一口に空を飛ぶという表現ではあるのだが、同じ空を飛ぶのでもマーベルのダンバインはかなり綺麗に……そしてスムーズに空を飛んでいた。
そんなマーベルの飛び方に比べると、出撃前に俺が見たショウ達の飛び方は、かなり雑と言ってもいい。
飛び方だけであっても、パイロットの技量はすぐに分かってしまうんだよな。
ショウの方はあまり自覚がないようだったが、空軍のパイロット候補生だったトッドは俺の言いたい事が分かるのか、真剣な表情で空を飛ぶ白いダンバインを眺めていた。
それでも自分が劣っているというのは、全く認める様子がなかったが。
「それより、マーベルが来たんだからお前達もそろそろ自分の機体に乗った方がいんじゃないか? マーベルがここに到着してから乗るよりも、最初から乗っておいた方が素早く模擬戦が出来るだろうし」
そんな俺の言葉に、ショウとトッドは自分のダンバインに向かう。
「アクセル王、本当によろしかったのですか?」
ダンバインに乗り込む2人を眺めていると、ガラリアがそんな風に声を掛けてくる。
ガラリアにしてみれば、マーベルは貴重な女友達だ。
そんな相手がショウとトッドの2人を相手に模擬戦をやるというのだから、心配するなという方が無理だろう。
「マーベルの実力なら、ショウとトッドの2人を同時に相手にしても問題はないと思うぞ。マーベルの実力はガラリアも知ってるだろ?」
マーベルや俺を相手に一番多く模擬戦をしているのは、間違いなくガラリアだ。
そんなガラリアだけに、俺の言葉に反対するような事はない。
「それはそうですが……それでも、万が一という事はあるのでは?」
「そういう時は、俺が何とかするよ」
サーバインがない状況であっても、混沌精霊の俺はオーラバトラーとある程度生身でやり合える。
サーバインが用意される前は、俺が生身で恐獣を倒していた事を思い出したのだろう。ガラリアは少しだけ安堵した様子を見せる。
「なら、安心して見ていることが出来ますね」
そう言うと、ガラリアは地上に降下してきた白いダンバインの動きを見逃さないようにしっかりと見る。
ガラリアにしてみれば、模擬戦におけるマーベルの動きは非常に参考になるのだろう。
『準備はいい?』
『ああ、勿論だ。そっちこそ、本当に俺とジャップの2人が相手でいいんだな?』
マーベルの言葉に、トッドがそう返す。
ちなみにジャップというのは当然ながらショウの事らしい。
ショウはそう言われても特に嫌そうな様子はないので、問題はないのだろう。
そうして模擬戦の準備が整うと、ダンバイン3機が2対1で向かい合う。
『じゃあ、始めましょうか。来なさい』
そう言うマーベル。
これがオーラバトラーに乗ってるんじゃなくて、ベッドの上で色っぽい格好でそんな事を言われれば、もっと別の行為を思い浮かべているかもしれないが……まぁ、その辺は考える必要もないか。
そんな事を考えている視線の先では、ショウとトッドのダンバインがオーラソードを手にマーベルのダンバインに向かう。
これが模擬戦であると判断している為か、オーラショットやショットクローの類は使わず、オーラソードでの戦いのみになっているらしい。
2人で一緒に行動を始めたのだが、ショウもトッドもしっかりと連携訓練をした訳ではない。
それだけに、お互いの行動は決して連携がとれている訳ではない。
2機で戦いを挑んだにも関わらず、マーベルのダンバインはまずトッドのダンバインに向かう。
ショウを無視したのは、トッドの方が先に動いたからだろう。
同時に行動したとはいえ、トッドの方が先に動いたのだ。
その分だけ、トッドの方がマーベルのダンバインとの間合いが近い。
勿論、それは戦いに時間を掛けるような真似をした場合、トッドと戦っている間にショウはすぐにでもマーベルに攻撃するだろう。
それはつまり、マーベルはトッドを相手に時間を使わずに倒す必要があるという事なのだが……
『俺を侮るなぁっ!』
マーベルの行動の意味を理解したトッドは、怒りと共に叫んでオーラソードをマーベルのダンバインに向かって振るう。
だが、マーベルはそんな一撃をあっさりと見抜いて回避しながら、トッドに向かってオーラソードを振るう。
その一撃はあっさりとトッドのダンバインが握るオーラソードを空中に弾き飛ばした。
その行動に驚き、ダンバインの動きが止まるトッド。
マーベルは当然のようにそんなトッドの動きを見逃すような真似はしない。
振るったオーラソードの切っ先が、トッドのダンバインのコックピットに突きつけられる。
この時点で、勝負はあったといったものだろう。
そうして動きを止めたマーベルに対し、隙有りとみたのかショウのダンバインが地面を蹴って間合いを詰めていく。
ショウのダンバインが走る速度は素早く、それがショウの潜在能力を示している。
真っ直ぐにマーベルとの間合いを詰めるダンバインは、動きを止めた相手を逃がさんと、オーラソードを振るう。
太刀筋も何も考えた訳ではなく、単純に相手に武器を叩きつける為に振るわれた一撃。
しかし、ダンバインの……いや、ショウの持つオーラ力によって性能の上がったダンバインの振るう一撃は、太刀筋も何もなくても、命中すれば相手に大きなダメージを与えられるのは間違いないだろう威力を持っていた。
マーベルもそんな相手の威力を読んだのか、トッドのオーラバトラーから離したオーラソードでその一撃を受け止めるのではなく、機体を後方に跳躍させる事による回避を選ぶ。
そうしてショウのダンバインが振るったオーラソードの一撃は空中を斬り裂くだけに留まる。
同じダンバインではあるが、やはり経験によるものだろう。ショウの方は1つの動作をする度に少し……本当に少しだが、動きが止まってしまう。
それに対して、マーベルの方はダンバインを操縦してきた経験から、人間が動くかのように機体を動かし、動作の切れ目に動きが止まるといったような事はない。
全体の動きとしてみれば、それは1秒にも満たない時間だろう。
だが、その1秒にも満たない時間というのが、戦いの中では非常に大きな意味を持つ。
戦いの中でそれだけの時間の隙を晒すというのは、致命傷に等しい。
結果として、ショウの操縦するダンバインは、マーベルの機体と同等……場合によってはそれよりも高い速度を出しているにも関わらず、追いつく事が出来ない。
次々に放たれる一撃は、命中すらしない。
それどころか、酷い時にはショウのダンバインがオーラソードを振るった時には、既にそこにマーベルのダンバインがいないといったような事も珍しくはなかった。
そして攻撃をしても全く当たらないというのは、攻撃している方にしてみれば大きな不満……ストレスとなる。
ましてや、召喚された夜のバーンとのやり取りを考えても、ショウの気は決して長い訳ではなく、寧ろ短気と言ってもいい。
そんなショウだけに、マーベルのダンバインに向かって振るわれる一撃は次第に大ぶりになっていき、余計に攻撃の鋭さは失われていく。
結果として、連続して放たれる一撃の中にある大ぶりの一撃は、余計に増えていき……
『残念だったわね』
その一言と共に、マーベルのダンバインは大ぶりの一撃の攻撃を回避しつつショウのダンバインの間合いの中に入り込み、先程トッドにやったようにコックピットに向けてオーラソードの切っ先を突きつける。
「勝負あり!」
そんな光景を見て、大声で模擬戦の終了を告げる。
トッドもショウも、マーベルとの模擬戦が終わった後で不満を口にしない辺り、さすがだよな。
こういう時に往生際の悪い奴なら、実はまだ本気じゃなかったとか、偶然で負けたとか、そんな感じで不満を露わにしたりするんだが。
そういう見苦しい真似をしないのは好印象だった。
とはいえ、自分が負けたのが悔しくない訳ではないんだろうが。
3機のダンバインは、少し離れた場所まで移動すると片膝を突いた待機姿勢となる。
「凄いな、あの3人」
感心したようにトカマクが呟く声が聞こえてくる。
「凄いと言っても、お前もマーベルはともかく、ショウやトッドと同じくらいの技量は身につける必要があるんだぞ。その為にドレイクが地上から召喚したんだしな」
「そう言われても、正直困るんだが。別に俺だって好きでバイストン・ウェルに来た訳じゃないし」
不満そうなトカマクだったが、その気持ちは分からないでもない。
自分の意思も何も関係なく、いきなりバイストン・ウェルに召喚されるなんて事になったのだから。
とはいえ、もうバイストン・ウェルに来てしまった以上は、それにどうこう文句を言ってもどうしようもない。
今のトカマクが出来るのは、力を示すなりなんなりして、ここに自分の居場所を作る事だ。
ドレイクも、自分の部下として聖戦士がいるというのは大きいだろうが、だからといって名ばかりの聖戦士だったりした場合、いずれ切り捨てられるか……もしくは使い捨てにされるだろう。
あるいは、シルキーによって新しい地上人を召喚するといったような事で新しい聖戦士がやって来て、そちらが実力者なら聖戦士としての主役は新人に奪われるといった可能性もある。
まぁ、シルキーの様子を見る限り、そう簡単に新たな地上人を召喚するといったような真似が出来ないのは間違いなかったが。
「分かってるよ。けど、操縦方法すら殆ど教えて貰ってないのに、それでいきなり操縦しろって方が難しいだろ?」
「ショウやトッドは十分にそれが出来てるけどな」
「ショウはともかく、トッドは戦いに参加しないでその辺を試してたんだろ」
不満そうなトカマク。
実際、トッドはそうしていた可能性もあるので、そういう意味では必ずしも間違ってはいないんだろうが。
特にトカマクは、そうして操縦も満足に出来ない状態で実際に戦いに参加したのだ。
そういう意味では、バーンの求める闘争心は十分にあるといったところか。
バーンの中にある聖戦士の序列としては、ショウ、トカマク、トッドといった順番だろう。
そこまで操縦に慣れていないのに、しっかりと敵と戦って機体を損傷しなかったショウ。
敵と戦ってダンバインが破壊されたトカマク。
敵と戦いすらしなかったトッド。
俺としては、トッドは冷静に戦況を見定めていたという理由で、ショウ、トッド、トカマクの順番になるんだが、この辺は人によるといったところか。
「そう言ってもよ」
そうしてトカマクが更に何かを言おうとしたところで、模擬戦を終えたマーベル、ショウ、トッドの3人がこっちにやって来る。
トカマクもトッドに対する不満はあっても、まさかトッドの前でそれを口に出すといったような真似はしないらしい。
取りあえず、ここでぶつかるといったようなことはなかったようなので、安心しておこう。
「で、どうだった? 経験の差ってのは大きいだろ?」
「ふん」
俺の言葉に、ショウが不満そうに言う。
気の強いショウとしては。マーベルに模擬戦で負けたのが面白くなかったのだろう。
ましてや、ショウの場合はギブン家との戦いでも無傷で勝ち抜くといったような真似をしたのが大きい。
多分、ガラリアと戦っても、今はガラリアが勝つだろうな。
ガラリアはそこそこマーベルといい勝負をするようになったし。
「ともあれ。今回の模擬戦で色々と経験しただろうから、次からはそれをオーラバトラーの操縦に活かせるように頑張るんだな」
そんな俺の言葉に、ショウとトッドは若干不満そう……いや、正確には悔しそうだったが、頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650