兵士に案内されてドレイクのいる場所までやってくる。
以前まで何度か使った事のある謁見の間だ。
そこには既に何人もの騎士や文官が集まっており、ビショットが来るのを待っていた。
ちなみに、ビショットという他国の王を迎える為だろう。
ドレイク以外にルーザの姿もそこにはあった。
……もっとも、俺を嫌悪しているルーザは視線を合わせようともしなかったが。
ルーザにしてみれば、俺はそこまで気にくわない相手なのだろう。
それでも声高に不満を露わにした様子を見せないのは、以前から何度もその件でドレイクに注意されていた為か。
「アクセル王、間に合ってよかった」
「悪いな」
そう言い、俺はドレイクの隣――ルーザとはドレイクを挟んで反対側――に用意された椅子に座る。
ちなみに俺が座る椅子の後ろには、マーベルの姿がある。
一応俺の護衛という扱いになっている為か、ガラリアが着ているような女物の鎧を着ている。……ただし、比較的胸が小さいガラリアと違って、マーベルは巨乳と呼んでも間違いない大きさの胸なので、胸元がかなり苦しそうだったが。
腰には長剣の収まった鞘があり、外見だけを見れば一端の護衛のようにも思える。
ただし、マーベルはオーラバトラーのパイロットとしては、聖戦士の名に恥じぬ強さを持つが、生身での戦いは決して得意ではない。
一応鍛えてはいるみたいだし、聖戦士としての力も多少は発揮されているのか、兵士を相手にならそれなりに戦えている光景を見たことがあったが、言ってみればそれだけだ。
本来なら、国王の護衛を行うという意味では近衛騎士とかそんな感じの奴がやる必要があるんだろうが、残念ながらマーベルはそれだけの腕を持ってはいない。
これがオーラバトラーで護衛をするというのなら、戦力として十分なんだろうが。
それでも、結局マーベルしか部下のいない俺としては、護衛はマーベルに任せるしかないんだが。
というか、この世界において俺がダメージを受けるといったような事は……どうだろうな。
オーラ力ってのがある以上、もしかしたら何らかの方法でダメージを受ける可能性もある。
しかし、オーラコンバータはオーラ力を電気に変えてオーラバトラーを動かすといった動力源だ。
そうである以上、オーラ力でそのまま動かす訳ではない以上、多分オーラコンバータで俺に直接ダメージを与えるといったような事は、難しいだろう。
今度一度試してみた方がいいかもしれないな。
そんな風に思っていると、俺やドレイクのいる場所から少し離れた場所……それでいて、他の騎士よりも上座とでも呼ぶべき場所にいるトッドがどこか面白そうな視線をこちらに向けているのに気が付く。
ちなみにトッドの横にはトカマクがいるが、ショウの姿はない。
まぁ、俺が兵士に呼ばれた時には中庭でリムルと密会……逢い引き? ともあれ2人で会っていたんだから、それを考えればまだここにいなくてもおかしな話ではないだろう。
ちなみにトッド達の向かい側にはショットとゼットの姿もある。
あの2人は、それこそ今はかなり忙しい筈なんだが、それでもビショットが来るとなれば、そちらに顔を出さない訳にはいかないといったところか。
「すいません、遅れました」
そんな中、ショウが慌てた様子で謁見の間に入ってくる。
リムルとの密会が終わって、それでようやく謁見の間にやって来たといったところか。
ちなみに、俺が来た時には責めるような視線を向けてくるのはバーンを含めて少数だったが、ショウが遅れてきたのには、何人もが責める視線を向けていた。
ドレイクの部下にしてみれば、俺はあくまでもドレイクの同盟関係で……言ってみれば部外者といった感じなのに対し、ショウはドレイクが召喚した地上人という事で、自分達の身内といった感じか。
だからこそ、ショウが遅れてきた件については責める視線を向けた者も多かったのだろう。
それでも、ビショットが謁見の間に来た後でやって来るって事にならなかった分だけ、マシなのかもしれないが。
ショウはそんな視線を向けられているのに気が付いているのか、いないのか。
表向きはその視線を気にした様子もなく、トッド達の側まで移動する。
「ショウ・ザマ。次からは時間はもう少し気にするように」
ドレイクがショウに向かってそう告げる。
ショウはドレイクの言葉に頭を下げた。
ドレイクの言葉を面白く思ってないのか、それとも本当に申し訳なく思っているのか、その辺は分からない。
しかしショウの性格を考えれば、ドレイクの言葉を面白くなさそうにしていてもおかしくはない。
そうしてショウの一件が終わってから数分が経ち……やがて、兵士が謁見の間に入って来る。
「ビショット王、ご到着です」
「うむ、通すように。ただし、くれぐれも失礼がないようにな」
「は!」
ドレイクの指示に従い、兵士は謁見の間から出ていく。
そして、謁見の間には緊張感が漂う。
周辺に広がっている空気は、やはり他国の王が来るからこそか。
てっきり以前にもビショットがルフト領に来たことがあったのかと思ったが、どうやらその予想は外れたのかもしれないな。
そんな中でも、ドレイクが全く緊張した様子を見せていないのはさすがだろう。
ガラリアも、クの国でビショットと会っているのでそこまで緊張している様子はない。
それ以外にも何人か、商売の件でクの国に行ってビショットと顔を会わせた事のある者達は、そこまで緊張している様子はなかった。
バーンもまた、その経験があるのか堂々としている。
そして……やがて、謁見の間にビショットが姿を現す。
ビショット本人の気安い性格もあるのか、それともバイストン・ウェルではそれが普通なのかは分からないが、多くの者が謁見の間に入ってきたビショットを見ても跪いたりといった様子はない。
一応ドレイクはアの国の領主でしかなく、ビショットは一国の王だ。
お互いの間にある地位の差は決定的なものだろう。
そうである以上、今の状況を考えると……やっぱり、大丈夫なのか? と思うのは当然だった。
「ようこそおいで下さった。歓迎しますぞ、ビショット王」
「うむ、ドレイク殿も壮健なようで何より」
ドレイクがビショットに向ける言葉は、アの国の領主が隣国の国王に向けるという意味で考えれば、間違いなく相応しくない言葉遣いだ。
とはいえ、ビショットの方はそれを特に気にしてはいない。
これは、バイストン・ウェルでは王に対してはそこまで丁寧な言葉遣いをする必要はないのか?
いや、だがバイストン・ウェルはファンタジー世界だ。
当然王や貴族、領主といった面々の権力は強い。
であれば、その辺がもっと厳格でもいいと思うんだが。
その辺りは、俺が細かく気にする程ではない……といったところか。
勿論、それはドレイクのように一定の地位があるからこそ許されているのかもしれないが。
何しろ、ドレイクはオーラマシンを開発したという一点で、非常に重要な人物だ。
実際にオーラマシンを開発したのはショットやゼットなのだが、それを許して資材や資金、人手を渡したのはドレイクだしな。
つまり、地上人達が迂闊にビショットに対して不敬と判断される口調で話し掛けた場合、色々と面倒な事になりかねない。
特に問題なのは、ショウ、トッド、トカマクの3人だ。
ショットとゼットは、何だかんだとバイストン・ウェルに来てそれなりに時間が経つので、この世界のやり方にもある程度慣れている。
だが、そんなショットやゼットに比べて、ショウ達3人はバイストン・ウェルに来てから、まだ日が浅い。
そうである以上、ショウ達がビショットに対して知り合いにでも話すような態度を取ったらどうなるか。
トッドとトカマクは、まだ軍人や元軍人といった経験から国王に対する言葉遣いを多少なりとも理解しているかもしれない。
しかし、ショウの場合は一般人だ。
それもこの世界に転移してきて、いきなりバーンに突っかかっていくような。
もっとも、現在新たに召喚された3人の地上人の中では、最も見込みのある人物と認識されてるが。
「アクセル王、君も元気だったかな?」
ドレイクとのやり取りを終えたビショットは、俺に向かってそう言って笑みを浮かべて尋ねてくる。
ビショットにしてみれば、格という意味では本来なら領主でしかないドレイクより、仮にも国王である俺の方が上なのだろうが……ここはドレイクの領地だし、何より俺は王と名乗ってはいても、ホワイトスターと繋がっていない以上、仲間はマーベルだけだ。
それを思えば、オーラマシンの取引をしているドレイクの方を優先するのは当然だろう。
「ああ、特に問題らしい問題もない。いや、正確には幾らか小さな問題はあるが、今のところその辺からは特に被害は受けていない」
「そうか。友人のアクセルがそう言うのなら、取りあえず大丈夫なのだろう。……ああ、そうそう。前に私の国で約束した高機動型のオーラバトラーだが、聞いてるかな?」
「アルダムだろう? よくもまぁ、この短期間で開発出来たものだと驚いたが」
その言葉は、お世辞でも何でもない。
純粋に、俺が思った事だ。
ショットやゼットとかも新たなオーラバトラーを開発してるらしいので、多分バイストン・ウェルにおいてはそれなりに簡単に開発出来るのかもしれないが。
「そうだろう? とはいえ、正直なところアルダムは最初試作機といったつもりで開発したのだがね。しかし開発してみたら、思っていたよりも高性能のオーラバトラーになってしまって、取りあえず次のオーラバトラーが出来るまでの繋ぎという形で採用したんだ」
「それはまた……随分と凄いな」
実際、試作機で作ってみたら性能が高くて採用機にしたというのは、本当に凄い事だと思う。
ビショットの技術者としての技量が、それだけ優れているという事なのだろう。
勿論、ビショットだけではなく、他にも腕のいい技術者がいての話なのだろうが。
ルフト領で言えば……そうだな、試験機という意味ではダンバインがそれに当たるか。
オーラコンバータの能力を極端に重視したという意味でも、試作機に近いし。
ただし、ダンバインの場合は最初からドレイクが召喚した地上人が乗るのを前提にしていたのだろうが。
ただ、マーベルが使っていたり、俺の空間倉庫に入ってる分だったり、トカマクが大破にした状態の機体を修理、もしくは予備機を使う……といった具合に、もう部品も残り少ないらしいのだが。
その辺の事情を考えれば、ダンバインとアルダムはやはり色々と違うのは間違いのない事実だ。
「そうだろう。アクセル王にも、しっかりとアルダムの凄さを見て貰いたいところだな」
「実際に見るのを楽しみにしてるよ。乗れないのが残念だが」
「ああ、そう言えばアクセル王が乗る場合は、オーラコンバータを特製の物にする必要があったか。そう考えると、私が持ってきたアルダムを使う事は出来ないな」
「残念ながらそうなる。まぁ、他人が動かしているのを見て我慢するさ」
「……ふむ、そうだな。ではアクセル王。どうせなら、他人が動かしているのを見るのではなく、他人が操縦するアルダムと模擬戦をやってみるというのはどうかな? 実は、ガラミティが護衛として一緒に来ているんだ」
ガラミティと言われ、すぐに俺はその人物を思い出す。
クの国版、黒い三連星の1人だ。
それもリーダー格の男。
俺がクの国に行った時、ゲドでサーバインと模擬戦をやった相手。
当然ながら、その模擬戦は俺の勝利だった。
操縦技術云々といった以前に、機体の性能差が絶対的に違いすぎるんだよな。
バイストン・ウェルに来る前にいたUC世界においては、それこそ旧ザクとガンダム……いや、ガンダム7号機で模擬戦をしたようなものだし。
いや、ゲドとサーバインの性能差を考えれば、旧ザクよりも前の……MSの試作機とガンダム7号機が模擬戦を行ったような感じか。
ともあれ、ゲドとサーバインの間にはそれだけ絶対的な性能差があったのだ。
そうである以上、あの模擬戦の結果は手放しで喜べるものではなかったが……だが、アルダムという新型のオーラバトラーを開発したのなら、機体の性能差もゲド程じゃなくなるだろう。
もっとも、サーバインは色々な意味で特殊な機体だ。
それこそショットやゼットが張り切って……いや、張り切りすぎた機体。
勿論、それだけの特殊な機体である以上、起動させるだけで大量のオーラ力――俺の場合は魔力だが――を必要とする。
そんな特殊なオーラバトラーである以上、例え新型であってもアルダムでどうにか出来るかどうかは、微妙だろう。
とはいえ、今の状況で模擬戦に反対するというのもなんだし。
「そうだな、出来れば模擬戦をやってみたいと思う。ガラミティの時間が取れるのなら、こっちも時間を取ろう。それに……」
そこで一旦言葉を止め、ショウ達の方に視線を向ける。
「新たな地上人達にとっても、俺とガラミティの模擬戦はいい刺激になるかもしれないしな」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650