転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2818話

「……え? 本当か?」

 

 ドレイクにそう返した俺の言葉は、自分でも分かる程に意外性に満ちていた。

 

「うむ。それどころか10日後ではなく5日後にするとの事だ。……フラオン王の我が儘にも困ったものだな」

 

 大きく息を吐きながら、ドレイクはそう帰す。

 昨日、バーンはエルフ城に行って今日戻ってきた。

 その際に受けた命令が、ギブン領に攻め込むのは20日後ではなく、ドレイクが提案した10日でもなく、その半分の5日後だった。

 ドレイクが言ったように、フラオンの我が儘によって強引に短縮された日数。

 とはいえ、ドレイクは元々フラオンからの許可があればすぐにでもギブン領に攻め込むつもりだった以上、それが5日後になったところで、そう違いはない。

 寧ろ、無意味に10日も待たなくてもいいだけ、よかったんだろうな。

 

「何と言えばいいのか……ああいう主君を持つと、苦労するな」

 

 ドレイクに対して、しみじみと同情する。

 とはいえ、そんなフラオンだからこそ、今までドレイクは貢ぎ物を渡す事である程度自由に操る事が出来ていたのだ。

 それを思えば、ドレイクがたまにフラオンの我が儘に付き合わされるのは……取り合えずしょうがないと言ってもいいのだろう。

 勿論、その我が儘がこういうのになるとは思ってもいなかっただろうが。

 ある意味でドレイクは運が悪かったのだろう。

 

「それは否定出来んな」

 

 それでもこうしてドレイクに焦った様子がないのは、そんなフラオンの行動に慣れているからか。

 

「で、ギブン領を攻めるまで、残り5日。どうするんだ?」

「何もやる事は変わらん。少しでも多く戦力を集めて、その日が来たら攻めるだけだ」

「そうか。まぁ、ギブン家の戦力は多くないとはいえ、ダーナ・オシーを何機も持ってる。そういう意味では、フラオンに先陣を任せてもいいのかもしれないな」

 

 オーラマシンはゲドとドロだけだが、騎士や兵士といった戦力も相応にいる筈だ。

 であれば、フラオンの軍には先陣の名誉を担って貰うというのは、そんなに悪くない選択肢だと思う。

 ダーナ・オシーの性能がドラムロより低いとはいえ、ゲドよりは上なのだ。

 ダーナ・オシーが数機いれば、ドラムロと互角に戦う事も出来るだろう。

 それを避ける為には、ダーナ・オシーに疲れて貰う必要がある。

 フラオンの軍というだけで使い物にならない……ならない……いや、ちょっと待て。

 

「ドレイク、一応聞いておくけど、フラオンの軍って実は強いとか、そういう事はあるか?」

 

 フラオンという人物を見る限り、とてもではないが有能だとは思えない。

 だが、それは有能ではないフラオンが王のままでいられるという事でもある。

 それも自分が贅沢をする為に税を上げるといったような真似をするフラオンが、だ。

 普通に考えれば、そんな事があるか?

 いやまぁ、今まで偶然平穏が続いたから、どうにかなったといった可能性も否定は出来ないが。

 それでも可能性が高いとすれば、それはやはりフラオンの部下に有能な人物がおり、そしてフラオン率いる軍が強いといったものだろう。

 ただなぁ。

 俺がエルフ城に忍び込んだ時に見た格納庫では、ゲドやドロをろくに整備とか出来ていなかった。

 それを考えると、フラオンの軍が有能で強いとはちょっと考えられない。

 

「ないな。数は多いが、質という面では明らかに悪い」

 

 ドレイクの口から出た言葉も、俺が予想していたのと同じようなものだった。

 だとすれば、やっぱりフラオンの周辺は無能揃いといったところか。

 

「なら、フラオンの軍がギブン家の軍を圧倒したり……そこまでいかなくても、倒したりといったような事は、考えなくてもいいみたいだな」

 

 フラオンの軍が有能なら心配だったが、取りあえずその心配はいらないらしい。

 そうなると、問題になってくるのはフラオンの軍の使い道だろう。

 

「ふむ、そのような使い方もあるか。だが……そうなると、プライドを傷付ける可能性もあるのが難しい」

 

 ドレイクにとって、フラオンはある程度自分の思い通りに使えるという意味で、使いやすい存在だ。

 出来ればそのプライドを傷つけて、自分の思い通りにならない動きをするのは避けたいというのがドレイクの正直な気持ちなのだろう。

 

「その辺の考えは、ドレイクの考え次第だな。フラオンが厄介な相手なのは間違いないし」

 

 無能なのに、自分は有能だと思い込んでいる相手なのだから、これ以上に厄介な存在はそういない。

 ましてや、権力者であるというのが余計に酷い。

 

「むぅ」

 

 俺の言葉に、ドレイクは難しい表情で唸る。

 それだけフラオンをどのように使うのかというのは、難しいのだろう。

 俺にしてみれば、フラオンなんてのは使い捨ての肉盾程度にしか使えないと思うんだが、ドレイクの立場としてそれは出来ないのだろう。

 

「まぁ、残り5日だ。フラオンをどう使うかしっかりと考えた方がいいだろうな。……問題なのは、フラオンがドレイクの要望を聞くかどうかだが」

 

 それこそ、余程上手い具合に言わない限り、フラオンはプライドを傷つけられてドレイクの要望には従わないだろう。

 であれば、その辺はドレイクの技量次第といったところか。

 

「そうだな、もう少し考えてみるか」

 

 そう言うドレイクを執務室に残し、俺は外に出る。

 外ではドレイクの部下の多くが、ギブン領との戦いを前に準備をしている。

 騎士や兵士は武器の用意を、文官は食料の用意を。

 また、ドラムロのパイロット達はダーナ・オシーとの戦いに備えて操縦技術を磨く。

 とはいえ、数も質もドラムロの方が上である以上、ダーナ・オシーとの戦いに勝ち目はないと思うんだが。

 唯一の問題点としては、やはりショウか。

 召喚された3人の地上人の中では、一番腕の立つオーラバトラーのパイロット。

 また、聖戦士用に開発されたダンバインを持って行かれたのも大きいな。

 オーラコンバータによって、機体性能が大きく変わる。

 ダンバインではなくダーナ・オシーに乗っているのなら、まだ対処はしやすいんだろうが。

 そうなると、ダンバインに乗ったショウはトッドとトカマクが相手をするのか?

 まぁ、一応同じ地上人だし、出来なくもないような気がしないでもない。

 とはいえ、ショウとトッドはそれなりに戦えるだろうが、トカマクがな。

 地上人でオーラ力を察知してバイストン・ウェルに召喚された以上、当然だが聖戦士としての実力は十分にある筈だった。

 しかし、実際にはその実力は決して高くはない。

 いや、それどころか低いとすら言ってもいい。

 何しろ、模擬戦においてもガラリアには負け越しているし、バーンとは互角といった感じなのだから。

 この戦績を見ても、バーンよりもガラリアの方が技量が高いという事は明白になっているな。

 あるいは戦い方の相性といったのもあるのかもしれないから、必ずしもガラリアの方が強いとは言い切れないのだが。

 そんな風に考えつつ進んでいると、兵士達が忙しく駆け回っているのが見えた。

 ドレイクがフラオンから新たに命令された5日後というのは、まだ知らないのだろうが……それでもこれだけ忙しそうにしているとなると、20日が10日になって、それが更に5日になったとしたら、かなり大変そうだな。

 ん? でもドレイクは既に戦闘準備は整っているって言ってたような。

 まぁ、その辺は俺がどうこうする事じゃないか。

 ドレイク達の方で、色々と変わるところもあったりするんだろうし。

 あの兵士達には精々頑張って貰うとしよう。

 ギブン家が攻めて来たとかならない限り、俺やマーベルの出番はないのだから。

 そんな風に考え、俺は城やその周辺を色々と歩き回るのだった。

 

 

 

 

 

「へぇ、じゃあ本当に5日後になったのか」

 

 夜……何故か俺の家で夕食を食べているトッドが、驚き混じりに言う。

 いや、本当に何でトッドがいるんだ?

 

「そうだな。おかげで兵士達は色々と走り回ってたけど。で、何でトッドがここに?」

「いや、魔法の訓練をやってるんだろ? マーベルから聞いたんだがそれをちょっと見てみたくてよ」

 

 そう言うトッドは、本気で魔法を見てみたいのか、それともただの切っ掛けとして魔法と言ったのか……どっちだろうな。

 とはいえ、トッドは魔法? と笑ったりはしない。

 実際に俺が使う魔法を見ているのだから、魔法の存在を信じないといった事はないのだろう。

 

「何だ、トッドも魔法を習ってみる気になったのか?」

「興味があるだけだよ。アクセルが使っている魔法を見ているから、マーベルがどんな魔法を使うのかと思って」

「あのね……昼にも言ったと思うけど、まだ私は魔法を使うような事は出来ないのよ? 今は、魔法を発動させるのを訓練しているだけであって」

 

 トッドの言葉にスープを飲んでいたマーベルが不満そうに言う。

 マーベルも、そして今はここにいないがガラリアも、何だかんだと日中は忙しく、魔法の訓練をする時間はあまりないしな。

 夜も、ガラリアは魔法の訓練を毎日出来る訳ではない。

 

「魔法は使おうと思ってすぐに使える訳じゃない。訓練をしっかりと行って、それでようやく使えるようになるというのが正しい。その訓練の時間をしっかりと取れない以上、実際に魔法を使えるようになるのは、もう少し先だな」

「ふーん、何にでも簡単なものはないのか」

 

 トッドがそう言ってくるが、俺は取りあえずそれに頷かないでスルーしておく。

 実際、俺の場合はネギま世界に転移した直後にスライムで麻帆良に潜入した者達を吸収し、その結果として炎、影、召喚といった魔法の素養を入手した。

 そういう意味では、トッドが言う簡単なものってのはまさに俺の事だろう。

 ただし、これは普通に出来る事ではない。

 あくまでもスライムという特殊技能を持っている俺だからこそ、可能なのだ。

 だからこそ、今回の一件に関しては俺は何も言えなかった。

 

「取りあえず魔法に関しては基本的に誰でも練習すれば使えるようになる。ただし、才能によっていつから使えるようになるのか、どこまで魔法の実力を伸ばせるのかといった事は、当然違うが」

 

 この辺は本当に才能の問題になってくるんだよな。

 とはいえ、才能によって習熟度に差が出るというのは、何にでもあるという事だ。

 

「魔法か。使えたら便利そうなんだけどな。とはいえ、今はオーラバトラーの訓練でそれどころじゃないし」

「ギブン家の戦力にはショウのダンバインがいるからな。正直なところ、ショウの相手をするのはトッドとトカマクになると思う。……ドレイクが俺達に依頼してくれば、話は別だが」

 

 俺なら、ショウにまず負けるといった事はない。

 聖戦士用に開発されたダンバインだが、俺のサーバインはそんなダンバインよりも更に高性能な機体だ。

 その為、操縦出来る者は今のところ俺しかいないが。

 そして俺もパイロットとしての経験はついこの前まで素人だったショウとは比べものにならないくらいだ。

 例えショウがこの世界のパイロットだとしても、今の状況でまず負けるといった事はないだろう。

 マーベルは……どうだろうな。

 機体性能は同じダンバインだし、パイロットとしての操縦技術もショウよりは上の筈だ。

 だが、この場合問題なのはショウが恐らくこの世界の原作の主人公だという事だろう。

 現状だとマーベルの方が技量は上だが、主人公ならではの能力が覚醒したりとか、そういうのでマーベルとの実力差が埋まるという可能性は十分にある。

 

「あー、多分無理だろうな。というか、俺もそろそろ本気で活躍しないと切られそうな気がするんだよな」

「物理的にな」

「げ……」

 

 トッドとしては、地上人や聖戦士として扱われるのを止めさせられて、一兵卒や、場合によっては軍から放逐されてしまうかもしれないという意味で切られると言ったのだろうが、俺が言った切られるというのは物理的に斬られるというのを意味していた。

 オーラバトラーを始めとしたオーラマシンがあるので若干忘れそうになるが、このバイストン・ウェルはファンタジー世界だ。

 そうである以上、バーンやガラリアのような騎士は長剣を持ち歩いており、それを使って物理的に斬るといったことは、否定出来ない事実だったりする。

 まぁ、とはいえ……シルキーに頑張らせて地上から召喚した地上人だ。

 そこまでして得た戦力を、そう簡単に捨てるといったような真似は出来ないだろうが。

 

「ギブン家との戦いで頑張るんだな。特に今回の戦いではフラオンも軍勢を派遣してくるって話だ。そこで活躍すれば、ドレイクの下にトッド・ギネスという存在がいると、そう示せるかもしれない」

 

 ドレイクがそれを望むかどうかは微妙に分からないが。

 珍しい物を欲しがるフラオンに対し、ドレイクの下に地上人がいると知られればどうなるか。

 それは考えるまでもなく明らかであり、確実に面倒な事になる筈だった。

 

「ともあれ、全ては5日後だ。それまではオーラバトラーの操縦技術を磨いておくんだな」

 

 そう言いながら、俺は夕食に集中するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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