『行けぇっ! ピネガン陛下の為に、ここで退く事は絶対に許されんぞ!』
ダーナ・オシーの1機がそう叫ぶと、周囲にいた他のダーナ・オシー達もそれぞれにオーラソードやミサイルランチャーを構える。
ピネガンというのは、陛下と呼ばれているのを聞けば分かる通り、ミの国の国王だ。
そのピネガンの為にここまでやるというのであれば、そのピネガンという人物は国王として部下にかなり慕われているといったところか。
ピネガンはラウの国の王女と駆け落ちというか、略奪婚――これは違うか――をした結果として、ラウの国と国交断絶した筈だった。
それを思えば、普通はそこまで国王を慕ったりといった事はしない筈だ。
アの国の国王たるフラオンは、それこそ国民から慕われてはおらず、それどころか愚王といった扱いになっている。
つまり、それだけピネガンという人物に魅力というか、カリスマがあるんだろうが。
この場合、それがミの国にとって不運だったな。
こちらに向かって一斉に発射されるミサイル。
とはいえ、バイストン・ウェルのミサイルだけに、誘導装置の類もなく基本的には撃ちっぱなしでしかない。
そういう意味では、ミノフスキー粒子が存在するUC世界のミサイルのようなものと認識すればいい。
近付いただけで爆発する近接信管といったような物が仕込まれていれば、それはそれで面倒だったが。
俺は五十発以上のミサイルの中をサーバインで進む。
普通なら、とてもではないがこんな真似は出来ないだろう。
だが、サーバインの能力と俺の操縦技術により、こちらに向かってくる大量のミサイルを回避しつつ、ダーナ・オシー隊の中でも指揮を執っている相手……先程俺と会話をしたり、他の者達に命令を下した機体を見つけ、そちらに向かう。
背後ではミサイルが大量に爆発している音が聞こえてくるが、そんな事は無視して、敵との間合いを詰める。
まさか、こんな大量のミサイルを回避されるとは思っていなかったのか、指揮官が操るダーナ・オシーは焦ったようにオーラソードを構え……
「遅い」
ダーナ・オシーがオーラソードを構えた時、既にサーバインは相手にオーラソードを突き出していた。
そして、相手がオーラソードを振り下ろすよりも前に、サーバインの突きはコックピットを貫く。
ただでさえ、サーバインとダーナ・オシーでは性能的に差がありすぎる。
その上、オーラソードを振りかぶって振り下ろすのと、オーラソードによる突き。
そのどちらが素早いのかは、考えるまでもなく明らかだろう。
『ぐ……この……』
微かに聞こえてくる、そんな声。
どうやら今の一撃でも即死はしなかったらしい。
運がいいのか悪いのか。
この状況で生きているのは驚きだが、それは同時に身体に大きな傷を負っているのは間違いないという事だ。
まさか、無傷で今の一撃をどうにか出来たとは到底思えない。
そういう意味では、不幸だったのだろう。
「死ね」
呟き、コックピットを串刺しにした状態から大きく薙ぎ払う。
その一撃によって、コックピットは砕かれ……そして、今度こそ指揮を執っていた男は死ぬ。
「さて、どうする? このままの状況で、まだ俺と戦う……なるほど」
仲間……もしくは上司を殺されたのが許せなかったのだろう。
近くにいたダーナ・オシーが、サーバインに向かってオーラソードを振るってくる。
その一撃を回避しつつ、間近からオーラショットを撃つ。
放たれた一撃は、オーラソードを振り切ったダーナ・オシーに命中し、爆発して地上に降下していった。
「どうやら、指揮官を失っても大人しく撤退するつもりはないらしいな」
呟き、面倒な事になったとしみじみと思う。
正直なところ、このまま撤退してくれた方がありがたかったんだが。
まさか指揮官を失っても撤退せずに攻撃をしてくるというのは、さすがに予想外だった。
それでも最悪の事態って訳ではない。
この周辺にいるダーナ・オシー達は、全てが俺に攻撃を集中しているのだから。
ダーナ・オシーの様子を確認しつつ、離れた場所で行われている戦闘を確認する。
現状で一番被害を受けているのは、やはりフラオン軍だろう。
元々決して練度が高い訳でもなく、使われているオーラマシンも性能は高くない。
そんな状況で、前方のギブン家やミの国の軍隊が足止めされている状況では、普通に戦う事になってしまう。
なお、ギブン家の方はトッドやトカマク、ガラリアといった面々が戦っている。
バーンはドレイク軍を率いて、背後のフラオン軍と戦っていた。
数はともかく、精鋭としては数が少ないが、元々フラオン軍の練度も高くはない。
他にも精鋭となると、マーベルもそちらに回っているので質という点では十分だった。
問題なのは、やっぱりギブン家側か。
出来れば俺がそっちに向かいたかったんだが、何だかんだと一番数が多いのはミの国だったんだよな。
そうなると、やはりミの国の面々をこの場に足止めする必要があった。
当初の予定通りに、指揮官を倒された事で撤退してくれればギブン家と戦っている面々に援軍を出せたんだが。
俺がミの国のオーラバトラーを足止めしているという事は、逆に言えば俺がミの国のオーラバトラーに足止めされているという事を意味してもいる。
であればもしかして不利なのはこっちか?
ダーナ・オシーのオーラソードを回避し、ショットクローを放って機体に巻き付けて電撃を流し、そのままハンマーのように振り回す。
武器となったダーナ・オシーは、味方の機体にぶつかっては手足や胴体が破損していき、結局最後にはバラバラになって砕け散る。
視界の隅では、ダンバイン3機が必死になって戦っているところだ。
ショウとトッドでは、ショウの方が技量は上なのだが、それをトカマクが上手い具合にフォローしている。
ニーが乗ってると思われるダーナ・オシーと、ギブン領の者が乗っているダーナ・オシーは、ガラリアのドラムロ1機だけで対処していた。
それだけガラリアの技量が上がっているという事なのだろう。
とはいえ、ガラリアもそんな状況では決して余裕がある訳ではない。
ゼラーナの援護でダーナ・オシーに最後の最後で逃げられるといったような事にもなっている。
ガラリアも、俺やマーベルとの模擬戦を繰り返した事により、その実力は以前とは比べものにならないくらいに上がっている。
だがそれでも、今の状況においては数の差に対処出来る程ではない。
こうなると、マーベルはフラオン軍ではなくてギブン家に当てた方がよかったのか?
バーン率いる部隊は、フラオン軍を相手に無双というか……蹂躙している。
その辺の事情を考えると、マーベルをそちらに回す必要はなかったのかもしれない。
「っと!」
俺の隙を窺っていたという訳ではないだろうが、ダーナ・オシーの1機がオーラソードを構えてこちらに突っ込んでくる。
今までの俺の戦闘で学んだのか、振りかぶってから振り下ろすのではなく、全速力で俺に向かって突っ込んできたのだ。
突き……というか、ヤクザがドスを持って体当たりしながら刺そうとしている感じで。
人間同士であれば、そのような攻撃も意外と有効だったりするのだが。
生憎と、オーラバトラーに乗っている今の状況ではそんな攻撃が通用する筈もない。
何より、地上での戦いと違ってオーラバトラーは空を飛んでおり、3次元での戦いとなっている。
オーラコンバータのスラスターを使ってより高い場所を飛びながら、突きの一撃を回避しつつ、ダーナ・オシーの背後からオーラコンバータを狙ってオーラショットを撃つ。
一直線に放たれた一撃は、容易にオーラコンバータを……そしてコックピットを胴体諸共に破壊し、爆散した。
「どうした、次だ次! 俺と戦うつもりなら、もっと本気で掛かってこい!」
個人的には、ミの国の兵士には撤退して貰うのが最善だった。
だが、見たところ兵士達の国王に対する忠誠心は深い。
そうである以上、撤退させるというのは諦めた方がいい。
それどころか、出来ればここで可能な限りミの国の兵士を殺し、ミの国の戦力を低めた方がよかった。
元々ミの国は、アの国の周辺にある国の中では小国だ。
そうである以上、戦力そのものは多くはない筈だ。
それでも1つの国がフラオンの――あるいはギブン家の――味方をするというのは厄介である以上、後日の事を思えば戦力は可能な限り削っておいた方がいい。
フラオンやギブン家の口車に乗った以上、その結果は自分達で行った事として素直に受け入れて貰えるだろう。
勿論、その結果を受け入れないというのなら、それはそれで自由だが。
ともあれ、他の戦場はそこで戦っている連中に任せることにして、今の俺がやるべきは少しでも多くミの国の兵士を殺す事だけだ。
『貴様ぁっ!』
挑発に乗り、こちらに向かって突っ込んでくるダーナ・オシー。
そのオーラソードの一撃を回避し、サーバインの振るうオーラソードがダーナ・オシーの胴体を上下真っ二つに斬り裂く。
機体性能の差が激しいというのもそうだが、一合たりともサーバインのオーラソードとやり合える者がいない。
機体性能以外にオーラ力――俺の場合は魔力だが――が関係しているのだろうが。
「次! ……今度はそう来たか」
ダーナ・オシー6機が前後左右上下からそれぞれこちらに向かって攻撃してきた。
1機だけでは敵わないというのを理解した為か、複数で俺に襲い掛かってくる。
自分だけでは敵わないので、仲間と一緒に戦いに挑む。
普通に考えれば、それは決して間違った考えではない。
いや、それどころかこの場合は一番正しいと言ってもいいだろう。
向こうにしてみれば、取れる手段はそれしかないといったことか。
とはいえ、連携というのはあくまでも慣れている者、しっかりと訓練を重ねた者が行うべき行動だ。
それが出来ていない以上、今の状況でこのような真似をしてきても焼け石に水……この場合、ちょっと表現が違うか?
ともあれ、ダーナ・オシーが俺に攻撃するタイミングが、そもそも合っていない。
前後左右上下、それぞれから襲ってきくるダーナ・オシーは、一見どこにも逃げ道がないように思える。
しかし、攻撃のタイミングが外れている以上、それに対処するのは難しくはなかった。
最初に攻撃してきたのは、上から襲ってきたダーナ・オシー。
その一撃を回避すると、そのまま真っ直ぐ下に向かって落下……いや、降下か? していくダーナ・オシーの胴体をオーラソードで切断し、次に前から襲ってきたダーナ・オシーの一撃を回避すると同時に右から襲ってきたダーナ・オシーに体当たりして至近距離から胴体を貫く。
砕くのではなく、貫く。
その一撃によって、右から襲ってきたダーナ・オシーは盾となり、前から襲ってきた相手にその機体を叩きつけ、下から襲ってきたダーナ・オシーに対しては上から蹴りを放つような形でコックピットのある場所を砕いていく。
そんな風にしながら他の方向から襲ってきた相手も次々と倒していき……1分と経たず、前後左右上下から襲ってきた6機のダーナ・オシーは全てが倒されるのだった。
「さて……残りは……いや、もういないか」
何機ものオーラバトラーが俺に倒されたのを見て、さすがにこれ以上ここで戦っても無意味だと判断したのか。
それならもっと早い内に逃げておけばよかったものを。
そうなったら、俺はもう少し楽を出来たんだが。
そんな風に考えつつ、ミの国が撤退したのなら……と、改めて他の戦場に視線を向ける。
そんな視線の先では、トッドのダンバインが吹き飛ばされてトカマクのダンバインに当たり、そのまま2機が纏めて吹き飛ばされていく。
それを誰がやったのかというのは、考えるまでもないだろう。
当然だが、それはつい先程までトッドとトカマクの2人と戦っていたショウのダンバインだ。
ある意味、タイミングがいいような、もしくは思い切りタイミングが悪かったような。
そんな微妙な思いを抱きつつ、俺はそちらに向かう。
「ショウ、まさかドレイクを裏切るとは思わなかったな。それも、俺とマーベルを使ってフラオンや……ましてや、ミの国をも引き込むとはな」
『アクセル・アルマー……ミの国は、もう逃げたのか』
聞こえてきた声は、かなり疲れている様子だ。
なるほど、戦いの中でそれなりに消耗してる訳か。
考えてみれば当然だが、現役の軍人のトッドや元軍人のトカマクと違って、ショウはあくまでも一般人だったのだ。
模擬戦を行いはしたが、模擬戦と実戦は所詮違う。
ギブン家に亡命した後で、ドレイク軍の襲撃に関わっていなかったというのは、少し驚きだったが。
あるいは関わったとしてもここまで大きな戦いではなかったのか。
ドレイクの下にいる時、一応ギブン家との戦いに参加はしたのだが……それも規模的にはここまで大きくはなかった。
ともあれ、俺の前に立つショウは間違いなくかなり消耗していた。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1480
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1664