転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2824話

「トッド、トカマク、聞こえているか? お前達はガラリアの援護に行け。ガラリアだけであの数を足止めするのは難しい」

『分かったよ、ジャップはアクセルに任せるぜ。トカマク、行くぞ』

 

 トッドがそう言い、2機のダンバインはガラリアが戦っている方に向かう。

 見た感じでは、トッドとトカマクの機体はどちらもそれなりに損傷しているように見えたが、それでも戦いを続行出来ない程ではない。

 ましてや、トッドもトカマクも聖戦士だ。……どちらも聖戦士としての格では、どうしてもショウに劣ってしまうが。

 実際、ショウはトッドとトカマクの2人を相手に、ここまで有利に戦っていたのだ。

 とはいえ、トッドとトカマクも一方的にやられた訳ではない。

 ショウのダンバインの持つオーラショットは既に破壊されているし、右腕のショットクローもワイヤー部分を切断されたのか、右腕にショットクローは存在していない。

 ……ただし、言ってみれば損傷しているのはその程度で、オーラソードは普通に持っているし、手足や頭部、胴体といった場所に損傷らしい損傷は存在しない。

 そんなショウのダンバインに向け、俺は少しだけ意外そうに外部スピーカーで話し掛ける。

 

「驚いたな。まさか、こうもあっさり行かせるとは思わなかった」

『アクセルの相手をするんだ。その上で、トッドやトカマクとやり合うつもりはない』

 

 ああ、なるほど。

 どうやらショウの中には俺に対する苦手意識があるらしい。

 考えてみれば当然か。

 ショウがギブン領に亡命する前に、俺とショウは何度となく模擬戦を行っている。

 その中で、ショウが勝った回数は0で、ショウの全敗だ。

 勿論、模擬戦の結果が実戦でも同じとなる訳ではないのだが、それでも今の状況を考えれば、ショウが俺と相対するのに慎重になる理由は理解出来た。

 

「そうか。なら、そのまま降伏してくれると、俺としては楽なんだけどな」

 

 ショウという強力な聖戦士の存在は、ドレイクにとって決してありがたいものではない。

 ギブン家にとっては、それこそショウが切り札なんだろうが。

 だからこそ、この状況でギブン家の切り札たるショウを降伏させるといった事が出来れば、これからの戦いで楽になる。

 にしても……ショウがこの世界の原作の主人公であるのは間違いないのだろうが、そうなると原作ではどうだったんだろうな。

 やっぱり原作でもギブン家に味方をして、ドレイクが敵だったのか?

 けど、今のドレイクを見ている限り、明らかに非があるのはギブン家だ。

 宣戦布告の類もなく、いきなりテロ染みた攻撃をしてきたのだから。

 その上でフラオンに俺やマーベルといった存在をリークし、ミの国も味方に引き入れている。

 その辺の事情を考えると、やはり今回の一件でドレイクに非があるとはとても思えない。

 あるいは、ドレイクも俺との同盟で考えが変わったのかもしれないが。

 無理もない。もしドレイクが俺と敵対するような道を選んだ場合、俺は躊躇なくドレイクを暗殺するだろう。

 それだけの実力が俺にはあるし、そして影のゲートや気配遮断をドレイクが知っている以上、俺と敵対するような真似はそうそう出来ない。

 そういう意味では、俺がドレイクのストッパーになっているといった可能性も否定は出来ないのか。

 まぁ、原作の事はどうあれ、この世界が色々と変わったのは間違いなく、そんな状況でもショウはリムルと共にギブン領に亡命したのだ。

 リムルに色仕掛けでもされたか?

 リムルはドレイクの娘……姫と呼ぶべき存在だ。

 それだけに、原作でもリムルがヒロインだった可能性は否定出来ない。

 他に怪しい人物となると、マーベル、ガラリア、ミュージィといったところか。

 ただ、ガラリアはゼットと、ミュージィはショットといい関係になっていたり、現在進展中だったりするので、そうなると怪しいのはマーベルだったのかもしれないが。

 そんな風に考えながら、俺は視線をショウのダンバインに向ける。

 降伏勧告から30秒程。

 その言葉に、ショウのダンバインは全く反応する様子がない。

 降伏するのかどうか迷っているのか?

 だとすれば、ここで俺から攻撃をするのは不味いな。

 今はショウがどう行動するのかを待っていた方がいい。

 明確に敵対するのなら、攻撃をしてもいいと思うんだが。

 それに……と、俺は他の戦場に視線を向ける。

 フラオン軍の方は、既に半壊状態に近い。

 元々の練度もそこまで高くなかった為か、既にゲドは全機撃墜されており、ドロが何機か頑張っているといった感じだ。

 そしてゼラーナやギブン家の軍。

 そちらもまた、トッドとトカマクが援軍に向かった事で戦局は大きく変わっていた。

 そもそもの話、今までガラリアだけでギブン家を相手にしていて、互角に近かったのだ。

 実際には、ガラリアが数の差で押されており、不利な状態だったが。

 そこにトッドとトカマクといった2人の聖戦士が操るダンバインが援軍に入ったのだから、ギブン家にしてみればたまったものではないだろう。

 2機のダンバインはショウとの戦いでそれなりに損傷してはいたが、それでも戦闘に支障が出る程のダメージではない。

 そうなると、当然ガラリアも奮起し……結果として、先程までの劣勢は嘘だったかのように、ガラリア達が有利になっていた。

 そんな状況なので、ショウがこれ以上動かないというのは俺にとっても決して悪い話ではない。

 とはいえ、それでもショウが大人しく降伏するとは思っていなかったが。

 出来れば降伏して欲しいとは思うが、今まで見てきたショウの性格から考えると難しい。

 ましてや、ドレイクにしてみれば自分の娘を連れてギブン領に亡命したのだ。

 とてもではないが、許されるとは思わないだろう。

 もし許されるとすれば、今回の報酬として俺がショウの身柄を貰うとか。

 とはいえ、そのような真似をしてもショウが裏切るのは確定である以上、鵬法璽を使って魂を縛るしかない。

 ……オーラ力で鵬法璽の効果を破壊するとか、そんな事は出来ないよな?

 

「ショウ、どうするのか決まったか? 大人しく降伏しろ」

『そんな事、出来る訳がないだろう!』

 

 ショウはそう叫び、ダンバインで一気に間合いを詰めてくる。

 へぇ、さすが新たにやって来た地上人の中ではトップクラスの実力者だ。

 そのダンバインの動きは素早く、ミの国の兵士が操縦していたダーナ・オシーとは比べものにならないくらいに素早い動きだ。

 

「だが、甘い」

 

 サーバインに向かって振るってきたオーラソードの一撃を、こちらもまたオーラソードで弾く。

 ギィンッ、という甲高い音が周囲に響く。

 

『くそっ!』

 

 ショウは今の一撃には自信があったのだろう。

 実際に他のパイロットに比べれば鋭い動きだったが、だからといって反応出来ない程ではない。

 

「っと」

 

 オーラソードの一撃を外したショウだが、それで攻撃は終わらない。

 オーラソードを振るった動きを活かす形で、回し蹴りを放ってくる。

 サーバインもそうだが、ダンバインの足にある爪はかなり鋭く、オーラバトラーを破壊する為の武器としても十分に使える。

 だからこそ、今の一撃はショウにとって起死回生の一撃だったのだろう。

 だが、サーバインを後ろに下がらせる事で回避する。

 ダンバインの回し蹴りである以上、当然の話だがその間合いは決まっている。

 オーラソードを振るっているのなら、握っている柄を少し緩める程度でオーラソードを動かし、多少なりとも間合いを伸ばすといったことも可能だ。

 回し蹴りも……そうだな、蹴りを放った時、膝を少し曲げて元々の攻撃の間合いが短いとなっていれば、話は別だろうが。

 そんなダンバインに向けて、ショットクローを放とうとし……だが、ショウはその気配を察知したのか、素早く間合いを取る。

 この辺りの勘の鋭さはさすがだな。

 オーラ力によるものだったりするのか? だとすれば、まるでニュータイプ能力のように思えるな。

 その割には、俺に触れてもニュータイプ能力者のように妙な空間を見たりといったような事はなかったが。

 だが……まだ技術が甘いのは間違いない。

 ダンバインの背後には、ゼラーナの姿がある。

 それを確認してから、オーラショットを構える。

 オーラショットを見た瞬間、ダンバインは回避しようとするが……

 

「いいのか、そのまま回避して。お前の後ろにはゼラーナがいるぞ?」

 

 そう言い、ダンバインが動きを止めた瞬間にオーラショットを放つ。

 このオーラショットは、さすがにショウも回避出来ないと思っていたのだが……

 

『南無三!』

 

 そんな言葉と共にオーラコンバータのスラスターを片方だけに集中させ、半ば強引にオーラショットの一撃を回避する。

 それだけなら、背後のゼラーナに被害が及んだのだろうが、その動きのままでオーラソードを振るい、オーラショットの砲弾を斬り裂く。

 やるな。

 それが、今のショウの行動を見た俺の純粋な感想だ。

 ショウがバイストン・ウェルに来てから、まだそれ程に時間が経っていないことを考えると、その短時間でここまでダンバインを使いこなすというのは高いセンスや才能の持ち主という事だろう。

 あるいは、これこそが主人公の力なのか。

 だが……生憎と、その行動は素早いものの、あくまでも単発のものだ。

 放ったオーラショットの一撃を何とか撃墜したが、その攻撃の後に続くように、2発目、3発目といったようにオーラショットが放たれ……当然のようにショウのダンバインはそんなオーラショットを迎撃しようとするものの、今の神業的な動きを連発するような真似が出来る筈もない。

 結果として、ダンバインの背後にあったゼラーナはオーラショットの攻撃を受ける事になる。

 ただし、ダンバインの背後とはいえ、ゼラーナまではそれなりに距離がある。

 結果として、放たれたオーラショットのうち、無事にゼラーナに命中したのは1発だけ。

 それでもゼラーナの被害が大きかったのは、俺のステータスで射撃の数値が非常に高く、ガンファイトというスキルも習得しているからだろう。

 結果として、それでゼラーナが受けたダメージは大きくなる。

 

『なっ!?』

 

 ショウにとっても、今の一連の流れは予想外だったのか、驚愕の声を発する。

 まぁ、サーバインが使っているオーラショットは、基本的にはダンバインと同じ物だ。

 というか、ダンバインで使っているのを流用している……といった方が正しい。

 元々サーバインの武器はオーラソードだけだったのを、ダンバインとそこまで形状に変化はないので、流用出来るのでは? と試した結果が今だ。

 勿論、ダンバインのオーラショットを何もせず、そのまま流用といったような真似をしている訳ではないのだが。

 だが、改良したところというのはあくまでもサーバインの上腕部にオーラショットも使えるような形で装備するというだけで、オーラショットの弾頭とかそっちの方には手を出していない。

 可能ならそれもいいのかも? と思いはしたが、何しろ、ショットもゼットも色々と忙しかったしな。

 そんな訳で、純粋なオーラショットの威力という点では、ショウが使っている物と変わりはなかった。

 それでもゼラーナに大きな被害を与える事が出来たのは、純粋に命中した場所によるものだろう。

 そしてゼラーナにそれだけの被害が出たとなると、ギブン家の軍隊を相手にしているガラリア、トッド、トカマクといった面々にとっては、大きなプラスとなる。

 ガラリアだけで戦っていた状況でも、防御に専念するといった形ではあったが、ガラリアは1人で対処出来ていた。

 そこにトッドとトカマクの2人が戦いに参加した事で、ガラリアも防御に専念するといったような、性に合わない戦い方をしなくてもよくなった

 実際、聖戦士2人とドレイク軍の中では恐らく最強のパイロットたるガラリアといった3人を相手に、ギブン家の軍は結構な被害を受けていたのだ。

 それでも瓦解するような事がなかったのは、恐らくニーが操縦していると思われるギブン家の軍の中では腕の立つだろうダーナ・オシーが必死に仲間のフォローをしていたというのもあるし、何よりもゼラーナが援護をしているのが大きかった。

 そのゼラーナが大きな被害を受けた以上、このままここで戦っていても勝ち目ははないと判断したのだろう。

 ゼラーナは徐々に戦場から離れていき、その行動と合わせるようにギブン家の軍も戦場から離れていく。

 そして当然そのような事になれば、ショウのダンバインもまた離れていくのだが……

 

「ここで逃がすと思うか?」

 

 この状況でわざわざ相手を逃がす必要もないだろう。

 そう判断し、俺はダンバインを追撃しようとするが……

 

『アクセル王、待って下さい。ここは深追いをしない方がいいかと』

 

 まさか、ガラリアにそんな事を言われるとは思わず、動きを止める。

 

「本当にいいのか? ここで追撃すれば、ショウを倒せるかもしれないぞ?」

『はい。今はまず、こちらの戦力を整える事が必要です』

 

 ガラリアにそう言われれば、俺も無理に追撃を行うような真似は出来なかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1480
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1664

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