転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2828話

 ダーナ・オシーとの戦いは、俺の放ったショットクローの一撃により始まった。

 いやまぁ、正確にはミサイルとオーラショットのやり取りから戦闘が始まったんだし、ミサイルはともかくオーラショットの砲弾によってダーナ・オシーが撃破されているので、ショットクローから始まったというのは、違うのかもしれないが。

 ともあれ、そんな中で戦いが本格的に始まった。

 こちらに向かってオーラソードを振るってくるダーナ・オシーの攻撃を回避し、その横をすり抜けながらコックピットのある胴体を破壊する。

 戦いながらマーベルの方に視線を向けると、そこではダンバインがダーナ・オシーを相手に圧倒的に有利な戦いが行われていた。

 どうやらマーベルの方を心配する様子はないみたいだな。

 

「甘い!」

 

 俺がマーベルの方を見ているのを察したのか、それとも偶然そうなったのかは、分からない。

 それでもタイミング的に悪くはなかった。悪くはなかったが……それでも、ダーナ・オシーが振るうオーラソードの一撃はあまりに鈍いものだった。

 ダーナ・オシーの操縦にそこまで慣れていないのだろう。

 スラスターを使ってサーバインを下に向かって移動させ、オーラソードの一撃が空中を斬り裂いたのを見てから、再びスラスターを使って上に向かう。

 その際、俺が狙っていたのはダーナ・オシーのコックピット。

 斬り裂くのではなく、突きの形で真っ直ぐに進んだのだ。

 サーバインの敏捷性を考えると、その一撃でコックピットを貫くには十分だった。

 そうして生まれる爆発。

 それを見ながら、次! と周囲に視線を向けると、残り2機のうちの1機がマーベルのオーラソードによってオーラコンバータを貫かれ、地面に降下していくところだった。

 破壊したのはあくまでもオーラコンバータで、コックピットはそのままだったが……マーベルの性格を考えれば、それもしょうがないのだろう。

 それにオーラバトラーの中で最重要の部品がオーラコンバータである以上、それを破壊した事でミの国に被害を与えたのは間違いのない事実なのだから。

 そうして残る1機は、見るからに動揺した様子だ。

 どうすればいいのか、それを迷っている。

 まさか、圧倒的に数の多い自分達が一方的に負けるとは思ってもいなかったのだろう。

 ともあれ、当初の目論見通り敵は残る1機にした。

 そういう意味では、このパイロットは運がいいのだろう。

 

「お前は見逃してやる。さっさと行け」

『な……何だと……本気か?』

 

 外部スピーカーで返ってきた声には、戸惑いの色が濃い。

 自分以外が全滅したこの状況で、まさか自分が見逃されるとは思ってもいなかったのだろう。

 とはいえ、別に俺も哀れみや優しさといった感情から最後の1人を見逃す訳ではない。

 ダーナ・オシー10機で2機のこっちに手も足も出ずに惨敗したという情報を持って帰って欲しかったのだ。

 まぁ、そういう意味でなら、実はマーベルが倒したダーナ・オシーの幾つかは、コックピットが無事なままで背後からオーラコンバータを破壊されて地面に落下していったので、まだ生きている可能性が高い。

 ただし、それはあくまでも生きている可能性が高いというだけであって、絶対ではなかった

 何しろ、俺達がいるこの高度は結構な高さを持つ。

 この高度から地面に落下して、生きていられるかどうかというのは……ぶっちゃけ、運だろう。

 そういう意味では、ここで確実に1人を返すというのは悪い選択肢ではない。

 最悪、オーラコンバータを破壊されたダーナ・オシーのパイロット達は運が悪く、全員が墜落死しているという可能性も否定は出来ないのだから。

 そもそも、俺とマーベルに攻撃を仕掛けてきた時点で、運が悪いとしか言いようがないのも事実なのだ。

 

「ああ、本気だ。ミの国のオーラバトラー隊は、そこまで本気で相手をするような連中じゃないからな」

『ぐ……』

 

 あからさまな挑発の言葉だったが、それでも生き残りは何とか怒鳴りつけたいのを我慢している様子が窺える。

 ミの国の戦力をアの国に向けさせない為にも、この連中には俺とマーベルに集中して貰う必要がある以上、もう少し挑発しておくか。

 

「ミの国は元々小国で技術的に見るところがある訳でもない。現在ミの国で採用されているオーラバトラーのダーナ・オシーにしたって、ギブン家からのお情けで技術を貰ったんだろう? まさか、一国が領主の風下に立つとはな。ピネガンは女を落とす実力は大したものかもしれないが、国王としての能力という点では見るべきところはないらしい」

『き……貴様ぁっ! ピネガン王を侮辱するか!』

 

 不味い、少し弄りすぎたか?

 本来なら、挑発するのはもう少しといった程度のつもりだったんだが。

 そう考えるも、幸いにして向こうは頭に血が上ってはいるものの、それでも自分が敵わないと判断しながらも攻撃をしてくるといったような真似はしないらしい。

 

『アクセル』

 

 外部スピーカーではなく、無線機でマーベルが注意してくる。

 俺を見る視線には、微妙に責める色があった。

 少しやりすぎだと、そのような意味を込めた視線。

 そんなマーベルに小さく頷き、改めて唯一この場に残ったダーナ・オシーに向けて声を掛ける。

 

「悔しいのか? 悔しいのなら、俺をどうにか出来る力を持つ事だな。でなければ、ミの国は結局その程度だったという事になる」

 

 そう言い、俺はマーベルと共にその場か飛び去る。

 このままここにいた場合、あの兵士が俺に向かって自殺覚悟で特攻とかしてきかねなかった為だ。

 なら、その対象たる俺がいなくなれば、向こうも多少は頭が冷えるだろう。

 

『逃げるか!』

 

 その言葉に、俺はサーバインの動きを止めてダーナ・オシーと向き合う。

 

「逃げる? それは違うな。お前は俺に見逃されたんだ。それを忘れるな。その屈辱を晴らしたかったら、ダーナ・オシーなんてドラムロよりも性能の低いオーラバトラーではなく、もっと高性能なオーラバトラーを開発するんだな」

 

 その言葉に、今度こそ兵士は何も言えなくなる。

 まぁ、その気持ちは分からないでもないが。

 実際、ダーナ・オシーはドラムロと比べると圧倒的に性能に劣る……とまではいかないが、それでも型遅れと表現してもいい程度は性能が低いのだから。

 今度こそ、それ以上は特に何も言われるような事はなく、俺とマーベルはその場を去る。

 

『いいの、アクセル? あんな風に刺激するような事を言って。あれでミの国が新型のオーラバトラーを開発したら、どうするつもり?』

 

 マーベルが若干の呆れと共にそんな事を言ってくる。

 

「ドレイクには悪いが、それが狙いの1つでもある」

 

 ダーナ・オシーを開発したギブン家だが、それでも結局のところ領主でしかない以上、限界がある。

 いや、国規模でオーラバトラーを開発すれば限界がないのかと言われれば、その答えは否なのだが……それでも領主がやるよりはかなり自由に出来る。

 それはミの国のような小国であっても変わらない。

 勿論、もっと大きな国がそのような真似を出来れば問題はないのだが、ギブン家の伝手があるのは今のところミの国だけである以上、仕方がない。

 俺としては、高機動型のダーナ・オシーはそれなりに見るところがあるので、出来ればダーナ・オシーの後継機を開発して欲しいというのが正直なところだ。

 そういう意味で、ミの国には頑張って貰いたい。

 ドレイクにしてみれば、何て真似をしてくれるといったように不満を抱くかもしれない。

 だが、俺にしてみればその方が利益があると思えるのだから、そのような選択をするのは当然だった。

 

『まぁ、いいけど。また、バーンに色々と言われるかもしれないわよ?』

「言わせておけばいい。昨日の戦いでそれなりに活躍したとはいえ、色々と不始末が重なっている今のバーンにしてみれば、以前よりも影響力は落ちているしな」

 

 昨日はフラオン軍を相手に獅子奮迅の活躍をしたのは事実だ。

 だが、ぶっちゃけフラオン軍は弱い。

 それを倒したところで、そこまで大きな功績になるとは思えないが……まぁ、フラオンの軍であるというのが重要なんだろう。

 フラオンはアの国の国王であるというのは、この場合大きな意味を持つ。

 軍の実力的には、ギブン家の方が圧倒的に上だ。

 それでもギブン家は結局のところはアの国の領主の1人でしかない。

 その辺の事情を考えれば、やはりガラリアやトッド達とバーンのどっちの手柄の方が上かとなると、後者になってしまうのだろう。

 勿論、フラオン軍に攻撃をしたのはバーンだけではない。

 それどころか、マーベルが最初に攻撃をしたのが大きな役割を持っていた。

 しかし、ドレイクにしてみればマーベルはあくまでも俺の部下だ。

 そうなると、やはり一番活躍したのはバーンであるという認識になるのだろう。

 あるいはギブン家との戦いでドレイクを裏切ってリムルを連れ去ったショウを倒すといった事になっていれば、まだ話は違ったかもしれない。

 だが、トッドとトカマクはショウを倒せず、途中から俺が代わった。

 とはいえ、俺もショウを倒すようなことは出来ず、結局逃げられたのだが。

 

『その件はそれでいいとして、これからどうするの? もうルフト領に戻る?』

「いや、結局機械の館を襲撃していないしな。……さっきの逃げていった奴を追えば、機械の館を発見出来たかもしれないが、最初の敵だけに俺達の件を知らせて貰いたい」

『じゃあ、もう少しこの辺を飛ぶ?』

「そうなる。出来れば機械の館を見つけたいところだが……あ……」

 

 飛びながら地上の様子を見ていた俺は、言葉と同時に機械の館らしき場所を発見する。

 ある意味、俺の言動がフラグだったのかもしれないな。

 そして俺が言葉を止めたところで、マーベルも俺が見つけた機械の館を見つけたのだろう。

 

『あら、さすがアクセルね』

 

 そう言ってくるマーベルが、若干呆れた様子で告げてくる。

 

「そうだな、さすが俺だな。ともあれ折角見つけたんだ。ミの国の機械の館を破壊するとしよう。敵が出て来るかどうかは分からないが、出来れば出て来て欲しいところだな。だから、最初に攻撃した後で少し様子を見るぞ」

『分かったわ』

 

 マーベルが俺の言葉にそう返事をするのを聞くと、そのまま眼下に見える機械の館に向かって急降下していく。

 その機械の館は、俺が予想した通り隠されているような場所ではなく、街道の側に堂々と存在していた。

 まさか、ミの国がいきなり攻撃を受けるような事になるとは思ってもいなかったのだろう。

 俺にしてみれば、甘いとしか言いようがない。

 だが、それはあくまでも影のゲートを使える俺だからこそ言える事で、今までのバイストン・ウェルの常識を考えれば、とてもではないがそんな事を考える必要もなかったのだろうが。

 これまでのバイストン・ウェルの常識という点で考えれば、それこそオーラバトラーとかはその常識以上の存在と言っても間違いないだろうけど。

 そんな風に考えつつ、眼下の機械の館との距離が近くなったところで、オーラショットを撃つ。

 隣を見ると、マーベルのダンバインも俺から少し遅れてオーラショットを撃っていた。

 そうして放たれた砲弾は、真っ直ぐ機械の館に向かって飛んでいき……やがて、命中する。

 連続して発射されたオーラショットだけに、機械の館には大きな被害を与える事に成功した。

 これがギブン家なら、自分達が狙われているというのを理解しているので、そもそも隠された場所に機械の館を建てるのだが、ミの国にしてみれば自分達が襲われるとは全く考えていなかったのだろう。

 結果として、機械の館は大きなダメージを受ける事になる。

 

「さて、どう出る?」

 

 攻撃されるつもりがなかったとはいえ、それはあくまでもミの国の認識だ。

 ドレイクに協力している俺達にしてみれば、攻撃対象なのは間違いなかった。

 そんな訳で上空から攻撃をしたのだが……そのまま1分程が経過しても、敵が出て来る様子がない。

 

『アクセル、もしかしてあの機械の館は使われてないんじゃない?』

 

 マーベルがそんな風に言ってくるが、見た感じ機械の館そのものはまだ建てられたばかりといったように、新しい。

 もしこの機械の館が使われていないとすれば、それは機械の館を建造したばかりで、まだここに技術者やダーナ・オシーを始めとしたオーラマシンの部品といった諸々が運び込まれていない事を意味している。

 あ、でもミの国の現状を考えれば、そんな風になっている可能性も否定は出来ないのか?

 一応細々とオーラマシンの技術を得て、それを育ててきたギブン家と違い、ミの国はそのギブン家から技術の提供を受けたといった形だ。

 そうだとすれば、一気にオーラマシンの技術が入ってきた形で、それを処理しきれないという可能性は否定出来ない。

 そう思って不安を感じていたのだが……やがて、機械の館から5機のダーナ・オシーが出て来たのを見て、安堵するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1505
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1669

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