機械の館から姿を現した5機のダーナ・オシー。
最初は出て来るのが遅かったので少し心配したが、それでもようやく姿を現した事で安心していたんだが……
「何だ、あの4機」
空を飛んでいる5機のダーナ・オシーのうち、4機はあからさまに動きがぎこちない。
それもちょっとやそっとといった様子ではなく、見て分かる程に動きがギクシャクしてるのだ。
例えるのなら、本来なら空を飛ぶのに必要な力は1であるとすれば、そのぎこちなさで5……いや、7くらいの力を使っているような感じだ。
唯一普通に空を飛ぶことが出来ているダーナ・オシーも、ドレイク軍のレベルで考えた場合、平均より若干下といった程度だ。
勿論、それは俺が鍛えたおかげだったり、オーラバトラーを開発した軍に所属しているという自負だったり、何よりもしっかりと基本から学ぶ事が出来たからというのが大きいだろう。
……なるほど。
そう考えると、この機会の館は新兵の訓練所的な意味を持っている施設だったのかもしれないな。
だからこそ、5機のダーナ・オシーのうち1機だけがしっかりと動けるパイロットで、残り4機は見るからに動きが鈍いのだろう。
『アクセル、どうするの?』
マーベルがそんな風に聞いてくる。
マーベルにしても、あの4機のダーナ・オシーは倒していいものかどうか迷っているのだろう。
「ミの国の戦力は減らしておいた方がいい。今はまだ操縦技術が未熟でも、この先にはどうなるか分からない。なら、今のうちに倒してしまった方がいいだろう。……とはいえ、マーベルにそういう連中との戦いは向かないだろうから、マーベルはあの中で一番動きのいい奴を頼む」
動きのいい奴というか、唯一オーラバトラーをまともに動かせる奴といった方が正しいのだが。
ともあれ、優しい性格のマーベルだ。
敵が問答無用で攻撃をしてくるのなら、それを迎撃するのに躊躇するような事はないだろうが、ああいう風に訓練中の新兵を相手にするとなれば、やはり困ってしまうだろう。
『いいの?』
マーベルにしても、俺にそんな戦いを任せる事には色々と思うところがあるのか、そんな風に尋ねてくる。
とはいえ、マーベルに新兵を……あるいはパイロット候補生とも言うべき相手を殺せるとは思えない以上、俺が戦うのが最善なのは間違いない。
「ああ。こうして戦場に出て来ている以上、向こうも命懸けで戦いを挑んで来てるんだ。なら、こっちもそれに応じる必要はある」
本来なら、あの程度の技量で戦場に出るというのは自殺行為でしかない。
それでもこうして戦場に出て来るという事は、それだけの理由があるのだろう。
そして1人や2人ならまだしも、4人もがそのような事を考えるとなると……思いつくのは、ピネガンに対する忠誠心だろう。
少なくても、ミの国においてピネガンの人気が高いというのはこれまでの件から明らかだ。
正直なところ、何故そこまで? と思わないでもないが。
ピネガンにしてみれば、今の状況は色々と思うところがあるのは間違いないだろう。
いや、あるいは全てを知った上で兵士達をコントロールしているとかなら、それはそれで面白いと思うが。
ともあれ、この状況で攻撃をしないという選択肢は俺にはない。
「じゃあ……腕利きの相手は頼むぞ!」
そう言い、スラスターを全開にして一気にダーナ・オシーの群れに突っ込んで行く。
1機はともかく、他の4機は操縦に慣れていないのは明らかだ。
動きを見ればそれは一目瞭然だったが、それ以外にも俺の操縦するサーバインが真っ直ぐ自分達に向かって突っ込んできたのを見ると、動揺して見るからに動きを乱す。
普通に飛んでるだけでも、その4機のダーナ・オシーは動きが滅茶苦茶なのは明らかだった。
もしかして、5対2という数の差で、数の少ない方が自分達に向かって突っ込んでくるとは思わなかったのか?
いやまぁ、普通に考えればそんな風に判断してもおかしくはないんだが。
しかし、それはあくまでも普通に考えた場合の話だ。
現在の俺達とミの国の兵士では、とてもではないが普通に考えろという方が無理だろう。
向こうは5機だが、ドレイク軍の平均よりも下の操縦技術の持ち主と、ろくにダーナ・オシーを使いこなせていない新兵が4人。
それに対して、こっちは俺とマーベルという、オーラバトラーの使い手としては一流と呼ぶべき実力の持ち主だ。
そうである以上、この状況でこっちが慎重に行動に出るといった必要はない。
「まずは、1機!」
サーバインのスラスターを全開にして、一番端にいるダーナ・オシーとの間合いを詰め、オーラソードを振るう。
相手はオーラソードの一撃を全く回避出来ず……どころか、回避運動をとるような事もなく、ダーナ・オシーはあっさりと胴体を切断される。
腕のいいダーナ・オシーは、仲間があっさりと殺されたのを理解してこちらに攻撃をしようとしてくるが、マーベルの一撃がそれを阻止した。
そうして動きのいい敵は何も出来なくなり、俺は次のダーナ・オシーに攻撃をする。
さすがに仲間が撃破されたとなれば、残り3機も多少なりとは対応しようとする。するのだが……
「それは悪手だろ」
敵の中に入り込んだサーバインに向かい、ダーナ・オシーの1機がミサイルを発射した。
俺が最初に端のダーナ・オシーを攻撃した時にミサイルを撃つのなら、まだ納得出来た。
だが、俺が敵の中に入り込んだ状況でそんな真似をすればどうなるのか。
元々ミサイルの速度もそう速いものではない以上、オーラバトラーなら不意を突かれない限り回避するのは難しくない。
そうしてサーバインのいた空間を貫いたミサイルは、そのまま背後にいた別のダーナ・オシーに命中する。
幸いコックピットのある胴体に命中するといったような事はなかったのだが、オーラソードを持っていた右手を肩から破壊されてしまう。
基本的に近接戦闘を行うオーラバトラーだけに、オーラソードを失うというのはかなり不利だ。
いやまぁ、足の爪とか攻撃する方法はない訳でもなかったが。
とはいえ、そうして損傷した敵を俺が見逃すといったような事をする筈もなく、仲間の攻撃で損傷したことによって動揺しているダーナ・オシーの方に向かうと、素早くオーラソードの一撃を放つ。
コックピット諸共胴体を切断されたダーナ・オシー。
これで2機。
残りは2機だな。
仲間を攻撃して動揺している相手に向かって、真っ直ぐに突っ込む。
半ば反射的にだろう。ミサイルランチャーを投げつけてくるのを回避しながら、コックピットを貫く。
これで3機。
残り1機はと探すと……こちらに背を向けて逃げ出すところだった。
「逃がすと思うか?」
これが最初に遭遇した敵なら、見逃してもよかったんだが。
既にもうこっちの意図を知らせる為に……そしてミの国を挑発する為のメッセンジャーは用意されている。
そうである以上、例え新兵であってもここで敵を見逃すといった選択をする訳にはいかなかった。
元々、サーバインとダーナ・オシーでは、機体性能が違いすぎる。
その上、向こうのパイロットは新兵と思しき存在で、オーラバトラーの操縦技術という点でも、明らかに未熟だ。
そんな技術で俺に戦いを挑んで来た無謀さを呪うんだな。
スラスターを全開にし、即座に逃げるダーナ・オシーとの間合いを詰めると、後ろからオーラコンバータを貫き……その先にあるコックピットをも貫く。
ダーナ・オシーが爆発する前に、その背中を蹴って移動する。
そうして瞬く間に4機のダーナ・オシーを倒し、マーベルの方はどうかと思って視線を向けてみると、そこではダンバインの放ったオーラソードの一撃により、胴体を切断されたダーナ・オシーの姿があった。
今までの戦いで理解はしていたけど、マーベルも敵に対する容赦というのは捨てたらしい。
まぁ、敵でも生かしておきたいとか、そんな風に考えるような奴だったら、この先の戦いで生き残れるかどうかは微妙なところだから、悪い事ではないのだが。
何よりも、敵にはショウがいる。
それを思えば、マーベルにはその辺で躊躇して欲しくはなかった。
『アクセル、機械の館はどうするの?』
敵を全機全滅させたことによって戦いが終わると、マーベルがそう俺に尋ねてくる。
それに対する返事は決まっている。
「勿論、破壊する。とはいえ……追加の戦力が出て来たりしないところを見ると、恐らくこの機械の館はそこまで頻繁に使われてるような場所ではないような気もするけど」
新兵の訓練用に使われていたのだろうが、もし他に新兵がいるのなら、追加の戦力が出て来てもいい筈だ。
それが来ないという事は、あの機械の館には戦力となる者はそもそもいないか……もしくは、オーラバトラーのパイロット、もしくはパイロット候補はいても、肝心のダーナ・オシーは存在しないといった感じなのかもしれないが。
あるいは、兵士はいなくても技術者がいる可能性もあるが……ともあれ、機械の館を破壊することによってミの国にダメージを与えられるのは間違いないのだから、見逃すという選択肢はなかった。
そんな訳で、地上にある機械の館にオーラショットを連続して撃ち込む。
直接降りていって、何か重要そうな代物であれば奪ってもよかったのかもしれないが、今はそれで無駄に時間を消費したりせず、少しでも多くの機械の館を破壊したり、ミの国で採用したダーナ・オシーを撃破したりといったような真似をする必要がある。
だからこそ、今はそんな真似をして時間を潰す必要はなかった。
……まぁ、ダーナ・オシーではなくゼラーナがあったりすれば、また話は別だったのだろうが。
今回の仕事の報酬として、オーラバトルシップを建造して貰う契約にはなっている。
だが同時に、ナムワンよりも性能の高いゼラーナを確保しておいて悪いといったようなことがないのも事実なのだ。
オーラマシン関係の技術で開発された代物は、少しでも多く確保しておきたいし。
ホワイトスターに戻った時、間違いなく技術班はオーラバトラー系の技術に興味を示すだろうし。
出来れば、ショットかゼットのどっちか……あるいは、双方共にシャドウミラーに所属してくれれば助かるんだが、そんなに上手くいくとも限らないしな。
ともあれ、上空からのオーラショットの一斉発射によって機械の館は壊滅する。
ただ、ぶっちゃけ建物を破壊するのなら、オーラショットよりもドラムロのフレイボムの方が燃やして被害範囲を増やせるという意味では、そちらの方が向いてるのかもしれないな。
ダンバインもサーバインも、フレイボムを装備していない以上、どうしようもないのだが。
あるいは、俺の空間倉庫の中にはドラムロも入ってるので、マーベルにはそっちに乗って貰うというのも……けどなぁ、折角ダンバインという高性能機に乗っているのに、それをわざわざ性能の劣るドラムロに乗せるのもどうかと思う。
いっその事、ドラムロに乗っているドレイク軍の誰かを連れてくるというのもありだな。
ただし、そのような真似をした場合は俺達だけで依頼をこなせなかったということで、報酬が減るといったような事にもなりかねないのだが。
「さて、取りあえず次だ。ミの国の目がアの国に向かないよう、徹底的にこっちに注意を向けさせるぞ」
『今までの行動で、挑発行為としては十分だと思うけど』
そうマーベルが言ってくるが、実際その言葉は間違ってはいないと思う。
ただし、今の状況では少しでもミの国に被害を与えておいた方が、後々フラオンを倒してアの国を手に入れたドレイクがこの国に攻めこんできた時、有利になるのは間違いない。
「いや、ミの国の被害は大きければ大きい程にいい。……とはいえ、思ったよりも機械の館が多くないというのは、少し残念だな。国の規模なんだから、もっと多くてもおかしくないと思ったんだが」
『国の規模だから、じゃない? ルフト領やギブン領は、結局領地の1つでしかないでしょう? それが国1つとなると、どうしても国土が広くなってしまう分、持っている機械の館の数が多くても、見つけるのは難しくなるでしょ』
「ましてや、少しずつ機械の館を増やしてきたルフト領や、そのルフト領から情報を盗んで技術を蓄積していたギブン領とは違って、急に情報を入手したとなると、一気に大量の機械の館を建てるのは無理、か」
機械の館は、そう簡単に大量に用意出来るものではない。
ましてや、ミの国は小国だ。
それこそ、下手をすればアの国どころかその領地の1つであるルフト領と同じ位の力しかないのではないかと……場合によっては、ルフト領よりも低い力しか持っていないという可能性も否定は出来ない。
「機械の館が少ないのなら、それを1つ破壊すればミの国に与えるダメージは大きくなるという事になるな」
俺の言葉に、マーベルは少し考えた後で同意するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1525
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1673