マーベルが森に向かった事で、ナムワンの存在に気が付かれたと判断したのだろう。
ショウのダンバインは一瞬動揺した様子を見せる。
この辺、オーラバトラーの操縦をする際に、普通に操縦するのではなくオーラ力とかを使って想像力で動かすというのがマイナス意味で出るよな。
パイロットが動揺しているのが、如実に表れるのだから。
「さて、ショウ。出来れば投降してくれると、こちらとしては楽でいいんだが? お前も、俺と戦って勝てるとは思っていないだろう?」
『ふざけるな! ドレイクに味方をするという事が、どういう事なのか分かるのか!?』
俺の言葉に、ショウが外部スピーカーでそう告げる。
ショウにしてみれば、ギブン家から……いや、リムルから色々と吹き込まれているのだろうから、ドレイクの味方をする訳にはいかないと、そう思っているのだろう。
色仕掛けなのかどうかは分からないが、厄介な真似をしてくれる。
「俺としては、寧ろギブン家に味方をするのがどうかと思うけどな。お前も一時的にドレイクの下にいたのなら、ギブン家が宣戦布告も何もなく、攻撃を……テロをしてきたのを知ってるだろう?」
それこそ、ショウ達地上人のお披露目として行われた園遊会とか。
そこにいきなりギブン家の戦力が襲ってきたのを、それこそショウは襲撃された方の人物として、実際に体験した筈だった。
にも関わらず、何故ギブン家の説明だけを信じるのかが、正直理解出来ない。
『だが、ドレイクはフラオン王を攻撃した! 仮にも主君に対してだ!』
いや、それは事実だが……そもそもフラオンが先にドレイクを裏切ったのだ。
というか、フラオンがドレイクを攻撃した理由は、俺とマーベルがルフト領にいるという情報をショウやリムル繋がりでギブン家経由でフラオンが知ったからだろう。
そう考えれば、今回の一件は正直なところギブン家が全ての原因と言ってもいい。
「なら、ドレイクは一方的にフラオンに攻撃されていればよかったと? そもそも、俺とマーベルがフラオンに指名手配されたのは、フラオンが自分の欲望の為に俺とマーベルを捕らえようとしたのが原因だぞ?」
実際、もしあの時にフラオンに捕まっていればどうなっていたか。
ぶっちゃけ、影のゲートがあるので逃げるのは難しくはない。
だが、俺はともかくマーベルはかなりショックだっただろう。
地上では普通の大学生だったマーベルは、当然ながら警察に捕まったりといったような事はない筈だ。
そうである以上、マーベルにしてみればバイストン・ウェルというファンタジー世界で捕まるというのは、それこそ許容出来ないだろう。
地上界では、マーベルの住んでいたアメリカとかなら、最低限の待遇は受けられる。
だが、このバイストン・ウェルにおいては、人権? 何それ美味しいの? といったようなものでしかない。
その上でマーベルのような美人ともなれば、女として最悪の経験をしないとも限らない。
……とはいえ、フラオンが欲しがったのは地上人のマーベルと俺――実際には違うが、フラオンは間違いなくそう認識していた――であった以上、幾らフラオンが愚王であっても、捕らえた俺達に何か妙な真似をするかどうかは分からなかったが。
『それは……けど、そもそもドレイクがオーラマシンなんか開発させなきゃ、バイストン・ウェルでこんな事にはならかった筈だ! それに、俺だって無理にバイストン・ウェルに召喚されるような事もなかった!』
「まぁ、それは否定出来ないな。だが、ドレイクにしてみれば、領主として自分の領地を富ませる為に行った事だ。実際、ドレイクが治めているルフト領は、かなり栄えている。それこそ、フラオンが直接治めているエルフ城周辺よりはな」
『それを言うのなら、ギブン領だって栄えているぞ! それこそ、オーラマシンの類は殆ど使わないでだ!』
「だろうが。けど、実際にオーラマシンがあればもっと楽に領地を富ませることが出来るのも事実だ」
俺が聞いた話によると、ピグシーとかを農業に使うといったようなことが計画されているらしい。
また、ドロのおかげでルフト領にいたガロウ・ランの盗賊団も排除することが出来た。
そしてオーラバトラーのおかげで、恐獣が出て来てもそれに対処出来るようになったのだ。
その辺の事情を考えれば、オーラマシンがもたらした恩恵はかなり大きい。
馬車の荷物運びも、ユニコンの代わりにピグシーがやったりもしているらしいし。
「ともあれ、これ以上は話しても無駄か。ショウはどうあっても降伏をするつもりはないんだろ?」
『当然だ』
即座に断言される。
ドレイク軍というのは、決して居心地が悪いような場所じゃないんだがな。
いやまぁ、バーンやルーザみたいにこちらを敵視する奴はいるし、それ以外にも今はいなくなったがリムルのように悪しきオーラ力の持ち主と断言されたりもする。
だが、それはあくまでも俺だからだ。
ショウがドレイク軍に所属していても、バーンは寧ろ面倒見がよかっただろう。
……あるいは召喚された日に殴られたことを根に持ってるのかもしれないが。
「なら、これ以上は話しても意味はないな。後は、もうやるのは……力で己の意思を突き通すのみだ!」
そう言い、俺はサーバインのオーラコンバータを使い、ショウのダンバインに向かって間合いを詰める。
ショウもまた、俺に対して迎撃しないという選択肢は存在しないのか、オーラショットを撃つ。
勿論、ショウも俺に攻撃を命中させることが出来るとは思っていないだろう。
オーラショットの攻撃は、あくまでも牽制だからだ。
そんな攻撃に対し、俺はサーバインの姿勢を少し変えるだけで攻撃を回避する。
ショットやゼットの技術力があれば、近接信管とか作れてもおかしくはないと思うんだが。
まぁ、それがないおかげで、こうして楽に敵の攻撃を回避出来るのだが。
そういう意味では、俺にとって現在の状況は決して悪くはないと思う。
オーラショットを回避しながら間合いを詰め、オーラソードを振るう。
ただし、俺が要請されているのはあくまでもショウを生け捕りにする事だ。
そうである以上、コックピットを狙うような真似は出来ない。
『なんとぉっ!』
ダンバインの右腕を切断しようとする一撃は、オーラソードによって受け止められる。
へぇ、この一撃を受け止められるのか。
やっぱり、ギブン領に亡命してから積んできた実戦経験から、ショウの技量は俺が予想した以上に上がっていたのだろう。
だが……甘い!
オーラソードの一撃を受け止めたショウだったが、その刀身を絡めるようにしてダンバインの手から奪い取る。
『なっ!?』
まさか、そのような真似をされると思っていなかったのか、ショウのダンバインから驚きの声が上がった。
オーラバトラーの操縦に関しては、想像力が大きな意味を持つ。
T-LINKシステムを使っての操縦に慣れている俺としては、オーラバトラーの操縦に関してはかなりの優位性を持つ。
『ちぃっ! なら、これでも!』
そう言い、ショットクローを放つダンバイン。
だが、俺はサーバインを移動させて、その攻撃をあっさりと回避する。
サーバインの性能を考えれば、この程度はそう難しい話ではない。
そうして攻撃を回避、ショットクローのワイヤーをオーラソードで切断する。
そもそも、ショットクローは俺がショットやゼットにKMFのスラッシュハーケンを参考にして提案した武器だ。
当然だが、その使い方は俺の方が詳しい。
……いやまぁ、何だかんだと俺がKMFに乗った事は殆どないんだけどな。
それでも敵として戦ったり、仲間として一緒に戦ったりといったような事をしているので、KMFの戦い方はよく理解している。
高い運動性と機動性を持つという意味では、KMFもオーラバトラーも兵器の性質的に似ているのは間違いないんだよな。
特に苦労もなく、最初のオーラバトラーのゲドですら普通に空を飛んでいるのを考えると、KMFを開発したり使っていたりした面々にしてみれば、非常に羨ましい事なのはまちがいないだろうが。
勿論、ショウが俺の思いも寄らないショットクローの使い方をしてくるという可能性は否定出来ない。
そもそもの話、ショウは恐らくこの世界の主人公だ。
主人公である以上、いざという時に一発逆転の方法を思いついたりするというのは、決して有り得ない事ではない。
もっとも、ショウが主人公だというのはあくまでも俺の予想でしかないが。
唯一の日本人という点から、多分間違っていないと思う。
あるいは、この世界の原作が実は日本ではなく海外で作られたなら、ショウが主人公ではない可能性もある。
……マーベルやトッド、ショットといった連中がいるのを考えると、アメリカで作られたアニメか?
何しろショウはドレイクから見ればテロリスト集団と呼んでも間違いない勢力に味方をしているのだから、その可能性は否定が出来ない。
まぁ、だからといって俺のやるべき事が変わる訳ではないのだが。
ショットクローを切断すると、俺はサーバインを一気に前に進ませる。
『くっ!』
ショウにとっては、ショットクローがあっさり切断されるというのは完全に予想外の光景だったのだろう。
実際、ショットクローはその先端についている場所もそんなに大きくないし、ワイヤーの部分も切断するとなると、それなりに難しい。
だが、それはあくまでもそれなりに難しいのであって、俺の操縦するサーバインならその辺りに対処するのは難しい話ではなかった。
そうして間合いを詰めると、ダンバインは蹴りを放ってくる。
ただし、ダンバインの足の爪は非常に鋭く、それこそオーラバトラーの装甲程度なら容易に斬り裂くだろう威力を持っている。
勿論、それは当たればの話だが。
「俺を相手に大技か、それは少し侮りすぎじゃないか?」
オーラコンバータを使い、後方に軽く退く。
すると、いわゆるサマーソルト的な蹴りを放ったダンバインの足が、サーバインのすぐ前の空間を斬り裂いていった。
ショウにしてみれば、まともに戦っても俺に勝てない以上、起死回生の奇襲といったつもりだったのだろう。
それは悪くない。悪くはないのだが、せめてこんな大技を出す前にサーバインの体勢を崩すとか、もしくは上半身に攻撃を集中させて意識を逸らさせるとか、そんな風にするべきだった。
この辺、多少実戦経験を積んでも、結局はまだ戦いそのものに慣れていないといったところか。
初めて召喚された時にバーンに攻撃をした時の事を思い出すと、空手の類は嗜んでいるようだが。
それでも、オーラバトラーを使っての格闘戦に空手の動きを流用するといった真似は出来ていない。
サマーソルトというのは、決まれば威力の高い一撃ではあるが、攻撃をミスした場合は相手に大きな隙を見せる事になる。
実際、俺の前にはダンバインの背中……オーラコンバータがあり、俺はそこにオーラソードを叩きつける。
もしショウを殺す気なら、オーラソードを叩きつけるのではなく、オーラコンバータを突き刺すといったような真似をしただろう。
そうすれば、オーラコンバータを貫通してコックピットにも致命的な一撃を与えていた筈だ。
しかし、今回のようにオーラソードの刀身の部分で、斬るのではなく叩くといったような真似をした場合、相手にダメージを与える事は出来るが、それは致命傷とはならない。
元々俺がバーンから頼まれていたのは、ショウを殺す事……ではなく、生け捕りにする事だ。
その理由としては、説得するのか、情報を引き出すのか、はたまた公開処刑でもするのか。
その辺りは俺には分からないが、そういう意味ではバーンがショウの身柄を欲しているのは間違いない。
あるいは、ギブン家がダンバインに何らかの改良をしたという情報を得て、その上でダンバインを欲した……というのも可能性はあるか?
そんな事を考えながら、オーラコンバータを破壊されながら吹き飛んでいくダンバインにショットクローを発射。
先端部分でダメージを与えるのではなく、その機体にワイヤーを絡め……
「食らえ」
その言葉と共に、サーバインにだけ搭載された機能……ショットクローを通してダンバインの機体に電撃を流す。
『うわああああああああああああっ!』
『ショウ、ショウ!』
……うん? 何だ?
てっきりダンバインに乗ってるのはショウだけかと思っていたんだが、どうやらショウ以外にもいるらしい。
ああ、フェラリオか。
それもオーラバトラーの大きさを考えれば、妖精に似たミ・フェラリオの方。
電撃でダメージを受けてないのは、コックピットの中で飛んでるからか?
ともあれ、ミ・フェラリオがいるのなら、このまま電撃を流し続けたら向こうにも被害が出る可能性がある。
そう判断し、ショウが気絶したのを通信状況から確認した上で電撃を止めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1525
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1673