俺がダンバインを捕らえ、それを見せつけるようにショットクローでぶら下がったまま動けない状態にしながら戦場を移動すると、見て分かる程にギブン家の士気は下がった。
ギブン家にしてみれば、ショウというのはドレイクに召喚されつつも、悪しきオーラ力を感じてギブン領に亡命してきた聖戦士だ。
ある意味では、ギブン家にとって武力の象徴とも言うべき存在だった。
実際、ショウのオーラ力とパイロットによってその性能を極端に上げる事が出来る能力を持つダンバインというのは、非常に相性がいい。
もしショウがドラムロやダーナ・オシーといったオーラバトラーに乗ったとしても、それなりに活躍は出来るだろうが、それでもダンバインに乗っている程活躍するのはまず無理だろう。
だからこそ、そんなギブン家の象徴にすらなっていたショウのダンバインを捕らえたというのは、ギブン家の者達にとっては大きな衝撃を与える事になるし、その士気を下げるという意味でもかなり効果を発揮する。
その結果、どうなるか。
答えは簡単で、何機かのオーラバトラーが撤退しようとする。
それでも何機かといった程度だったのは、ギブン家に対して忠誠を誓っている者が多かった事の証だろう。
あるいは、ギブン家の軍はギブン領の住人によって成り立っているから、というのも影響しているのかもしれないな。
このままバーン達にギブン領を占領されれば、そこに住む人々は罰せられるかもしれないと思い、家族や恋人、友人を守る為に逃げないといったところか。
実際にバーン率いるドレイク軍がギブン領を占領したとしても、そのような真似をするかどうかというのは微妙なところだと思うんだが。
ドレイクにしてみれば、わざわざそんな真似をしてギブン領の住人の恨みを買うような真似をすれば、統治する時に面倒な事になるのは分かるだろうし。
ああ、でもバイストン・ウェルはファンタジー世界だからな。
占領した場所の略奪や暴行といったのは寧ろ常識といった可能性もある……のか?
その辺の認識はどうなのか、具体的には分からない。
分からないが、それでも今の向こうの様子を見れば、向こうはそんな風に思っていてもおかしくはない。
『向こうの最大戦力は捕らえた! 残るは雑兵ばかりだ! ドレイク様の名の下に、みっともない真似を見せることは許さん!』
バーンのドラムロから、戦場に声が響き渡る。
こうして素早く行動する辺り、さすがだな。
機を見るに敏と言うべきか、それとも小賢しいと言うべきか、微妙なところだが。
とはいえ、バーンのその言葉でドレイク軍の気が引き締まったのも事実。
ショウとダンバインという最大戦力を俺に捕らえられたにも関わらず、この場に踏みとどまっているギブン家の軍に向かって攻撃を開始する。
ちなみに映像モニタではマーベルが地上に潜んでいたナムワンを行動不能にしている光景が映し出されていた。
ブリッジを破壊するような真似をすれば一番手っ取り早いのだろうが、マーベルはナムワンの機銃を次々と破壊していき、最終的には完全に攻撃手段を奪っている。
一応ナムワンには機銃以外にオーラキャノンという主砲もあるのだが、それは艦の下にあり、現状では自由に敵を狙うといったような真似は出来ないらしく、こちらもまたマーベルのダンバインによって破壊されていた。
ブリッジを破壊しないのは、マーベルの性格故か。
バイストン・ウェルに来た事で、人を殺す経験をしたマーベルだったが、だからといって好んで人を殺す訳ではない。
殺さなくてもいいのであれば、それもいいと考えてもおかしくはない。
ましてや、今回の戦いはあくまでもバーンからの要望によるもので、手助けをするのが目的だ。
その辺を考え、対処してもおかしくはない。
戦いが再開したのを確認すると、俺はバーンに通信を送る。
「バーン、捕らえたショウはどうする? 本陣まで連れていけばいいのか?」
『は。そうして貰えれば助かります。前もってアクセル王がショウ・ザマを捕らえてくるというのは言ってありますので、面倒をお掛けしないかと』
「分かった。なら、そうするよ。言っておくがショウはギブン家の中でも最大戦力だ。そのショウが捕らえられているとなれば、当然だが向こうは助け出そうとする筈だから、気をつけろよ」
ギブン家にしてみれば、ショウという戦力はドレイク軍と戦う上で必須の相手だ。
それだけに、捕虜になってしまったからといって見捨てるような真似はしない。
間違いなく、ショウを助け出そうとするだろう。
そのついでに、ドレイク軍のオーラバトラーを奪ったり、補給物資の類を燃やしたり……といったところか。
『お任せを。ギブン家が何を考えていようとも、私が倒してみせましょう』
自信満々に言うバーン。
そこまで言うのなら、俺からはこれ以上何かを言ったりする必要はないか。
「分かった。なら、俺は退く。……マーベル、本陣に戻るぞ」
ナムワンを無力化したマーベルにそう告げると、白いダンバインはすぐこちらに戻ってくる。
『お疲れ様』
「そこまで疲れるような事じゃなかったけどな。ただ、ショウの実力は間違いなく伸びているけど」
以前模擬戦を行った時や、この前のフラオンが裏切った時の戦いの時と比べても、明らかに操縦技術は上がっていた。
今はまだマーベルの方が強いだろうが、この先も今までと同じように速度で強くなっていけば、いずれマーベルを追い越してもおかしくはない。
マーベルも、結構訓練しているんだけどな。
この辺は主人公かどうかというのが関係しているのか。
『そうね。ナムワンと戦いながら、そっちの方は見ていたわ。正直なところ、ドレイクの下にいる時の模擬戦ではそこまで強くなかったんだけど』
ナムワンの機銃を破壊しながらも、こっちの戦いに視線を向けるような余裕があったのだろう。
とはいえ、それはそうおかしな話ではない。
ナムワンの機銃はそれなりの威力だが、それでもナムワンとの間合いを詰めれば、機銃でもそう簡単に攻撃したりといったような真似は出来ないのだから。
ナムワンにオーラバトラーが搭載されていれば、それが出撃してきたりもしたんだろうが。
だが、マーベルが戦ったナムワンは、あくまでも待ち伏せしていて、ショウのダンバインが引き付けた敵を攻撃するのが役割だった。
だとすれば、ダーナ・オシーは正面戦力に回した方がいいのは間違いないだろう。
「マーベルになら言う必要はないと思うけど、気をつけろよ。今回ナムワンを無力化出来たのは、色々な幸運があっての事だ」
『そうね、気をつけるわ』
マーベルも俺の言葉に素直に頷く。
この辺がマーベルの長所だよな。
それこそ、ショウのような性格なら忠告をしても素直に従ったりはしない。
それどころか、場合によっては余計なお世話だといったようにすら言われてしまう。
マーベルと会話をしながら進み続け、やがて本陣が見えてくる。
当然だが、本陣では特に何か騒動が起こっている様子もない。
もしかしたら、前線で俺達が戦っている間に、部隊を向かわせて本陣を襲撃するといったような事をするかもしれないと、そう思ったのだが。
とはいえ、この部隊を率いるバーンは前線で戦っているから、本陣を襲われても致命傷という訳ではない。……オーラバトラーの部品とかそういうのは大事だが。
あ、でもオーラバトラーを修理したり整備したりする技術者というのは、ドレイク軍の中でも非常に重要な面々だ。
少なくても、その辺の兵士や騎士といった連中よりは技術者の方が重要だろう。
まぁ、バイストン・ウェルはファンタジー世界だからか、そういう技術者よりも実際に前線で戦う者の方が偉いといった風潮があるが。
そんな風に考えつつ、俺は本陣に着地する。
すると、すぐに兵士や騎士、技術者といった面々が集まってきた。
サーバインがショウのダンバインをショットクローでぶら下げるようにして運んできたから、すぐにショウを確保しようという考えからだろう。
「気をつけろ、ショウは気絶から意識が戻ってるかもしれないからな」
近付いてきた者達に一応そう言っておく。
それから、先程電撃を流した時に聞こえてきた声から、追加しておくことがあるのも思い出す。
「それと、ダンバインのコックピットにはショウ以外にフェラリオがいるかもしれないから、気をつけろ」
その言葉を聞き、慎重にダンバインのコックピットを上げる技術者達だったが……
『えーいっ!』
『うおっ!』
ダンバインのコックピットを開けた瞬間、その中からフェラリオが飛び出してくる。
それもただ飛び出してくるのではなく、蹴りを放つ格好でだ。
これは技術者にとっても意外だったのか、そんな攻撃に完全に意表を突かれたかのように顔面を蹴られ、そうしてフェラリオは顔面を蹴った反動を利用して空に向かって飛んでいく。
空中で何度も飛び回ってはいたが、そんなフェラリオに向かって技術者は苛立ちも露わに叫ぶ。
『あっ、この!』
『フェラリオは放っておけ。今はそれよりも、聖戦士を捕らえる方が先だ!』
フェラリオに蹴られた技術者の隣にいた技術者が、空を飛んで逃げたフェラリオを見て、声を荒げる。
しかし、他の技術者の言葉に渋々とだが諦めた様子を見せた。
そうして慎重にダンバインのコックピットの中を覗き……ショウが完全に気絶していると判断したのだろう。近くの兵士に指示をして、ショウをコックピットから引きずり出すと、そのままどこかに連れていく。
情報を引き出す為か、それとも改めて説得する為か。
その理由はともあれ、ショウは取りあえず捕虜として生かしておかれる事になったらしい。
バーンにしてみれば、ショウを生け捕りにした方が大きな利益になると、そう判断したからこそだろうが。
『アクセル、それでこれから私達はどうするの? また戦場に戻る?』
「いや、止めておこう。元々俺達がバーンに要求されたのは、あくまでもショウを捕らえるだけだ。それに……今から戦場に行っても、それこそ誰かの手柄を奪うといったような事だけになるだろうし」
ギブン家最大の戦力たるショウが確保されてしまったというのは、向こうにとっては大きな被害だろう。
それでも多くの者が踏みとどまったのはさすがだが、それだってそう長時間持ち堪えられる訳ではない。
なら、そんな戦場に俺達が向かえばどうなるか。
間違いなく、手柄を横取りしに来たと思われるだろう。
特にバーンからは、ショウの相手だけを頼まれていたのだし。
バーンにしてみれば、これ以上俺に手柄を奪われるといったような真似は避けたいのだろう。
『そう。なら、後はどうするの?』
「これ以上ここでやる事はないし、トッドとトカマクもそれなりに頑張っていたようだから、俺達はここにいなくてもいいだろ」
そう、今回の戦いで何が驚いたかと言えば、本格的にダンバインからドラムロに乗り換えたトカマクが、結構な活躍をしていた事だろう。
ダンバインに乗っていた時は、あまり活躍出来なかったトカマクだったが、ドラムロに乗り換えたところ、かなりの活躍をしていたのだ。
勿論、それでもショウやトッドには及ばない実力なのだが、それでもあの動きはダンバインよりも明らかに動きやすそうだった。
恐らく、これは純粋に相性によるものなんだろう。
トカマクはダンバインのように運動性の高い機体ではなく、ドラムロのように重装甲の機体の方が使いやすいのだろう。
……トカマクの性格を考えれば、その辺にも納得出来るところがあるし。
トカマクは強気な言動をしているものの、その本質は臆病だ。
もしかしたら、普段の強気な言動はその本質を隠す為のものなのかもしれないな。
ともあれ、そんなトカマクだけに運動性が高いとはいえ、一撃命中すれば即致命傷といったようになりかねないような、運動性に特化したダンバインよりも攻撃が命中しても重装甲のお陰で生き残る可能性が高いドラムロの方が使いやすいのだろう。
あくまでもそういう感じなのだろうという、予想でしかないが。
だが、実際にトカマクがフレイボムやオーラソードを使ってドレイク軍の他の兵士よりも多数のダーナ・オシーを倒している光景を見れば、さすが聖戦士と納得出来る点はある。
けど、そうなるとそれはそれでトカマクが乗る機体が難しくなるんだよな。
ドラムロは重装甲でトカマクには合っていたのかもしれないが、現在ショットとゼットの2人が開発しているのは、どちらも高機動型の機体だ。
トカマク用に重装甲の機体を作るとすれば、その後になる。
もしくは、高機動型の新型に増加装甲を装備させて使うか。
ただし、そうなると当然のように機体のバランスも崩れるし、性能も中途半端なものになるだろう。
そう考えると、トカマクは暫くドラムロのままか。
あるいは、ドラムロをトカマク用に改修するとか。
それが一番現実的な手段だろうな。
「さて、じゃあミの国に行くか。フラオンの件とか、反乱軍に伝えておく必要があるし」
トカマクの事は取りあえず置いておき、そうマーベルに告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1525
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1673