転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2844話

 取りあえず反乱軍に接触出来たし、その後も機械の館から手当たり次第に生産設備の類を空間倉庫に収納すると、一度アの国に戻る事にする。

 反乱軍に接触してフラオンの件を伝えた事をドレイクに知らせておく必要があるしな。

 マーベルも一度アの国に戻るのは反対ではなかったらしく、いつものように影の転移で戻ってきたのだが……

 

「住人、喜んでるわね」

 

 エルフ城の城下街を少し見て歩きたいとマーベルが言ったので、こうして城下街を歩いていたのだが、そこで起きていたのはお祭り騒ぎだった。

 

「そうだな。普通なら自分達の国王の住んでいた城が占領されて、国王が追放されるなんて事になったら、とてもではないが喜んだりとかはしないと思うんだが……」

 

 それが俺の感想だったのだが、実際に目の前で広がっている光景は、皆で酒を飲んで騒いでいるといったものだ。

 当然ながら、それは絶望からといったようなものではなく、皆が嬉しそうに喜びながらの宴会。

 

「それだけ、フラオンは嫌われていたということなんでしょう?」

 

 そう告げるマーベルの言葉は、冷たい。

 マーベルにしてみれば、フラオンという相手はとてもではないが好意的に見る事が出来ないのだから当然だろう。

 何も悪い事をしていないのにいきなり指名手配され、朝から部屋に兵士が乗り込んでくるような事になり、ルフト領に身を寄せたかと思えば、俺達を匿っているのを理由として攻撃してくる始末だ。

 それで好意的に思えという方が無理だろう。

 また、フラオンが住人からかなりの税を取っていたというのも知っている以上、マーベルのこの反応は当然だった。

 

「そうだな。少なくてもドレイクがアの国の国王になれば、アの国全体が今までよりよくなるのは間違いない。……その前に、ギブン領をどうにかする必要があるが」

 

 恐らく、こうしている今もまだギブン領では戦いが起きているのだろう。

 とはいえ、ギブン家の中でも最大の戦力たるショウが捕虜になった以上、トッドやトカマクといった聖戦士やガラリア、バーンといった者達がいるドレイク軍に、対応するのは難しいだろう。

 それでも粘ったりはするだろうが、そう遠くないうちにギブン領が制圧されるのは間違いない。

 あるいは、ギブン領を制圧される間に逃げ出すか。

 ただし、その場合はギブン家に協力している者達の家族も揃って逃げ出す必要がある訳で……そう簡単に逃げ出す準備は出来ないし、それ以上にどこに逃げ出すかといった問題もある。

 いや、フラオンの件を知ればミの国に向かうか?

 ミの国にしても、フラオンを受け入れてしまった以上、アの国との敵対は決定的だ。

 そうである以上、ギブン家の軍は確保しておいた方が有利になるのは間違いない。

 ……そうなると、ミの国が負けてピネガンが玉座から放り出されたら、一体どうなるんだろうな。

 

「ギブン領ね。……一体向こうはどうなってるのかしらね」

 

 そんな風に会話をしながらエルフ城……いや、ドレイク城に向かう。

 そう言えば、エルフ城をドレイク城として使うという事は、国王になった事もあるし、これからはここを拠点にするんだよな。

 そうなると、ルフト領はどうなるんだ?

 大規模な機械の館があったり、シルキーの水牢があったりと、ラース・ワウはドレイクにとっても重要な場所だ。

 俺やマーベルにとっても、家があるしな。

 まぁ、その辺は俺が考える必要はないか。

 もしドレイクがここを拠点として働くとしても、ぶっちゃけ俺とマーベルだけなら影のゲートを使えばラース・ワウにある家に戻るのは難しくはないし。

 城の前には、ドレイク軍の兵士が……いや、降伏したアの国の兵士か? その辺は判断出来ないが、立っている。

 だが、俺とマーベルが城の中に入ろうとするのを見ても、特に止めるような事がない。

 前々からドレイク軍の兵士だったのか、それとも降伏したアの国の兵士だが俺の件についてはドレイクから聞いているのか。

 ともあれ、そうして城の中に入るが……

 

「ここでも結局喜んでるよな?」

 

 街中程大騒ぎをしている訳ではないが、それでも間違いなく城の中にいる兵士や、それ以外のメイドや執事、文官といったような面々の士気は見るからに高そうだ。

 

「そうね。それだけフラオンが嫌われていたんでしょう」

 

 街中で言っていたのと同じことを口にするマーベル。

 そんなやり取りをしながら、途中でドレイクのいる場所を聞き、謁見の間に向かう。

 てっきり執務室で仕事でもしているのかと思ったが、誰かが会いに来ているらしい。

 恐らくはアの国の貴族といったところか。

 幾ら俺がドレイクの同盟者だからといって、誰かと会っているところへ強引に顔を出すなんて真似をする訳にはいかない。

 ドレイクならそれも許容するだろうが、その辺は普通に考えて不味いだろう。

 何か緊急の用事があるのならまだしも、今回の報告はあくまでもミの国の反乱軍と連絡を取れて、フラオンの件を話して、それから反乱軍と接触出来る場所を教えて貰っただけなのだから。

 考えてみれば、結構重要な件だな。

 だからって、それを理由に謁見の間に向かうのはどうかと思うが。

 そんな訳で、控え室で暫く待つ。

 

「ねぇ、アクセル。アクセルが今まで行ってきた世界って、どういう世界があるの?」

 

 暇だったのか、マーベルがそんな風に尋ねてくる。

 俺も別に何かやるべき事はなかったので、その話に付き合う。

 

「そうだな。基本的には科学技術が発展してる世界だったけど、魔法のある世界ってのも多かったな」

 

 ぶっちゃけ、科学技術という点だとバイストン・ウェル……というか、この地上界が一番遅れている気がする。

 年代的にはマブラヴ世界よりも前だし。

 ただ、マブラヴ世界の場合はこの世界の地上界よりもかなり前から戦術機が開発されていたんだよな。

 マブラヴ世界はどの世界よりも科学技術が発展する下地は持っていたりする。

 

「魔法? 私達が習ってるような?」

「ああ。とはいえ、魔法にも色々とある。マーベルやガラリアが習っている魔法は、ネギま世界という世界の魔法で基本的には訓練を積めば基本的には誰にでも使える」

「そう言うって事は、誰にでも使えない魔法があるの?」

「あるな。というか、そっちの方が多い」

 

 今まで接触してきた世界で魔法のある世界だと、ネギま世界、門世界、Fate世界、ペルソナ世界がある。

 そんな中で、誰でも使える魔法はやはりネギま世界の魔法だけだ。

 門世界の魔法は精霊魔法くらいしか知らないが、誰でもそう簡単に覚えられるものでないのは明らかだ。

 Fate世界にいたっては、魔術回路なんてものがなければ基本的に魔法……いや、魔術は使えない。

 ペルソナ世界の魔法も、基本的にはペルソナを使える者でなければ使えない筈だ。

 実際、俺はペルソナ世界の魔法を使えないし。……いや、これは単純に俺のステータスのスキル欄に空きがないだけか?

 刈り取る者はペルソナ世界の魔法を使えるが、あいつは元々がシャドウだったという経歴の持ち主である以上、特殊な存在であると認識してもいいだろう。

 

「なるほど、そうなると私達が習っている魔法の方は、色々な意味で特殊なのね」

「だと思うぞ。普通なら魔法というのは、そう簡単に使えるようなものじゃないし。……まぁ、そう簡単に使えないという点は、マーベルも十分に理解しているだろ?」

 

 俺の言葉に、マーベルは微妙な表情で頷く。

 マーベルにしてみれば、それなりに長時間魔法の練習をしているつもりではあるのだろうが、それでもやはり魔法が使えない事に思うところがあるのだろう。

 魔法球でもあれば、もう少し魔法を使う訓練はしやすかったんだろうが。

 ただ、このバイストン・ウェルは自然豊かという意味では間違いなく俺が今まで行った世界の中でも屈指のものだ。

 そうである以上、魔法はそれなりに使いやすいと思うんだが。

 この辺はどうしても感覚的なものになるし、その感覚も人によって大きく変わってくるので、俺がアドバイスとかも出来ないんだよな。

 なので、独学でやって貰うしかない。

 そうして話していると、やがてドレイクとの面談の準備が整ったと知らされ、控え室を後にする。

 そうしてやって来たのは、それなりの人数が待機している謁見の間。

 これ、ドレイクや護衛、ドレイクに相談される文官とかはともかく、それ以外はここまで集まる必要があるのか?

 というか、こうして集まっている連中は仕事をどうするんだ?

 そんな疑問を抱くも、ドレイクが何も言っていない以上は問題ないのだろう。

 あるいは問題があっても、俺が何かを言うような必要はないといったところか。

 

「アクセル王、待たせてすまんな」

 

 そんなドレイクの言葉に、謁見の間にいた何人かが驚きの声を発する。

 それは、俺が初めて見る顔だ。

 だからこそ、ドレイクが俺にそのように親しげに話し掛けてくるのが理解出来なかったのだろう。

 それでも近くにいる他の面々……俺の事を知っている相手から俺の話を聞いて不承不承納得した様子を見せてはいたが。

 

「いや、構わない。ドレイクもアの国の国王になったばかりで、色々と忙しいんだろうし。特に今は、敵と味方を判断する必要があるんだろ?」

「うむ。中にはまだ儂を王として認めない者もいるのでな。そのような者達を説得するのに手間取っている」

 

 この場合の説得というのは、ドレイクが持っている戦力を見せつけて従わせる、一種の砲艦外交だろう。

 フラオン軍を蹴散らした戦力を前にすれば、一介の領主程度ではどうにも対処する事は出来ない。

 まぁ、ギブン家のようにそれでもドレイクに反抗しようという者もいるだろうが。

 とはいえ、ギブン家の場合は最初からドレイクを許容出来ないといった様子だったしな。

 フラオンが倒され、ドレイクがアの国の国王になったとしても、それに従うなどといった真似はまず出来ない筈だ。

 

「手間取っていても、そっちの方はいずれどうにかなるだろ。……で、ミの国の件だが、反乱軍に接触してドレイクが手を貸すという話をしてきた。それと、フラオンがミの国に送られたから、暫くは動きを見せないでフラオンを好きに行動させるように言ってきた。ああ、それと反乱軍と接触出来る場所も聞いてきたぞ」

 

 ざわり、と。

 俺の言葉を聞いていた、ドレイク以外の者達がざわめく。

 そんな中、1人の男が1歩前に出て口を開く。

 

「お待ち下さい! ここからミの国までの距離を考えれば、昨日の今日でそのような真似が出来るとは思えません。オーラマシンの移動速度でも、かなり無理があります!」

 

 ざわめいていた者達の何人かが、男の言葉に同意するよう頷く。

 実際、普通に考えればその男の言葉は決して間違いではない。ないのだが……

 

「そうだな。普通に考えれば無理だ。だが、魔法を使えば? ……こんな風にな」

 

 パチンっと指を鳴らすと、俺の影が影槍となって姿を現す。

 同時に、それを見ていた者達がざわめく。

 このバイストン・ウェルはファンタジー世界だし、フェラリオの中には召喚魔法を使ったりする者もいる。

 また、オーラ力といったものも存在しているんだから、そこまで驚く必要もないと思うんだが。

 影槍を元に戻してから、俺は周囲で驚いている者達に向けて口を開く。

 

「今見せたのは影槍という魔法だが、俺は他にも転移魔法を使える。それを使えば、この短時間でミの国に行って戻ってくる事も出来る」

 

 そう言ったが、実際にはサーバインの性能を思えば普通に飛んでミの国に行ったりといった真似も普通に出来たりするんだが。

 それでも影のゲートとどっちが速いのかとなると、やはり影のゲートが圧倒的に速いんだが。

 何しろ、影のゲートを使えば次の瞬間にはミの国に姿を現す事が出来る。

 

「まぁ、そんな訳で俺がミの国に行ったのは間違いのない事実だ。そしてミの国にある反乱軍と接触したのも事実だ」

「それは……」

 

 俺がミの国に行ったというのはおかしいと言っていた人物は、魔法というのをその目で見た事により、何も言えなくなる。

 そうした男を一瞥したドレイクは、現在謁見の間にいる数少ない動揺していない人物として口を開く。

 

「アクセル王、それで話を戻したいのだが。ミの国の件で、ピネガン王をどうにかした後でどうするというのは、聞いてきて貰えたのか?」

「ああ。やっぱりドレイクに任せるって話だった」

 

 おお、と。

 俺の言葉を聞いていた者達が、魔法の衝撃から我に返ってそう声を上げる。

 とはいえ、そんな者達とは裏腹にドレイクは決して嬉しそうな顔をしてはいなかったが。

 ミの国の状況を思えば、それは当然だろう。

 ピネガンは部下からの信頼が厚い以上、そのピネガンを追い出してドレイクがミの国を支配した場合、それをこなすだけの人材がいない。

 それを思えば、ドレイクにとってこの件は決して嬉しい事ではない。

 いやまぁ、それを乗り越えてミの国を本当に自分の国にしてしまえば、最終的に大きな利益になるのは間違いないが……その道がかなり遠いのは、間違いのない事実だ。

 それを理解しているからこそ、ドレイクは俺の言葉を聞いても素直に喜ぶ事が出来なかったのだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1676

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