結局ドレイクは、ミの国を任されるといったことを知っても喜ぶでもなく、不満を抱くでもなく……最終的には特にどうとも言わずに次の話題に移り、そこで俺がバーンからの要請によってギブン家との闘いに参加し、ショウを捕らえたという報告をして面会は終わる。
ドレイクにしてみれば、ショウの件に関しては満足そうにしていたが、ミの国の件は決して喜ばしい事ではなかったのだろう。それでも最終的にはドレイクの利益になるのは間違いない。
そんな訳で、ドレイクとしては結局ミの国の件は引き受ける事にしたのだろうが……
「大変そうよね」
「まぁ、それは否定しない」
ドレイク城にある客室で、俺はマーベルと話をしていた。
色々と手間を掛けたという事で、ドレイクから今日は泊まっていくようにと言われて用意された部屋なのだが、特にやるべき事もないので、時間を潰す為に俺はマーベルと話をしていた。
マーベルの方も特にやるべき事はないので暇だったのか、俺の誘いにあっさりと乗る。
……いやまぁ、信頼されているってのはいいんだが、こうして何の警戒もなく夜に男の部屋にやって来るのは、正直どうかと思わないでもない。
もしかして、俺はマーベルから男として認識されてないのか? と、そんな風にも思ってしまう。
「ともあれ、ショウを捕らえてギブン家の方も戦力的に大きくダウンした。トッド達がいるのを考えると、ギブン領の制圧もそう遠くないうちに終わる筈だ」
「ギブン家のダーナ・オシーも、決して悪い機体じゃないと思うんだけどね。ただ、その性能を活かすにはパイロットの技量が必要になるわ」
「ああ、玄人好みって奴だな」
確かにダーナ・オシーの性能は全体的にドラムロよりも低いと言われている。
だが、高機動型のオーラバトラーだけに、機動力と運動性、瞬発力という点ではドラムロよりも上だ。
その辺を十分に使いこなすだけの技量のパイロットがいれば、ダーナ・オシーでもドラムロを倒すというのは十分に可能だろう。
「問題なのは、そのパイロットがいない事かしらね。いえ、いない訳じゃないけど、本当に少ないというのが正解かしら」
マーベルの言葉に頷きを返す。
例えば、ショウ辺りがダーナ・オシーに乗れば、それこそドラムロが相手でも十分に勝てるだろう。
もっともダンバインがある以上、わざわざダーナ・オシーに乗るといったような真似をする必要はないのだろうが。
「ニーは結構腕利きだけどな」
現状、ギブン家の中でショウに次ぐ技量を持つパイロットとなれば、それはニーだろう。
だが、そのニーでも純粋にパイロットの技量という点ではショウよりもかなり劣る。
ショウの場合は高いオーラ力があるというのも、影響してるのだろうが。
ギブン家の兵士の大半が、決して技量が高い訳じゃない。
ギブン家にこそ、ドラムロのように初心者でも使いやすいオーラバトラーが相応しいんだろうが……難しいだろうな。
そうしてマーベルと話していると、不意に部屋の扉がノックされる。
誰だ、こんな時間に。
そう思いつつ、中に入るように促す。
「し、失礼します! アクセル王、ドレイク王がすぐ自分の部屋に来て欲しいと!」
「ドレイクが?」
部屋に入ってきてそう言ったのは、兵士の1人だ。
ドレイクからの命令によって、急いで俺を呼びに来たのだろう。
実際、その息は激しく乱れている。
……城の中を走った程度でそこまで息が乱れるというのは、兵士として体力的に大丈夫か? といった思いがあったが。
ともあれ、こうして急いで俺を呼びに来たという事は、何かあったのは間違いない。
考えられる可能性としては、ドレイクの国王就任を認められない領主が反旗を翻したか、ミの国が攻めてきたか、ギブン領の方で何かあったか。
他にも色々と考えられる可能性はあるが、大体そんな感じだろう。
「分かった、すぐに行く。マーベルはどうする?」
「私はいいわ。アクセルだけにしか話せないような内容かもしれないでしょ? とにかく、こんなに急いでいるんだし、早く行った方がいいんじゃない?」
「分かった。戻ってきたらドレイクから聞いた事を話すから、暫く待っててくれ」
そう言い、俺は兵士と共にドレイクの部屋に向かう。
当然ながら、俺が向かう場所は日中にドレイクと会った謁見の間……ではなく、ドレイクの執務室だ。
ドレイクが国王としての仕事をするのに、謁見の間は向いてないしな。
あんな場所で仕事……書類整理とかをするというのは、場違いにも程がある。
そうしてドレイクの働いている執務室までやってくると、すぐに俺は部屋に通される。
執務室の中には、不機嫌そうな……それこそ額に血管を浮かばせているドレイクと、緊張に強張っている兵士の姿があった。
見た感じだと、この兵士が何か言ってドレイクを怒らせたといったところだ。
だが、それで何で俺が呼ばれる?
まさか、この怒っているドレイクをどうにかする為に呼ばれたとか、そういう落ちじゃないよな?
「で? 何で俺が呼ばれたんだ?」
「……すまない、アクセル王」
何故呼ばれたのかといったような言葉に、ドレイクはそう言って謝ってくる。
ドレイクがこうして謝る? 本当に何があったんだ?
「何があった?」
改めてそう尋ねると、ドレイクは大きく息を吐いてから口を開く。
「アクセル王が今日捕らえたショウ・ザマだが、ギブン家によって奪い返されたらしい。それも、ショウ・ザマのダンバイン以外にトッド・ギネスのダンバインも奪われるというおまけ付きでな」
「それは……また……」
ドレイクの口から出た言葉に、俺は何とも言えなくなる。
当然だろう。
ショウはギブン家にとって最大の戦力だ。
それをバーンからの要望で捕らえ、そしてしっかり見張りをするようにと言っていたのだが、それにも関わらずショウをギブン家に奪い返されたのだから。
その上で、ショウのダンバインが奪われたというだけなら理解出来る。
ショウが逃げ出す時に、自分の機体を持っていくのは当然だからだ。
だが、何故そこでトッドのダンバインも奪われるのか。
正直なところ、何故そのような事になるのかが理解出来なかった。
「何がどうなってそんな事になったんだ?」
「端的に言えば、今日の戦闘終了後にギブン家が本陣に襲撃をしてきたのだ。それを陽動として、捕らえられていたショウ・ザマが奪還され、修理したダンバインに乗って逃げ出すところをトッド・ギネスが見つけて追ったが、逆襲されて負けて、乗っていたダンバインを奪われたらしい」
「トッドは?」
ダンバインが奪われたという事は、トッドも捕らえられたのか?
もしくは、コックピットを攻撃されて死んだ可能性もある。
そう思ったのだが、ドレイクは深く息を吐く。
「生きている。やられた時にコックピットから脱出したらしい。戦っていた場所が林の上だった為か、軽傷らしい」
その言葉に、取りあえず安堵する。
とはいえ、元々ダンバインの製造数は少なく、予備部品の類もそんなに多くはない。
そんなに多くはないのに、トカマクが壊しまくって予備分を使った。
そのような状況でダンバインを奪われてしまったとなると、トッドにも新しいダンバインを用意するというのは難しいような気がする。
そうなると、トカマクと同じくドラムロか?
だが、ドラムロは重装甲型の機体で、トッドは高機動型の機体に強い適性を持っている。
そうなると、ショットやゼットの開発しているオーラバトラーを使うのか?
「軽傷で何よりだ」
「そうだな。だが……」
俺の言葉に何かを言おうとしたドレイクだったが、それ以上何か言うのを止める。
とはいえ、何となくドレイクが何を言おうとしたのかが分かったが。
多分、使えない奴だといったような事を言おうとしたのだろう。
召喚された3人の地上人の中で、最もオーラバトラーの操縦の才能を持つショウがギブン家についてしまったというのは、ドレイクにとっては運が悪いとしか言えないな。
ショウの能力を知っているからこそ、トッドやトカマクに対する目も厳しくなってしまうのだろう。
とはいえ、トッドもトカマクもショウの件で株を落としはしたが、それでもギブン家との戦いで大きな戦果を挙げたのは間違いない。
そう考えれば、ドレイクが見切りを付けるといった事はまずないと思う。
ただ、今までの失態が大きかったというのが、この場合はあるんだろうな。
その辺は俺がどうこう言うような問題じゃないし、取りあえず置いておくとして……
「そうなると、ギブン領の制圧の方はどうなるんだ? ショウを奪っていったとなると、向こうはまだまだやる気に満ちてるんじゃないか?」
捕らえられた仲間を助け出したのだから、ギブン家にしてみれば士気が上がるのは間違いない。
そうなると、折角ここまで押し込んだのに、また盛り返されてしまう可能性は十分にあった。
ショウというのは、ギブン家においてそれだけ絶対的な戦力の象徴として見られているのだから。
何しろ地上界から召喚された聖戦士で、悪しきオーラ力を持つドレイクから逃げ出してギブン家に亡命してきたのだ。
その実力は聖戦士と呼ぶに相応しいだけのものを持っているというのも、この場合は大きな意味を持つだろう。
そういう訳で、ギブン家にしてみればショウとい存在は非常に大きい。
そうである以上、今日のようにギブン家に対して一方的に有利になるというのは、少し難しいだろう。
「そうかもしれんな。だが、ギブン領を攻めているのは儂の主力だ。この程度の事は、自分達で打ち破って貰う必要がある」
ドレイクにしてみれば、部下を信じているといったところなのだろう。
それが具体的にどれだけの効果を発揮するのかは、生憎と俺にも分からないが。
「ともあれ、ショウが奪い返されたとなると……どうなると思う? 見た限りでは、ショウがいた状態でも結構押し込まれていたんだが」
何しろドレイク軍の本陣はギブン家の領地に入ってそれなりに進んだ場所に用意されていたのだ。
その辺りの事情を考えれば、ショウという戦力があってその状態なのだから、そう長い間持ち堪えるといった真似は難しいだろう。
だとすれば、いずれそう遠くないうちにギブン家の占拠は可能になる筈だ。
その時、ギブン家がどうするか。
個人的には自分の領土だという事で、最後まで守って死んでくれるというのが一番いいんだが……正直、本当にそんな事になるかどうかとなれば、難しいだろうな。
向こうにしても領土は大事だろうが、命懸けで守るかと言われると……さっさと領土を捨てて逃げるような気がする。
勿論ただ逃げるのではなく、ドレイク軍を倒す為に。
少なくてもそういう理由付けは必要だろう。
「そうだな。ギブン家にしてみれば、今の状況は決してよくないというのは理解出来る筈だ。そうなると、やはりどこかに援軍を頼むか、ギブン領を捨てて逃げ込むかだな。一番可能性が高いのは、やはりミの国か」
ドレイクの予想もどうやら俺とそう変わらないらしい。
まぁ、ギブン家の状況で取れる手段というのは、そうないしな。
あるいはエ・フェラリオに協力を要請する事が出来れば、地上人を召喚するといったような真似が出来る可能性も否定は出来ないが。
ただ、向こうは地上人を召喚するという行為でもドレイクを責めているんだよな。
そう考えれば、幾ら戦力が足りないからといって地上人を召喚したりするか?
まぁ、ドレイク憎しで宣戦布告も何もなく奇襲攻撃をしてくるような連中だけに、やるかやらないかで考えれば、普通にやりそうな気がしないでもないが。
「フラオンがいるからミの国に行くんだろうが……そうなったら、ミの国での騒動はもっと大きくなるだろうな」
フラオンにしてみれば、ギブン家はアの国の領主であった以上、自分の部下といった認識があるだろう。
ギブン家としても、フラオンという存在を簡単に捨てるといったような真似は出来ない。
そうなると、やはりその2つが手を組むような事になり、結果としてミの国の中にはピネガンとフラオンという2つの戦力集団が存在する事になる。
フラオンの戦力はショウがいるし、ダーナ・オシーを開発した当初から乗っていたという事もあり、熟練度は決して低くはない。
それに比べると、ピネガン側は数こそ多いものの、質という点で考えると決して高くはない。
そんな2つの勢力が、ミの国という小国に集まれば……そしてフラオンがいればどうなるか。
フラオンだけなら、自分勝手に騒ぐような真似をするだけだろう。
だが、ギブン家という戦力が加われば、フラオンにも大きな影響力が生まれる。
「下手をすれば内乱か」
「そこまで上手くいくかどうかは分からんが、それでも大きな騒動になるのは間違いないだろう」
俺の言葉に、ドレイクは何かを考えながらそう告げる。
恐らく、そうなった時にどう対処するのかを考えているのだろう。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676