ルフト家とギブン家の戦い……もう、今となってはアの国とギブン家の戦いと言ってもいいのだろうが、そんな戦いが始まってからそれなりに時間が経つ。
だが……当然の話だが、時間が経つに連れて有利になっていくのはドレイク達だ。
アの国にいる他の領主も、最初こそギブン家とドレイクのどちらに味方をするのか迷っている者も多かった。
まぁ、当然だろう。ギブン家はフラオンと手を組み、更には小国であってもミの国という隣国を味方にしていたのだ。
それに対して、ドレイクの方は自分の戦力だけ。
まぁ、ドレイクの場合本気になればクの国のビショットに援軍を求めるといったような真似も出来たのだろうが、そんな真似はしなかった。
正確には、必要なかったというのが正しいか。
実際にドレイクの所有するルフト領だけで結構な戦力を用意していたし、同盟者という扱いではあるが俺やマーベルの姿もあった。
それを思えば、ただでさえ勝てる相手にわざわざ援軍を呼ぶ必要はないと判断したのだろう。
戦力によっては、念には念をといった事も出来たかもしれないが、相手はクの国で外国だ。
助けて貰えば、当然報酬を支払う必要も出て来る。
どうしても手が足りない状況ならともかく、今のドレイク軍は手も十分に足りている。
ましてや、ギブン領も大部分が占領されて戦線は縮小傾向にある。
とはいえ、油断しているとゼラーナやショウのダンバインが背後に回り込んでドレイク軍を動揺させようとしたりするので、前線だけに集中するといったような真似は出来ないのだが。
そんな戦いが続いてる中、ドレイクの城……正確には元エルフ城のドレイク城ではなく、ラース・ワウにあるドレイクの城に、主立った者達が集まっていた。
何故この場にこうして集まっているのか。
それは当然ながら、これから行う事にはシルキーが必要だからだ。
そう、今夜これから行うのは新たな地上人の召喚が行われるのだ。
だからこそ、ナムワンを使ってギブン家以外でドレイクに忠誠を誓った領主達が運ばれてきたのだろう。
自分は地上人を……聖戦士を召喚出来る実力を持っていると、そう周囲に認めさせて、権威付けの為に。
「皆、よく来てくれた! 今宵は新たな聖戦士の召喚を見る為に集まって貰い、感謝する!」
ドレイクの声が周囲に響く。
ちなみに場所は以前園遊会を行った場所と同じだ。
ただし、以前と違うのはアの国の領主が多く集まっており、そのような者達の為にきちんとした席を用意しているといったところだろう。
「だが、生憎と地上人の召喚を行うまでは、まだ時間がある。その時間までは、出し物を楽しんでいて欲しい!」
そう言い、ドレイクが示したのは空。
『おおおおおお』
その示した先を見て、観客の領主やその関係者達は驚愕の声を上げる。
まぁ、当然だろう。
この場所にいる領主達の中には、ナムワンを購入している者もいる筈だし、何よりドレイク城かラース・ワウまでやって来る移動方法としてナムワンを使っている。
だが、ドレイクの示した先にはナムワンより圧倒的な大きさ……2倍くらいの大きさを持つオーラシップがあったからだ。
何故ナムワンの倍近い大きさを持つと理解出来たのかと言えば、そのオーラシップの横にナムワンが飛んでいる為だ。
勿論、ドレイクも最初からそれを理解した上でナムワンを新型のオーラシップ……おそらく以前聞いていた、ブル・ベガーの横に飛ばしたのだろう。
「あのオーラシップは、ブル・ベガー。ナムワンの後継機だ」
ドレイクのその言葉に、話を聞いていた者達の多くは感心した様子を見せる。
元々ここに来ていた領主達は、ドレイクに従うという事を決めた者達だ。
つまり、ドレイクの力は理解していたのは間違いない。
それでも心の底では、ドレイクに不満を持っている者がいたのは間違いない。
しかし、そんな中でブル・ベガーを見せつけられ、ドレイクとの間にある圧倒的な力の差を理解してしまったのだろう。
実際には、ブル・ベガーの他にもより強大なオーラバトルシップという存在があるのだが。
「ふん」
そんなドレイクの隣……俺とは反対側にいるルーザの口から、そんな鼻で笑う声が聞こえてくる。
ドレイクの妻のルーザは、恐らくブル・ベガーの存在を知っていたのだろう。
とはいえ、それでも何故ブル・ベガーを見てそんな態度を取るのかは、俺にも分からなかったが。
やがて、ブル・ベガーからはドラムロが多数出撃し、編隊飛行を行う。
地上人のトッドとトカマクは園遊会に客のような扱いで参加しているが、バーンやガラリアはあの中にいる筈だ。
ちなみに、護衛も以前の園遊会に比べると圧倒的に多くなっている。
以前の園遊会では、いきなりギブン家が攻め込んできたからな。
ただ、今のギブン家にはそんな余裕はないだろう。
こうして主力がラース・ワウに戻ってきてはいるが、それでも結構な戦力がギブン領の中にいて、ギブン家と膠着状態に陥っているし。
ドレイクにしてみれば、前回と同じミスはしないといったところか。
まぁ、あれはドレイクのミスというよりは、ギブン家の無謀な行動といった感じなのだが。
まさか、宣戦布告もなしにいきなり奇襲を仕掛けてくるとは思ってもいなかったし。
今回は前回の園遊会と違ってギブン家にショウという大きな戦力が参加しているが、今日の園遊会には俺が参加しているのはギブン家でも知っている筈だ。
そうである以上、1対1で俺に負けたショウが再び園遊会に攻撃を仕掛けてくるという可能性は……ない訳ではないが、それでもかなり低いだろう。
「随分と練習したのかしら」
ドレイクとは反対側の俺の隣に座っているマーベルが、夜空を飛ぶドラムロの集団を見て、そう呟く。
実際、その言葉は決して間違ってはいない。
一糸乱れぬ……とまではいかないが、それでもドラムロの動きはかなり揃っており、そんな状況で飛んでいる様子が俺の目にも映った。
「練習したというか、ギブン家との戦いの中で身につけた技量かもな」
バーンとガラリアは、トッドやトカマクのような聖戦士と違って、他の部下達を率いて戦う事が多い。
だからこそ、部下と共に行動する必要が出て来るのだろう。
オーラバトラーを使ってのパレードと考えれば……意見の出所はトッドか?
空軍のパイロット候補生だったトッドにとっては、こうして戦闘機を使ったパフォーマンスは珍しくないだろうし。
アクロバット飛行といったような感じではないが。
オーラバトラーは人型機動兵器であって戦闘機ではない以上、どうしてもその辺は変わってくるのだろう。
オーラバトラーという兵器は、ショットやゼットによって開発された物だ。
バイストン・ウェルにおいては、時代を飛躍した兵器と言ってもいい。
勿論、ここにいるのはドレイクに従うという事を決めた領主達である以上、オーラバトラーを見た事がある者は多いだろうし、中にはドレイクからゲドを購入した領主がいてもおかしくはない。
そのような者達にとって、こうして視線の先で行われている複数のドラムロの集団行動は、まさに驚くべきものだろう。
何しろ、ゲドは乗れる者が少ないしな。
数が多かったフラオンの部下の中には、それなりにゲドに乗れるパイロットもいたが、それはあくまでもフラオンのように兵士や騎士の数が多いからこそ出来た事だ。
それに……ゲドを操縦出来ても、それはあくまでも動かせるというだけであって、使いこなせるという訳ではない。
実際、ドレイクを殺そうとしてやってきたゲドのパイロットは、操縦技術がかなり未熟だった。
だからこそ、ゲドを知っている領主達は、あれだけの数のドラムロがいる事に驚いているのだろう。
それはドラムロを操縦するのに、ゲド程のオーラ力を必要としないから、というのが大きいのだが。
ギブン家が開発したダーナ・オシーもまた、ドラムロ同様に低いオーラ力で操縦が可能だし、ショットやゼットが開発したビランビーやバストールは、オーラ増幅器のおかげでドラムロよりも更に低いオーラ力でも操縦が可能だ。
そういう意味では、ダーナ・オシーはかなり有用な機体なんだよな。
あれだけ大量に生産をしているのだから、量産性もそう悪いものではないのだろうし。
そうしてドレイクの話が続き、やがて闘技場の中では多くの女達が踊ったりする。
これもまた、以前の園遊会で行われたな。
もっとも、あの時の園遊会ではこの後すぐに恐獣が闘技場の中に入ってきて、それをバーンの操るドラムロが倒すといったのがあったが……どうやら、今回はそのような事はなかったらしい。
ドラムロの存在は以前はあまり知られていなかったのに対し、今となってはかなり知られているしな。
それを思えば、わざわざここでドラムロの存在をわざわざ示す必要もないだろう。
あるいはビランビーやバストールのお披露目といった可能性も否定は出来なかったが、ショットやゼットの様子を見る限りではそのような事は気にしなくてもいいらしい。
そして……やがて、ドレイクが座っていた椅子から立ち上がり、闘技場内に響くように口を開く。
「さて、ではそろそろ時間となった。これより、地上人を……聖戦士を召喚する!」
ざわり、と。
そんなドレイクの言葉を聞いた者達が、期待と不安の表情を浮かべる
地上人の召喚を見ることが出来るのは嬉しいのだろうが、バイストン・ウェルにおいて地上人というのは伝説上の存在だ。
そんな相手が召喚される光景を自分の目で見るというのには、色々と思うところがあるのだろう。
とはいえ、それでもやはり好奇心の方が圧倒的に強いのは間違いのない事実だったが。
やがて、闘技場の一ヶ所……前回の園遊会では恐獣が入ってきた場所から、ユニコンの牽く馬車が姿を現す。
この辺りは、明らかにドレイクの演出によるものだろう。
そして当然ながら、ユニコンの牽く馬車にはシルキーの姿があった。
特に手足の類が縛られている訳ではなく、自由に動けるようになっている。
それでも護衛か……もしくは監視の役目を持っているのか、馬車の周囲には兵士の姿があった。
この機会にシルキーが妙な事をしたり、もしくは万が一ギブン家が以前のように園遊会を襲ってきたりした場合、シルキーを守る為だろう。
とはいえ、どちらかといえばシルキーの護衛という役割の方が大きいように思えるが。
そして馬車は、闘技場の中央で停まる。
そして兵士に促されてシルキーは馬車からおりると、すぐに地上界から新たな地上人を召喚するべく、準備を始めた。
準備といっても、特に何か大袈裟な事をやるのではなく、意識を集中している形だ。
だが、周囲で様子を見ている領主達はそんなシルキーにじっと視線を向ける。
シルキーを……正確にはエ・フェラリオという存在は、バイストン・ウェルでもそう簡単に見られるものではない。
恐らくこれが人生で初めて見るエ・フェラリオだという者も多いのだろう。
エ・フェラリオの幼生体とも言うべきミ・フェラリオなら、その辺に結構な数飛んでいたりするのだが。
そして……やがてシルキーの周囲が強烈に光り始め、再び領主達はそんな光景に息を呑み、次の瞬間には光の柱が上に……地上界に向かって放たれた。
見ている者の度肝を抜く光景。
しかし、光の柱が地上界に向かって放たれた後、数十秒が経っても何も起きない。
以前にトッド達を召喚した時もそうだったが、この時間は何とも微妙な感じがする。
実際に今の様子を見ていた他の領主達も、最初こそ次に何が起きるのかといった様子で期待していたものの、少し時間が経っても何も起きない事を疑問に思い、1人、2人と一体どうなっている? といった様子を見せる。
これは何か証拠があってそう思ってる訳でもないのだが、多分……本当に多分、先程の光でバイストン・ウェルに召喚出来るだけのオーラ力を持った奴を探しているとか、そんな感じなんだろうな。
もしそれが本当なら地上界にいる者なら誰でもオーラ力が強いって訳じゃないのか。
いや、寧ろ地上に住んでいる者の人数を考えると、聖戦士としてバイストン・ウェルに召喚出来るだけのオーラ力を持ってる奴はかなり少ないと思った方がいい。
それでもバイストン・ウェルと地球では、住人の数が違う。
バイストン・ウェルも、恐獣の棲息している森とかを開拓したりすれば、住む場所も増えて人数もそれに応じて多くなっていくんだろうが……この辺は、今すぐどうにか出来る問題ではないな。
ああ、でもオーラバトラーが今よりもっと使われるようになれば、全てとは言わないが、それでも大抵の恐獣には対処出来るようになる筈だ。
そんな風に思っていると……先程上に向かって放たれた光が、やがて下に……こちらに向かって降ってくる。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
突然のそんな行動に領主達は驚き……やがて光が消えた時、そこには3人の地上人が倒れていたのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676