アレン、ジェリル、フェイの3人は、俺の見せた影槍で取りあえず納得した。
もしあれでも納得しないようなら、炎獣辺りを見せ……それでも駄目なら、最悪刈り取る者でも召喚しようかと思っていたんだが、そこまでいかなくてもよかったようで何よりだ。
「なぁ、その魔法ってのは……俺達も練習すれば使えるのか?」
魔法に一番興味を示したのは、フェイ。
アレンやジェリルもそれなりに興味を示していたようだったが、フェイはそんな3人と比べても明らかに強い興味を示していた。
「基本的には使える筈だ。実際、マーベルやガラリアも修行中だし」
「マーベル? ガラリア?」
俺の説明に、フェイが戸惑った様子を見せる。
ああ、そう言えばマーベル達の説明をしていなかったな。
俺に視線を向けられたマーベルは、1歩前に出て口を開く。
「マーベル・フローズンよ。アメリカ出身。地上では大学生をしていたわ」
「へぇ……育ちのよさそうなお嬢さんだね」
マーベルの説明の何が気にくわなかったのか、ジェリルが不満そうな様子でそう告げる。
相性的な問題か?
けど、ジェリルと似たところのあるガラリアとは友好的な関係を築いているし。
「マーベルだったか。お前は俺達と同じ立場と考えてもいいのか?」
不機嫌になったジェリルはそのままに、アレンはそうマーベルに尋ねる。
少しでも現在の情報を得ようとするその手段は、俺から見ても好ましいものがある。
トッドから聞いただけの状況では鼻持ちならない奴といったような印象を受けたんだが……こうして見る限り、その一面もあるが、そうでない一面もあるらしい。
「どういう意味での同じ立場かというので、私の返事は変わるわね。例えば、私が貴方と同じように地上から召喚された人物という意味で同じ立場なのかと言われれば、その通りと答えるわ。けど、貴方達のようにドレイクの指揮下に入っているのかと言われれば、否と答えるわね」
ドレイクの指揮下という言葉に、ジェリルが不機嫌そうな表情を浮かべる。
アレンやフェイも、面白くなさそうなのは事実だ。
3人共、鼻っ柱が強いというか、気位が高い。……いや、フェイは他の2人に比べれば、まだマシか?
ただ、こうして話した限りでは一番扱いにくそうなのはジェリルだな。
アレンの方は軍人という点で、トッドの存在もあってか自分を優れた人物だと思い込んでいるようだが、それでもある程度の状況判断は出来るように思える。
だが、ジェリルは気にくわない相手は即座に殺すといったような、感情が全てに優先するかのような性格をしている。
会ったばかりのマーベルに対し、敵対的な感情を隠そうともしていない辺り、それが如実に表れている。
「それはどういう意味だ? あんたはドレイクの部下じゃないのか?」
「ええ。そもそも、私はドレイクの手によって召喚された訳ではないもの」
その言葉は予想外だったのか、アレンだけではなく他の2人も驚きの視線を向ける。
「何? それは一体どういう意味だ? 俺達を召喚したドレイク以外に同じようなことをする奴がいるのか?」
「いたんでしょうね」
アレンの言葉に、マーベルはそう答える。
未だにマーベルを召喚したのが誰なのかというのははっきりとしていないが、それでも想像するのは難しくはない。
ドレイクの存在を危険視していた勢力となると、俺が知ってる限り1つしかないのだから。
もっとも、そうなればそうなったで、一体どうやってエ・フェラリオに協力して貰ったのかといった疑問もある。
ドレイクの場合は、シルキーが手の内にあるので地上人を召喚するのは難しくはない。
だが、ギブン家にエ・フェラリオが協力しているといった話は聞かない。
勿論それを公にしているとは限らないが、初めて会った時のニーの態度とかがその辺を如実に表しているように思えた。
「なら……トッドは?」
アレンの視線が、マーベルからトッドに移る。
この話の流れから、トッドもマーベルと同じくドレイクではなく俺の仲間だという風に思ったのもかしれない。
「トッドはお前達と同じくドレイクの指揮下だな。もっとも、客観的に考えた場合は、俺よりドレイクの下の方がいいのかもしれないが」
「……どういう事だ?」
そんな俺の言葉に疑問を浮かべたのは、アレンだけではなくジェリルやフェイといった他の2人も同様だった。
異世界の王とこの世界の王。
どちらがいいのかというのは、普通に考えればすぐに決められるものではないのだから、当然の話だろう。
だというのに、ここで俺がこのような事を言ったのが、アレン達には余程驚きだったのだろう。
「簡単な話だ。俺は異世界の国の国王であるというのは間違いないが、俺の国との連絡が途切れている。バイストン・ウェルは色々と特殊な世界だからか、本来なら異世界にある俺の国と自由に行き来出来る筈のゲートという装置が正常に作動しないんだ」
そんな俺の言葉に、最初アレン達は一体何を言ってるのかといった疑問を浮かべ……やがて驚きの表情を浮かべて口を開く。
「ちょっと待ってくれ。だとすると、何だ? あんたは国王とか名乗っているが、戦力とかは特に持ってないのか?」
「そうなるな。俺が持ってる戦力は、それこそ俺以外ならマーベルだけだ」
「よくそれで国王だなんて言えるな」
呆れの視線をこちらに向けてくるアレン。
ジェリルやフェイは、はっきりと嘲りの視線を俺に向けていた。
そんな視線を俺に向ける理由は、分からないでもない。
実際、アレンが言うように国王だなんだと言ったところで、結局は他に戦力を持っていないのだから。
とはいえ……それはそれとして、アレン達が知らないこともあるのは事実だ。
「俺は確かに国との連絡が取れない国王だ。だが、何でドレイクはそんな俺を同格と認めて、同盟者としたんだと思う?」
その言葉に、アレンは悩んだ様子を見せてから口を開く。
「つまり、あんたにはドレイクがそのようなことをする何かがあるのか? ……魔法か?」
話している中ですぐにそう指摘するアレン。
魔法がこの世界には基本的に存在しないのなら、ドレイクがその魔法を重要視して……といった風に思っての言葉だろう。
「そうだな。半分正解といったところか」
その点もあるのは間違いないし、実際俺の影のゲートを使ったことを前提とした仕事を依頼してきたりもされている。
だが、本当の意味でドレイクが俺を自分と同格の同盟者としたのは……気配遮断のようなスキルの影響だろう。
俺が敵に回れば、暗殺を防ぎようがない。
そのような事をしたくないのだからこそ、俺に配慮しているのだ。
「半分? じゃあ、他には?」
「魔法以外にも色々とある……とだけ言っておくよ。ともあれ、俺の立場はそんな感じだ」
俺の言葉に完全に納得出来た様子はしていないアレン達だったが、それでもこれ以上何も言えないと判断したのか、黙り込む。
そうして話が終わったところで、話題は次に移る。
「そんな訳で、これからお前達にはオーラバトラーに乗って貰う。そういう意味では、お前達は恵まれているのかもしれないな」
「は? どういう事だい?」
俺の言葉にそんな疑問を口にするジェリル。
それに答えたのは、俺やマーベルではなくトッドだ。
「俺達は実戦に参加する前に10分かそこらオーラバトラーの訓練をしただけなんだよ」
「……本当か、トッド?」
トッドのその言葉に、アレンはそう尋ねる。
軍隊にいた者として、そのような事は本来なら有り得ないと理解していた為だろう。
特にアレンは戦闘機のパイロットで、トッドはパイロット候補生だった。
それを考えれば、実際に戦闘機に乗る前にはしっかりと操縦訓練を行っていたのは間違いない。
そんな地上での軍隊と比べて、このバイストン・ウェルにおいては10分かそこら訓練しただけですぐに実戦に出されたというのだから。
ただ、この辺は兵器の質の違いというのも大きい。
地上の戦闘機は、操縦方法がかなり複雑らしいし。
何かで聞いた話だと、戦闘機に乗る前には辞典みたいな分厚い取説を覚える必要があるとか何とか、そんな風に聞いた覚えがあったし。
だからこそ、パイロット候補生という存在がいるのだろう。
そう考えれば、アレンはパイロットとしてしっかりとそんな辞典のような厚さの取説を覚えたのかもしれないな。
それに対し、オーラバトラーは……特にオーラ力が多い地上人は、基本的に想像力というか、考えるだけで操縦出来るというのが大きい。
同じ兵器であっても、その特性は大きく違う。
ファンタジー世界の兵器と、科学の世界の兵器の違いといったところか。
「ああ。でもまぁ、それでも何とかなる。……勿論、アレンに聖戦士としての才能があればだがな」
そう言うトッドだったが、実際にはトッドが最初に出撃した時はろくに戦いらしい戦いはしなかったんだよな。
ショウとトカマクだけが戦い、それでショウは無傷で勝ち抜いたが、トカマクはダンバインを損傷させて。
思えば、あの時のトッドはドレイクからも責められたりしていたし、トカマクの方が評価は高かったんだよな。
だが、今となってはトッドの方が評価は高くなっている。
トカマクは出撃する度に機体を損傷させ、それでいて手柄らしい手柄を挙げたりも出来なかったから、評価が逆転するのも当然か。
ただ、ドラムロに乗るようになってからはギブン家のダーナ・オシーを相手に結構活躍しているらしいが。
「……ふん」
トッドの言葉に、アレンは不安を押し殺すように鼻を鳴らす。
アレンにしてみれば、オーラバトラーというのは話で聞いただけの兵器でしかない。
そうである以上、本当に自分が乗れるかどうか不安に思ってしまうのも当然だろう。
ジェリルは、何故か自信満々な様子を見せていたが。
フェイは、特に表情が変わっている様子が見えないから何とも言えないな。
ともあれ、俺達は機械の館に向かうのだった。
「へぇ、これが……」
ビランビーを前に、アレンは感心したように呟く。
当然の話だが、アレン達3人が乗るのはビランビーだ。
ダンバインはもう殆ど補充部品もないので、当然だが新たに3機を製造するといった真似は出来なかった。
まぁ、元々ダンバインは試験機という一面もあったのだから、それを考えるとコストの高いダンバインをわざわざ新たに製造するよりは、ダンバインの後継機たるビランビーを使った方がいいと判断したのだろう。
オーラ力の強い地上人である以上、それを存分に活かすのはやっぱりダンバインの方がいいとは思うんだが。
ともあれ、そうしてビランビーに目を奪われているアレン達だったが、俺の視線が向けられたのはビランビーではなく、少し離れた場所にあるオーラバトラーだった。
「あれは、もしかして……」
「おう、あれがバストールだ」
俺の言葉にそう言ってきたのは、ゼット。
その隣にはガラリアの姿もあり、俺の方を見ると小さく頭を下げてきた。
アレン達を見てしみじみと思ったが、ガラリアの俺に対する態度も以前と比べると随分と変わってきたよな。
最初は明らかに俺を怪しんでおり、何か妙な行動をしたら即座に切り捨てる! といったような様子すら見せていたのに。
それが今では、こうして人前では目礼をしてくるといったようになっているのだから。
それは、俺がドレイクからの依頼を受けて仕事をこなしてきたというのが、影響しているのだろう。
しかし、恐らくはそれよりも大きな意味を持っているのは……やはり、マーベルとの関係だろう。
そのおかげで、間接的に俺についてある程度詳しく知ったガラリアは、大分態度が軟化したのだから。
魔法について教えているというのも、多少は影響しているのかもしれないが。
「あれがバストールか。……随分と華奢な機体だな」
ビランビーの方は、ドラムロ程とまではいかないが、ダンバインよりも大きくなっており、マッシブになっている印象だ。
それに比べると、バストールは鶏ガラ……というのは少し乱暴かもしれないが、そんな印象を受けるのは決して間違ってはいない。
それだけ高機動に特化していると思えばいいのかもしれないが、それにしたって防御力を半ば捨ててるような感じに見える。
勿論、実際には恐獣の素材とかを使って装甲を作っている以上、それなりの能力を持ってるのは間違いないんだろうが。
俺の空間倉庫の中にはミロンガ改という機体が入っているが、そのベースとなったミロンガは機動性に特化した存在で、その結果として機動性は高いものの、防御力は紙同然といった機体になった。
バストールは、そんなミロンガ改と似ている印象だ。
当たらなければどうという事はないといったのを、地でやっているようなそんなオーラバトラーのように思える。
「高機動型の機体だからな。ただ、そういう機体だから相応の技術を持ってる者じゃないと使いこなすのは難しい」
「だろうな。腕の悪いパイロットが乗れば、敵に撃墜されるだけになりそうだ」
そうして、俺とゼットはバストールを見ながら話すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676