「……は? 無理に決まってるだろ」
アレン達がビランビーに乗った日の夜、地上人同士が集まって夕食をしていた中で、不意にトッドがジェリルに向かってそう言う。
地上人同士の会食という事で、今日は何か別の仕事をしていたトカマクがいるのはいい。
マーベルも、ドレイクの部下ではなく俺の仲間ではあるが、地上人だからここにいるのはおかしくはない。
だが、そんな中に地上人ではない俺がいるのはどうなんだ? と思わないでもなかったが、まぁ、地上人ではなくバイストン・ウェルの人間じゃないと判断すれば、そうおかしな話でもないのだろうと、納得していた。
ともあれ、そうやって食事をしていた中で不意に聞こえてきたその声。
ジェリルが不満そうにトッドを睨み付けており、トッドもまた面倒臭そうな様子を見せていた。
さて、どうしたものか。
話を聞いた方がいいのは間違いないが、ここで口を挟むと俺がジェリルの相手をしないといけないような気がする。
ジェリルの相手をするのは、色々と面倒そうなんだが。
「どうしたの?」
そんな中、真っ先に睨み合っているトッドとジェリルに声を掛けたのは、マーベル。
同じアメリカ出身で、付き合いもそれなりに長いトッドと、この中で唯一自分以外の女のジェリルが言い争っているという事で、ここは自分が口を挟むべき場所だと、そう判断したのだろう。
「どうしたも何も、ジェリルがギブン家との戦いに自分も参加させろって言うんだよ」
不満そうな様子のトッドだったが、その理由は納得出来た。
自分がオーラバトラーに乗った時の事を考えると、まだ完全にオーラバトラーを乗りこなせている訳ではないのに、戦場に出て来られると邪魔でしかないのだろう。
その上、ジェリルの性格を考えれば戦闘で興奮して暴走する可能性も高い。
それ以外だと、もしかしたらだが活躍されて手柄を横から奪われるというのを心配している可能性もあるか?
実はジェリルはショウ並の操縦技術の才能を持っている……といったような可能性も、ない訳ではないのだから。
「ギブン家との戦いか。……現在、かなり追い詰めてるんだろ?」
「ああ。今は俺はこっちにいるが、明日か明後日にはまたあっちに戻るらしい。……で、それを聞いたジェリルは自分も連れて行けと言ってる訳だ」
「別にいいじゃないか。あたしはやれる。そう思ってるから、あんたに頼んでるんだよ? なら、少しくらい男気って奴を見せてくれてもいいんじゃないかい?」
ジェリルのその言葉は、虚勢でも何でもなく、本当に自分ならどうにか出来ると思っているかのようだった。
どこからそんな自信が来てるのかは、俺にも分からない。
だが、一度ジェリルには実戦を経験して貰った方がいいのかもしれないな。
そうすれば、戦いを甘く見るような事はないだろうし。
「いいんじゃないか? ギブン領での戦闘は、もう半ば勝利が決まってるんだ。そんな戦闘だけに、戦いに参加してもピンチになったりはしにくいだろうし。相手も手負いなら、経験を積むという意味では悪くないと思うぞ」
「アクセル!?」
トッドは、まさか俺がジェリルの言葉に賛成するとは思わなかったのか、信じられないといった視線をこっちに向けてくる。
「へぇ、話せるじゃないか、あんた」
ジェリルの方は、好戦的な笑みを浮かべながら俺にそう言ってくる。
「ちょっと、アクセル。本当にいいの?」
マーベルはジェリルが心配なのかそう言ってくるが、数秒前までご機嫌だったジェリルは、マーベルの言葉に再び不機嫌になる。
何と言うか、その瞬間で感情が変わるよな。
ジェリルにしてみれば、マーベルは気にくわない相手なのだろう。
ジェリルはガラリアと似たところがあるから、マーベルとの相性も悪くないと思ったんだが……どうやら外れらしい。
「実際に戦場を体験してみたいと言ってるんだから、それは構わないだろ。ただし、当然だがジェリルを1人だけで好き勝手に動かすという訳にもいかないだろうから、誰か一緒に行動させた方がいいだろうな」
そう言い、俺が見たのはトカマク。
「……は? 俺かよ!?」
まさか、自分に話が回ってくるとは思わなかったのか、トカマクは驚きに叫ぶ。
だが、そんなトカマクに俺は頷く。
「そうだ。というか、実際にジェリルと一緒に行動出来る奴となると、トカマクが一番合ってるんだよ」
「ちょっと待ってくれよ。何で俺?」
「具体的に言えば、トカマクの機体は援護向きだからだな」
トカマクが乗っているドラムロは、フレイボムというかなり便利な射撃武器がある。
それにトカマクの性格的にも、オーラバトラーの真骨頂とも言えるオーラソードを使った近接戦闘ではなく、遠距離戦の方が向いているのも大きい。
だからこそ、ここでトカマクがジェリルの援護射撃に徹しておけば、いざ何かあった時にも安心出来るのは間違いなかった。
「とはいえ、これはあくまでも俺の意見だ。ドレイクに話を持っていって、それが採用されるかどうかは、分からないけどな。どうしてもドレイクが駄目だと言えば、意味はないし」
俺がここで何を言ったところで、結局決めるのはドレイクであるというのは変わらない。
そうである以上、ここで言い争っているよりもドレイクに直接尋ねにいった方がいい。
……とはいえ、その場合は恐らくあっさり許可が下りると思っているが。
トッド達が召喚された時も、ダンバインに乗って少し操縦訓練をしたら実戦に放り込まれたのだ。
それを思えば、今回も恐らくドレイクは許可を出すだろう。
ただ、ジェリル達はドレイクの権威付けの為に召喚された人物である以上、最初の戦闘でいきなり戦死とかになったら洒落にならないだろうし、もしかしたら……本当にもしかしたら、許可をしない可能性もある。
トッド達を召喚した時と比べると、色々と状況が変わってきてるしな。
「分かったよ。なら、上から許可を貰えばいいんだね? ほら、行くよ!」
「え? あっ、おい、ちょっ!」
ここで話していても意味はないと判断したのか、ジェリルはトカマクを連れて部屋から出ていく。
「アレン、いいのか?」
そんなジェリルとトカマクを見送ったトッドはアレンにそう尋ねるが、アレンは特に気にした様子もなく、首を横に振る。
「何で俺に言うんだよ? 出撃するってのは、ジェリルが決めたんだろう? なら、俺が何か言う必要はないし、言ったところでジェリルの性格を考えれば聞くとは思えないしな」
アレンのその言葉は、俺も納得出来るところがあった
ジェリルは自分の感情に素直で、他人からの忠告は全く気にしない……我が道を行くといった性格をしている。
もしここでアレンがジェリルを止めようとしても、恐らくその言葉を聞く事はないだろう。
寧ろ、そんなアレンの言葉に反発して絶対に前線に行くといったように判断するだろう。
「お前達の中では、アレンがリーダーシップをとってくれると、俺としては助かるんだけどな」
アレン達はあくまでもドレイクの部下で、それが俺に関係してくるといったような事は基本的にない。
だが、それでもドレイクの下で何らかの問題が起きた場合、それはドレイクと同盟を組んでいる俺にまで飛び火しかねない。
であれば、アレンが上手い具合にジェリルの手綱を掴んでおいて欲しいと思うのは当然だろう。
「俺がか?」
そう言うアレンだったが、表情の中には嬉しそうな色もある。
自分がリーダーだと認められたのが嬉しかったのだろう。
とはいえ、この場合はあくまでもジェリルとフェイに関しての話だ。
トッドやトカマクに関しては、話が別になるだろう。
もっとも、ジェリルに連れられていったトカマクの事を思えば、トカマクに関してはアレンの方に入る事になるかもしれないが。
「軍人だったのなら、部下を率いるのにも慣れてるだろ。……ちなみにフェイは地上では何をしてたんだ? その名前からすると、中国人だよな?」
「ああ、中国人だ。売れない俳優をやっていたよ」
自分で売れないと口にする辺り、本当に売れてなかったのか、それとも謙遜してそう言ってるだけなのか。
その辺は俺には分からなかったが、今の状況でその辺を詳しく聞いたりとかはしない方がいいだろう。
フェイも、その辺を聞いて欲しくなさそうな様子だし。
「おい、アクセル。本当にいいのか? あのジェリルって奴を前線に連れていけば、間違いなく騒動になるぞ?」
トッドのその言葉は、味方を心配するというよりは自分が手柄を挙げるのに邪魔をされるのは困るといったような感じだ。
一応オーラバトラーの操縦でアレン達に実力の違いを見せつけたのはいいのだが、それでも完全にアレンに対する対抗心が満足した訳ではないのだろう。
「駄目だと思えば、ドレイクが止めるだろ」
取りあえずそう言っておく。
実際にドレイクが本当に駄目だと思えば、幾らジェリルが戦闘に出たいと言っても許可を出したりはしない筈だ。
とはいえ、ドレイクの性格を考えれば許可を出すだろうと予想していたが。
「それで、ギブン家だったか? そこはもう負けそうなんだろ? なら、一気に決着を付けた方がいいんじゃないか? ここでこうしてわざわざ時間を使ったりといったような真似はしないでよ」
アレンのその言葉は正しい。
もう一息でギブン領の制圧は完了する。
現在、ギブン家がそこまで追い詰められているのは、間違いのない事実なのだ。
とはいえ……そんな状況の今だからこそ、アの国を完全に自分の物にする為にドレイクはアレン達を召喚したのだろうが。
「そこまで追い詰められてるのなら、別にジェリルが戦いに参加したところで意味はないんじゃないか? 戦闘を経験させるだけって感じで」
『違う』
フェイの言葉にそう言ったのはマーベルとトッドの2人。
ギブン家がこのまま狩られるだけの獲物ではないというのは、何度もショウと戦ったトッドと……そして始まりの聖戦士としてショウを見てきたマーベルだからこそ断言出来るのだろう。
だが、それを理解出来るのはあくまでもショウという相手を知っているからこそだ。
その辺りの事情を知らないアレンやフェイにしてみれば、何故そんな風に言うのかが理解出来なくてもおかしくはない。
「何だ? 何でそんなに言い切れるんだ?」
「今回、アレン、ジェリル、フェイといった3人がバイストン・ウェルに召喚されたのと同じように、前回の召喚でも3人が召喚された。その中の1人がドレイクの下を脱走してギブン家に手を貸している」
「そう言えば、マーベルはトッド達と一緒に召喚されたんじゃなかったな」
「ああ。マーベル以外にもう1人地上人がいる。それが、ショウ・ザマだ」
いやまぁ、実際にはショットやゼットがいるんだが、そっちは今は数に入れなくてもいいだろう。
聖戦士的な意味で。
「ショウ・ザマ……で、あんた達が警戒しているって事は、強いのか?」
「強い。少なくてもトッドとトカマクの2人を相手に互角以上に戦えるし、マーベルとも……以前は勝てなかったが、実戦を経験した今となってはどうなってるのやら、だな」
そう言い切ると、アレンは厳しい表情を浮かべる。
まだオーラバトラーには乗ったばかりで、実際にそれがどの程度の強さを持っているのかというのは分からないのだろう。
だが、それでもショウが強敵だというのは十分に分かったらしい。
多分、そんなアレンの数倍……場合によっては、数十倍は厳しい相手だと思うんだが。
その辺は実際にショウと戦ってみるまでは分からないが……そうだな、ちょっと聞いてみるか。
「マーベル、トッド。お前達の目から見て、アレン達がショウと戦えるようになるにはどのくらいの時間が掛かると思う?」
「は? あー……そうだな、正直なとこ分からないな。アレン達が強くなっているのと同様に、ショウもまた強くなってるし」
「そうね。それもアレン達はただ訓練を重ねているのに対して、ショウは実戦で技術を磨くことになるわ。正直なところ、そういう意味ではアレン達よりショウの方が強さの上昇という面では大きいでしょうね」
トッドとマーベルがそれぞれに自分の思うところを口にする。
その言葉はアレンとフェイにとって面白いものでなかったのは間違いないが、それでも今の状況を思えば決して嘘ではないとも判断したのだろう。
アレンとフェイの2人は、それぞれに不満そうな表情を見せながらも、反論はしない。 反論はしないが……
「なら、実戦を潜り抜ければいい訳だ。もしジェリルがそのギブン家との闘いに参加するのなら、俺も参加してもいいか?」
「フェイ!?」
アレンは、まさかフェイがそのような事を言うとは思っていなかったのか、驚いて叫ぶ。
だが、そんなアレンに対してフェイは決して退かないといった様子で視線を向け……
「俺達は聖戦士として呼ばれたんだろ? なら、少しでも早く手柄を立てる必要があるじゃないか」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676