「マジか」
戻ってきたジェリルの言葉を聞き、素直に驚きの言葉を口にする。
当然だろう。今回の一件に関しては、予想外だったのだから。
ドレイクにギブン家との戦いに参加させて欲しいと主張しても、最終的には却下されると思っていた。
だというのに、ドレイクは許可したのだ。
勿論、可能性としては有り得るかもしれないとは思っていた。
だが、それでも今のドレイクの状況を思えば、多分却下するだろうと予想していたのだ。
だが、結果として引き受けたのだから、俺にとっては驚き以外のなにものでもない。
「あら、これはちょっと予想外ね」
「嘘だろ」
マーベルとトッドも、俺と同じように驚きの声を口にする。
とはいえ、マーベルはそこまで驚いた様子には見えないのだが。
「アレン達の分も許可を貰ってきてやったから、あたしに感謝しなよ」
「はぁっ!?」
ジェリルのその言葉に驚きの声を挙げるのは、当然ながらアレンだ。
フェイは俺の話を聞いた為か、戦いに参加してもいいといったような思いを抱いていたので、そんなジェリルの言葉を聞いても特に驚いた様子もなく、寧ろ喜んですらいたが。
うん、この3人の纏め役をアレンに任せようと思っていたんだが、この様子を見るとそれもちょっと難しそうな気がしてきたな。
にしてもジェリル……一体、ドレイクとどんな交渉をしてきたのやら。
一緒に連れて行かれたトカマクが疲れた様子を見せているのを考えると、色々とあったのは多分間違いないだろうけど。
そんなジェリルを見て、ふと思う。
もしジェリルがシェリルと会ったらどういう反応をするのか、と。
名前はジとシが違うだけだ。
いやまぁ、名字はクチビとノームで全然違うけど。
ただ、意外にお互いの相性は悪くないのでは? という風にも思ってしまう。
お互いに気の強さという点ではかなりのものだし。
「アクセル、お前はどう思う?」
アレンが助けを求めるようにこちらに視線を向けてくる。
ジェリルとフェイの2人はやる気だが、アレンはそこまでやる気にはなれない……といったところか。
とはいえ、アレンがどのように思ったところでドレイクが許可をした以上はもう変わらない。
「諦めろ。ドレイクが許可を出すというのは俺にとっても意外だったが、それでも許可が出た以上、もうどうしようもない。この状況でアレンが戦いに参加しないというのは、他の連中が認めると思うか?」
特に、他のバイストン・ウェルの者達がそうだ。
あるいは、これでフェイは戦場に向かわず、ジェリルだけが向かったのであれば、召喚された地上人3人のうち、ジェリルは勇猛な聖戦士の女であると認識されるだけですんだのかもしれないが、フェイも戦場に出るとなれば、話は変わってくる。
アレンが戦場に出ないとなると、1人だけが戦場に出ないという事になり、詳しい事情を知らない者にしてみれば、アレンだけが怖じ気づいて戦場に出ないと、そのように思えてしまうだろう。
アレンもそんな俺の言葉で話を理解したのか、不満そうにしながらもやがて頷く。
ここで頷かない……戦場に出ないというのは、この先ドレイクの下で戦っていく上で不利になるだけだと、そう判断したのだろう。
「ちょっと待て。アレン達が戦場に出るのはいいが、そうなるとトカマクだけで3人を援護するのか? さすがにそれは無理じゃないか?」
トッドのその言葉に、俺は確かにと頷く。
ジェリルだけでも援護するのは、多分難しい。
そこに更にアレンとフェイの2人が加われば、絶対に手が足りなくなる。
「トッドがいるだろ? 他にもガラリアとバーンもいる、ほら、これで3人だ」
「俺にやらせるのかよ!?」
拒否感を露わに、トッドが叫ぶ。
トッドにしてみれば、アレンのフォローをするよりも、自分が手柄を立てたいと思うのは当然だろう。
ただでさえ、ライバル心……もしくはコンプレックスを持っているアレンが自分と同じこのバイストン・ウェルにやってきたのだ。
それを思えば、自分とアレンの間にある差を今のうちに広げておきたいと思ってもおかしくはないだろう。
「そうは言っても、ドレイクの部下なんだから当然だろう? ……マーベルがいいのなら、そっちに手を貸してもいいけど」
「マーベル、頼む」
俺の言葉を聞いた瞬間、トッドはマーベルに頭を下げる。
そこまでアレンと一緒に行動するのは嫌なのか? ……嫌なんだろうな。
トッドの性格を考えると、しみじみとそんな風に思ってしまう。
「私? まぁ、いいけど」
そしてマーベルは基本的に優しい性格をしている為に、トッドからこうやって素直に頭を下げられて頼まれれば、断るような真似は出来ない。
トッドもそれを知っているからこそ、マーベルに向かって素直に頭を下げたのだろう。
この辺、如才ないというか、強かというか……そんな感じなのは間違いない。
「じゃあ、トカマクとマーベルと……ガラリアかバーン辺りの説得はトッド次第だな。もしトッドが説得に成功すれば、トッドはアレン達の護衛をしなくてもいいけど、失敗した場合はトッドがやる必要がある。……それでいいよな?」
「アクセルは手伝ってくれないのか?」
「おいおい、幾ら何でも、俺を引きずり出そうとするのは無理があるだろ。……ちなみに、ドレイクは俺に依頼をする時は色々と報酬を支払ってるんだが、トッドにそれは用意出来るのか?」
「それは……取りあえず貸しにしておいてくれ」
「貸し、ねぇ。いいのか? 言っておくけど、貸しがあるのなら俺はしっかりと取り立てるぞ? それこそ、後で実は借りてないとか、そんな風に言っても全く無意味なくらいにな」
そう告げる俺の言葉に、トッドは頷く。
……正直、そこまでして俺の手を借りる必要があるのか? と思わないでもなかったが、トッドがそう言うのであれば、俺としては何も言う事はない。
現在のところ、ドレイク軍の中では最強の聖戦士たるトッドに貸しを作れるのだから、それは俺にとって悪い話ではない。
あくまでもドレイク軍最強であって、ギブン家にいるショウだったり、俺の隣にいるマーベルだったりと比べた場合、どうしても劣ってしまうのだが。
その辺は、これからのトッドの頑張り次第といったところか。
「それでもいい。ギブン家との戦いは、俺にとってそれだけ大きなものなんだ。それをきちんと戦えるのなら、アクセルに借りを作るくらいはどうってことないさ」
そう断言するトッドに、俺はそれ以上は何も言わない。
そこまでいうのであれば、こちらとしても素直にそれを受け入れた方がいいと判断した為だ。
「分かった。そうなると、誰が誰を担当するかだな。ジェリルとトカマクはそれで決まりとして、そうなると俺とマーベルがアランとフェイのどっちかを担当する事になる訳だが……希望はあるか?」
『マーベルで』
俺の言葉に、アレンとフェイの言葉が揃ってそう答える。
いやまぁ、その気持ちは分からないでもない。
どうせ一緒に行動するのなら、俺ではなく女のマーベルと一緒に行動したいと、そんな風に思うのは当然だろう。
ましてや、マーベルは美人だし。
とはいえ、それを俺が面白く思わないというのも、また事実。
「お前達の気持ちは分かった。……となると、やっぱり俺じゃなくてガラリアを連れてきた方がいいんじゃないか? それならお前達も納得出来るだろうし」
「いやいや、待ってくれ」
トッドがそう言って割り込んでくる。
トッドにしてみれば、折角俺に借りを作ってまで協力を要請したのだから、ここで俺に下りられるのは困るといったところだろう。
「そう言ってもな。2人揃ってマーベルがいいと言ってくるんだから、そうした方がいいのは間違いないだろ」
「……アレンがアクセル、フェイがマーベルだ」
数秒の沈黙の後、トッドはそう断言する。
そんなトッドの言葉に不満を口にしたのは、当然ながらアレン。
「待てよ、おい。何でフェイがマーベルで俺がアクセルなんだよ?」
「アレンの女癖の悪さは知ってるつもりだ。お前をマーベルの近くに置いておくと、妙な真似をしかねないからな。それを考えるとアレンはアクセルと組んだ方がいい」
「ぐ……」
トッドの指摘は図星だったのか、アレンはそんなトッドの言葉に対して何も言えなくなる。
どうやらアレンが女好きというのは、間違いないらしい。
もっとも、アレンも俺に女好き云々などといったような事は言われたくないだろうが。
何しろ、10人以上の恋人と同棲しているのだ。
そんな俺がアレンを女好き云々といった内容で責めても、それは意味がない。
「そういう訳で、これで決まりだ。フェイも文句はないな?」
「ああ、俺としては大歓迎だよ」
フェイにしてみれば、最初からマーベルを希望していたので文句はないのだろう。
アレンも俺が担当であるのは面白くないのだろうが、トッドにこのような事を言われれば、それに反対するといったような真似は出来ないらしい。
「そうなると、アレン達はもっとしっかりとオーラバトラーの訓練をした方がいいな。ギブン家との戦いがあると分かっている以上、ここで訓練をしないといった選択肢はないだろ」
その言葉に対し、アレンは当然だといったように頷き、ジェリルとフェイはあまり気が進まない様子ではあったが、頷いてみせる。
こういう点を見る限りでは、アレンは軍人だっただけあって、しっかりとしてるよな。
ともあれ、こうして俺は再度ギブン家との戦いに関与する事になるのだった。
まぁ、今はミの国でもフラオンが好き勝手に振る舞うのを待つしかないから、特にやるべき事はないし。
一応機械の館を襲撃するといったような事はあるが、それも可能ならやればいいといった程度でしかない。
「これは、また……随分と被害を受けたな」
アレン達がギブン家との戦い……それも最後の戦いとも呼ぶべき戦いに参加する事になってから、数日後。
俺のナムワンを使って、ギブン領までやってきていた。
本来ならブル・ベガーを使う予定だったのだが、諸事情で使えなくなってしまったらしい。
まぁ、ドレイクも現在はアの国を自分が完全に支配する為に色々と動いているのだから、その辺を考えればおかしな話ではないだろう。
多分どこかの領主の領地に何らかの理由でブル・ベガーを派遣する事になったといったところか。
何だかんだと、アの国ではまだギブン家が踏ん張っている。
それが、もしかしたら……といったように思う者がいる根拠になっているのだろう。
普通に考えて、ここから盛り返すというのは不可能に近いと思うんだが。
それでもギブン家を信じているのは、ギブン家と昔から付き合いがあったといった理由が大きかったりするのだろう。
ルフト家には劣っていても、ギブン家はそのルフト家に続くだけの力を持っている領地だけあるといったところか。
そんな訳で、別に空いてるオーラシップを用意するとドレイクは言ったのだが、それも面倒なので人員だけ借りてナムワンは俺の物を使用する事にした。
そうしてギブン家との戦いを行っている本陣までやって来たのだが……その本陣は敵の襲撃があった為か、かなりの被害を受けていた。
「状況を把握する必要があるので、失礼します」
そう言い、バーンは素早く俺の前から立ち去る。
言葉通り、少しでも早く状況を知りたいというのもあるだろうが、それ以上に俺と一緒にいるのが嫌だったから……と、そう思うのは俺の気にしすぎか?
バーンの性格を考えれば、そうおかしくはないが。
「こりゃあまた……凄いな。見張りとかしてなかったのか?」
ナムワンから下りてきたアレンが、周囲の様子を見てそう呟く。
他の面々もまた同様に。
「ちょっと待ってろ。俺が話を聞いてくる。知り合いとかもいるから、情報は集めやすい筈だ」
トッドがそう言うと、離れた場所にいる兵士達に向かって近付いていく。
「何があったんだと思う?」
トカマクに尋ねたジェリルのその問いは、何があったのかを理解した上で尋ねていた。
「多分、ギブン家が襲ってきたんだろ。向こうもかなり追い詰められているから、本陣を襲って一発逆転を狙ったんだと思う」
だが、主力と呼ぶべき面々はラース・ワウに移動していたので、被害らしい被害は受けなかったと。
そういう意味では、運がよかったんだろうな。
もしここに誰かが残っていれば、多分ショウと戦うことになった筈だ。
敵の本陣を攻撃するということは、当然ながらギブン家でも最大戦力を用意するといったような事はしている筈であり、ギブン家の最大戦力となれば当然のようにショウなのだから。
もしトッドがここに残っていれば、それこそダンバインがなくても、ドラムロに乗ってでもショウと戦っていただろう。
勿論、トッドの操縦技術を考えればある程度はダンバインに乗るショウとも互角に戦えただろうが、それでもダンバインに乗っていてもショウに勝てなかったんだから、ドラムロで勝つのは難しかった筈だ。
まぁ、今はビランビーを持ってきたから、どうなるかは分からないが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676