アレンが戦っていたダーナ・オシーは撤退するか撃破するかした。
それを確認すると、アレンは次にこの戦いで最大の乱戦となっているショウのダンバインの方に目を向ける。
ゲームとかで表現するとすれば、ボスのダンバインをジェリル達が相手にしている間、アレンはボスが引き連れている雑魚のダーナ・オシーを相手に戦っていた訳だ。
いやまぁ、実際に敵を倒すという意味ではきちんと実戦経験を積んでいるので悪くはないのだが。
だが、当然のようにダーナ・オシーがいなくなれば、アレンもまたダンバインとの戦いとなる。
「トカマク、お前は一旦退け。お前の代わりにアレンが戦闘に参加する」
そう、トカマクのドラムロに通信を入れる。
『本気かよ! 相手はダンバインだぞ!? このまま俺も一緒に戦った方がいいだろ!』
そう怒鳴り返しながらも、トカマクは後方に退く。
この辺り、何だかんだと素直で戦力の計算に入れられる男だよな。
ひとまずトカマクの言葉を無視し、アレンに通信を入れる。
「アレン、お前もダンバインとの戦闘に加われ。ダーナ・オシーとは違う、本物を味わってこい」
『俺もか!? ……分かったよ、やってやるよ!』
アレンはそう言うと、トカマクの抜けた穴を埋めるべくダンバインに向かって攻撃をする。
ダンバインはトカマクのドラムロが離れた事で幾らか楽になったものの、次の瞬間にはアレンが襲い掛かってきた事で、再び忙しくなる。
それを見ながら、俺は改めてトカマクに通信を送る。
「元々、今回の戦いはアレン達3人の初陣と、ショウのダンバインと戦わせる事が目的なんだ。忘れたのか?」
『それは……分かったよ』
トカマクは俺の言葉にこの戦いの目的を理解したのか、大人しく引き下がる。
それでもジェリルの事が心配なのか、落ち着かない様子だったが。
「安心しろ。もしあの3人がショウに殺されそうになったら、すぐに俺が介入するから」
『本当だな?』
「ああ。約束する」
こうしてアレン達3人と戦いながらも、ショウの注意がこちらに向いているというのは俺も感じる。
それはつまり、あの3人と戦いながらもショウにはまだ結構な余裕があるという事になるのだが……この辺、さすがと言うべきか。
とはいえ、だからこそ俺が乱入するとなれば、すぐにショウも反応する筈だった。
以前の戦いで、ショウは俺に負けている。
それも撃墜されるのではなく、生け捕りにされるという形で。
当然ながら、相手を撃墜して殺すのと生け捕りにするのとでは、後者の方が難しい。
そして、お互いの間にしっかりとした力量差がなければ、そのような真似はなかなか出来ない事でもあった。
だからこそ、ショウは俺が戦場に参加すれば撤退……といった真似は、背後に砦やゼラーナ、ナムワンといった諸々があるので出来ないだろうが、それでもアラン達から一度距離を取るといったような真似はするだろう。
これなら、アレン達がピンチになってもすぐに対処出来るので、何かあってもアレン達が死ぬといったような事はない。
ある意味で、これだけ安全に実戦を……それもギブン家の聖戦士ショウ・ザマを相手に戦えるというのは、もの凄く贅沢な訓練だろう。
もしショウがそれを理解すれば、かなり怒ってオーラ力を増幅させそうな気がしないでもないが。
勿論、俺が介入するからといって100%絶対に安全といった訳ではない。
例えば、ダンバインと切り結んでいて、間近でオーラソードでコックピットを貫くといったような行動をされた場合は、俺としても対処のしようがない。
そういう意味で、安全ではあるがある程度の危険もある戦いというのが、この実戦だ。
いやまぁ、実戦に限らず何にでも事故というのはあるしな。
それを思えば、やはり何かあったら即座に俺が介入出来る分だけ安心ではある。
そんな風に考えている間にも、ダンバインと地上人3人の戦いは続く。
「へぇ」
戦いの様子を見ている俺の口から、少しだけ驚きに満ちた声が漏れ出る。
一番長くショウと戦っていたジェリルだが、戦っている間にその動きがかなり洗練されてきたのだ。
とはいえ、その動きの比重は7……いや、8割くらいは攻撃に振り分けられていたが。
勿論、洗練されてきたとはいえ、ショウと互角に戦えるといった訳でもない。
しかし、ジェリルの戦闘本能……いや、攻撃本能と言った方がいいのか? それによって洗練されてきた動きは、少なくてもオーラ力云々抜きでダーナ・オシーのパイロット達を上回っているのは間違いない。
勿論、ジェリルだけではなくアレンやフェイもこの戦いの中でオーラバトラーの操縦に慣れていってはいるのだが、その中でもジェリルは頭一つ飛び抜けた感じだ。
攻撃的な性格をしているとは思っていたが、それが見事に発揮された形といったところか。
『凄いわね、彼女』
マーベルもまた、そんなジェリルの様子を見て感心したように呟く。
それでも、マーベルとジェリルの間にある技量の差というのは、かなり圧倒的なものではあるんだけどな。
始まりの聖戦士と呼ばれ、初のオーラバトラーであるゲドで戦ってきたのは伊達ではない。
トッドもまた、そんなマーベルに何とか追いつこうと頑張っているものの、こちらはまだ難しい。
ジェリルとトッドという組み合わせもまた、面白そうだとは思うのだが。
とはいえ……それでも、トカマクが抜けてアレンが入った事によって、戦況は次第に変化していく。
ショウ、トッド、トカマクといった3人の中では一番弱いとされているトカマクだが、それでも実戦経験に関しては当然ながらアレン達3人を大きく上回っている。
言ってみれば、ドラムロよりも性能の高いビランビーに乗っているアレンよりも、ドラムロに乗っているトカマクの方が強いという事なのだろう。
当然だがそれは今だけの話で、将来的にはアレン達がトカマクよりも強くなるといった可能性は否定出来ない。
というか、多分そうなる可能性の方が高いだろう。
「さて、この戦いはこれまでだな」
『いいの? ゼラーナやナムワンを放っておいて』
俺の呟きを聞き取ったのか、マーベルがそう尋ねてくる。
「まぁ、本陣が攻撃されたから、建て直しを優先すると決めたのはバーンだし。それに、ドレイクの目的としてはギブン家がミの国に行った方がいいのは間違いない」
現在ミの国にいるだろうフラオン。
今はまだミの国に匿われてからそんなに時間が経っていないので、ピネガンに対する要求はささやか――あくまでもフラオンの認識でだが――なものだろう。
だが、そこにギブン家の軍勢が合流すればどうなるか。
間違いなく、ミの国の内部でフラオンが自分勝手に動き始め、それによってミの国内部は混乱する。
これからミの国を攻略しようとしているドレイクにとって、敵の内部が混乱しているに越した事はない。
それに反乱軍の方も、そんなフラオンを相手にしているピネガンを貶める噂の類を広げやすくなるだろうし。
『アクセルがいいと言うのなら、構わないけど。……それで、戦闘はどうやって止めさせるの? あの様子だと、止めるように声を掛けただけで戦闘が中断するとは思えないわよ?』
「こうする」
そう言い、俺はサーバインを動かして戦いが行われている方に向かう。
それも、ショウが俺の存在に気が付くように、あえてゆっくりとだ。
当然だが、ショウは近付いてくる俺の姿を見て即座にこのままでは危険だと判断したのだろう。フェイが振るったオーラソードの一撃を回避すると、そのままジェリルのいる方に向かって蹴り飛ばす。
ジェリルの性格を考えれば、もしかしたらフェイを邪魔だとオーラソードで斬り捨てるといったような真似をしないとも限らなかったのだが、ジェリルにもその辺の判断は出来たらしい。
フェイの機体を、ジェリルの機体が受け止める。
通信ではジェリルが痛烈にフェイに向かって色々と言っていたが、取りあえずそれは聞かない振りをしてから、ショウのダンバインが十分離れたのを確認して味方機に通信を送る。
「そろそろ戦いは十分だろう。初陣も経験したし、敵のエースのショウとの戦いも経験した。戻るぞ」
『待ちなよ! あたしは納得出来ないね! まだ戦える!』
真っ先に不満を露わにしたのは、当然だがジェリル。
とはいえ、その言葉を聞く訳にいかないのも事実だ。
「駄目だ。このままここで戦っていれば、ゼラーナとナムワンから更に援軍がやって来て面倒な事になるぞ」
実際には援軍が来ても、俺とマーベル……それとトカマクがいれば、そちらはどうとでも対処は出来るんだが。
しかし、それでもここで長い間戦闘をしていると、俺やマーベルやトカマクはともかく、ジェリル達はオーラ力を消耗しすぎるという可能性がある。
バイストン・ウェルの人間に比べると大きなオーラ力を持つ聖戦士だが、それだって無限という訳ではない。
オーラバトラーで長時間戦ってオーラ力を使いすぎると、パイロットがかなり衰弱してしまう。
一般的に科学で作られたPTを始めとした人型機動兵器と比べると、そこがオーラバトラーの欠点の1つなんだよな。
まぁ、その変わりオーラコンバータがあるから、MSのように推進剤の類を必要としないというのは、この場合大きいけど。
オーラバトラーがここまで小型になった理由には幾つか理由があるが、パイロットのオーラ力や空中に存在するオーラ力を使ってオーラコンバータが推進剤としているというのがある。
こうして考えると、オーラ力ってかなり万能な力なんだよな。
『ぐ……それは……』
ジェリルが不満そうにしながら、それでも自分の中にあるオーラ力が消耗しているのには気が付いているのか、反論してこない。
アレン達3人の中では、真っ先にショウに攻撃し、その後は延々と戦い続けていたんだから、一番オーラ力を消耗しているのは、間違いなくジェリルだろう。
そんなジェリルだからこそ、俺の言葉に渋々とではあるが認めるしかない。
そしてジェリルと同様にショウと戦っていたフェイや、ダーナ・オシーと戦っていたアレンも同様にオーラ力をかなり消耗しているのは間違いなかった
俺にとって幸いだったのは、アレンとフェイはここで一旦退くという俺の言葉に異議を唱えなかった事か。
多分、ジェリル程ではないにしろ、自分のオーラ力が減っているのを理解してるんだろうな。
「分かったな? じゃあ、退くぞ。このままここにいて、また援軍のダーナ・オシーが出て来たら面倒な事になるだろうしな」
そう言い、俺はその場から離れるようにして移動する。
すると、当然だがマーベルも俺を追ってくる。
そして俺とマーベルが移動したとなると、オーラ力の消耗したアレン達3人もそのままでいるといったような事は出来ず、こちらに向かってきた。
トカマクが一番最後になったのは……もし追撃があった場合、それに対抗する為か?
トカマクらしくない行動だが……あるいは、ショウと一緒に召喚されたという事に何か思うところがあるのかもしれないな。
しかし、幸いな事にショウのダンバインは撤退していく俺達の姿を見ても追撃してくる様子はない。
追撃してきたら、間違いなく俺と戦うことになるだろうから、なのかもしれないが。
そんな訳で、俺達は特に何の妨害もなく撤退する事に成功する。
ショウが追撃を仕掛けなかったのは、追撃を仕掛ければ俺やマーベルがいるので間違いなく逆撃を受けるといったこともあるだろうが、それ以上に今は少しでも早く亡命する準備をしたいというのがあるのだろう。
本来ならドレイク軍の本陣を攻撃し、相手がそれに動揺したり態勢を立て直したりといったような事をしている間に、ギブン領を脱出するつもりだったのだろうが……まさか、ショウと戦ってみたいという理由で攻撃を仕掛けてくる奴がいるとは、ショウやニー、それ以外のギブン家の者達にとっても完全に予想外だったのだろう。
とはいえ、その気持ちは理解出来ないでもなかったが。
普通ならそんな理由で攻撃をするなんて事は、まずないんだし。
感情的なジェリルの性格が、見事に敵の不意を突いたといったところか。
そういう意味では、今回の一件は悪い話じゃなかったんだよな。
『追ってこないね』
残念そうに言うジェリルの声が聞こえてくる。
もし追ってきたら、最初にショウや追撃隊と戦う事になるのはトカマクなんだが、その辺を理解してるのか?
とはいえ、いつもはショウによって機体を破壊されていたトカマクだったが、今日に限っては五体満足のままだ。
ジェリルやフェイといった仲間と一緒に戦ったから。
ただ、一緒に戦ったというだけならトッドとも一緒にショウと戦っていたよな。
勿論、トッドと2人だけだったのに対して、今回はジェリルとフェイの2人と一緒にだったが。
そうなると、やっぱり乗ってる機体の違いか。
トカマクには、ダンバインよりもドラムロの方が操縦特性にあっている。
恐らくはそういう事なんだろう。
あるいは、トカマクもバイストン・ウェルに来てそれなりに経つので、以前よりもオーラ力が成長しているといった可能性もあるだろうが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678