「は? 何で俺達が?」
ギブン領制圧から数日が経過し、特に急ぎの仕事がない俺はゆっくりとした時間を楽しんでいた。
勿論、マーベルに付き合ってオーラバトラーの訓練とかはしていたのだが。
そんな日々の中、アレンから提案されたのが模擬戦だった。
「頼まれてくれないか? 俺達もショウだったか? そいつと戦いはしたものの、もっと強い相手と戦いたいんだよ、ビランビーの操縦にも慣れてきたし」
話を聞くと、アレン達新たな地上人3人は最近ガロウ・ランの盗賊達を相手に戦っていたらしい。
オーラバトラーを持っている訳でもない連中を相手に、ビランビーで攻撃したとなると……正直なところ、それで上がる操縦技術は一定ラインまでといったところだろう。
それでも正真正銘の初心者だったアラン達にとっては十分だったんだろうが。
だが、その一定ライン以上はどうにもならないという事で、その一定ラインを突破する為に俺に向かって頼んできたといったところか。
「別に俺じゃなくてもトッドとかに頼めばよくないか?」
少なくても今の時点で、トッド達の方がアレンよりも技量が上なのは間違いない。
であれば、わざわざ俺達に頼むよりもトッドに頼んだ方がいいだろうに。
そう思ったのだが、アレンは首を横に振る。
「いや、トッド達は今は忙しくて、俺達と模擬戦をしているような余裕はないんだ」
そう言うアレンだったが、その言葉は真実か?
いやまぁ、実際にドレイクがアの国の国王になって忙しくしているというのは事実だ。
トッドも忙しそうにしているのを見た覚えがあるし。
だが、アレンの立場……地上ではトッドの先を行くパイロットだったという事を考えれば、トッドとの間にある実力差をどうにかして埋めたいと思うのは当然だろう。
とはいえ、それでジェリルやフェイまでもが模擬戦を希望してくるというのは、どうかと思うが。
あるいは、俺とマーベルの実力をきちんと自分達で把握したいとか?
何だかんだと、俺とマーベルが戦っている光景は見ていないだろうし。
人から話を聞くといったようなことはあるかもしれないが、それでは納得出来ない。
自分で俺とマーベルの実力を体験してみなければ、その話を信じられないといったように思っても、おかしくはない。
ふむ、そうなると……俺はともかく、ジェリルのマーベルに対する態度はかなり敵対心がある。
この辺は、やはり自分と同じ女が聖戦士として自分よりも前にいて、それが気にくわないといったところか
ましてや、マーベルはジェリルよりも美人だし。
美人云々に関しては、個人の感覚もあるので正確にどうこうといったようには言えないが。
実際、トカマクはジェリルと接する事が多くて振り回されたりもしているが、本人的には決して嫌がっていない。
それどころか、喜んですらいる。
その辺の事情を考えると、トカマクにしてみればマーベルよりもジェリルの方がいい女という認識であってもおかしくはない。
ともあれ、そんな訳でジェリルがマーベルに対して思うところがあるのは間違いない以上、ここはやはりしっかりと戦わせておいた方がいいだろう。
アレンとフェイにも、俺がどのくらいの強さを持つのかを見せておくというのは、悪い話ではないだろうし。
「分かった。俺は模擬戦を引き受けてもいい。……マーベルはどうする?」
「私? 今は特にやるべき事はないし、アクセルがやるなら私もやってもいいけど」
マーベルのその言葉で、模擬戦が行われる事が決定した。
ラース・ワウにある、機械の館から少し離れた場所。
今まで何度もオーラバトラーを使った模擬戦を行っている場所で、俺はサーバインに乗ってアレン達と向き合っていた。
俺の隣には、マーベルの白いダンバインの姿もある。
お互いに準備が整うと、マーベルとジェリルはこちらから離れていく。
最初は、俺とアレン、フェイの模擬戦を行う為だ。
ジェリルとしては、最初は自分が戦いたかったんだろう。だが、アレンの口の上手さには敵わなかったらしい。
「よし、いいだろう。……来い」
そう告げると同時に、アレンとフェイが乗った2機のビランビーは動き出す。
真っ直ぐ俺に向かってくるのではなく、左右に別れ、挟み込むようにこっちに向かってくる。
さて、そうなるとどう対処すべきか。
少し迷いつつも、俺が取った行動はフェイのビランビーに向かって進む事だった。
挟み撃ちが怖いのは、その攻撃が同時に行われて対象……俺がどちらの攻撃にも対処出来ないからだろう。
だが、それは逆に言えば同時に攻撃をされるよりも前に行動を起こす事だ。
つまり、先にどちらかを攻撃すれば各個撃破するということになる。
勿論、こんな簡単な事はアレンにも理解出来ている筈だ。
それでもこういう行動を取ってきたのは、それで何とかなると、そう判断したからなのだろう。
ダンバインよりも大きな身体を持つビランビーが、いきなり近付いてきた俺のサーバインに驚きつつも、オーラソードを振るってくる。
その一撃は、そこまで鋭い一撃でもなく、回避するのは難しい話ではなかった。
オーラバトラーは、パイロットのイメージが大きな意味を持つ。
それは例えば、パイロットが剣術に優れていればオーラバトラーの振るうオーラソードの一撃も鋭く、素早くなるということを意味しているのだが、そうでない者の場合は攻撃の速度や鋭さが若干劣るということを意味してもいた。
実際にはその辺は個人差があるので、必ずしもそうなるとは限らない。
また、マーベルを見れば分かるように、その辺りは実戦経験を積めばある程度どうにかなる。
しかし、フェイの場合はまだオーラバトラーに乗ったばかりである以上、どうしても反応が鈍いのは当然だった。
だからこそ、サーバインはあっさりとオーラソードの動きを回避して、ビランビーの背後に回り込める。
攻撃を外してバランスを崩しているビランビーの背中……というか、オーラコンバータを破壊しないように注意して、こっちに向かって突っ込んでくるアレンのビランビーに向かって蹴り飛ばす。
アレンのビランビーはそんなフェイのビランビーを受け止めるかどうか一瞬迷う。
あるいはこれがオーラバトラーではなく戦闘機なら、アレンも吹き飛んできたフェイのビランビーを受け止めるといった選択肢は考えることなく、あっさりと回避して終わったのだろう。
だが、オーラバトラーには戦闘機と違って手足があり、自分の方に向かって飛んでくる仲間を受け止めるといったような真似も出来る。
そう思ってしまったからこそ、どうすればいいのか迷って反応が鈍くなり、結果としてビランビーを受け止めるといった真似を行う。
それが、アレンにとっては致命的な隙となった。
ショットクローを放ち、二機纏まったビランビーを纏めて絡め取る。
「終わりだ」
そう、宣言する。
俺のショットクローは、電撃を流す事も出来る。
つまり、ショットクローが機体に巻き付いた時点で終わりなのは間違いない。
電撃の件を抜きにしても、サーバインの性能ならオーラバトラー2機程度なら、容易に振り回すといったような真似も出来る。
『参った』
アレンのビランビーから、そんな声が聞こえてきた。
事情を全て理解した上でそう言ってるのか、もしくは単に俺に合わせているだけなのか。
その辺りは俺にも分からなかったが、それでも今の状況を思えばアレンが負けを認めたのは助かった。
これでまだ負けていないと面倒な事を言われたら、それこそ軽く電撃を流したりといったような真似をしないといけなかったし。
『おい、アレン! 何でだよ! まだ逆転出来るだろ!?』
アレンは負けを認めたものの、フェイの方はまだ自分の負けを認めていないらしい。
フェイにしてみれば、自分がこれで負けたというのは納得出来なかったのだろう。
ショウ以外には負けたことがないのだから、その気持ちも分からないではない。
分からないではないのだが……それでも、ここで無意味に自分は負けていないと言っても、意味はないんだがな。
それこそ、自分の間抜け具合を見せつけるだけになってしまう。
「諦めろ、フェイ。今のお前の状況から、逆転出来ると思うのか? 思うのなら、やってみるといい。ただし、その場合はお前の機体はそれなりに被害を受ける事になるぞ」
『ぐ……』
俺の言葉に、何も言えなくなるフェイ。
多分、フェイも自分では負けたと分かっていたのだろうが……それでも、今の状況を認めたくなかったといったところか。
「さて、取りあえずこれで俺達の模擬戦は終わった。次はそっちだぞ」
ショットクローを解除し、そのまま俺達はマーベルとジェリルに場所を空ける。
女同士の戦い……と思えば、珍しいのか?
いや、ガラリアとマーベルが模擬戦をする事は結構あるので、そう珍しくもないか。
ただし、地上人同士……そして女の聖戦士同士の戦いという事であれば、これがバイストン・ウェル史上初という事になる。
そんな戦いを見るべく、俺はサーバインから下りる。
すると、アレンとフェイの2人もビランビーから下りてこっちにやって来た。
トカマクだけは、まだドラムロに乗ったままだ。
「どっちが勝つと思う?」
「マーベルだろ」
アレンの言葉に、一瞬の躊躇もなくそう返す。
実際、ジェリルとマーベルが1対1で戦って、ジェリルが勝つ可能性は……ないとは言わないが、恐ろしく低い。
それこそ1%も勝率があればいい方ではないかと思えるくらいに。
それ程に、マーベルとジェリルの間には圧倒的な技量差がある。
「そうか? けど、ジェリルだって結構やるぜ? 勿論、俺とフェイが揃って勝てなかったんだから、アクセルには勝てないだろうが……それでも、ジェリルならマーベルにも勝てる可能性はある」
「それはマーベルの実力を甘くみすぎたな。マーベルは最初のオーラバトラーのゲドから、ずっとオーラバトラーに乗ってるんだぞ?」
それだけの経験の持ち主で、しかも操縦技術もマーベルの方が上だ。
オーラ力に関しても、これまでの戦いの中でマーベルのオーラ力は以前よりも間違いなく上がっている。
あらゆる面で、ジェリルが勝つのは不可能だろう。
それでも何とかジェリルが勝つ方法を考えるとすれば……この模擬戦の中で、オーラ力を急速に上げるといったところか。
操縦技術に関しては、どうしても一朝一夕でどうにか出来るものではない。
だが、オーラ力があれば、操縦技術は未熟でも強引にどうにか出来る可能性はある。
ただし、マーベルのダンバインはパイロットのオーラ力によって、性能が極端に上下するといった特性を持っているのに対し、ビランビーはオーラ増幅器こそあるが、その性能は安定して一定のオーラ力を増幅するといったような代物だ。
そう考えると、オーラ力が強く操縦技術が勝っているマーベルが負けるというのはやっぱり考えられない。
これでジェリルがダンバインに、マーベルがビランビーに乗っているのなら、あるいはといった可能性はあったかもしれないが。
「うーん。でもジェリルは攻撃って点だけを見れば、決して悪くないと思うぞ?」
「それは否定しない」
ジェリルの攻撃的な性格が関係しているのか、攻撃のセンスという点ではかなり見るべきところがあるのは事実だ。
しかし、そこに特化しているということは防御とかが弱いという事でもある。
模擬戦が始まると、その辺りが如実に表れる。
ジェリルのビランビーが振るうオーラソードは、鋭く素早い。
だが、マーベルはそんな攻撃をあっさりと回避する。
この辺りの動きは、非常にスムーズなものだ。
それでもジェリルはそんなマーベルの回避行動を気にした様子もなく……いや、寧ろ攻撃を回避されたことが面白くないのか、余計に連続して攻撃を振るっていく。
だが、その攻撃は全くマーベルのダンバインに命中する様子はない。
「嘘だろ」
フェイが唖然と呟く。
アレンもそうだったが、フェイもまたジェリルの攻撃センスに関しては期待していたのだろう。
だが……そんなアレンとフェイの判断は、マーベルの実力の前にはあまり意味をなさない。
視線の先ではジェリルの振るうオーラソードの威力がより一層強くなっていた。
いや、マーベルに攻撃が命中しないということがジェリルを苛立たせるのか、その攻撃は速度こそ上がっていくものの、かなり雑な攻撃になっている。
それだけに、マーベルもそんな攻撃は悠々と回避していく。
そして数分が経過し……
「そろそろ動くな」
ダンバインの動きを見て、そう呟く。
そして俺の言葉にアレンとフェイが改めて模擬戦の方に視線を向け……すると、そのタイミングを待っていたかのように、ダンバインが動く。
ジェリルのビランビーが振るう一撃を回避し、ダンバインのオーラソードがビランビーのコックピットに突きつけられたのだ。
これこそまさに、文句なしに勝負ありという奴だった。
幾らジェリルであっても、こうまで露骨に強さの差を見せつけられれば、自分はまだ実力を出していなかったといったようなことは言えないだろう。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678