転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2867話

「聞いたか? ミの国の内乱……結構酷い事になってるらしいぞ」

 

 機械の館でサーバインの調子を見て貰っていると、ゼットが姿を現してそう言ってきた。

 ちなみにサーバインは色々な意味で特殊な機体なので、いざという時に動かないという事がないように、それなりに頻繁に整備とかをして貰っている。

 何しろ、サーバインは元々が聖戦士用にオーラコンバータで機体性能を上げるという、かなり特殊な用途のダンバインの、試作機として開発された機体だ。

 それこそダンバインよりも更に希少な素材が多数使われており、結果として誰もその機体に乗ることが出来なくなったという代物だ。

 その上で、普通の……それこそサーバインのオーラコンバータでも、俺の魔力は許容量をオーバーして爆発するという事で、サーバインには俺の魔力を使って機体を動かす事が出来る、マジックコンバータが利用されている。

 そういう風に色々な意味で特殊な機体である以上、メンテナンスはしっかりとやっておく必要があった。

 何しろ貴重な機体である以上、いざという時に壊れたりしたら洒落にならないしな。

 

「ミの国か。現在3勢力いるんだよな。ピネガンの正規軍、フラオンの残党軍、商人達の反乱軍といった感じで」

「ああ、けど主にぶつかっているのは、ピネガンとフラオンらしいな。反乱軍の方は、基本的に防御寄りの思考らしい」

「戦力が少ないからな」

 

 ゼットの言葉に、そう言う。

 一応反乱軍もダーナ・オシーを所有してはいるが、やはり正規軍に比べると、どうしてもその数は劣る。

 そういう意味では、ギブン領を捨ててミの国に逃げ込んだギブン家も機数的な問題はあるのだが、ギブン家の場合はダンバインやゼラーナといった精鋭がいる。

 反乱軍の方はそんな特筆すべき戦力もいないので、どうしても後手に回る必要があった。

 

「いっそ、こっちで反乱軍にてこ入れをした方がいいんじゃないか? アクセルがいれば、オーラバトラーとか運ぶのにも苦労はしないだろうし」

「そう言われてもな。ドレイクからの依頼がある訳でもないし、今の俺が特に反乱軍の手助けをしたいとか、そういう思いはないな」

 

 そもそも、てこ入れをするにしても何を渡すかというのも関係してくる。

 現在ドレイク軍で量産されていて、一般人でも乗れるとなると、ドラムロとビランビーくらいだ。

 バストールはまだ試作機の段階だったので、量産には成功していないし。

 ゲドの類は……最初期のオーラバトラーだけに、性能は低く、何より高いオーラ力を持つ者でなければ使えない。

 一応ダーナ・オシーで使われているだろうオーラ増幅器を搭載すればどうにかなるかもしれないが、それでも性能的に不足しているのは事実だ。

 そうなると、次に考えられるとすれば、ドロとかピグシーとかか?

 ピグシーは偵察とか伝令とかそういうので使えるし、ドロはピグシーと同じような事の他に、攻撃にも使える。

 とはいえ、ドロもドラムロ程ではないが、ドレイクの印象が強い。

 反乱軍がドロを使えば、そこにドレイクとの関係を疑う奴は出て来るだろう。

 そうなると……

 

「オーラマシンの類を送るのは問題だが、いっそパイロットの方を送るか? 反乱軍が持っているダーナ・オシーの数は少ないだろうが、それを操るパイロットの技量が高ければ、それこそ内乱でも影響力を高められるんじゃないか?」

 

 そう言ったものの、それはあくまでも提案でしかない。

 ドレイクにしてみれば、大事な自分の兵士をミの国に送り込み、更にはドラムロよりも性能の低いオーラバトラーに乗せるといったような真似をするかと言われると……正直なところ、難しいだろう。

 ドレイクもアの国を治めたとはいえ、兵士の数はそこまで増えていない。

 いや、実際に兵士の数は増えているのだが、増えた兵士はまず最低限の能力にする為に、訓練をする必要がある。

 そして訓練が終わっても、それですぐにオーラバトラーのパイロットになれる訳でもない。

 その辺の諸々を考えると、兵士を希望してきた者がいて、そいつが実際に兵士として……もしくはオーラバトラーのパイロットとして使えるようになるのは、相応の時間が必要となる。

 

「そんなに上手くいくとは思えないけどな。……まぁ、取りあえずその辺についてはショットに話してみるよ」

「そうしてくれ。……そう言えば、ガラリアの見舞いには行ってるのか?」

「ああ、一応毎日顔は出してるよ。ガラリアも今ではラース・ワウの方に来てるしな」

 

 ドレイク城で療養していたガラリアだったが、療養するのなら慣れた場所の方がいいだろうと、今はラース・ワウで療養していた。

 あるいはドレイクもガラリアとゼットの関係を理解していて、そういう風にしたのかもしれないが。

 そのおかげで、ゼットは毎日のようにガラリアに会いにいく事が出来るんだが。

 ちなみに現在は、マーベルがガラリアの見舞いに行っている。

 

「ゼットがいれば、ガラリアも妙な真似を考えたりはしないだろうし。そういう意味では、ガラリアにラース・ワウで療養するように言ったドレイクの判断は正しかったという事か」

「よせよ、別に俺は……」

 

 照れ臭そうにするゼットだったが、女が照れ臭そうにするのならともかく、ゼットのような厳つい男が照れ臭そうにするってのは、正直どうかと思わないでもない。

 

「バストールの方はどうなってるんだ?」

 

 強面のゼットが照れ臭くしているのを見ていたくなかった……というのもあるが、それ以外にも若干気になっていたことを尋ねる。

 

「バストール? ガラリアの乗っていた機体か? あの機体は現在機械の館で色々と調べているが、それだけだ」

「いや、そっちじゃなくて。ガラリアが使っていたのは先行量産型だっただろ? 本格的に量産するのかと思って」

「そっちか。……どうだろうな。開発するにしても、少数になると思う。使いこなせれば強いが、使いこなせないといい的になるだけだし」

 

 そう告げるゼットだったが、その言葉に不満そうな色はない。

 ゼットとしては、元々バストールは試験機的な意味合いだったらしいから、少数でもそれが量産されるだけで満足といったところなのだろう。

 

「個人的にはショットのビランビーよりも、ゼットのバストールの方が興味深いんだがな」

「おいおい、本気か?」

 

 心底意外といった様子で俺に尋ねてくるゼット。

 かなり驚いているようだったが、これはお世辞でも何でもなく、俺の正直な気持ちだ。

 ただし、これはシャドウミラーを率いる者として、オーラバトラーの技術について強い興味を持っているから、というのが大きい。

 ビランビーは、言ってみれば聖戦士用のダンバインを普通の兵士にも使えるように……ある意味、デチューンしたような機体だ。

 性能という意味では、勿論ダンバインよりも上がっている場所もあるので、デチューンという表現は微妙に相応しくないかもしれないが。

 だが、オーラバトラーという兵器の技術を欲している俺としては、そんなビランビーよりも新型のオーラ増幅器を搭載し、高機動に特化しているバストールの方が興味深い機体なのは間違いない。

 それに、ショウとダンバインがいたからこそだとは思うが、ガラリアのバストールは地上に出て戻ってくるといったような現象を引き起こしている。

 そういう意味で、俺にとってはビランビーよりもバストールの方が興味深いのだ。

 とはいえ、もし俺がドレイクの立場なら、ビランビーとバストールのどちらを主力機にするかと言われれば、やっぱりビランビーを主力機にするだろうが。

 

「新技術を使っているという意味で、バストールの方が野心的な機体と言えるしな。まぁ、これはあくまでも俺がそう思ってるだけで、ドレイクにしてみれば違うかもしれないが」

「あー、なるほど。そういう事か」

 

 俺の説明に、ゼットは微妙な表情を浮かべる。

 ゼットも技術者だ。それもただの技術者ではなく、腕のいい技術者。

 バイストン・ウェルにおいては、ショットと共にオーラマシンの技術では最高峰の存在でもある。

 いや、違うか。

 ショットは技術者でもあるが、それと同時に政治家としても動いている。

 それに比べると、ゼットは根っからの技術者と言ってもいい。

 ショットが技術者だけに専念していないぶん、純粋な技術者として考えればゼットの方が上だろう。

 とはいえ、それはショットが悪いといった訳ではない。

 もしショットが政治家として動いていなかった場合、あるいはドレイクにいいように使われていた可能性も否定出来ないのだから。

 そういう意味では、ショットのおかげで現在のように技術者が優遇されているような状況になっているといった可能性は、否定も出来ない。

 

「そんな訳で、俺がバストールを評価してるのは事実だ。……ちなみに、ガラリアが乗っていたバストールを調べて、地上に行けた原因は判明したか? 個人的には、ゼットの開発した新型のオーラ増幅器が影響してるんじゃないかと思うんだが」

「どうだろうな。正直なところ、機体の損傷が酷くて詳細に調べるのは難しいんだよ」

「あの状況だったしな」

 

 ドレイク城で見た、大破という表現が相応しいバストールの姿を思い出す。

 寧ろガラリアは、よくあんな状況のバストールで地上からバイストン・ウェルに戻ってきた後、ドレイク城まで飛んでこれたものだ。

 下手をすれば……いや、下手をしなくても、場合によってはドレイク城に到着するまでの間に地面に墜落していた可能性がある。

 そういう意味では、ガラリアの運がよかったんだろう。

 とはいえ、だからといってガラリア本人は決してそれを喜んだりといったような事は出来ないだろうが。

 ……地上で死んでいた可能性を考えると、喜んでもいいと思うけど。

 

「そうか。そうなると、バストールのオーラ増幅器を用意して貰えないか?」

「は? いきなり何を言うんだ? おい、アクセル。お前……まさか……」

 

 ゼットは俺が何をしようとしているのかを理解し、驚きの視線を向けてくる。

 そう、もしかしたら……本当に万が一ではあるが、バストールで使われているオーラ増幅器を俺が使った場合、地上に出られるようになる……かもしれない。

 もし駄目な場合は……また爆発がしたりするといった感じか?

 

「ゼットにとっても、オーラ増幅器のデータは欲しいだろ? もしかしたら……本当にもしかしたらだが、バイストン・ウェルと地上を自由に行き来出来るようになるかもしれないぞ?」

 

 可能性は限りなく低いが、それでもゼロという訳ではない。

 上手くいけば、ゼットに言った通り地上とバイストン・ウェルを自由に行き来出来るようになる可能性があった。

 もしそうなれば、それこそショウ辺りはもしかしたらギブン家を裏切ってこっちに戻ってくるという可能性もある。……いや、ないか?

 ショウが地上に戻りたがっていたのは事実だが、ショウはドレイク軍に被害を与えすぎた。

 その上、リムルの口車に乗って自分でギブン家に亡命したのだ。

 そしてギブン家の戦力としてドレイク軍に与えてきた被害は相当なものとなる。

 普通に考えて、そんな状況でドレイク軍に戻ってきたいと言っても、まず聞き入れられないだろう。

 ギブン家全員の首を持ってくるといったような真似をすれば、受け入れられる可能性もない事ないかもしれないが。

 

「で、どうだ? オーラ増幅器を準備出来るのか?」

 

 俺の空間倉庫にはバストールが1機収納されている。

 最悪、そのバストールを使えば実験は出来るかもしれないが、個人的にはやっぱり空間倉庫の中のバストールを故障させるような危険を冒したくはない。

 だからこそ、やはりここはゼットからバストールに使われたオーラ増幅器を用意して貰う必要があった。

 

「それは……まぁ、用意しろと言われれば用意するけどよ。本当にいいのか? 特にアクセルは、普通のオーラコンバータじゃ……」

「データを取る為には、その辺も一通り試す必要があるだろ。まぁ、失敗したら失敗したで、どうとでもするから、安心しろ」

 

 取りあえず、そう言っておく。

 実際にどうなるのかは、やってみなければ分からないというのが正直なところなのだが。

 この件は、もし実験に失敗すれば厄介な事になるのは間違いなかった。

 何しろ、オーラコンバータによる爆発だ。

 以前ゲドを動かす時に試した時は、コックピットが燃えるといったような出来事はあったが、俺本人は全く問題なかった。

 しかし、今回の実験では地上に出るくらい……間違いなくかなりのオーラ力が必要になり、俺は魔力を使ってそれを試してみるつもりだ。

 そうなると、オーラ増幅器によって魔力がどんな具合になるか分からず……最悪の場合、俺に向かってダメージを与える程の爆発が起きるという可能性も、決して否定は出来ないのだ。

 であれば、やはり今回の一件は慎重にやる必要があり……ゼットがこういう態度を取る理由も十分理解出来た。

 とはいえ、地上に出られる可能性があるのだから、俺にとってその実験を行わないという選択肢は有り得なかったが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1678

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