ミの国にある、以前反乱軍から教えられた酒場。
その酒場に俺がトッドを連れてマーベルと共に向かったところ、酒場の奥に通された。
酒場の奥に通された俺は、その部屋で何人もの相手から頭を下げられる。
「アクセルさん、お待ちしていました」
そう言い、頭を下げるのは部屋の中でも代表格の男だ。
俺の存在について、反乱軍の上層部辺りから聞かされていたのだろう。
何人かは俺の存在について知らなかったらしく、男が頭を下げた様子に驚いていたが。
男達にとって、男は頼れるリーダーなのだろう。
それだけに、まさかこうして頭を下げる……なんて光景には、驚いてしまうのだろう。
「兄貴、誰です?」
そんな中、部屋の中にいた1人が戸惑ったように頭を下げた男に尋ねる。
兄貴と呼んでいるのは、本当の意味で兄弟なのか、それとも兄貴分といった存在なのか。
その辺は俺にも理解は出来なかったが、ともあれそう尋ねていた。
男が頭を下げているということもあってか、こちらに敵意の類は見えない。
普通に考えれば、この中でリーダー格と思われる人物が自分よりも上位の存在だとしめしている相手に、敵意を向けるといったような真似はする筈がないか。
……その辺が理解出来ず、自分の感情の赴くままに行動するような奴がいるというのも、また事実だったが。
「こちら、アクセルさん。アの国のドレイク王からの使者だ」
そんな言葉に、他の男達はぎょっとした表情を浮かべる。
まさかそんな相手が来るとは思っていなかったのか。
「自己紹介が遅れました。私はギレといいます。この村の反乱軍を纏めているものですので、本部から人が来るまでは私がアクセルさん達の世話をさせて貰います」
「そうか。頼む」
ギレという男に、そう言っておく。
そしてお互いに……というか、マーベル達の自己紹介が終わると、取りあえずは暫くここでゆっくりしていて欲しいと言われる。
当然の話だったが、マーベルとトッドの2人が聖戦士であると聞かされたギレや他の反乱軍の者達は、驚いていた。
聖戦士というのは、バイストン・ウェルにおいては伝説的な存在なのだから、それも当然だろう。
もっとも、伝説で言われている聖戦士とドレイクがそういう風に認識した聖戦士が同じとは、限らないのだが。
「それで、反乱軍の本部にはいつ行けるんだ? もしくは、向こうから人がやって来るのか?」
「先程向こうに人を向かわせましたので、幹部の方を連れてくるかと。そんなに時間は掛からないので、少しお待ち下さい」
そんなに時間が掛からない?
だとすると、反乱軍の本部って実はここからそう離れていない場所にあるのか?
もしくは、ドロのような空を飛ぶオーラマシンを使ってるとか。
まさか、何らかの方法で転移をするなんて事はないだろうけど。
ないか。
「分かった。なら、詳しい話はここじゃなくて、これから来る奴にすればいいのか?」
「そうですね、お願いします」
「……だ、そうだ」
ギレの言葉にそう言うと、トッドは頷く。
「分かった」
ぶっちゃけ、今回の俺の仕事はこれで終わりと言ってもいい。
元々はドレイクから……いや、アの国から派遣されてくるトッド達を反乱軍に紹介するというのが、俺の役目だ。
あ、いや。それ以外にもドレイクから持っていって欲しいと言われた物資の類も今は俺の空間倉庫の中に入ってたな。
そういう意味では、まだ俺の仕事は終わっていないという事か。
「この内乱について、色々と聞かせてくれるか?」
トッドと補佐役の男がギレに話し掛けているのを眺めながら、俺がやるのは適当にその辺の椅子に座る事だ。
酒場の奥に用意されている部屋とあって、そんなに広くはない。
まぁ、正規軍とかフラオン軍が来た時、見つかりにくくする為の行動なのだろう。
そんな訳で部屋はそこまで広くないものの、それでもこの人数で息苦しいといったような事はない。
「いいの? トッド達だけに任せておいて」
「これがトッドの仕事である以上、俺がどうこうする必要はないしな」
俺の向かいに座ったマーベルに、そう返す。
実際、反乱軍と一緒に行動するのは、あくまでもトッドの役割だ。
ここで俺が何かを言うのは、寧ろトッドの仕事を邪魔しているといったことになる。
それに、元々トッドは自分から望んでこの仕事を引き受けたのだから、やる気に関しては問題ないだろう。
実際、この一件で大きく活躍した場合、間違いなくトッドはドレイクの部下の聖戦士の中では筆頭格と見なされるようになるだろう。
そしてアレンに対するコンプレックスを克服する為には、トッドが必死になるのも十分に理解出来た。
……まぁ、そうなったらそうなったで、トッドも色々と忙しくなるとは思うんだが。
その辺は全て承知の上での行動だろう。
「ふーん。……まぁ、アクセルの事だから、何だかんだと結局は何かあったらトッドを助けると思うけど?」
「どうだろうな」
そう返しつつも、マーベルの言葉は否定しない。
実際、もしトッドが何らかの理由によってピンチになったりしたら、それを助けるといったような真似をするだろうという、自覚があった為だ。
何だかんだと、トッドとの付き合いも長くなってきたしな。
それに、出来ればトッドはこっちに引き入れたい。
俺とマーベルの2人だけが、現在のシャドウミラーの勢力だ。
それに比べると、ドレイクはアの国を入手し、新たに3人の聖戦士を手に入れと、戦力を拡大している。
勿論、こっちが少数の勢力であっても質という点では負けるつもりがない。
始まりの聖戦士と呼ばれるマーベルが操縦する、白いダンバイン。
オーラ力によって機体性能が大きく上下するという、非常に独創的なオーラバトラーだが、マーベルが乗っているからこそ、ダンバインの性能は非常に高い。
そして俺が乗っているサーバインは、そんなダンバインの試作機だ。
この手の例に漏れず、試作機だけに量産型の機体よりも性能は高い。
それこそ、聖戦士であっても操縦出来ないくらいに。
……普通、試作機ってのは、そこまで高性能って訳じゃないんだけどな。
まぁ、この世界は原作があっての世界である以上、試作機と高性能機はイコールで結ばれてもおかしくはない。
それこそ、UC世界で試作機のガンダムがあれだけ高性能だったかのように。
「アクセルさん、取りあえずこちらをどうぞ」
トッドと話していたギレが、俺とマーベルの間にコップを置く。
しかし、俺はそれに対して首を横に振る。
「悪いな、俺は酒はあまり飲まないんだ。もし出すなら、お茶とかジュースとか、そういうのにしてくれ」
俺が、もしここで酒を飲んだりしたら、どうなるか。
それこそ、下手をすればこの酒場が……いや、場合によってはミの国が消滅してもおかしくはない。
まぁ、ニーズヘッグを出すような真似をしなければ、そんな事にはならないとは思うが。
もしくは……気が付けば、マーベルとの事後であるという可能性も否定は出来ない。
両極端な内容だったが、そのどちらも有り得るというのが、自分でも怖いところだ。
何しろ、以前酔っ払った時は目が覚めたら未知の世界にいたのだから。
結果的に、そのおかげでマクロス世界という未知の世界と交流を持つ事が出来たし、何よりシェリルという恋人を得る事が出来たのだから、その辺についての後悔は一切ないが。
……あ、でも実績を考えると、俺が酔っ払って目が覚めたら、実は何らかの手段で地上にいたって可能性はあるか?
「はぁ、そうですか。分かりました。……そっちの人は?」
「そうね。私も今はお酒って気分じゃないわね」
こういう時、よくあるパターンなら酒が飲めないのに酒場に来るなよとか、そんな風に絡まれたりするんだろうけど。
俺達が今いるのは、酒場は酒場でも、酒場の奥にある部屋だ。
俺がどういう存在であるのかを知っている以上、反乱軍の方でもそういうので絡んできたりといった真似はしない。
絡んできたら、それはそれで面白い事になりそうではあるが。
「失礼します。もう少し待っていて下さい」
ギレがそう言って、テーブルの前から去っていく。
さて、取りあえず今の状況で特にやるべきことはないしな。
反乱軍の幹部がやって来るまではかなり暇だな。
戻ってきてギレが持ってきてくれたジュースを飲みながら、マーベルと話していたが……そんな中、何となく思いつきで口を開く。
「マーベル、暇潰しにカードゲームでもやらないか?」
「カードゲーム? ……いいけど、何をやるの?」
「そうだな。簡単に終わるのは、ポーカーとかか?」
とはいえ、ポーカーってローカルルールとかが結構あるんだよな。
俺もポーカーのルールは知ってるが、あくまでもそれだけだ。
そういう意味では、マーベルが何かローカルルールを知っていれば、それに合わせてもいい。
そんな風に思いつつ、早速カードを配る。
「スリーカード」
「ツーペア」
俺がスリーカードで、マーベルがツーペア。
スリーカードの方がツーペアよりも強いので、これは俺の勝ちとなる。
そうして暫く遊んでいたのだが、2人でカードをやっていても飽きてくる。
そろそろ別の遊びを……と思ったところで、向こうの話が一段落したのか、トッドがテーブルに近付いてきて、そう声を掛けてきた。
「ポーカーか? そんなトランプ、どこで手に入れたんだ?」
「俺の空間倉庫の中だな。……ちなみに、当然だがこのトランプはこの世界で入手したトランプじゃない以上、こことは別の世界で入手したトランプなんだよな。異世界のトランプと聞けば、少し貴重な物に思わないか?」
「……そう言われると、そんな風に思わないでもないな。もっとも、このトランプを見た限り、普通のトランプにしか見えないが」
トッドの言う事は正しい。
このトランプが異世界のトランプだというのは事実だが、だからといってトランプであるというのは変わらない。
とはいえ、1980年代のこの世界の地上で売っているトランプと比べると、高い品質の可能性は否定出来ないが。
「異世界のトランプ、少し試してみないか? どうせ、反乱軍の幹部が来るまでは暇だろ?」
ちなみにトッドの補佐役の男は、現在他の者達と世間話をしている。
正確には、世間話に見せ掛けた情報収集といったところか。
何だかんだと、あの補佐役の男はフラオンの下で働いていたのだ。
……普通なら、フラオンのような無能の下で働く者には無能が揃っていてもおかしくはないのだが、無能の下に無能がいるといった状況では、当然のように国は回らない。
それはつまり、フラオンが無能でも最低限国を回すことが出来るだけの優秀さを持っている者がいたのは間違いない。
そしてドレイクが補佐役としてトッドにつけた以上、あの男も優秀なのは間違いない。
まぁ、反乱軍の応援として派遣したという事は、優秀は優秀だが、代わりはいるってところか。
あの男も、現在の自分の状況が分かっているからこそ、ああやって少しでも情報を集め、自分を優秀な人材であるとトッドに……そしてトッドからドレイクに報告して貰う為に必死なのだろう。
言ってみれば、このミの国の内乱でどこまで自分が有益な人材であると示せるか。
それこそが、これからのあの男の人生を決めるといったところなのだろう。
だからこそ、必死になって仕事をしているといったところか。
「よし、やってやる。言っておくが、軍隊ではポーカーってのはかなり流行ってるんだぜ?」
軍隊でポーカーってのは、何となくイメージに合う。
合うのだが……
「言っておくけど、イカサマの類は禁止だぞ。まぁ、イカサマをしようとしても出来ないとは思うが」
俺の動体視力を考えると、それこそもしトッドが何らかのイカサマをしようとしても、すぐに見抜くことが出来るだけの自信があった。
だが、トッドは俺のその言葉を挑戦と受け取ったのか、笑みを浮かべて口を開く。
「へぇ、いいぜ。ならイカサマはなしでやろうじゃないか」
そう言いながらも、トッドは自分はイカサマをやるといった様子を見せていた。
戦闘機のパイロットというのは、軍人の中でもエリートのような存在だ。
それだけに高い身体能力を持っている者も多く、そんな者達の中でイカサマをして見つからないというのは……まぁ、高い技術というので間違いない。
とはいえ、それが俺に通じる筈もなく……
「おっと、トランプのシャッフルをするのなら、しっかりとやって貰わないとな」
「ぐっ!」
シャッフルをする振りをしながら、特定のカードを一番上に持ってくるといった真似をしたトッドを止める。
「それで、その手首の裏側に隠されているカードはなんだ」
「ぐっ!」
シャッフルしつつ、何枚かのカードを俺に見えないように手首の内側に隠そうとするのを発見する。
その後もトッドは色々とイカサマをしようとしてくるが、その全てが俺に見抜かれてしまう。
結果として、最終的にはポーカーをやるよりもイカサマを見抜くかどうかという勝負になり……そして、そんな俺達の勝負は部屋の中にいた他の反乱軍の連中に取っても興味深かったのか、多くの者がそれを眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678