転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2876話

『では、出撃する!』

 

 ドレイクの言葉に従い、ナムワンとブルベガーはミの国に向かって出撃する。

 その数は、ナムワン10隻、ブルベガー5隻という、極めて大きな戦力だ。

 それでいながら、これはあくまでも第一陣でしかなく、この後にまだ別途編成された援軍がやってくるのだから、その規模の大きさも理解出来るだろう。

 あ、俺達のナムワンも入れれば、ナムワンは11隻になるか。

 これだけの戦力を準備する為に、ドレイクは今までミの国の侵攻に関して時間を掛けていたのだろう。

 オーラバトルシップのウィル・ウィプスは、やはりと言うべきか、当然と言うべきか、完成はしなかったようだが。

 元々ウィル・ウィプスはミの国の攻略までに完成しないという話だったので、その辺はある意味で予定通りではある。

 あるいは、俺のヨルムンガンドを建造しておらず、労力の全てをウィル・ウィプスの方に回していれば、もしかしたら完成したかもしれないが……その辺は今更の話だろう。

 まぁ、基本的に今回の主役はドレイク軍で、俺達の場合はもし万が一何かあった時の為の奥の手といった扱いらしいが。

 そういう意味で、取りあえず出撃するかどうかも分からないので、実は今回はまだ報酬らしい報酬は決まっていない。

 とはいえ……ヨルムンガンドの性能を思えば、このくらいは問題ないと、そう思うんだが。

 今の状況では特に仕事らしい仕事もないし。

 ドレイク軍の現在の練度がどれくらいなのかというのも、興味深い。

 何しろ今のドレイク軍は、ドレイクがアの国の国王になってから人を集め、その結果として数が増えての、初の大規模な戦いとなる。

 ガロウ・ランの盗賊や、最後までドレイクに従わなかった領主に対する攻撃といったように、小規模の戦いはそれなりに行われてはいた。

 しかし、それはあくまでも小規模の戦いでしかない。

 そういう意味では、今回の戦いは決して悪いものではない……と、そんな風に思う。

 ミの国を制圧してしまえば、暫くは大きな戦いはない可能性も高いし。

 そう思うも、ここまでドレイクが派手に動いてしまえば、周辺の国が動いてもおかしくはない。

 何しろ、アの国はハウ、ケム、リ、ク、ミの国といったように複数の国に囲まれている。

 そのような国が、どう動くかは気になるところだろう。

 クの国の国王たるビショットは、積極的にドレイクと商売をしているという事もあり、友好国と言ってもいい存在だ。

 また、リの国もドレイクとは恐獣の素材に関しての取引を行っている以上、攻撃してくる可能性は……皆無とは言えないが、それでもあまり心配はいらないだろう。

 そうなると、残るのはケムとハワだが、こちらはアの国と隣接しているのは事実なものの、技術的にかなり遅れているレベルなので心配する必要はない。

 あれ? こう考えるとフラオンやギブン家と手を組んで攻撃してきたミの国さえどうにかすれば、複数の国に囲まれていても何気に安心じゃないか?

 

「そうなると、問題はラウの国か」

「ラウの国? ラウの国がどうしたの?」

 

 俺の呟きを聞いたマーベルが、そう尋ねてくる。

 

「いや、ミの国をドレイクが占領すると、ラウの国とも隣接する事になると思ってな。……そのラウの国がどう動いてくるのか、予想出来ない」

 

 普通に考えれば、ラウの国はミの国と国交断絶している以上、もしドレイクがミの国を占領しても、特に何か問題になる可能性は低いだろう。

 だが、ミの国の王妃たるパットフットは、ラウの国の国王たるフォイゾンの娘だ。

 親子の縁を切ってるとはいえ、それでも血の繋がった娘である事は代わらない以上、もしパットフットが死ぬといったような事になった場合、ラウの国がドレイクと敵対しないとも限らない。

 であれば、やはり今回の一件では慎重に行動した方がいいのは間違いない。

 

「ラウの国、ね。そうなると、フラオンやギブン家がそっちに向かう可能性もあるわね」

「そっちの可能性もあるな。フラオンやギブン家にしてみれば、ミの国よりもラウの国の方が国力も技術も上で、頼りになるだろうし」

 

 そう考えると、ラウの国に逃げ込まれるのは結構厄介なのは間違いない。

 とはいえ、本当にラウの国に逃げ込むのか? といった疑問もない訳ではないが。

 正確には、ラウの国が受け入れるのかといった方が正しい。

 今回の戦いでミの国が負けるのは、ほぼ確定事項だ。

 アの国とミの国では、元々アの国の方が国力は高い。

 フラオンの浪費で相応にダメージが残っているのは間違いなかったが、それもドレイクの力量で回復した。

 具体的には、フラオンが溜め込んでいた金を民間に配ったのだ。

 正直、その金を使って公共事業とかをした方がいいのでは? と思わないでもなかったが、それはあくまでも俺の考えであり、このバイストン・ウェルというファンタジー世界においては、ドレイクの考えの方が相応しいのだろう。

 少なくても、即効性は高かった。

 そしてミの国に攻め込もうと準備をしている時は、その即効性こそが重要なのだ。

 アの国の住人にしてみれば、今まで散々自分達を苦しめてきたフラオンを庇っているミの国は、到底許せる相手ではない。

 だからこそ、そんなフラオンを庇っているミの国を攻めるというドレイクの言葉は、喜んで受け入れられることになる。

 ドレイクはその辺りの情報操作とかも上手いんだよな。

 

「ラウの国に逃げ込むか。……ピネガンとかはともかく、フラオンは受け入れられるかもしれないな」

 

 聞いた話だと、ラウの国というのは伝統を大事にしているらしい。

 そうである以上、フラオンが……アの国の王族が逃げ込んできた場合、それを庇うといった事をしかねない。

 ラウの国は強国として有名である以上、ドレイクとしてはミの国でフラオンを倒したいと思っても、おかしくはないだろう。

 

「だからこそ、ドレイクもミの国を攻めるのにこれだけの戦力を用意したんじゃないの?」

「そういう一面もあるのは、間違いないだろうな。……アレン達も張り切っていたし」

 

 ミの国との戦いで、アレン達は自分の力を周囲に示すつもりなのは間違いないだろう。

 今までにも何度か戦いに参加はしてきたが、今回は国と国との戦いだ。

 そうである以上、ここで活躍をすれば、それは大きな意味を持つのは間違いない。

 とはいえ、実はミの国の内部では内乱が起きているので、本当の意味で国と国との戦いかと言われれば、それに素直に頷くような真似は出来なかったりするのだが。

 ともあれ、アレン達にしてみればここが絶好のチャンスなのは間違いない。

 そうである以上、ここで頑張らないという選択肢はないのだろう。

 ……もっとも、ジェリルの場合はそういうのは全く関係ないといった様子で、ただ単純に自分が戦って勝てばいいと、そんな風に思っているのかもしれないが。

 フェイの方は、どうだろうな。

 

「あの3人、大丈夫だと思う? 少し危うい感じがするけど」

「だろうな。俺もそれは否定しない。ただ、ドレイクがいるんだから、アレン達の手綱はしっかり握ると思うけど」

 

 アレン達にとっても、ドレイクは自分を雇っている……いや、それどころか生殺与奪権を握っているかのような存在だ。

 そのような相手である以上、そんなドレイクの不興を買うといったような真似はしないだろう。

 これがショウだったら、自分をこんな場所に勝手に召喚したといったことでドレイクに不満を持つだろうし、実際にギブン家に亡命したのは、その辺も幾らかは関係している筈だ。

 だが、アレン達の場合は、寧ろバイストン・ウェルに召喚してくれた事を感謝すらしていた。

 そう思えば、アレン達はドレイクがやるなというような事をやったりはしないだろう。

 とはいえ、そんな中で一番危険だと感じるのはジェリルだったりする。

 ジェリルの場合、ドレイクへの感謝や恩義、もしくは打算といったようなものは関係なく、自分の感情こそが最優先されるべきだと考えているのだから。

 いや、考えているのではなく、実際にそれを実行しているといった表現の方が正しいか。

 それだけに、敵を見つけた場合は暴走する危険性は否定しきれない。

 これがガラリアなら、マーベルに抑えて貰うといったような真似も出来るんだが、マーベルはガラリアとは友人だけど、ジェリルとはそういう関係がないしな。

 一方的にライバル視されてすらいる。

 そんなマーベルが、もしジェリルに注意しようものなら、それこそ逆効果だろう。

 それどころか、最悪マーベルとジェリルの間で戦いになってもおかしくはない。

 

「マーベルが無理なら、ガラリアとジェリルの相性はどうだ? 幸い……って言ったらガラリアは怒るかもしれないが、今のガラリアはまだ戦場に出られる身体じゃない。そのガラリアがお目付役としてジェリルの側にいれば……」

 

 とはいえ、もうミの国に向かって出発している以上、その辺を考えても意味はないのかもしれないが。

 ショウと一緒に地上に行き、バイストン・ウェルに戻ってきたガラリアだったが、結構な重傷を負っていた。

 ファンタジー世界であるにも関わらず、バイストン・ウェルには回復魔法といったようなものはない。

 それどころか、地上に比べて文明が遅れている分、医療技術も未熟だ。

 そんな訳で、怪我をした場合に完治するまでは結構な時間が必要だ。

 勿論、完治しない状況で無理に戦場に立つといったような真似も出来ないではないだろうが、当然だがそんな身体で万全の働きが出来る訳もない。

 ……まぁ、恐獣を始めとして地上にはいない生き物だったり植物だったりがあるので、もしかしたらそういうのに強い薬効成分があったりといった可能性は否定出来ないが。

 

「ガラリアとジェリル? うーん、相性悪いんじゃないかしら?」

 

 マーベルが少し考えてからそう言う。

 ガラリアとジェリルは、会った事がない訳ではない。

 そもそも、ガラリアがショウと一緒に地上に転移するよりも前に、ジェリルはバイストン・ウェルに来ていたのだから。

 ただ、あの2人が話しているところ……見た事があったか?

 いやまぁ、仕事についての話をしているのは見た事があったような気がするけど。

 プライベートな話はどうだったか。

 

「あの2人の性格を考えると、水と油……というのは少し言いすぎかもしれないが、相性は悪そうだよな」

 

 ガラリアとは性格が正反対――負けず嫌いなところは似てるが――のマーベルは、ガラリアと友好的な関係を築いているんだが。

 その辺は少し難しい。

 

「そう言えば、ガラリアの怪我ってどういう感じなんだ? ミの国との戦いに来られなかったと考えると、まだ怪我はそこまで治ってないみたいだけど」

 

 ジェリルのお目付役の件はともかく、ガラリアの性格を考えれば、多少の無理は押してでも戦いに参加してもおかしくはない。

 手柄を求めるガラリアにしてみれば、ミの国との戦争というのは自分が手柄を挙げる絶好の機会なのだから。

 だというのに、ガラリアはこの戦いに参加していない。

 それを考えると、まだ治るのは暫く先になるのだろう。

 ちなみにガラリアの乗機のバストールについてだが、多少量産されることになったらしくゼットが忙しそうにしていた。

 高機動型という意味では、バストールはビランビーよりも性能は上だから、精鋭とかに配備されるんじゃないだろうか。

 ただし、ガラリアが地上に出る原因となった可能性の高い新型のオーラ増幅器は、ビランビーと同じ物になるらしいが。

 それに、既にバストールの次の機体を考えているらしいし、俺のオーラバトルシップのヨルムンガンドの件もある。

 ショットの方はショットの方で、こちらもまたビランビーの次の量産機について考えていたり、ゼットと同様にオーラバトルシップの建造に顔を出したり、それ以外にもドレイクの相談役的な立場としての仕事をしたり……といったように忙しい。

 こうして考えてみると、技術者が2人しかいないというのは痛いよな。

 勿論、バイストン・ウェルの人間を弟子として育てているので、将来的にはその点も解決するだろうし、今の時点でもある程度は何とかなっている。

 だが、必要なのは今の時点でショットやゼットのような実力を持つ技術者なのだ。

 なのに、ショットやゼット達の後に召喚されてきた地上人は、6人全員が……いや、マーベルも入れると7人か。

 ともあれ、全員が技術者ではない。

 トッドやアレン、トカマクといった軍人だったり、元軍人だったりというのはいるが。

 他には大学生と、歌手、売れない俳優……ショウは何だ? バイクのレーサーか?

 しっかりと話した事がないので何とも言えないが。

 ともあれ、技術者の数が少ないというのは、ある意味でドレイク軍の弱点と言ってもいいだろう。

 それをどうにか出来ればいいんだが。

 それこそ、レモンやマリュー辺りがバイストン・ウェルに来たら、オーラバトラーは一気に数世代……どころか、数十世代程も進化してもおかしくはない。

 そんな風に思いながら、俺はマーベルと話をするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1679

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