トッド率いる聖戦士達の乗るオーラバトラーが、後方に向かう。
俺の乗っているナムワンを見ても、特に何か反応らしい反応はなかったが、それだけ戦いに集中していたのか、それとも単純にこのナムワンに俺が乗っていると気が付かなかったのか。
……何となく後者のような気がするな。
そんな風に思いつつ、俺はマーベルに声を掛ける。
「どうなると思う?」
「そうね。出来ればいい戦いをして欲しいとは思うわ」
それは、先程ショウと戦った経験があるからこその言葉か。
この短時間で、ショウはかなり強くなっている。
それこそ、マーベルや複数のドラムロを一緒に相手にしても有利に戦えるくらいには。
その辺の事情を考えると、マーベルがこのように言う理由も理解出来なくはない。
これが、ショウの主人公としての能力といったところか。
少し前までは、ショウとトッドのどちらが主人公なのかを迷っていたのだが、ショウが地上に出たという点で、やはりこの世界の原作の主人公はショウであると思うようになった。
これでトッドも地上に出ていれば、まだ分からなかったんだけどな。
そのトッドは、ショウとガラリアが地上に出ている間もずっとバイストン・ウェルにいた。
この差を考えれば、俺の認識は決して間違っていない……と、思う。
今までもその世界の主人公と敵対したようなことはあったが、それは一時的な意味での話だった。
……一瞬そう思ったが、よく考えれば違うのか?
スパロボ世界とか、ギアス世界なんかは最後まで敵対ルートだったし……いや、スパロボ世界は最後の最後で協力したか。
他にも門世界のように、主人公不在の世界なんてのもあった。
あるいは、単純に俺が主人公と遭遇出来なかっただけといった可能性もあるのだが。それとも、エルフ達の中に主人公がいたのか?
まぁ、その辺に関しては後で考えるとして。
今はまず、トッド達の事か。
トッドだけなら、何とかショウと戦えるといった程度だが、他にも聖戦士達がいるのを考えると、有利に戦えてもおかしくないと思う。
思うんだが、今の状況で俺とマーベルがこうして話していても意味はないな。
死ぬなよ、トッド。
そんな風に考えつつ、背後で行われている戦いが表示されている映像モニタに視線を向ける。
そこでは、既にショウとトッド達の戦いが始まっている。
「助けに行く?」
「いや、止めておこう。今の状況でこっちが勝手な真似をすれば、後々足下を見られる可能性がある。それを考えれば、今は待機していた方がいい」
トッド達の能力を考えれば、ショウだけを相手にした場合は十分勝ち目はある。
……問題なのは、そうして勝った時に何人が犠牲になっているのかといったところか。
「アクセル王、大丈夫です!」
と、俺とマーベルの会話を聞いていた兵士の1人がそう叫ぶ。
その言葉にはあるのは、仲間を信じる色か。
このブリッジにいる兵士達にしてみれば、こうしている今もミの国と戦っている仲間のことを信じている……というところなのだろう。
この兵士達がそのように思っているのなら、俺がその件に無理矢理どうこうする必要はないか。
ここで俺がどうこうしても、それは寧ろドレイク軍の面々に不満を持たれるだけかもしれないし。
そう判断し、俺はマーベルと共にこれ以上は向こうから救援を求められない限りは、手を出さない事にする。
そうして数分が経過し……
「後方のフラオン軍が撤退を始めました!」
ブリッジにいる兵士の言葉に、そちらに視線を向ける。
すると確かに、ゼラーナやナムワンといったオーラシップがこの場から退避しようとしているところだった。
先程までは、ショウのダンバインがいて、ドレイク軍のドラムロを相手に縦横無尽といった活躍をしていた。
しかし、そのショウがトッド達によって拘束されてしまった以上、戦力が一気に落ちたのだろう。
元々、ダーナ・オシーはドラムロよりも性能が低いオーラバトラーで、数でも負けているのだ。
今まではショウの操縦するダンバインという突出した戦力がいたおかげで、その辺りの差を補っていた。
いや、ダンバイン以外にもゼラーナの存在もあるか。
ドレイク軍の場合、オーラシップは後方で待機していたり、援護射撃をしたりといったような使い方をしている。
だが、フラオン軍のゼラーナは前線に出て来て戦っているのだ。
近距離からゼラーナに装備されている多数の武器で攻撃されるのだから、当然ながら戦っている方は回避がしにくく、ゼラーナの戦果も高くなる。
しかし、当然の話だがそのような事になった場合、ゼラーナもまた的になりやすい。
ゼラーナはオーラシップで、オーラバトラーよりも大きいのだから当然だろう。
また、ナムワンとは全く違う外見だけに、ドレイク軍の兵士にしても狙いやすい。
ましてや、ゼラーナはショウの母艦としても有名で、今までドレイク軍に大きな被害を与えてきている。
ドレイク軍の兵士にしてみれば、仲間の仇という点もあるし、そうでなくても撃破すれば間違いなく大金星という事で、狙う者も多い。多いのだが……ゼラーナの操舵士は相当に腕の立つ奴なのか、今までゼラーナは小破くらいの損傷は受けた事があるが、それ以上の損傷は受けた事がない。
とはいえ、これはあくまでも俺が知ってる情報でしかない。
あるいは、俺が知らないだけでもっと大きな被害を受けているといった可能性はあるが。
そんなゼラーナだが、その活躍は基本的に小規模な戦闘が主だ。
この規模での戦闘となれば、当然話が違ってくる。
勿論、他のナムワン級よりはいい動きをしているが、それでも結構な損傷を受けている。
本来ならショウのダンバインが活躍するべきところが、トッド達に拘束されていた皺寄せがゼラーナにいってるのだろう。
このまま戦闘が続けば、フラオン軍は壊滅に近い被害を受ける。
そう考えれば、この場で撤退を選択したのは、そう悪い判断ではない。
ただし……それはあくまでも、フラオン軍だけで戦っていた場合だ。
今ここでフラオン軍が撤退すれば、当然ながら今まで後方でフラオン軍と戦っていた戦力は前方……ピネガンの正規軍に向かう。
そちらの映像に視線を向ければ、トッド達がいた時に比べれば何とか正規軍も戦えてはいるが、それでもドレイク軍が有利なのは変わらない。
これでフラオン軍と戦っている戦力がそちらに向かえば、持ち堪えるのは無理だろう。
フラオンとピネガンが、どのような契約を結んだのかは、俺には分からない。
あるいは、一緒に戦うというだけしか決まっておらず、それ以外は成り行きに任せる……なんて風になっている可能性もある。
普通に考えればそんな事はまずないのだが、フラオンだしな。
ピネガンも、今となってはフラオンがどういう奴なのかはしっかりと理解しているだろうし。
それでもフラオンと手を組まなければならない辺りに、ピネガンの弱さが見えているよな。
「ドレイクから何か指示はあったか? フラオン軍に追撃しろとか」
「いえ、最低限の守りをそのままにして、残りの戦力はミの国の正規軍に向けろと」
「そうか」
ドレイクの指示は、納得出来るものだった。
元々、ドレイクはフラオン軍をラウの国に向けるのを優先していたので、それを思えば不思議ではない。
「どうしますか?」
そう尋ねてきたのは、自分も戦いに参加したいという思いがあっての事だろう。
だが、俺はそれに対して首を横に振る。
「俺達は攻めることはない。このまま待機する。何度も言ってると思うが、俺達はあくまでも念の為にこの戦いに参加してるんだしな」
ここに来てるのは、ドレイクからの信頼も厚い者達だ。
それだけに、アの国にとって大きな意味のあるこの戦いで自分達も活躍したいと、そのように思ってもおかしくはない。
しかし、だからといって俺がそれに頷く訳にいかないのも、また事実だ。
「取りあえず、この戦いはもう終わる。……問題なのは、これからだけどな」
ドレイクは何故かラウの国に攻める気満々といった様子だったが、そちらに攻撃するよりも前に、占領したミの国をしっかりと治める必要がある。
反乱軍……正確にはその上層部にいるミの国の商人達が協力するといった事になっているが、ピネガンを慕っている者達をどう対処するのかといった問題もあった。
いっそ、そういう連中はフラオンやピネガンと一緒にラウの国に行ってくれれば楽なんだろうが……多分、そういうのはないんだろうな。
そもそも、ピネガンとかその部下をラウの国が受け入れるかどうかというのは難しいところだし。
「ミの国の統治ね。……正直なところ、そちらで精一杯だと思うんだけど、ドレイクは何を考えてラウの国に攻めようとしてるのかしら」
そう言うマーベルの言葉を聞いても、ブリッジにいる者達は特に驚いた様子はない。
この辺りの事情については、既に知っているのだろう。
それが兵士達全員が知ってるのか、それともこの連中は俺のナムワンを運用しているから特別に知らされたのか……その辺は俺にも分からないが。
それにしても、ミの国が終わったらラウの国か……
普通に考えれば、ラウの国は強国である以上手強い。
それなら、直接アの国と隣接してる国を征服するといった風に考えてもおかしくないと思うんだが。
クの国は友好関係があるから、攻める事は出来ない。
リの国は取引相手なので攻め込もうと思えば攻め込めるだろうが、もしそのようになった場合は、恐獣の素材の入手ルートに混乱が起きる可能性が高い。
長い目で見れば、恐獣の素材を確保するという意味で、決して悪くはないんだが。
ともあれ、リの国も駄目。
そうなれば、残るのはケムとハワの国だ。
この2国もドレイクと小規模ながら取引をしてはいたらしいが、あまり印象はない。
それでいて、この2国はミの国やラウの国に向かうには後方に位置している。
ミの国とあまり差がない程度の国力しかないのだから、どうせならラウの国を攻める前にいざという時に後方を突かれないようにそっちを攻めてもいいと思うんだが。
とはいえ、大義名分がないか。
もし大義名分も何もないままに攻めるなどといったような事になったら、それこそマーベルはドレイクと協力関係にあるのを嫌がるといった可能性は十分にあった。
そんな風に考えていると、ナムワンの近くをトッド達のオーラバトラーが通りすぎていく。
「これで勝負は決まったな」
そんな俺の言葉に、ブリッジにいる他の者達も同意するように頷く。
皆が、これでミの国との戦いは終わると、そう判断したのだろう。
そうして安心していると……通信を担当している兵士が、少し戸惑ったように言ってくる。
「アクセル王、その……ナムワンにいる反乱軍の者達が、自分達も出撃したい、そう言ってるのですが……」
「……は?」
その兵士の言葉は、俺にとっても完全に予想外だった。
だが、考えてみれば当然か。
反乱軍にいるのは、ピネガンの治世に我慢出来なかった者達なのだから。
そんなピネガンとの戦いの最終段階に入っているとなれば、当然だがそれに自分達も出撃したいと、そう思うのは当然だろう。
とはいえ、だからといって好き勝手にさせる訳にいかないのも事実だ。
俺としては、反乱軍に入っていた者達である以上、その気持ちは優先させたい。
……ぶっちゃけ、ダーナ・オシーは既に結構な数入手してるし、そこまで必要ないかと思うし。
それなら、反乱軍の面々が満足するのなら、戦いに出ても構わないだろう。
そう思うも、それはあくまでも俺の気持ちだ。
この戦いは基本的にドレイクが仕切っているのだから、それを俺が指示するような真似は出来ない。
そして……多分、ドレイクとしては許可しないだろう。
「俺は別に構わないけど、ドレイク軍としてはどうなんだ? 下手に出撃すれば、それこそ正規軍のダーナ・オシーと判断されて、ドレイク軍に攻撃されかねないけど」
色を独自のものに塗り替えるとか、もしくは目印に何か用意するとか。
そういう風にすれば、ある程度は判別出来るのだろうが……やってない以上は、ドレイク軍に攻撃されて撃墜されるという可能性も否定出来ない。
「う、それは……」
艦長が言葉に詰まる。
「取りあえずドレイクに尋ねてみたらどうだ? その辺の判断は俺だけじゃなくて、ドレイクの方でして貰う必要があるし」
その言葉でようやく我に返ったのだろう。
兵士は俺の言葉に頷き、素早くドレイクの乗っているブル・ベガーに通信を送る。
反乱軍からの要請は、それだけ兵士にとって予想外だったということらしい。
とはいえ……こうして見ている感じだと、多分ドレイクも許可を出さないとは思うが。
ドレイクにしてみれば、ここでもし反乱軍を出撃させようとした場合、さっき俺が言ったようにドレイク軍の攻撃に巻き込まれる可能性がある。
それを思えば、やはり許可を出さないだろうと判断し……そして数分後、そんな俺の予想は的中するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680