「ミの国に?」
「ええ。ちょっと行ってみない? トッドがどうしてるか、気になるでしょ?」
そうマーベルに言われると、俺もまた頷く。
実際、ミの国が現在どうなっているのか……そしてトッドがミの国の領主として上手くやっていけるかどうか、分からない。
その様子を見てきたいとマーベルが思っても、おかしくはない。
マーベルにとって、トッドは自分と同じアメリカ出身ということで気にするべき相手なのだろう。
同じアメリカ出身というだけなら、アレンもいる。
ただ、トッドはより長く俺達と一緒に活動していた事もあって、マーベルにとってはより重要な相手なのだろう。
それと、トッドが実際にここにいないというのが、マーベルがトッドを気にしている理由なのかもしれないが。
「そうだな。気になるかどうかと言われれば、気になる。ミの国が現在どうなってるかというのも気になるしな」
「そう。じゃあ、行きましょう。あ、ガラリアも誘ってもいい?」
「ガラリアも? 俺は構わないけど、ガラリアはいいのか?」
バーンが降格した今、実質ガラリアがドレイク軍のトップとなっている。
それこそ、まだ明確に決まっている訳ではないだろう。
だが、ドレイクは半ばそのつもりになっているだろうし、ゼットもまたガラリアが出世するのは望むところだろうから、ショットを通してドレイクに何気なく働き掛けているらしいし。
その辺に関しては、ガラリアもまた悪い気分をしてはいないだろうし。
「ええ。ガラリアもミの国に対しては気にしているだろうし。そうである以上、誘えば問題ないと思うわ」
マーベルのその言葉に、俺はそういうものかと納得する。
そんな訳で、ミの国に行く事になるのだった。
「……で、何でお前達もいるんだ?」
ミの国に行くという事で、マーベルがガラリアを誘いに行ったのだが、何故かそんなマーベルと一緒にアレンとフェイの2人がやって来た事に疑問を抱く。
同じ聖戦士のジェリルとトカマクはいないが。
「いや、トッドに会いにミの国に行くんだろ? なら、俺も気になってよ」
「そうそう、聖戦士が領主としてやっていけるのかどうか、気になってもおかしくはないだろう?」
アレンとフェイのそんな言葉に、どうするべきか一瞬考えて……特に迷うべき事でもないのだからと、納得する。
今回の一件は、別に何か緊急に用事がある訳でもなければ、人数制限がある訳でもない。
そうである以上、様子を見たいと思う者を多数連れていくというのは、そうおかしな話ではない。
アレン達にしてみれば、ちょっとした旅行気分といったところだろう。
実際、最近は大きな動きがないので、アレン達も暇なんだろうし。
今の状況では、聖戦士の出番がある訳でもない。
もし無理矢理聖戦士らしい働きをするとなれば、それはキブツ達キッス家に同行して、ガロウ・ランや恐獣と戦うといったくらいだろう。
本来なら、俺やマーベルも同じシャドウミラーのメンバーとして、キブツ達に協力した方がいいと思うんだが、キブツから手伝わなくてもいいと言われている。
キブツにしてみれば、ここは自分達でしっかりと活動して、ドレイク達に自分の実力を見せつけたいと、そのように思っているのだろう。
そんな訳で、現在の俺は特にやるべき事はなかった。
……ウィル・ウィプスの完成が間近だという事で、完成したら様子を見に行きたいとは思っているけど、その辺もまだだしな。
アレンやフェイ達も、キブツに協力するといったようなつもりはないだろうし。
それ以前に、俺達と同様キブツから却下されるのは間違いないだろうが。
アレン達は、あくまでもドレイクの部下であり、俺の部下であるキブツとは命令系統が違うし。
「言っておくけど、ミの国に行ったからって何かがある訳じゃないぞ」
そう言うと、アレン達は解ったと頷く。
ちなみに、本来なら旧ミの国だったり、ミの領だったり、トッドの領地という事でギネス領と呼んだりするのが正解なのかもしれないが、それだと分かりにくいという事で、今でもミの国はミの国と呼ばれている。
ドレイクとしても、その辺は特に問題ないらしく、ミの国と呼ぶのは許容されているらしい。
「で、ガラリアの方は……マーベルが呼びに行ったとはいえ、問題なかったのか? 今は色々と忙しいだろう?」
バーンが降格した今、ラウの国との戦いでドレイク軍を実質的に指揮するのはガラリアだ。
その準備だったり、訓練だったりと忙しいのではないかと思っていたのだが……本人的には、今回の件は全く問題なかったらしい。
「問題ありません。マーベルからの誘いですし、ミの国については私も気になっていましたので」
ガラリアのその言葉に、そうかと頷く。
ガラリアにしてみれば、ミの国について気になっていたというのもあるが、マーベルからの誘いだという方が大きな意味を持っているのだろう。
ガラリア個人がマーベルに友情を抱いているのは間違いないだろうが、それと同様にドレイクとしては自分の部下とシャドウミラーとの関係をしっかりしておきたいと、そのように思ってもおかしくはない。
結果的には問題ないのだから、それでいいのだろうが。
「分かった。なら、行くぞ。……影のゲートでの移動だから、慣れない奴はかなり奇妙な感触になると思うけど、その辺は気にするな」
その言葉に、アレンとフェイは一瞬理解出来ないといった表情を浮かべ……
『おわっ!』
突然自分の身体が影に沈んでいく感触に、悲鳴を上げるのだった。
「ミの国に到着だ」
影のゲートから出ると、俺はそう告げる。
そんな俺の言葉に、アレンとフェイは一体何を言ってるのかといったような表情を浮かべ……だが、次の瞬間には周囲の様子を見ると、驚きの声を上げた。
当然だろう。少し前……どころか、数秒前には自分達は間違いなくドレイク城にいたのだ。
だというのに、気が付けばアの国からは遠く離れたミの国までやって来ていたのだから、それで驚くなという方が無理だった。
「嘘だろ……」
唖然とした様子で呟くアレン。
マーベルは今まで何度も影のゲートを使っているし、ガラリアも別にこれが初めての影のゲートではない為に、そこまで大きな驚きを見せるといったような様子はない。
「ほら、いつまでも驚いてないで、王城に向かうぞ。トッドはそこで仕事をしている筈だ」
そう告げ、俺はマーベルとガラリアを連れて王城に向かう。
アレンとフェイは、ここで置いていかれるのはごめんだといったように、俺達を追ってくる。
転移したのは、王城から少し離れた場所にある建物の陰。
当然の話だが、俺達がいきなり影から姿を現したというのを見れば、王都の住人達も驚くだろう。
それが分かっていたからこそ、見つからない場所に転移したのだが……うん、この様子だと、多分そう変わらなかったな。
俺達は何だかんだと目立つ。
俺とマーベルは、ミの国においては知る人ぞ知るといった程度の知名度でしかない。
ガラリアもまた、ミの国との戦いには参加していなかったので、アの国でならともかく、ミの国においては知名度は高くなかった。
だが、聖戦士のアレンとフェイは別だ。
ドレイク軍にしてみれば、他の国とは違うというのを示す証拠になる事もあり、聖戦士に関しては大々的に公開している。
その中でも一番目立っていたのは、当然のように聖戦士の中でも最強――あくまでもドレイクの配下という意味で――のトッド。
ましてや、トッドはこのミの国において反乱軍を率いていたという事もあり、その後の戦いでも大きく活躍したのだから、当然だろう。
とはいえ、トッド以外の聖戦士も当然ながら大々的に公表はされており、アレンとフェイもまた、ミの国では名前を知られている人物だ。
当然のように多くの者には知られている。
そうして周囲からの視線を受けつつも、俺達は王都にある城に向かう。
やがて城に近付くと、護衛の兵士達が見えてきた。
そして、俺達は堂々と城の中に入る。
近くにいる兵士からトッドのいる部屋を聞いて案内して貰う。
とはいえ、トッドは領主であっても実際にミの国を動かしているのは、ドレイクの部下達が大半だ。
後は、反乱軍の中でも能力を認められた者だったり、ピネガンと一緒に国外脱出を選択しないような者だったり。
特に最後のピネガンと一緒に脱出しなかった者達に関しては、ピネガンと繋がっている可能性が高い為に、監視されている一面もあったりする。
実はミの国に残って、ピネガンに情報や物資を流したり……といったような真似をするとも、限らないし。
だからこそ、現在の状況を考えればこの城の中はかなり複雑な人間関係があったりする。
俺達がやって来た場所……トッドのいる部屋の前にいる護衛は、ドレイク軍から派遣された者だ。
トッドはパイロット候補生だけあって、相応の訓練を積んでいる。
だが、それでもやはり陸軍の歩兵とかと比べると、パイロット候補生はエースだけあって、戦闘機の操縦訓練の方に力が入っていたのは間違いない。
オーラマシンが登場するまでは、普通に騎士や兵士が生身で戦っていたバイストン・ウェルの人間と比べれば、どうしても生身での戦闘技術は劣ってしまう。
ましてや、ガロウ・ランのように身体能力の高い相手が刺客として襲ってくる可能性を考えると、トッドでは太刀打ち出来ないだろう。
幾ら聖戦士はオーラマシンに乗れば強いとはいえ、それはあくまでもオーラマシンに乗ればの話で、普通に戦う限りでは当然のようにバイストン・ウェルの人間には劣ってしまうのだから。
「おう、トッド。様子を見にきたぞ。……忙しそうだな」
ドレイク軍の兵士だけに、俺達はすぐ執務室の中に通される。
だが、そうやって部屋の中に入った俺達が見たのは、書類を読んでいるトッドの姿だった。
「アクセルか。よく来て……げ……」
「おいおい、今のその『げ』ってのは一体何だ? まさか、可愛い後輩の様子を見に来た俺に対するものじゃないよな?」
からかうようなアレンの言葉。
アレンにしてみれば、トッドが自分に対して思うところがある……いや、あったというのは、当然理解していただろう。
だが、今となってはその立場は既に逆転している。
地上では戦闘機のパイロットとしてアレンの方が上だったのかもしれないが、このバイストン・ウェルにおいてはトッドの方がオーラバトラーのパイロット……聖戦士としては、上だ。
それはドレイクがトッドにミの国を与えた事が、これ以上ないくらいに証明している。
アレンもそれが分かっているだけに、色々と思うところがあるのだろう。
「何をしに来たんだよ、アレン」
不満そうにそう告げるトッドは、アレンの言葉が正解だったということを意味していた。
アレンもそれは分かっているのだろうが、トッドが嫌そうな表情を浮かべているのを、面白そうな様子で眺めながら口を開く。
「何をしに来たって? そんなの決まってるだろ? 領主様をやっているトッドを見に来ただけだよ」
「ぐ……てめえ……」
明らかにからかいにきたといった様子のアレンに対し、トッドは不満そうな様子を見せる。
とはいえ、このバイストン・ウェルにおいてドレイクの下で活躍し、領地を貰いたいと思っているのならトッドの姿は他人事ではない。
まぁ、領地はいらないから普通に給料で雇われてパイロットをやるという手段もあるので、トッドのようになりたくないのなら、そちらを選べばいいのだが。
それに、今はバイストン・ウェルで領地を貰ったりとかいったような事をしていても、将来的には地上に戻れる可能性は十分にある。
この世界の原作の流れがどういうものなのかは、俺にも分からない。
しかし、ショウとガラリアが地上に出たというのが原作通りの流れなら、いずれ他の者も何らかの手段で地上に出るといった展開は十分に有り得た。
そうなれば、例え領地を貰っていたとしても、それが役に立つかどうかは微妙だろう。
バイストン・ウェルと地上を自由に行き来出来るようになれば、それが最善なのかもしれないが。
ただ、その場合はかなり混乱する事になるのは間違いないだろうな。
「まぁ、アレンの件はともかくとして。……領地を経営してみて、どんな感じだ? 地上にいる限りでは、とてもではないが領地を経営するとか、そういう真似は出来ないだろ」
似たような事であれば、市長とか町長とか村長とか……そんな感じで出来るかもしれないが。
とはいえ、トッドはあくまでも軍人、それもパイロット候補生でしかない。
そう考えた場合、領地の経営というのは間違いなく難しいだろう。
「色々と難しいな。地上とでは違いすぎる。いや、地上でもそういう経験のある奴なら、ある程度何とかなるのかもしれないが……」
地上の歴史については、トッドもそれなりに詳しい筈だ。
それ以外でも、統治方法についても概要くらいは知っていてもおかしくはない。
だが、知識と実践は違う。
知識で知ってるからといって、その通りに出来る訳ではないのだ。
トッドが苦戦している部分は、そのようなところだろう。
「こればかりは、自分でやって慣れていくしかないな」
そう告げる俺の言葉に、トッドは深く息を吐くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680