転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2909話

 トッドの様子を見に行ってから数日……俺とマーベルは、ショットに呼ばれてとある場所にやって来ていた。

 

「これが……凄いわね……」

 

 俺の隣では、マーベルが視線の先に存在する巨大なオーラバトルシップ……ウィル・ウィプスを見て、感嘆の声を上げる。

 そう、いよいよウィル・ウィプスが完成したので、ショットはそれを俺達に見せたのだ。

 現在のアの国の状況を思えば、ウィル・ウィプスのような巨大な……それこそ、アの国の象徴とも言うべきオーラバトルシップは、必須なのだろう。

 まぁ、アの国にはウィル・ウィプスだけではなく俺のヨルムンガンドもあるので、象徴とは呼べないのかもしれないが。

 ただし、ウィル・ウィプスはアの国の所属ではあるが、ヨルムンガンドはあくまでも俺の旗艦となる。

 現在キッス家の面々はナムワンを使ってガロウ・ランや恐獣との戦いを繰り広げていた。

 そんな訳で、ヨルムンガンドが完成すれば、俺としては万々歳といったところなのだが……ウィル・ウィプスが完成した以上、ここで働いていた面々もヨルムンガンドの建造の方に回される事になる筈だった。

 そういう意味では、俺としてもこのウィル・ウィプスの完成は嬉しいのは間違いない。

 にしても……

 改めて、ウィル・ウィプスを見る。

 ナムワンやブル・ベガーといったオーラシップは、縦に細長い外見をしていた。

 だが、このウィルは横に細長い外見をしている。

 言ってみれば、UC世界で連邦軍が使っているサラミスを横にしたかのような、そんな形だ。

 

「これ、今更の話だが……被弾率がかなり高くないか?」

 

 サラミスのような細長い形状で横になっているといった状態である以上、当然の話だが敵に向ける面積はかなり広くなる。

 つまり、ウィル・ウィプスと対峙している者にしてみれば、それだけ攻撃を命中させやすいという事になるのだ。

 

「そうだな。しかし、このウィル・ウィプスは、ドレイク軍の象徴であり、旗艦だ。このウィル・ウィプスのいる場所には、ドレイク殿がいるというのを敵に誇示する意味もある」

「つまり、目立つ事を最優先にしたと?」

「うむ。だが……目立っても、この場合は特に問題はないだろう。基本的には、ウィル・ウィプスだけで敵に向かって突出するといったような事はないからな。それこそ、周囲にはナムワンやブル・ベガーがいるのだ」

 

 そう告げるショットは、自信満々といった様子だった。

 ウィル・ウィプスがドレイクの象徴である以上、自分から前に出るといったような事をしなければならない時もあるだろう。

 だが、それでも今の状況においてはそれも必要と考えたといったところか。

 

「で、今日私達を呼んだのは、このウィル・ウィプスを見せたかったからなのかしら?」

 

 俺がウィル・ウィプスを眺めていると、マーベルがショットに向かってそう尋ねる。

 ショットはそんなマーベルに、笑みを浮かべて頷く。

 

「うむ。端的に言えばその通りとなる。正確には、もしアクセルやマーベルがこのウィル・ウィプスと戦うのなら、どうするのかといったことが気になってな」

 

 なるほど、そのつもりで俺とマーベルを呼んできたのか。

 これから戦う事になるラウの国には、ショウがいる。

 軍ではなく個として強いショウがウィル・ウィプスと遭遇した時、どうやって攻略するのか。

 それを聞きたくて、俺とマーベルを呼んだのだろう。

 なら、トッド……は現在ミの国の領主なので難しいが、アレンとかでもいいと思うんだが。

 それでも敢えて俺達に聞いてきたという事は、それだけ本気なのだろう。

 

「そうだな。サーバインを使って戦う場合でも、やっぱり外側から攻撃するのは難しいと思う」

 

 正確には効果が低いといったところか。

 俺のオーラ力……もとい、魔力によってかなりの性能を持つサーバインだが、その魔力が影響するのは、あくまでもサーバインの機体性能に対してだけであって、武器の性能はどうしても他のオーラバトラーと変わらない。

 あるいは、技術が発展して将来的にはオーラ力を攻撃力に転換出来るようなシステムなり武器なりが開発されるかもしれないが、それがいつになるのかは分からない。

 ましてや、俺がオーラバトラーを動かすのに使っているのは、オーラ力ではなく魔力だ。

 その辺りを考えると、具体的に俺がいつその手の武器やシステムを使えるようになるのかは分からない。

 だとすれば……考えられる可能性としては、やはり単純に内部から破壊するといった事だろう。

 

「ウィル・ウィプスは巨大だ。であれば、その中に突入して内部から破壊していくのが一番いい。ウィル・ウィプスの持つ対空兵器とか、そういうのも内部に入ってしまえば無意味だしな」

 

 あるいは、内部に敵が侵入した時の事も、多少は考えている可能性はある。

 だが、ショットの様子を見る限りでは、そういうのはないらしい。

 であれば、俺の提案はショットにとって意外ではあったのだろう。

 ……外が駄目なら中からというのは、そんなにおかしな考え方ではないと思うんだが。

 オーラバトルシップのように強力な軍艦であるという事に安心していたのかもしれないな。

 俺のように、様々な世界で色々な体験をしてきたからこそ、そのように思えるのかもしれないが。

 

「他には、そうだな。ラウの国でもオーラバトルシップに準じた軍艦を作っているって話は聞いてるか?」

 

 その辺についての話はキブツがドレイクに情報提供をしたので、ショットに伝わっている可能性はあり……そして当然のようにショットは頷く。

 

「うむ、その話は聞いている。私がウィル・ウィプスの攻略について聞いたのも、その辺が理由だからな」

「そうか。じゃあ、もう1つ……いや、2つ攻略する方法を教えよう」

「まだあるのか!?」

 

 まさか一度に3つもウィル・ウィプスの攻略法が出て来るとは思っていなかったのか、ショットは唖然とした表情を浮かべる。

 ショットにしてみれば、ウィル・ウィプスは絶対の自信があったオーラバトルシップだったのだろう。

 だが、それを見た瞬間に俺がこうも連続して攻略法を伝えてくるというのは、予想外だったらしい。

 

「あくまでもここで聞いてすぐに思いついた内容だぞ。もっとしっかりと考えれば、他にも幾らでも思いつくと思う」

「……一応、聞かせてくれ」

「まず、単純に必要なのはラウの国で開発しているというオーラバトルシップだな。これを質量兵器として使う為に、単純に突っ込ませればいい」

「それは……」

「それともう1つ。後はウィル・ウィプスの装甲でも貫けるような攻撃を行えばいい」

「不可能だ。ウィル・ウィプスの装甲は、オーラショットを始めとして様々な武器の威力を考えて作られている」

 

 断言するショット。

 実際、その辺りについては問題ないという強い自信があるのだろう。

 それは俺にも分かる。分かるのだが……

 

「ショットとゼットがオーラマシンを開発した。ならそれを応用して他の国が強力な武装を開発出来ないと思うのか?」

「それは……」

「ましてや、既にオーラマシンについての技術は、各国に渡っている。クの国、ラウの国といった大国であれば、独自に強力な武装を開発してもおかしくはないと思うが?」

 

 これは純粋なる事実だ。

 実際にクの国ではアルダムという独自開発のオーラバトラーを開発しているし、ラウの国でもダーナ・オシーを改修したボゾンというオーラバトラーが開発されている。

 また、どちらでもオーラバトルシップが開発されているのだから、技術力という点では、アの国と他国はそこまで違いはない。

 いや、勿論現在はまだアの国の方が上だし、ショットやゼットがいるから、そう簡単に逆転されるといった事はないだろうが、以前のように全ての国がドレイクからオーラマシンを買っていた時と比べると、間違いなく実力は縮まってきている筈だった。

 そうである以上、俺のアイディアは決して間違っている訳ではない筈だ。

 もっとも、これはあくまでも予想なので、実際には俺の口から出た意見が正しいのかどうかは、正直微妙なところなのだが。

 

「ふむ……なるほど。アクセルの意見は参考になった。マーベルの方はどうだ? 何か思いつく事はあるか?」

「そうね。アクセルの意見くらい簡単な訳じゃないけど、オーラバトルシップはあれだけの大きさだと考えると、隠れるところは幾らでもあるのよね? なら、身体能力に長けたガロウ・ランを荷物か何かに紛れて忍び込ませる事が出来れば、内部から破壊する事はできるんじゃない?」

「……可能性は否定出来んな」

 

 マーベルの言葉に、苦い表情を浮かべるショット。

 自信満々であっただけに、こうも次々とウィル・ウィプスを攻略する方法が出て来るというのは、予想外だったのだろう。

 監視カメラの類があれば、そういう風に忍び込んで来た相手を見つけられるかもしれないが、生憎と現在のバイストン・ウェルの技術では難しい。

 いや、一応オーラバトラーには無線通信で相手の顔が映し出されるようになっているのを考えると、やろうと思えば可能なのか?

 だが、その場合はカメラの類を小型化し、それを設置したり、映像を処理したりとする必要もあるのを考えると、難しいのか。

 コスト的な問題なら、ウィル・ウィプスはドレイク軍の旗艦という事で、対処出来ない訳でもない。

 しかし、技術的な面でとなると難しい。

 なら、認証カードが必要なのは……いや、それだと手間暇ばかり掛かるだけで難しいか。

 それに、最悪ガロウ・ランがウィル・ウィプスの乗員を襲ってカードの類を奪えばいいし。

 だとすれば、指紋とか虹彩とかか?

 それはそれで、問題があるような気がする。

 最悪、乗員の指が切断されたり、眼球を抉ったりといったような真似をすれば何とかなるし。

 うん、こうして考えるとウィル・ウィプスは、どうしても安全にするというのは難しいよな。

 とはいえ、こればかりは笑ってばかりもいられない。

 ウィル・ウィプスに存在する弱点は、当然の話だが俺のオーラバトルシップのヨルムンガンドにも影響してくる。

 唯一の救いとしては、ヨルムンガンドは基本的に前に出るような事はないから、外部からの攻撃という点ではそこまで心配しなくてもいいか。

 ウィル・ウィプスもまた、そう簡単に前に出るようなオーラバトルシップではないが、それでも性能から考えて十分前に出る事も可能だし、ドレイクの性格を考えれば、いざとなったら前に出てもおかしくはない。

 それに比べると、ヨルムンガンドは基本的に後方にいてこそ意味のある性質を持つオーラバトルシップとなっている。

 そう考えれば、ウィル・ウィプスより安心なのは間違いないだろう。

 

「今の状況を考えると、ウィル・ウィプスには危険も大きいか」

「そうだな。けど、その辺に関してはしょうがないだろ。今のバイストン・ウェルの技術で、欠点が何もない状況にするというのは無理だし。……それ以前に、どんな技術であっても何の問題もないといったような事は不可能だ」

 

 あるいはコバッタ辺りを運用出来るのなら、ウィル・ウィプスの内部に入ってくる相手を全て確認するといったような真似も出来るのだろうが、それは今のドレイク軍では不可能だろう。

 それにコバッタを運用する事が出来たとして、そうなったらそうなったで、また別の方法が選ばれてもおかしくはない。

 具体的には、ルリやラピスのハッキングとかで。

 出来るかどうかは、詳しい話は分からないが……ルリやラピスなら、普通にやりそうな気がするな。

 というか、コバッタをハッキングする事が出来るのなら、最初からオーラバトルシップをハッキングするか。

 

「ぐぬぅ」

 

 悔しそうな様子を見せるショット。

 ショットにしてみれば、自分の才能に自信があるだけにウィル・ウィプスに対する攻略法が次々と出て来るのが面白く思えないのだろう。

 とはいえ、ショットはこの世界においては天才的な能力を持っているのかもしれない。

 だが、それはあくまでもこの世界でだけの話だ。

 シャドウミラーのように、多数の世界から技術者が集まってきているのを考えると、どうしてもショットは環境が悪い。

 そのような状況でも、このバイストン・ウェルに存在する恐獣を素材してオーラマシンを開発したのは立派だと思うが。

 

「ウィル・ウィプスは失敗だったと思うか?」

「いや、そんな事はないだろ。今の状況を考えても、ウィル・ウィプスは大きな役割を持つ筈だ」

 

 ショットは衝撃を受けた様子を見せているものの、取りあえず俺はそういう風に言っておく。

 実際、俺が言った事は決して間違いではない。

 現在のバイストン・ウェルにおいて、ウィル・ウィプスは相手に与える威圧感という意味でも、オーラバトラーの母艦としても、単純に攻撃力としても、まさに一級品だ。

 コストの問題を考えると、量産出来るような代物ではないが。

 もし量産するとすれば、コストが一体どれだけのものになるのやら。

 それなら、オーラシップのブル・ベガーを多数建造した方がいいのは、間違いない。

 ブル・ベガーはかなり強力なオーラシップだし。

 ただし、重武装にしすぎて機動力という点ではナムワンに劣ってしまうのだが。

 そんな風に考えつつ、俺はマーベルやショットと会話を続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1680

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