鏡あきらさん、ありがとうございます。
ラウの国との小競り合いがあったと聞いたのは、ウィル・ウィプスの件でショットと話をしてから10日程が経った頃の事だった。
何でもミの国との国境付近にゼラーナ隊と初めて見るオーラシップが何隻かおり、それに対応するようにトッドもミの国に駐留していたドレイク軍に命じて部隊を派遣し……そして、軽い戦闘になったという事らしい。
そうガラリアから聞いた俺にとっては、色々と気になるところはある。
まず、ゼラーナがいたということは、それはラウの国ではなくフラオン軍ではないのかといった事。
一応フラオン軍は現在ラウの国に匿われているのがキブツの証言ではっきりとしている為、それは間違いない。
問題なのは、ラウの国とフラオンのどっちが主導権を持ってこっちにちょっかいを出してきたのか。
いや、正確には本当に向こうからちょっかいを出してきたのかどうかは分からないが、ドレイク軍が国境付近にいるのを知った上で出て来たのなら、向こうからちょっかいを出してきたと認識してもおかしくはないだろう。
まぁ、ラウの国にとってもこっちがミの国の国境に部隊を派遣しているというのは知っている以上、放置する訳にもいかなかったのかもしれないが。
しかし、それでもゼラーナを出してくるというのは、それはそれで色々と思うところがない訳でもない。
単純に、ゼラーナ隊が腕利きだと判断し、その実力に期待したのかもしれないが。
ショウという、今となってはマーベルですら苦戦するような聖戦士がいるのだから、その判断は決して間違ってはいないと思うが。
そして、ゼラーナ隊以外にもう1つ。
それは、ゼラーナ隊と一緒に出て来た未知のオーラシップについてだろう。
ここでわざわざ頭に未知のという言葉がつくということは、当然ながらそのオーラシップはナムワンではないという事を意味している。
だとすれば、それはつまりラウの国で開発された新型であるのは間違いないだろう。
その辺については、キブツからも聞いてなかったが……だとすると、キブツ達にも隠されていたのか、それともキブツ達が俺に投降した後で開発されたのか。
普通なら、そんな短時間で新型のオーラシップを開発するなんて真似は不可能だろうと、そう思うのだが、このバイストン・ウェルにおいてはどういう訳かオーラバトラーの開発速度がかなり速い。
だとすれば、オーラシップもそれに負けていなくてもおかしくはない。
それにゼラーナの例を見れば分かるように、ナムワンをベースとして開発するとなれば、当然のように開発速度はより増すのだから。
「それで、ドレイクはどうするつもりなんだ?」
「その小競り合いを理由に、向こうから攻撃を仕掛けてきたということで、宣戦布告を行うらしいです」
食事の手を止め、ガラリアはそう告げる。
ちなみに今日ガラリアがこうして俺の家にいるのは、久しぶりに魔法の訓練をする為にやってきたからだ。
バーンが降格し、現在はガラリアがその代わりにドレイクの側近といった扱いになっている。
そうなると、当然今までのように自由になる時間は少なく、俺の家に来て魔法の訓練をするといったような真似も、そう簡単には出来なくなる。
そういう意味で、こうしてガラリアが俺の家に来るのは本当に久しぶりだ。
魔法の訓練を始める前に食事をしており、その中で出て来た話題がミの国とラウの国の国境付近で起きたという戦いについてだった。
「そう、始まるのね」
俺とガラリアの話を聞いていたマーベルは、残念そうに呟く。
マーベルにしてみれば、自分を狙ってきたフラオンや、フラオンからの要請とはいえ、戦いに介入してドレイク軍に攻撃をしてきたミの国はともかく、ラウの国への攻撃には気が進まないのだろう。
最初にこの話をドレイクからされた時にもそうだったし、その気持ちは今も変わっていないらしい。
だが同時に、自分達から攻撃を仕掛けなくても、フラオンが亡命していたり、ドレイクが国王だというのを認めないという事で向こうから攻撃をしてくるのは間違いないと言われてしまえば、マーベルとしてもそれを否定は出来ない。
実際、こうしてガラリアの口から小競り合いが起きたという話を聞いたのだから、尚更だろう。
今回の件に関しては、ドレイク軍が国境付近にいたのが理由と言えなくもないのだが、フラオン軍をラウの国が匿っている以上、アの国側としてはラウの国を警戒する必要があるのは間違いない。
「うむ、その通りだ。そんな訳で、明日にはアクセル王にも城まで来て欲しいとの事でしたが……構いませんか?」
前半はマーベルに、そして後半は俺に向かって尋ねてくるガラリア。
そんなガラリアの言葉に、俺は頷く。
「それは構わない。こちらとしても、ラウの国との戦いとなると完全に他人事って訳じゃないしな」
現在俺の部下となっている、キブツ率いるキッス家の面々。
その面々が元いた場所がフラオン軍だった以上、そのフラオン軍が出て来たのなら俺達もまた出番があると思って間違いない。
問題なのは、ドレイクが俺達にどういう要望をしてくるかだが……ここで大きな意味を持つのが、やはり完成したばかりのウィル・ウィプスだろう。
折角完成したのだから、ドレイクとしてはその性能を確認しておきたいと思うのは当然だった。
それ以外にも、レプラカーンやビアレスといった新型のオーラバトラーもそれなりに投入される以上、そちらもどれだけの性能なのかを確認したいと判断してもおかしくはない。
だからといって、俺達に仕事の依頼がないとは言わないが。
キッス家の件で、ドレイクには他の者達からの不満の声を抑えて貰っているだけに、多少の要望は聞くしかないだろう。
キッス家が鵬法璽で裏切らなかったり、もしくはフラオン軍やラウの国についての情報を持ってきたとはいえ、それでもやはりドレイク軍の者にしてみればギブン家に仕えて長年ルフト領と敵対してきたキッス家に対して思うところがあるのは当然だろう。
それはドレイクがアの国の国王になる前……ルフト家の当主時代から仕えている者にはより強くそういう思いがあって当然だった。
その辺の事情を考えれば、キブツも自分達がどのように思われているのかは、当然理解している。
それだけに、その不満を抑えているドレイクには譲歩する必要もあった。
他にも、ラウの国で新しく開発されたと思しきオーラシップを確保したいとか、ボゾンも出来るだけ多く確保しておきたいとか、そんな風に色々とこっちの狙いもあるんだが。
あるいは、ショットやゼットの新型機……特にレプラカーンはこちらも出来るだけ多く確保しておきたいし。
ブル・ベガーも、出来れば確保しおきたい。
こうして考えると、何気に俺が欲しいのは結構な数があるんだな。
ドレイクが俺と敵対していれば、ブル・ベガーを始めとして結構な数を奪う事が出来るだろう。
だが、生憎と現在の俺はドレイクと協力関係にある以上、そんな真似は出来ない。
……いっそ、俺が持っている異世界の何かを売りつけて、その代金として貰うってのはありか?
ありだろうが、そうなると純粋なオーラマシンの技術に異世界の技術が介入してしまいかねない。
それはそれで興味深い一面はあるのだが、それでもやっぱりこの件に関して慎重に判断する必要があった。
「ラウの国との戦いか。ドレイクは、どの辺まで考えてるんだ?」
「は? どの辺まで、ですか?」
ガラリアが、俺の言葉の意味を理解出来ないといったように首を傾げる。
「そうだ。例えばラウの国がこれ以上アの国に攻めてこないように一度叩きのめして力の差を理解させてから、休戦条約を結ぶのか、それとも従属国にするのか、もしくはミの国みたいに併合するのか。他にも選択肢は色々とあると思うが」
「そうなりますと、併合かと。ラウの国の……いえ、フォイゾン王の性格を考えますと、ドレイク王と友好的な関係になるとは、とても思えませんので」
ガラリアの言葉に、なるほどと頷く。
現在の状況を考えると、フォイゾンはこちらに対して友好的に接してくるとは、まず思えない。
フォイゾンにしてみれば、ドレイクは倒すべき相手であっても、友好的な関係を結ぶべき相手ではないのだろう。
その辺の理由は俺にも理解出来ないでもなかったが、まさか国が滅びそうになれば態度が変わってもおかしくはないと思うんだが。
「頑固な性格だって話は聞いてるが……そんなにか」
「私は直接会った事がないので何とも言えませんが、聞こえてくる噂から考えると間違いないかと」
ガラリアの言葉に一瞬疑問を抱くも、少し前まではバーンがドレイクの側近という立場だったのを思えば、それも当然かもしれないな。
バーンなら、フォイゾンに直接会った事があってもおかしくはないが……そう言えば、今のバーンって何をしてるんだ?
トッドがミの国に行くまでは、トッドの代理として働いていたが、現在のミの国にはもうトッドが赴任している。
そうである以上、今はバーンの仕事は特にない筈なんだが。
そうなると、それはそれで惜しいよな。
バーンはドレイクの側近から降格となったが、バーン本人の能力は決して低い訳でない。
それこそ、純粋に能力だけで考えた場合、ドレイクがいらないのなら俺が欲しいくらいだ。
ただし、それはあくまでも能力だけで考えた場合の話だが。
性格も込みで考えた場合、猜疑心が強く、自分よりも上の存在を認める事が出来ず、見栄ばかりを気にして向上心がない……そんな性格の奴は、ちょっといらない。
バーンは最初に会った時から俺を疎んでいたし、信用もしていなかった。
いや、それはいい。いきなり見ず知らずの奴が自分の仕える主人と同格の存在として姿を現したのだから。
実際に俺を疑惑の視線で見ていたのはバーンだけではなくガラリアもそうだったし、それ以外の者達も同様だった。
だが、バーンは他の面々と違い、俺が相応の戦果を挙げても信じるような真似はしなかったし、一度はギブン家に俺を売ろうともした。
そういう意味では、とてもではないが部下に欲しいとは思わない。
そんなバーンとは違い、ガラリアは最初こそ俺を疑惑の視線で見ていたものの、今となっては友好的な関係となっている。
この辺は、マーベルがいたからというのも大きいのだが。
「噂になってる事からすると、信憑性は高そうだな。……だとすると、ラウの国との戦闘は色々と面倒な事になるのは間違いない」
「そうね。……出来るだけ早くラウの国が降伏してくれるといいんだけど」
マーベルにしてみれば、ラウの国との戦いは出来るだけ早く終わってくれればいいと思っているのだろう。
戦いが早く終われば、それだけ戦いの中で死ぬ者が減る。
敵味方に関わらず、死人が減るのはマーベルにとって望ましいのは間違いない。
「そういう意味だと、俺達も積極的に戦いに参加するようにした方がいいのかもしれないな」
こっちが活躍すれば、それだけ大きな収穫があるのは間違いない。
ボゾンとか新型のオーラシップとか。
そのついでに戦いが素早く終わるのなら、それはまさに最善の結果だろう。
「そうね。でも、私達が出ると……間違いなくゼラーナ隊がこちらに向かってくると思うわ」
マーベルのその言葉に、ガラリアが微妙な表情を浮かべる。
ガラリアにしてみれば、ゼラーナ隊……特にショウに関しては、色々と複雑な思いがあるのだろう。
一緒に地上に出て、バイストン・ウェルに戻ってきた者同士なのだから。
その時のやり取りで、ガラリアもショウと色々と話をしたりしたのは間違いない。
とはいえ、ガラリアがショウと接する機会は、ショウがバイストン・ウェルに召喚された時からそれなりにあった。
「どうしたの、ガラリア?」
「いや。ショウについてちょっとな。……ああ、それとクの国についても考えていた」
「クの国に? ……一体何が?」
ガラリアの口から出た、予想外の言葉。
俺もそれについては、疑問を抱く。
今の状況で一体何故クの国が出て来るのか、と。
「お館様は、ラウの国との戦いにクの国に援軍を頼むつもりらしい」
それは、ある意味で予想出来た事でもあった。
ミの国を併合したアの国だが、それでもすぐに国力が増強した訳ではない。
今はドレイクの部下を送り込み、旗頭としてトッドがいる状態で運営されているが、そんなミの国が本当にアの国の役に立つようになるまでは、それなりに時間が必要だろう。
寧ろ、今の状況ではミの国に人を取られている分、総合的に見た場合、アの国の国力は減っている可能性すらあった。
そんな中で大国と言われるラウの国と戦うのだから、戦力を他のところに求めるのは当然だろう。
そして求められたのが、クの国だった訳だ。
実際、ドレイクにとって援軍として選べる相手としては、他に選択肢が存在しないというのが正しいのだが。
単なる肉壁として使うのなら、ケムやハワといった国から援軍を半ば強引に連れてくるといった真似も出来るかもしれないが……今回の場合、必要なのは肉壁ではなくきちんとした戦力だ。
それを考えれば、やはりここはクの国しかないというのは納得出来る話だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680