ドレイク軍は、ラウの国に侵攻を開始した。
だが、不思議な事に……あるいはドレイク軍をラウの国の奥深くまで引き込む為か、ラウの国に侵入しても襲撃の類は特にない。
「やっぱり罠よね」
「だろうな。とはいえ、誘き寄せて戦力を集中したところで、今のドレイク軍をどうにか出来るか?」
現在のドレイク軍は、ナムワンやブル・ベガー、そして旗艦のウィル・ウィプスがいる。
後、ついでだが俺のナムワンも。
その主戦力はドロやドラムロだが、ガラリアはバストールに、トッドとアレンはビランビーに、ジェリル、トカマク、フェイの3人はレプラカーンに乗るといったような状況になっていた。
それ以外にも、精鋭の中には何人かビランビーやレプラカーンに乗っている者もいる。
そして、俺のサーバインとマーベルのダンバイン……後はキッス家が乗るダーナ・オシーとドロ。
キッス家の面々が乗るのは、出来ればドロにしたいんだけどな。
もしくは、ボゾンを奪ってきてそれに乗せてもいい。
いっそドレイクかショット、ゼット辺りに何か機械の類を売って、その代金としてビランビーとかレプラカーンを用意して貰うか?
出来るか出来ないかで考えれば、その程度は普通に出来る。
それこそ現在空間倉庫の中には、地上の武器とかが大量に入っているし。
それ以外にも、サラマンダー、ミロンガ改、ニーズヘッグといった機体が収納されており、それぞれが使う武器の類も入っている。
その辺はさすがに売るといったような真似は出来ないが、それでも見せるだけでショットやゼットにしてみれば非常に大きな意味を持つ筈だった。
「ラウの国との戦いが終わったら、もう少し考えてみるか」
「え? どうしたの?」
「いや、ボゾンを何機か入手して、このナムワンで使ってみたらいいかと思ってな」
そんな俺の言葉に真っ先に反応したのは、マーベル……ではなく、キブツ。
「本当ですか、アクセル王」
キブツにしてみれば、自分に仕えている者達の機体が高性能になるのは、大歓迎といったところなのだろう。
「ああ。俺の部下となった以上、いつまでもダーナ・オシーというのは、外聞も悪いしな」
ダーナ・オシーは、現在運用されているオーラバトラーの中では、性能は底辺だ。
それこそ、ダーナ・オシーよりも性能の低いオーラバトラーは最初に開発されたゲドくらいしかないというくらいに。
性能ではなく、オーラバトラーの歴史という意味ではショットやゼットが開発したのとは全く違う系統のオーラバトラーという事で意味があるし、高い生産性も長所の1つだろう。
だが、生憎と現在のシャドウミラーで必要なのは、ダーナ・オシーのように生産性が高いものの性能の低いダーナ・オシーではなく、量産性は低くても性能の高いオーラバトラーだ。
具体的には、やっぱりビアレスやレプラカーンとかか?
とはいえ、ドレイク軍でもまだそこまで広まっていないオーラバトラーだけに、当然のようにそう簡単に入手出来るものではない。
「ありがとうございます」
頭を下げるキブツを眺めながら、いっそクの国で開発されたアルダムとかでもいいのかもしれないなと思う。
そんな風に考えつつ、ラウの国を進み……やがて村の姿が見えてきた。
だが……
「人の姿はどこにもない、か」
「はい。ドレイク軍の人員が村の中を調べていたようですが、人の姿はおろか、ユニコンのような生き物の姿もないようです。また、食料の類も一切残っていないと」
「焦土戦か。ただ、それがどこまで有効なのかは分からないけどな」
あるいは、ドレイク軍が食料等の補給を現地の略奪で賄っているのなら、何とかなった可能性もあるだろう。
だが、ドレイク軍の補給に関しては自国で賄っているのだ。
勿論、後方から別途輸送部隊を用意されてもいる。
そうである以上、現地に食料が残っていなくても特に困らない。
……まぁ、現地で食料を補充出来るのなら、それに越した事がないのは分からないが。
それでも、そちらは絶対にそうしなければならないという訳ではなく、可能ならといった程度でしかないので、食料を持っていってもそこまで嫌がらせにはなっていないのだが。
この作戦、一体誰が考えたんだろうな。
バイストン・ウェルに焦土戦といった考えがあるのかどうか。
もしなかった場合、それを教えたのは……やっぱり地上の知識を持っているショウか?
とはいえ、焦土戦に関しては少し考えれば思いついてもおかしくはないか。
こうして村人を避難させたのは、ドレイク軍を内部に引き込んで集中攻撃して倒す時に被害を出さないようにする為だ。
そのついでに、村の食料を持っていったのだろう。
持ち出せなかった分は、それこそ焼くなりなんなりした可能性すらある。
本当にそこまでやってるのかどうかは、正直なところ俺には分からないが。
「ここまで徹底してやっているという事は、向こうも本気という事ね。……まぁ、そもそもドレイク軍に襲われているのに、本気にならないという選択肢はないと思うんだけど」
「自分達の国が攻められているんだから、当然だろうな。ただ……ラウの国にしてみれば、少しでも俺達にダメージを与える方法を考えているといったところか」
ただ、正直なところラウの国の判断は甘い。
本当にどうしようもなくなった場合、ドレイク軍には俺がいるのだ。
影のゲートと空間倉庫があれば、俺が一旦アの国に戻って空間倉庫に食料を入れ、転移でここに戻ってくるといったような事が出来る。
ショウも俺が空間倉庫を持っているのは知っているのだから、その辺についての情報を話していてもおかしくはないと思うのだが。
まだショウがドレイクの下にいた時、俺が空間倉庫から出したパック寿司を美味いと言っていたのを覚えている。
だとすれば、ショウも当然のように空間倉庫について知ってるのだ。
……まぁ、ショウにとっての空間倉庫というのは、地上の料理とかを収納しているもので、軍隊で使う食料や補給物資を収納して運べるというのは予想外だったかもしれないが。
とにかく、ショウ達……いやラウの国にしてみれば、出来る事は何でもやるといったところか。
実際に今の状況を考えると、ラウの国は決して有利という訳じゃない。
それどころか、クの国が援軍として来るとなればアの国側はかなり有利となる。
だからといって、ラウの国が他国に援軍を求めるにしても……隣接しているのがミの国しかないのは、この場合は痛い。
可能性としてはナの国だが、こちらもまたどうだろうな。
多少は情報が入ってきているのだが、何しろナの国というのはアの国からかなり離れている。
一応、海を挟んで向かいにあるという意味では、そこまで離れている訳ではないのだが。
実際、ドレイクも以前多少なりとも取引をしていたといったような話を聞いた覚えがあるし。
ただ、それでもやはり隣接している他の国々と比べると、どうしても取引量は小さい。
あるいは、ナの国はラウの国をも上回る、まさに強国と呼ぶに相応しいだけの国力や国土を持つというのもあるし、その辺からドレイクが警戒していたといった可能性も否定は出来ない。
唯一分かっているのは、シーラ・ラパーナという女王が治めているという事くらいか。
しかもこの女王、話を聞いた限りではまだ若いにも関わらず、かなり有能らしい。
そういう女王がいるからこそ、ナの国は栄えているんだろう。
それ以外にも、ナの国の周辺には他に国がないという状況も、ナの国が栄えている理由になるだろうが。
ナの国が周辺諸国を征服したのか。それとも単純にナの国以外に国はなく、領土を広げてきたのか。
その辺がどうなっているのかは、正直なところ俺に分からない。
だが、今の状況を考えると、ナの国がこの周辺では最強の大国として存在しているのは間違いない。
この周辺というのを、海を挟んだ向こう側に存在しているのに含めてもいいのかどうかは、正直なところ微妙だが。
「アクセル王、取りあえず今日はこの村で野営をするとの事です」
ウィル・ウィプスからの連絡があったのか、通信担当の男がそんな風に言ってくる。
まぁ、今日だけでもそれなりにラウの国の内部に入ったし、それを思えばこの村で一度休むといったような事をしても、おかしくはないのか?
ただ、別に野営をするのに、この村を使わなくてもいいと思うんだが。
オーラシップやオーラバトルシップがある以上、わざわざ村を使わなくても、普通に屋根のある場所で眠る事が出来る。
そうである以上、この村のある場所で野営をするというのは……正直、意味が分からなかった。
とはいえ、ドレイクが決めたのならそれなりに理由があっての話だろうし、別にこの村で野営をやるのは俺にとって特に不都合の類がある訳でもない。
そう考えれば、ここで野営をやるというのに俺は不満がない。
ただ、こんな場所で野営をすると、ラウの国の軍隊やフラオン軍、ピネガン軍――既にミの国を追い出された以上、フラオン軍に習ってこれからはこう呼ぶ――によって奇襲を仕掛けられる可能性もない訳ではなかった。
いや、それが狙いか?
ラウの国の軍隊は、ドレイク軍が国内に入っても全く攻撃をしてくる様子はない。
向こうの反応を見る為に、わざわざ村という分かりやすい場所で野営を行う。
これは、十分に可能性はある。
「村での野営となると、それを目当てにして奇襲をしてくる可能性がある。あるいは夜襲か。ともあれ、そんな危険がある以上、何があっても問題なく対処出来るようにしておけ」
元々、ゼラーナ隊は奇襲を得意としている。
そうである以上、こんな絶好の機会に奇襲をしてこないとは考えられない。
あるいは、絶好の機会すぎて寧ろこっちが誘っていると判断し、罠だと考えて手を出してこないといった可能性はあるが。
フラオン辺りが指揮を執っているのなら、罠の可能性も考えず、好機であるという事だけを認識して無理に夜襲をするように命令してもおかしくはないか。
これがギブン家の当主のロムンであれば、罠だと判断してもおかしくはない。
何だかんだと、ロムンはギブン家を率いてドレイクがルフト領の領主であった時から戦い続けてきたのだ。
そうである以上、ドレイクがこのような時にどのような罠を仕掛けるかといったような事を理解していてもおかしくはない。
だが……ギブンにとって最大の不幸は、神輿として祭り上げたフラオンの存在だろう。
神輿ではあっても、名目上はギブン家が仕えている存在だ。
それだけに、無茶な命令をされても従う他はない、
とはいえ、フラオンを祭り上げるというのはギブン家が自分で決めた事だ。
そうである以上、別に同情するような事でもないだろう。
「了解しました。すぐに準備をします。幸い、警戒するのはこのナムワンだけでいいので、楽ですね」
キブツのその言葉に、俺も頷く。
ドレイク軍はナムワンやブル・ベガーが複数存在し、ウィル・ウィプスは巨大なだけに影になる場所も多い。
それだけに、もしゼラーナ隊が奇襲を仕掛けてきた場合、受ける被害も大きくなってしまう。
内部工作とかをする為に侵入しようとしてきた場合にも、そちらに対処するのは難しいだろう。
とはいえ、あくまでもその可能性があるというだけで、今の状況で攻めてくるといったような事は分からない。
それでも警戒しているのは、悪くない。
「そうだな。このナムワンの状況を思えば、楽なのは間違いない。ただ、ドレイク軍と協力してるんだから、何かあったらドレイク軍にも知らせろよ。ドレイク軍の方でも何か起きたらこっちに連絡をしてくるだろうし」
「分かりました。……出来れば、そのような事はないといいのですが」
キブツにしてみれば、ギブン家は少し前まで仕えていた人物だ。
それだけに、複雑な気分を抱いているのだろう。
「フラオンの性格を考えれば、一体何をしてきてもおかしくはない。それに……その選択が間違いって訳ではないし」
実際に、今夜の野営でドレイク軍を相手に夜襲を成功させれば、大きなダメージを与える事が出来るのは事実だ。
……ただし、それはあくまでも夜襲を成功させればといった感じだが。
「ドレイクの方でも一応調査すると思うが、後で村の中を調べてこい。もしかしたら、建物の中とかに隠れている奴がいるかもしれない。……さすがにオーラバトラーを隠すのは難しいと思うが」
難しいとは思うが、それも絶対ではない。
オーラバトラーの全高は機種にとって大きく変わるが、それでもユニコンの厩舎や倉庫の類であれば、収納出来ない訳でもない。
その辺の事情を考えると、しっかり村の中を警戒した方がいい。
キブツに言ったようにドレイク軍の方でも当然調べるだろうが、それでも他人が調べて安全だったと言われるのと、きちんと自分達の手で調べて安全を確認したというのとでは、信頼の度合いが違う。
いっそスライムを使って調べてみてもいいのかもしれないが、その辺についてはキッス家の面々に任せるとしよう。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680