結局、俺はドレイクと共にビショットのゲア・ガリングまでやって来た。
俺の付き添いとしてマーベルが、ドレイクの護衛としてガラリアがいる。
付き添いと護衛と名目が違うのは……まぁ、言うまでもないだろう。
「ドレイク王、アクセル王、こうして実際に会うのは久しぶりですな」
「はっはっは。そうですな。だが、ビショット王はアの国の事情について詳しい様子。それを考えれば、久しぶりといったような感じはしないのでは?」
チクリ、と。そんな一撃を放つドレイク。
アの国にクの国から侵入されている人物がいるのを、当て擦っているのだろう。
しかし、そんなドレイクに対してビショットもまた笑みを崩さず、口を開く。
「そういうドレイク王こそ、クの国の事情については詳しいようで」
狐と狸の化かし合いだな。
……自分で考えておいて何だが、この表現は妙に似合っているような気がする。
ビショットは弱冠痩せ気味で、狐という表現が似合う。
ドレイクは少し豊満な身体をしており、狸を思わせるものがある。
そんな二人のやり取りは、やはり狐と狸の化かし合いという表現が相応しいだろう。
「その辺にしておいて、そろそろ本題に入ってもいいか? ……その前に、ゲア・ガリングか。このオーラバトルシップのブリッジもかなり広いな」
現在俺達がいるのは、ゲア・ガリングのブリッジだ。
そのブリッジは、ウィル・ウィプスに負けないくらいの広さを持つ。
普通のオーラシップとは、明らかに違う。
ヨルムンガンドのブリッジも、恐らくこんな感じになるのだろう。
「そうかい? 私としては、出来ればもう少し広く作ってもよかったと思うんだがね」
この辺りの認識の違いは、俺とビショットがオーラバトルシップに対してどのような役目を期待しているか、というのが大きいだろう。
あくまでも戦闘に使う……ただし、後方で空飛ぶ砦や空母的な存在として使うと認識している俺と、あくまでも旗艦として使おうと考えているビショットの違いだろう。
この辺の違いは、クの国が本格的な戦闘を経験していないというのも、関係しているだろう。
アの国やミの国で行われた戦闘は、ドレイク軍に大きな経験を与えた。
それに対し、クの国は……ガロウ・ランや恐獣との戦いくらいか?
それでも何も戦闘を行っていないよりは随分とマシだが、幾つもの戦いを潜り抜けてきたドレイク軍と比べれば、どうしても練度は劣ってしまう。
……ああ、ビショットがラウの国との戦いに援軍としてやって来たのは、自軍に経験を積ませるといったような理由もあるのかもしれないな。
そういう意味では、ドレイク軍と一緒に行動出来るというのは、ビショットにとってもありがたいだろうし。
「ゲア・ガリングについてもいいが、そろそろ新型のオーラバトラーについて教えてくれると助かるんだけどな」
「アクセル王も待ちきれないようだし、では格納庫に移動しようか」
その言葉に誰も反対することはなく、俺達は格納庫に向かうのだった。
「これが……新型のオーラバトラー?」
そのオーラバトラーを見て、俺の口から出た言葉は戸惑い気味だった。
いや、それは俺だけではない。
マーベルを始めとした他の面々も同様だった。
特にガラリアの戸惑いは強い。
何故なら、目の前にある新型のオーラバトラーは、かなりビランビーの面影を感じさせた為だ。
ガラリアの乗っているバストールは、ビランビーとほぼ同時期に開発されたという事や、現在ガラリアの乗っているバストールにあるオーラ増幅器はビランビーで採用されているものだという事もあって、ガラリアとビランビーの関係はそれなりに深い。
何よりも、基本的にオーラバトラーというのはその機種によってかなり形が違う。
それは、ダンバインの後継機がビランビーであったり、ダーナ・オシーの後継機がボゾンであったりというのを見れば明らかだろう。
……まぁ、ゲドとダンバインやサーバインとダンバインのように似ているのもあるので絶対ではないが。
「ビショット王、このオーラバトラーはもしかしてビランビーの……?」
一番ビランビーと縁の深いガラリアが、そう尋ねる。
そのガラリアの言葉に、ビショットが頷く。
「ああ、君の言う通りだ。このオーラバトラー、ビアレスはビランビーを改修して完成した代物だ」
やっぱりな。
ビショットの口から出た言葉は、俺を納得させるのに十分な説得力を持っていた。
にしても、ビランビーにビアレスか。……何で名前まで似せるのやら。
どうせなら全く違う名前にすれば、区別しやすいのに。
この世界には、当然のように著作権とかそういうのは存在しない。
そうである以上、ビランビーをベースにして新型機を開発するというのは、納得出来るものがあった。
それに……ドレイク軍の中で開発されたオーラバトラーの中でも、ビランビーは総合的な性能という点ではトップクラスだ。
ドラムロは重装甲だが機動性や運動性に劣っている。
バストールは機動性が高いが防御力に問題を抱えている。
レプラカーンは遠距離射撃武器が充実しているが、その為に運動性や装甲を犠牲にしている。
それに比べると、ビランビーはダンバインの後継機というだけあって、全ての性能が高く纏められている。
また、火力という点でも4連装オーラショットや5連装オーラランチャーを使用可能で、十分に強力だ。
トッドやアレンが、レプラカーンの類が完成してもビランビーに乗り続けているのを見れば、その理由が納得出来るだろう。
「また、レプラカーンの技術に関しても、多少ではあるが流用されている」
続いてビショットの口から出た言葉には、驚かされる。
レプラカーンは、ドレイク軍でも最新鋭機の1種なのだから。
まぁ、それを言うならビランビーもまた最新鋭機種であるのは変わらないのだが……レプラカーンは、ビランビーと比べても最新鋭だ。
クの国とは結構綿密にやり取りをしているので、レプラカーンが売られててもそこまで驚くような事ではないのだが……それでも、やはりその技術が流用されているというのは驚く
この辺はビショットの行動の迅速さを褒めるべきか。
レプラカーンの技術を流用していると言っていたが、ドレイク軍の方でもレプラカーンを売りはしたかもしれないが、それはあくまでも売っただけで、どのような技術が使われているのかというのは、ビショットが自分で解析した結果の筈だ。
勿論、解析したのはビショットだけではなく、他の技術者達も同様だったのだろうが。
そうして解析した技術を流用したのは、さすがと言える。
とはいえ、ビショットの口からは多少のという言葉が出ていたのを考えると、その技術の解析に関しても完全に終わってはいないのだろう。
まぁ、それも当然かもしれないが。
何しろ、レプラカーンはショットが半ば趣味というか、技術立証試験機的な意味で開発した代物だ。
そうなると、当然ショットが色々と特殊な技術を使っていてもおかしくはない。
そういう意味では、寧ろある程度とはいえ、よくビショット達が解析出来たなという思いがない訳でもなかった。
こうして考えると、やっぱりビショットの技術者としての才能は、ショットやゼット並……とはいかないが、それに次ぐのは間違いない。
「武器に関しては、多少趣味に凝らせて貰った」
「……趣味?」
「うむ。オーラソードは普通の形ではなく、小さな鎌型のオーラソードだ。これは普通のオーラソードしか相手にした事のない者にしてみれば、意表を突くのには十分だろう」
ビショットの狙いは分かる。
分かるが……それは微妙に使いにくいんじゃないか? と、そう思ってしまうのは俺だけではない筈だ。
確かに鎌……それもいわゆる大鎌の類ではなく、農作業とかに使うような小型の鎌をオーラバトラーが使ってくれば、相手は完全に意表を突かれるだろう。
今までオーラソードと言えば、長剣状のものが普通だった為に、オーラバトラーで戦う相手も当然のようにそちらに慣れており、そういう点で相手の意表を突けるのは間違いのない事実だ。
だが、当然だがビアレスに乗っているパイロットも、鎌の形状のオーラソードを十分に使いこなせるのかといった思いがあった。
まぁ、その辺は前もって訓練をすれば、問題はないのかもしれないが。
「左右の前腕部には、オーラバルカンと連装型のショットクローが内蔵されている」
「まぁ、まともなだな。オーラバルカンとなると威力が問題になるが、あくまでも牽制として使うのなら問題はないし」
ダンバインやサーバインのオーラショットに比べれば、どうしてもその威力は劣る。
しかし、牽制であったり、オーラショットを始めとして射撃武器の迎撃や、地上にいる生身の敵を倒すには十分な威力を持っている。
少し変わっているのは、連装型のショットクローか。
ショットクローというのは、色々な使い方がある。
そんな中でも、敵を拘束するといったものや打突武器として使う方法が主だ。
だが……ぶっちゃけた話、これを連装型にする必要があるか? と思わないでもない。
「そして、胴体にはフレイボムが2門あるので、火力に関しても問題はない」
「話を聞く限りだと、そうだろうな。それに火力が足りなくなったら、手持ちの火器を使うといった方法もあるんだし」
恐らく、レプラカーンの技術を流用したというのは、胴体のフレイボムだろう。
総合的に見た場合、ビアレスはビランビーの上位互換と呼ぶべき機体なのは間違いない。
間違いないんだが……色々と問題点も多いのは事実だ。
具体的には、やっぱり鎌型のオーラソードか。後は連装型のショットクローも、使いにくいと思う者はいるだろう。
まぁ、それでも俺は今のところサーバインを使う。
このビアレスは、あくまでも俺のコレクションの一つという事になるのだから、そう考えれば俺が不満を言うのもどうかと思う。
それにクの国でビアレスが普通に受け入れられているのなら、俺がそれに対して何か言う必要はないだろうし。
「アクセル王に喜んで貰えて何よりだ。だが……アクセル王への贈り物は、これだけではない」
「は?」
自信満々に笑みを浮かべるビショット。
まだ何かあるのか?
ビアレスという、新型――正確には改修型だが――のオーラバトラーを見せた上で、それ以外にもまだ何かあるという。
それは、一体何なんだ?
そんな風に疑問に思っていると、ビショットが合図をし、それを見た兵士達が新たな機体を持ってきた……
「これは……オーラボムか?」
オーラボムとして有名なのは、当然ながらドロだ。
というか、現在のところドロ以外のオーラボムは開発されていない……筈だった。
そもそも、オーラボムはドロの時点でかなり完成されている。
オーラ力の少ない者であっても、複数人で乗る事によってそれを補完するという能力や、地上に向かって攻撃をするフレイボム。
それこそ、数さえ揃えればオーラバトラーを相手にしても勝てるだけの性能があるのだ。
「うむ。ドロを参考に我が国で開発したオーラボム、タンギーだ」
タンギーとビショットが言ったオーラボムは、ドロと全く違う外見をしていた。
空飛ぶクラゲといった様子の外見をしているドロに対し、タンギーはどこか甲殻類を思わせる外見をしている。
「タンギー……けど、オーラバトラーを開発しているのに、オーラボムを新規開発したのか?」
「ドロは色々と使い勝手がいい機体だ。そうである以上、ドロの後継機を開発しようと思ったのだよ」
「……性能は? 後継機なら当然ドロよりも高いんだろう?」
「当然だろう。まずドロと違う最大の点は、オーラコンバータを装備している事だな。これにより、全体的にドロよりも高い戦闘能力を持つようになった」
「しかし、ビショット王。それではドロよりも生産コストが上がるのでは?」
ビショットの話を聞いていたドレイクがそう尋ねる。
まぁ、言ってみればこれは……シャドウミラーで例えるのなら、リオンにブラックホールエンジンを搭載したといったようなものだしな。
勿論、シャドウミラーの場合はそれをやろうと思えば出来るだけの国力がある。
だが、クの国にはそこまで無茶を出来る国力はない筈だ。
……ブラックホールエンジンというのは、例が極端すぎたか?
「ドレイク王の指摘ももっともですな。しかし、このタンギーは1機だけでその辺のオーラバトラーに勝てるだけの戦闘力を持っているのですよ。それこそ、我が国で試してみたところでは、ビランビーやレプラカーンともそれなりにいい勝負をしました」
「それは……」
ドレイクにとっても、ビショットの口から出たのは驚くべき内容だったのだろう。
その後の説明により、フレイボムしか装備していない――ただし4門――ドロに対し、タンギーはオーラキャノン3門、ボールマウント式オーラキャノン1門、フレイボム4門、ショットクロー4門と、武装に関してはそれこそ、その辺のオーラバトラーよりも強力であることが判明する。
うん、これなら確かにオーラバトラーを相手にしても、十分互角に戦えるよな。
そう納得し、俺はビアレスとタンギーをそれぞれありがたく空間倉庫に収納するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680