転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2919話

 ビショットから貰ったアルダムは、ダーナ・オシーと同じ高機動型だ。

 そういう意味では、操作感覚そのものはダーナ・オシーとそう――重装甲型のドラムロと比べればだが――違わないのは事実だが、それでも全く違う機種なのは事実だ。

 これでダーナ・オシーに乗っていたのがその後継機のボゾンに乗るのなら、同じギブン家系という事で乗り換えもスムーズに行えたのかもしれないが、アルダムはクの国が独自開発したオーラバトラーだ。

 それだけに、細かい操作方の類は違っていたりする。

 これが聖戦士ならイメージで操縦するので、その辺も全く問題ないのだが……バイストン・ウェルの人間となると、イメージよりも実際に操縦する割合の方が強くなる。

 バイストン・ウェルの人間でも高いオーラ力を持っていれば、その辺も多少は変わってくるのだが……生憎と、キッス家の面々は決してオーラ力が高い訳ではない。

 オーラ増幅器があって、初めてオーラバトラーを操縦出来る程度のオーラ力だ。

 そうである以上、乗り換えた後はアルダムに慣れるという意味でしっかりと訓練をするのは必須だった。

 

「うーん、マーベルも容赦ないな」

「いえ、あの者達にしてみれば、ここで訓練をしただけ生き残る可能性が高くなるのです。だとすれば、寧ろマーベル殿の訓練には感謝しかありません」

 

 ナムワンのブリッジにいるキブツが、そう俺に言葉を返してくる。

 現在ナムワンは、ラウの国の国内を移動中だ。

 ただし、俺達はこの戦争ではクの国と行動を共にする事になっており、クの国のゲア・ガリングはドレイク軍の後方を移動中だった。

 ……まぁ、ドレイク軍の方も、今のところはまだラウの国の戦力やフラオン軍、ピネガン軍といった連中と遭遇はしていないのだが。

 そういう意味では、今のこの状況もまた平穏な旅路と言ってもいいのだろう。

 旅路というか、進軍という表現の方が正しいのか?

 ともあれ、そういう平穏な時間だからこそ、キッス家の面々はマーベルによって訓練を受けている。

 ちなみに格納庫では、ゲア・ガリングからやって来た技術者達が、キッス家の技術者達にアルダムについてどう整備したらいいのかといったような事や、どれだけ消耗したら予備部品に変えたらいいのかといったような事を説明していた。

 もしラウの国やフラオン、ピネガン辺りが現在の俺達の状況を知れば、まだ機体に慣れていないうちに、と攻撃してくる可能性は十分異常にある。

 もっとも、そうなればダンバインに乗っているマーベルを相手にする事になるので、もし襲ってきた相手がいた場合、最悪の結果になる可能性が高いが。

 

「ゲア・ガリングとウィル・ウィプスがいるから大丈夫だとは思うけど、いつ敵が襲撃してきてもいいように、準備はしておけ。今の状況で襲撃されると面倒だしな」

「は。見逃さないように索敵を行います」

 

 このナムワンは、俺が使うという事で、技術者達によってかなり手を入れられている。

 だが、それは純粋に性能に対する部分ではなく、あくまでも少人数で動かせるように……自動化するという方向での改修だ。

 そういう意味では、このナムワンは少人数で動かせるといった特徴はあるものの、純粋な性能という意味では決して他のナムワンよりも高い訳ではない。

 いやまぁ、そういう方向に改修を希望したのは俺だから、文句は言えないが。

 それなら、いっそ自動化と性能アップの両立を頼むべきだったか?

 いや、どのみちナムワンの改修に使える労力は決まっていた。

 そんな中で中途半端に自動化と性能強化の両方に……となれば、ほぼ間違いなくどちらも中途半端になってしまっていただろう。

 そう考えれば、寧ろ自動化に集中したという俺の考えは間違っていなかった筈。

 そもそも、ベースとなったのがナムワンなのだ。

 オーラシップの中でも最初に開発された物で、当然だがそれだけに後発のブル・ベガーよりも性能は劣る。

 とはいえ、ブル・ベガーはナムワンよりも性能が高いのは事実だが、全ての面でナムワンが劣っている訳ではない。

 少なくても、機動性や運動性という点では、ナムワンの方がブル・ベガーより勝っているのは事実だ。

 ……そこくらいでしか勝っていないというのも、また事実なのだが。

 まぁ、このナムワンはあくまでも自動化の技術試験艦的な意味合いが強い。

 ヨルムンガンドもそろそろ完成するだろうし、そういう意味ではまだ本気ではないとでも言うべきなんだろうな。

 

「このナムワンにも慣れてきたところだろうが、ラウの国との戦争が終わる……いや、あるいは戦争の途中でも、ヨルムンガンドが完成したら、そっちに移る事になる」

「は? はぁ。……そうですね。何だかんだかと、アクセル王に投降してからこのナムワンに乗ってきたので、多少なりとも感慨深い思いはあります」

 

 突然変わった話題に少し驚きつつ、それでもキブツはそう返してくる。

 幸いという表現が相応しいのかどうかは分からないが、キブツ達が俺に降伏してから、まだ年単位で時間が経っている訳ではない。

 それでも数ヶ月単位で時間が経っているのは事実であり、それだけに多少このナムワンに馴染んできたというのは、間違いないのだろう。

 だからこそ、キブツはそんな風に言ったのだろう。

 そんな会話をしながらも、俺はナムワンの映像モニタに表示されている模擬戦の様子を見ている。

 と、そんな中、通信を担当している男が俺に声を掛けてきた。

 

「アクセル王、ゲア・ガリングのビショット王から通信です」

 

 ドレイクに対しては、それなりに接する事も多かったものの、ビショットに対してこれまでキッス家の者達は接する機会は殆どなかった。

 これがドレイク軍から派遣されている兵士であったのなら、ビショットともそれなりに親しいので、そこまで気にしたりはしないのだろうが。

 

「ビショットが? 一体何の用件だ? 出せ」

 

 もしかして、敵の存在でも探知したのか?

 ナムワンでは無理でも、ゲア・ガリングの性能を考えれば、普通にそういう事が出来てもおかしくはない。

 とはいえ、ゲア・ガリングに出来ることならウィル・ウィプスも出来てもおかしくはない。

 ここを俺達よりも先に通ったウィル・ウィプスから、特にこれといった連絡はなかったのを考えると、多分誰かが襲撃してきたといった感じではないと思うんだが。

 

『アクセル王、そちらの模擬戦を見ていたが、凄いですな』

 

 映像モニタに表示されたビショットが、感嘆したように言う。

 それがマーベルの戦闘に関して言っているのは、明らかだった。

 

「マーベルはオーラバトラーが開発された当初から、オーラバトラーに乗って戦ってたからな。経験が違うよ」

 

 正確には、俺とマーベルがバイストン・ウェルに転移してきた時、既にゲドは完成していた。

 何しろ、俺とマーベルがエルフ城で空を飛んでいるゲドを見たのが、ルフト領を知った理由だったのだから。

 とはいえ、今にして思えば、俺達がエルフ城で見た空を飛ぶゲドの姿は、かなりみっともないものだったが。

 とはいえ、それは仕方のない事でもある。

 元々ゲドは最初に開発されたオーラバトラーで、ダンバイン程ではないにしろ、かなりのオーラ力がないと満足に動かすことは出来ない。

 それを考えれば、寧ろフラオンの部下にある程度ではあってもゲドを動かすことが出来た者がいたのが、驚きなのか。

 

『ほう。それは素晴らしい。……それで、出来れば私の部下のオーラバトラー隊も、模擬戦に参加させてもらえないかな?』

「ビショットの?」

 

 そう疑問を抱くか、考えてみればその提案は当然のものだった。

 元々ビショットがドレイクからの要望に応えてラウの国まで来たのは、自分の部下に戦闘を経験させる為……言ってみれば、練度を上げる為だ。

 勿論、国でも模擬戦の類はしていたのだろうが、本格的な戦闘を知らない者同士での模擬戦となれば、役に立たない……とまではいかないが、どうしても甘いものになってしまう。

 だからこそ、ビショットは実戦を多数経験しているマーベルやキッス家の面々との模擬戦に、自分の部下も参加させようと思ったのだろう。

 

『ああ、どうかな?』

「そうだな。……分かった。参加させてくれ。こっちの連中にとっても、マーベル以外の相手と戦うのも、いい経験になる筈だ」

『感謝するよ』

 

 そう言い、ビショットとの通信が切れる。

 通信が切れたのを確認してから、俺は通信を担当している男に声を掛ける。

 

「マーベル達に今の件を説明してくれ。……ああ、それとゲア・ガリングから出撃してくるのは、恐らくビアレスだ。あるいはタンギーもいるかもしれない。どのみち新型機である以上、可能な限りデータは取っておけ」

 

 ビアレスもタンギーも、俺の空間倉庫の中に入ってはいる。

 だが、それでも今の状況を考えれば、出来るだけここでデータを取っておきたかった。

 わざわざ俺の機体を使わなくても、向こうからデータを提供してくれるのだから、それを見逃す手はない。

 ブリッジ要員の面々が俺の指示に従って次々と作業をしていく中で、キブツが俺に視線を向け、口を開く。

 

「よろしいのですか?」

「何がだ? 俺からは別にビショットに特別な何かを要求した覚えはないぞ? あくまでも向こうが勝手にビアレスやタンギーを出してくるのだろうから、それでデータを取るのは問題ないだろう?」

 

 あるいは俺がビショットに無理を言ってビアレスやタンギーを模擬戦に出すといったような真似をすれば、問題になるかもしれない。

 だが、俺の場合は特に何かを言った訳ではない。

 寧ろ、ビショットの方から模擬戦に参加させて欲しいと、そう言ってきたのだ。

 そうである以上、俺が何かを言った訳ではない。

 

「それは……まぁ、そうですが」

 

 そんな風に会話をしている間に、ゲア・ガリングから数機のビアレスが出撃してくる。

 ビショット軍はやっぱりビアレスか。

 予想はしていたが、当たったな。

 まぁ、ビショットがゲア・ガリングで前線に出て来たのだ。

 そのゲア・ガリングに搭載されているのは、当然ながらクの国で開発されたビアレスだろう。

 そして、やがて模擬戦が始まる。

 とはいえ、その模擬戦はあくまでもマーベル率いるアルダム隊とビアレス隊の戦い……といった訳ではなく、マーベル対アルダム隊対ビアレス隊といった三つ巴での戦いとなっている。

 最初の模擬戦が三つ巴での戦いってのは、少し驚きだ。

 ただ、マーベルがそれでいいと判断して、この模擬戦を行ったのであろう以上、俺からは特に何も不満はない。

 真っ先に動いたのは、マーベルのダンバインだ。

 その向かった先は、ビアレス隊。

 マーベルにしてみれば、ビショット軍のオーラバトラー部隊がどのくらいの技量なのか分からない以上、まずはそれを判断しようと思ったのだろう。

 ビアレス隊の方は、牽制としてだろう。オーラバルカンを放つ。

 今更……本当に今更だが、これって模擬戦なんだが、ペイント弾とか使われているのか?

 いや、多分実弾なんだろうな。

 腕利きのマーベルだからこそ、攻撃をされてもあっさりと回避するが……これが技量の拙い者であった場合、間違いなく機体を損傷させているだろう。

 うーん、だとすればアルダムとの模擬戦も止めさせるべきか?

 そう思うも、既に模擬戦が始まっている以上、ここで何を言ってもすぐに模擬戦を止めるといったことは出来ない。

 マーベルは大丈夫だろうし、アルダム隊の方も……何だかんだかと、キッス家はフラオン軍として働いていた時には実戦経験は豊富なのだ。

 多分大丈夫だろうし、こんな場所で死ぬのなら、それはそこまでの強さしかなかったという事になる。

 

「凄いですな、マーベル殿は……」

 

 多数のビアレスに鎌型のオーラソードを振るわれながらも、白のダンバインはその攻撃を次々と回避しては、オーラソードを振るってビアレスの腕を斬り裂いたり、手首を斬り飛ばしたりしている。

 オーラソードを持っていない左手は、ショットクローを使って1機のビアレスを雁字搦めにし、それを振り回して武器兼盾としていた。

 これって、明らかに俺の戦い方に影響されてるように思えるが……それなりに長い間一緒に戦ってきているのだから、マーベルが俺の戦い方に影響を受けてもおかしくはない。

 そうして振り回したビアレスは、近付いてきたアルダム隊に向けて投擲される。

 アルダム隊は今までもマーベルと何度も模擬戦をしている事もあってか、即座に散開して投擲されたビアレスを回避した。

 そうしてまだ残っているビアレスとマーベルのダンバインに向かって一斉に襲い掛かる。

 ビアレス隊にしてみれば、既にマーベルの攻撃によって隊列を崩され、戦力も減らされていた。

 そんな中でアルダム隊が攻めて来たのだから、たまったものではない。

 それでもビアレスという、アルダムよりも最新鋭機を使っているプライドからか、もしくはビショット軍の中でもビアレスを預けられているエリートという扱いだからか、そんなアルダム隊に立ち向かおうとする者達もいた。

 だが、機体性能ではビアレスの方が勝っているが、それでも絶対的な訳ではない。

 具体的には、ザクとガンダム程の性能差はない。

 通常のザクとS型の差くらいか。

 それだけに、パイロットの操縦技術で覆すのは可能であり、ビアレス隊は真っ先に全滅し……そして、アルダム隊はマーベルの操縦するダンバインに全滅させられるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1680

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