転生とらぶる   作:青竹(移住)

3062 / 4303
2931話

「では、話は纏まったと思ってもいいのですか?」

 

 シーラとの交渉を終え、その後のお茶会――という表現が正しいのかは分からないが――が終わった後、ヨルムンガンドに戻ってきた俺はキブツに事情を話したところ、そのような言葉が返ってきた。

 

「どうだろうな。正直なところ、この件が上手くいくかどうかは半々ってところだと思う」

 

 ドレイクがその話を受けるというのが、そもそも難しいところだし、同時にフォイゾンもこの状況でシーラからの停戦の提案を受ければ、表向きは停戦という事になっても、実際にはラウの国の王都であるタータラ城まで押し寄せられたのだから、世間には負けたと思われてもおかしくはない。

 伝統や血筋を重要視するフォイゾンが、それを受け入れられるかどうか。

 双方の事情を考えると、シーラの提案はかなり難しいのは間違いない。

 とはいえ、それでもドレイクにしてみれば血筋を理由にフォイゾンが攻めてこないと確約するのなら、これ以上ラウの国との戦争をする必要もない。

 また、フォイゾンもこのまま戦争が続けばラウの国に大きな被害が出るのは間違いないと理解は出来るだろう。

 双方共に、受け入れられない理由と受け入れられる理由がある。

 そう考えると、やはり総合的に見た場合は半々……いや、若干受け入れられるのが難しいといったところか?

 

「半々、ですか。……何も収穫がないよりは、いいですね。出来れば完全にラウの国との協力を切りたかったところですが」

「その辺は難しかったみたいね。オーラマシンの技術でいえば、ナの国はラウの国……いえ、ギブン家の系統だったみたいだもの。ここでドレイクの系統に戻すのは難しいと思うわ」

 

 俺とキブツの会話を聞いていたマーベルが、そう告げる。

 実際、その言葉は間違っていない。

 現在、このバイストン・ウェルにおいてオーラマシンの系統は大きく分けて2つ存在している。

 その1つは、当然ながらドレイク系のオーラマシン系列。

 そしてもう1つが、ダーナ・オシーやゼラーナのようなギブン家の系列。

 もっと詳細に分けるとすれば、クの国の系列もあるんだが……クの国の系列は、基本的にドレイクの系列の亜種って感じだしな。

 ああ、でもアルダムだけは違うか。

 ビアレスや現在ドレイク軍と共同で開発しているというオーラバトラーはともかく、アルダムに関しては完全にクの国独自のオーラバトラーだし。

 そしてミの国、ラウの国、ナの国……この3つの国は、ギブン家のオーラマシンの系統になっているのだ。

 その辺の事情を考えると、マーベルの言ってることは十分に納得出来た。

 あるいは、オーラマシンに対する高い技術力があった場合、ドレイク系とギブン家系の双方を融合させるといったような感じに出来るかもしれないが、国力や状況的に、もしそのような真似が出来るとすれば、ナの国だけか。

 UC世界において、現在月ではジオン系と連邦系双方の技術を取り入れている。

 そのような真似が出来るのも、ルナ・ジオンがジオニック、ツィマッド、MIPを始めとして、多くのジオン系の企業から技術者を引き抜き、高い技術力を持っている為だ。

 後はそんな技術者達に、俺が入手した連邦軍のMSを渡して連邦系の技術を解析させ、それと連邦から月に移住してきた研究者や技術を取り入れる事で、技術の融合は進んで行く。

 それでもメインがジオニックを始めとする兵器メーカーの技術者達なので、総合的に見た場合は今はまだジオン系の技術の方が高いのだが。

 最終的には、上手く技術が融合する事になる……といいなぁ、とは思っている。

 

「その辺に関しては分かりました。では、交渉が終わったということで、そろそろ戻りますか?」

「いや、まだやるべき事がある。……だよな?」

「ええ」

 

 キブツの言葉に、俺はそうマーベルに視線を向けると、マーベルもその言葉に頷く。

 シーラとの会談でナの国がどう動くのかというのは決まったし、俺やマーベルもそれに賛成ではある。

 しかし、それと引き換え……という訳ではないが、シーラから頼まれた事があった。

 それは地上人の力を見せる事。

 ナの国の面々は、地上人が一体どのような力を持っているのか、本当の意味で理解していない。

 自分達はナの国という大国である以上、地上人の力は何するものぞといったような者も少なからずいるらしい。

 まぁ、自分の目で直接見た事がないのだから、その辺は仕方がない一面もあるのかもしれないが。

 謁見の間でシーラと交渉……というか会談をした時、文官や武官の一部がこっちを侮るような視線で見ていたのは、その辺に原因があるのだろう。

 そのような状況で停戦交渉をさせようにも、失敗する可能性が高い。

 だからこそ、ここでしっかりとアの国やラウの国にいる地上人がどれだけの存在なのかをしっかりと見せておく必要があると、そうシーラは考えたのだろう。

 その結果が……

 

「ナの国のオーラバトラー隊と模擬戦をやる事になった。それも、ナの国の近衛騎士団を相手にしてな」

 

 近衛騎士団。

 それは、王族を守るという意味で騎士団の中でも最精鋭と呼ぶべき者達の集まりだ。

 言ってみれば、ナの国の中でも最強の部隊。

 そんな部隊との模擬戦を、俺とマーベルは引き受けた。

 しっかりとこちらの実力を見せつける必要があると判断して。

 近衛騎士団の中にもそうだが、シーラの部下の中にはナの国が強国であるという事から、自分達が出ればどの国もその意向に沿うと……いや、沿うべきであると考えている者がいる。

 実際に現在のナの国がどのくらいの戦力を持っているのか、俺は分からない。

 取りあえずボゾンが用意されているのは、間違いないと思うが。

 ともあれ、そんなナの国だけに、驕っている者には他の国が一体どのような力を持っているのかというのを示す必要がある。

 確かに、ナの国は強国と言ってもいいだろう。

 周囲に他国がない事もあり、その国土は他の追随を許さない。

 だが、アの国を中心とした国々は、ここ暫くは実戦に実戦を重ねている。

 戦うとなればガロウ・ラン、あるいは模擬戦で仲間同士というナの国とは、練度が違う。

 シーラやカワッセはその辺を理解しているように思えたが、それ以外の面々の中にはその辺を理解していない者も決して少なくはない。

 その辺りの常識をどうにかするべく、模擬戦を……それも、他の重臣達が見ている前で模擬戦をするように言われたのだ。

 正直なところ、何でわざわざ俺達がそんな事を? と思ったが、こちらの実力を見せなければ、向こうも戦いに参加するのではなく停戦させるといったような事を納得するのは難しいのだから、仕方がない。

 今回俺達がドレイクから受けた依頼は、あくまでもこの交渉を成功させる事だ。

 ……本来なら、その交渉はナの国にラウの国と手を切るようにするという交渉だったので、正直なところ停戦の交渉というのは俺の仕事の範囲外と言ってもいいのかもしれないが。

 ただ、ドレイクの事を考えるとそれが最善の展開なのは間違いないと思う。

 

「模擬戦の件は分かりました。ただ、その模擬戦に参加するのは、アクセル王達でなければいけないのですか? バイストン・ウェルでの事ですし、私達が模擬戦をやってもいいと思うのですが」

 

 キブツのその言葉は、俺を心配してのものだろう。

 キブツ……いや、キッス家にとって、俺という存在は非常に大きい。

 もし俺がいなければ、キッス家はギブン家……いや、フラオンと共に行動していたか、あるいはドレイクに降伏するといった手段しかなかった。

 一応クの国のビショットに仕えるといった選択肢もあったが、ビショットにしてみればキッス家とドレイクのどちらを優先するかとなると、当然のようにドレイクを取るだろうから、もしキブツ達が来てもドレイクに引き渡していた可能性が高い。

 それだけ、キッス家にとって俺という存在は大きい。

 もっとも、俺が模擬戦に出たところで負けるとは思ってないだろうが。

 キッス家の面々は、俺やマーベルがオーラバトラー戦でどれだけの戦闘力を持っているのかというのをよく知っている。

 それこそ、生身であっても俺はオーラバトラーを相手に勝てるだけの実力を持っていると。

 それでも敢えて俺の心配をするのは、やはりここで何かがあるかもしれないと、そう思っているのだろう。

 実際に何が起きるのかは分からないが。

 

「心配するな。この程度の戦いは、今までに何度も潜り抜けてきたからな」

 

 そんな俺の言葉を聞き、結局キブツはそれ以上言うのを諦めるのだった。

 

 

 

 

 

 翌日……俺はマーベルと共に、ナの国の軍人に案内された訓練場のような場所に連れてこられた。

 当然ながら、俺はサーバインに、マーベルはダンバインに乗っている。

 そして訓練場の周囲には、シーラを始めとしてナの国の重臣達が文武問わずに揃っていた。

 俺達がこれから行う模擬戦を見に集まってきたのだろう。

 あるいは、シーラが来るように命令したのかもしれないが。

 

『では、これから模擬戦を行います。模擬戦の内容は、シャドウミラーの2人と近衛騎士団のボチューン6機』

 

 そんな声が周囲に響く。

 だが、ボチューン? ボゾンじゃないのか?

 そう考えるが、少し考えれば納得は出来る。

 ダーナ・オシーとボゾンというオーラバトラーの技術を、ナの国は持っている。

 勿論、そちらだけではなくドレイクとも取引をしていた以上、ある程度ドレイク系の技術も持ってはいるだろう。

 そういう意味では、ナの国が独自のオーラバトラーを開発出来ていてもおかしくはない。

 あるいは、グリムリーの件を見るとラウの国との間でオーラマシン関係の技術が流出しているのを考えると、もしかしたらラウの国との間で共同開発されたといった可能性もあるな。

 シーラがラウの国との協力を止めると断言出来ないのは、その辺りの理由もあるのかもしれないな。

 そんな風に考えていると、やがて空を飛んでボチューンが6機姿を現す。

 そのボチューンは、マーベルのダンバインと同じく白い装甲をしていた。

 別にマーベルの真似をした訳じゃないんだろうが……全部で8機のオーラバトラーがいる中で、7機が白い機体色をしており、俺のサーバインだけが赤い機体色をしているというのは……うん、目立つな。

 

『アクセル、あのボチューンって機体……知ってる?』

 

 マーベルからの通信に、首を横に振る。

 

「いや、知らない。ただ、あの外見からしてボゾンの発展系といった感じだし、つまりはそういう事だろ」

 

 そう言いながら、改めて俺達の視線の先に降り立ったボチューンを見る。

 明らかにダーナ・オシーやボゾンの系統のオーラバトラーだというのは、見れば分かる。

 ただ、ダーナ・オシーやボゾンもそうだったが、ボチューンもかなり細身の機体のように思える。

 そんな中でも特に目立つのは、やはりオーラソードのある場所だろう。

 例えば、ダンバインやサーバインは右肩というか、オーラコンバータの右側にオーラソードの鞘がある。

 それに比べると、ボチューンの鞘は首の後ろにあるのだ。

 あれ、首を動かす時とか、かなり使いにくいような気がするんだが。

 いやまぁ、それでもこうして採用されているのなら、問題はないようにしてるんだろうけど。

 

『ボゾンが開発してから、まだそんなに時間が経っていないのに……よく開発出来たわね』

「その辺はショットやゼットがいるんだから、俺達がどうこう言うことは出来ないけどな」

 

 普通新型の機体を開発するとなれば、相応の時間が掛かる。

 だが、オーラバトラーの場合はその辺の速度がかなり速いんだよな。

 実際、最初のオーラバトラーのゲドが開発されてから今までの間に、一体どれだけのオーラバトラーが開発された事か。

 俺は技術的な事は最低限しか知らないし、それにしたってあくまでもPTを始めとしたロボット系の技術に関してである以上、恐獣の素材を使って開発された、一種の生体兵器という表現が相応しいオーラバトラーの技術については門外漢でしかない。

 だから、そういうものだと認識しているだけだ。

 

『では、お互いに相手を殺すような攻撃は避けるように。……始め!』

 

 シーラの声と共に、模擬戦が始まる。

 ボチューン6機のうち、3機が俺に、残りの3機がマーベルにと、丁度半分といった感じで分かれた。

 普通に考えれば、それは正しい。

 正しいのだが、本来ならこの場合の正解は俺に5機で掛かってきて、残りの1機がマーベルを相手に防衛戦を行うといったような流れだった。

 まぁ、向こうにしてみればボチューンという最新鋭のオーラバトラーを使っており、更には近衛騎士団といったような精鋭の集まりだ。

 そんな中で、どちらか片方に戦力を集中させるといった真似はプライドが許さなかったのだろう。

 だが……そのような考え方で戦場を生き残るのは難しい。

 それを教えるという意味では、この模擬戦もそう悪くないのかもしれないな。

 別に俺がそこまでシーラの近衛騎士団に配慮する必要があるかと言われれば、それは微妙なところだったが。

 ともあれ、俺はこちらに向かってくるボチューン3機を迎え撃つべく、サーバインで前に出るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1570
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1682

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。