転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2932話

 真っ直ぐこちらに向かってくる、3機のボチューン。

 白い3機が並んでやって来るその様子は、ある意味白い三連星的な?

 いや、横に並んで一直線だから、ジェットストリームアタックじゃないか。

 ともあれ、俺はこちらに向かってくるボチューンを見て、少しだけ呆れる。

 3機でこっちに攻撃をしてくるのだから、3機共が真っ直ぐこちらに向かう必要はないだろう。

 それこそ、正面と左右に分かれるとか、1機が上だったり、大きく回り込んで前後から挟撃といったような攻撃をしてもいい。

 だというのに、こうして正面から揃って3機で来るのは……やはり、実戦経験の少なさからくるものだろう。

 ガロウ・ランや恐獣を相手にするのなら、それでもいいのかもしれないが。

 ……まぁ、こうして3機並んでこっちに向かって来ているのに、それぞれに機体をぶつけたりしない辺り、操縦技術や連携の完成度は悪くないんだよな。

 

「けど……甘い」

 

 こちらから距離を詰めつつ、複合武装のオーラバルカンを放つ。

 今回のが模擬戦という事で、ヨルムンガンドの技術者が作ったペイント弾だ。

 弾丸その物は、ヨルムンガンドに機械の館があるので作るのは難しくない。

 そうして放たれたオーラバルカンを回避しようとする1機のボチューンだが、そんな相手に向かってショットクローを放つ。

 当然のように向こうも黙って撃たれているばかりではなく、こちらと同じくオーラバルカンで攻撃をしてくる。

 太股に装備されたオーラバルカンだが、見た感じだとボチューンの武器はオーラソードとオーラバルカンだけだ。

 まぁ、いざという時は手持ち式の火器とか用意出来るだろうから、問題はないのかもしれないが。

 そんな風に思いつつ、オーラコンバータを使ってオーラバルカンを回避しながら、ショットクローで一番左端のボチューンにワイヤーを巻き付かせ……

 

「食らえ」

 

 ショットクローを装備しているオーラバトラーはそれなりにいるが、そんな中でもサーバインのショットクローだけに存在する、電撃を放つ機能によってボチューンは感電する。

 とはいえ、これが模擬戦である以上は電撃の威力はそこまで強力ではない。

 痺れて動けなくなっているのは、間違いないだろうが。

 そうして動けなくなったボチューンの横を通り抜けて、3機の……いや、痺れていない2機の後ろに回り込む。

 当然だが、ショットクローが絡まったボチューンは俺の操縦するサーバインに引っ張られる形になり……そのままオーラコンバータを片方だけ全開にする形で即座に振り向く。

 普通の人間ならGとかで色々危険になるだろう挙動ではあるのだろうが、混沌精霊の俺は全く問題がない。

 ショットクローで捕まっているボチューンのパイロットも……俺とは違い、その場で急激に振り向くのではなくショットクローのワイヤーの分だけ機体が振り回される余裕があるので……うん。まぁ、死にはしないだろう。

 そうして振り回されたボチューンは、そのまま大きく移動し……当然の話だが、その動きで他の2機のボチューンの機体にワイヤーが接触。

 当然だが、そんな好機を見逃す筈もなく、再度電撃を流す。

 

『があああああああ』

 

 そんな声が聞こえてくる。

 とはいえ、この電撃はそこまで強力なものではない。

 今の状況を思えば、電撃で敵を殺すような真似をする訳にいかないのだから当然だろう。

 

「へぇ」

 

 それでもボチューンの1機は、接触していたショットクローのワイヤーから離れると、その1機はこちらに向かって突っ込んでくる。

 ショットクローを一時的に切り離すと、オーラソードを振り上げてこちらに向かってくるボチューンの1撃を、オーラソードで受け止め……

 

「え?」

 

 思わず俺の声から、疑問の声が漏れる。

 今のボチューンによる攻撃に、微妙に違和感があった為だ。

 ボチューンが本来持っている能力以上の一撃が、今のオーラソードの一撃にあった気がする。

 何だ、これは?

 とはいえ、その一撃に違和感はあるが、そこまで驚くような圧倒的な威力の差という訳ではない。

 あるいは、単純にボチューンが俺の予想を上回っているだけなのかもしれない。

 そんな風に思いつつ、攻撃してきた1機とオーラソードでやり合う。

 最初の一撃こそ予想外の一撃だったが、そんな攻撃を続けられれば慣れる。

 確かに予想外に威力は高いが、それはあくまでも俺が予想していたよりも……といった具合だ。

 それも、1.1倍、もしくは1.2倍くらいの威力の差である以上、この辺りの感覚は誤差の範囲内だろう。

 そんな一撃を連続して繰り返し放つボチューンだったが、ショットクローに触れたもう1機のボチューンが動き出したのを確認したところで、オーラソードの一撃を弾き、オーラソードそのものを弾き飛ばす。

 まさかそんな真似をされるとは思っていなかったのか、驚きに動きを止めるボチューン。

 動きを止めたのは一瞬でしかなかったが、模擬戦とはいえ戦いの中ではその一瞬だけで十分だった。

 次の瞬間、俺の操縦するサーバインが振るったオーラソードがボチューンに命中……した瞬間、その動きを止める。

 これが模擬戦である以上、当然ながら相手を殺すというのは不可能だ。

 オーラバルカンの方はペイント弾的な存在でどうにかなったが、オーラソードはそのまま実戦で使える物である以上、命中すれば相手を斬り裂く。

 あるいはそこまでいかなくても、コックピットを潰すといったような事にもなりかねない。

 だからこそ、命中する前に止めて、それで撃墜扱いとするのは当然の話だった。

 これで戦っている奴が卑怯だったりルールを守らないような奴なら、こうまでされても自分の負けを認めず攻撃をしてくるといったような真似をしてもおかしくはない。

 しかし、ここにはシーラも含めて重臣の多くが集まっているのだ。

 そんな中でそのような真似をしたら、それこそ将来性に関わってくる。

 ましてや、シーラの近衛騎士といった立場である以上、向こうにしてみれば負けたのなら大人しくそれを認めるといったような真似をする必要があるのは間違いなかった。

 

「っと、まだそっちがいたな」

 

 ショットクローで雁字搦めにされている方はもう撃墜扱いとなっており、そうなると俺に向かって攻撃が出来るのは残り1機のみ。

 そんな1機のオーラソードの一撃を受け止めるが……

 へぇ、こいつもやっぱり一撃の威力が違うな。

 先程のボチューンと比べても、明らかにその一撃の威力は上回っている。

 もしかしたらナの国の周辺にしかいないような恐獣のオーラマルスを使って、外見よりも膂力が高くなっているのかも? と思ったのだが、今こうしてサーバインに向かって振るわれた一撃は、間違いなく先程のボチューンよりも強い。

 それこそ2倍……とまではいかないが、1.5倍くらいの威力はある。

 同じ機体でこうも威力が違うというのは、オーラマルスによるものではないだろう。

 また、オーラバトラーの設定を変えた程度で違いが出て来る筈もない。

 あるいは、これが聖戦士が乗っているのならオーラ力の差でこれくらい……いや、待て。オーラ力?

 このボチューンはボゾン……いや、ダーナ・オシー系の機体だ。

 そしてダーナ・オシーの源流はギブン家で、ショウはダンバインを持ってギブン家に亡命しているし、トッドのダンバインを奪うといった真似もしている。

 そしてダンバインは、聖戦士の持つ強力なオーラ力を最大限利用する為に開発された機体だ。

 だとすれば、そのシステムを強化、発展させるといったような真似をしてもおかしくはない。

 絶対にそうだとは思えないが、それでも現在考えられる可能性としては十分だ。

 次々に振るわれるオーラソードの一撃を回避しつつ、考えを纏める。

 一応ダンバインやサーバインを開発したんだから、オーラ力によって機体性能を高めるといった技術については、ショットやゼットも当然のように持っている筈だ。

 だが、ダンバイン以後のオーラバトラーでは、オーラ増幅器の開発はしたものの、ダイレクトにオーラ力が機体性能を底上げするといったような真似はしなくなった。

 この辺は何らかの意味があっての事なのだろうが、ボチューンではその技術を発展させたと思われるシステムがある。

 このボチューンは、そういう意味では非常に貴重な機体なのは間違いない。

 ショットやゼットに見せれば、喜ぶだろう。

 また、新型のオーラバトラーという事で、出来れば数機は入手しておきたい。

 とはいえ……ショットやゼットがオーラ力によって性能が上がるというダンバイン系の技術をその後継機に採用しなかったのは、何らかの意味がある筈だ。

 具体的には、パイロットのオーラ力……言ってみれば、気分であったり体調であったりで機体性能が変わってくるということは、オーラ力が低くなれば機体性能も低くなるということになってしまう。

 その辺りを承知の上でボチューンにそのようなシステムを搭載したという事は、それに関してはある程度解決したから、という可能性もあるのか。

 

「興味深いシステムではあるが……な!」

 

 自分の攻撃が防がれ続けた為か、向こうも意地になったのだろう。

 こちらに向かって振り下ろされるオーラソードの一撃が、かなり雑になってきている。

 そんな大振りの一撃を回避し、ボチューンの左側に回り込む。

 持っているオーラソードは1本のみで、それは右手に持っている。

 かといって、左手には特に武器らしい武器も持っていない。

 ……これでダンバインのように腕にオーラショットやショットクローの類でもあれば、いざという時に対処も出来たのだろうが……生憎と、ボチューンにはその手の装備がないので対処出来ない。

 結果として、複合兵装から放たれたオーラショットによって、ボチューンの白い装甲は赤いペイントによって汚れる事になる。

 当然ながら、そのような状況になった以上、ボチューンは撃墜判定だ。

 そんな様子を眺めつつ、マーベルの方に視線を向けると……既に1機が撃破されており、残り2機のうちの1機もそれなりに被害を受けていた。

 ちなみに被害というのは、オーラショットのペイント弾が何ヶ所かに付着している事を意味してもいた。……オーラソードで損傷したらしき傷もあるが。

 さて、どうするか。

 3機を相手にして、1機を撃墜――正確には撃墜判定だが――し、残り1機も相応に被害を受けている。

 このまま眺めていても、一番厳しい状態は既に脱しているのだから、マーベルの戦いを見学していてもいい。

 とはいえ、一応この模擬戦はチーム戦という扱いになっている以上、軽く手を出した方がいいか。

 近接戦闘はマーベルに任せ、俺は複合兵装の盾からオーラショットとオーラバルカンを放つ。

 まだほぼ無傷のボチューンは、背中にまともに攻撃を食らう。

 オーラコンバータに連続して付着するペイント。

 当然だが、オーラバトラーにとって動力炉たるオーラコンバータは、最大の弱点だ。

 そのような場所にこれだけ命中弾を当てられれば、それは撃墜判定となる。

 戸惑った様子を見せたボチューンだったが、自分が撃墜されたというのは理解したのだろう。

 大人しく、戦場から離れていく。

 向こうにしてみれば、まさか自分がいきなり背後から攻撃されるとは思わなかったといったところか。

 俺が3機のボチューンを相手にしていた以上、こうも早く味方が倒されるというのは、予想外だったのだろう。

 俺の実力とサーバインの性能を甘く見すぎた……といったところか。

 ともあれ、そんな訳で向こうは完全に不意を突かれ、現在残っているのは小破以上中破未満といった損傷の扱いのボチューン1機。

 最後の生き残りは、この状況ではもう勝ち目がないと判断したのだろう。

 すぐに武器を手にし、マーベルのダンバインに向かって進む。

 しかし……その一撃はマーベルによってあっさりと受け止められ、次の瞬間には弾かれて空高く舞い上がる。

 次の瞬間には、ダンバインのオーラソードの切っ先がボチューンのコックピットに突きつけられ……

 

『勝負あり!』

 

 シーラの声が、周囲に響き渡るのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、見事でした」

 

 模擬戦終了後、俺はシーラと話していた。

 とはいえ、昨日と同じく謁見の間だったり、シーラの私室といった訳ではなく、模擬戦を行った場所での話だ。

 

「喜んで貰えたようで何よりだよ」

「双方共に、一切の傷を負わずに私の近衛騎士団に勝つとは……その実力は、聖戦士の名前に相応しいのかもしれませんね」

「マーベルはともかく、俺は聖戦士って柄じゃないけどな」

 

 そんな俺の言葉のどこが気に入ったのか、シーラの口に笑みが浮かぶ。

 

「そうですね。アクセルは聖戦士という言葉でも足りないくらいの存在でしょう。ともあれ、今回の模擬戦でナの国の者達も自分達の実力は決してそこまで高くないと理解したでしょう。……謝礼の品を贈りたいと思いますが、何か希望はありますか?」

「そうだな、ならボチューンを3機程くれ。予備部品と共に」

 

 そんな俺の言葉に、話を聞いていた周囲の重臣達はざわめくが……

 

「いいでしょう、ボチューンを3機と予備部品を謝礼として渡します」

 

 そうシーラが告げた事で、取りあえず解決したのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1570
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1682

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