取りあえず、ドレイクがナの国の仲介を受けて停戦するといった話を受け入れた。
正直なところ、何でそんなに急に心変わりをしたのか、俺には分からないんだが。
停戦の件を断れば、最悪俺と敵対関係になるというのが重要だったのか?
ドレイクにしてみれば、俺と敵対するのはそれだけ不味い出来事という事か。
ともあれ、そうしてドレイクが停戦の件を引き受けた以上、取りあえず戦闘にならないように、タータラ城から離れる事になった。
今いる場所もタータラ城からはそれなりに離れているのだが、それでも下手をすればタータラ城にいるラウの国の軍隊と戦いになってもおかしくはない。
停戦の件が今の時点でラウの国に伝わっているとも限らないだけに、タータラ城から攻撃をするべくオーラバトラー隊がやってきても、おかしくはないのだ。
そうして戦いになれば、当然のように停戦するのは難しくなる。
そんな中、ヨルムンガンドは……
「アクセル王、レンの海に出ました。ナの国まで一直線に進みます。幸い、ヨルムンガンドの慣らしはもう終わりましたので、多島海を通る必要もありません。今回はゼラーナ隊に襲撃される事はないでしょう」
「分かった。出来るだけ急いでくれ」
そう、現在ヨルムンガンドは再びナの国に向かうべく、行動していた。
ナの国の仲介によって停戦をする事になったとはいえ、それを受け入れたという事をナの国に知らせる必要がある。
あるいは、ラウの国にナの国の部隊が来ていれば、もしかしたらその辺についても問題なく伝えられるのだが、まさか今の状況でそんな真似をする訳にもいかない。
現状において、ラウの国はまだアの国やクの国にとって敵対国家なのだから。
そんな状況で俺達がタータラ城に向かえば、当然ながら敵対行動と見なされるだろう。
あるいは、白旗でも揚げて向かえば何とかなったか……? うーん、どうだろうな。
フラオンやピネガンがタータラ城にいるかどうかは分からないが、恐らくはいる。
そうなれば、ピネガンはともかくフラオンは絶対に余計なことをしでかす。
そんな危険を冒しても、ナの国からの部隊が派遣されていない可能性はあるし、もしいても停戦については知らない可能性がある。
だとすれば、やはり俺が直接ナの国に知らせに行くのが最善だろう。
「は。ヨルムンガンドの能力があれば、問題なくナの国に到着出来るかと」
そう告げるキブツだったが、こういう時に何か問題が起きたりするんだよな。
前回ナの国に行った時も、何故か多島海でゼラーナ隊の襲撃を受けたし。
とはいえ、あれからまだそんなに時間は経っていない。
ゼラーナには多島海での戦いでかなり大きなダメージを与えたので、その修理には結構な時間が必要となるだろう。
もっとも、実はゼラーナと同型艦が他にもあるとかだったら、話は別だが……どうだろうな。
俺ならゼラーナのような高性能艦は、それなりに量産すると思うが。
ああ、でも今のフラオンではゼラーナを量産させるような余裕はないか。
既にアの国から追い出され、更には保護されたミの国からも追い出されているのだ。
とてもではないが、フラオンにゼラーナを量産するような施設も資源も資金も人手もないだろう。
可能性があるとすれば、フォイゾンがゼラーナの性能に惚れ込み、量産するといった可能性だが……それもまた、難しいだろう。
ラウの国では、同じナムワンを改修したオーラシップのグリムリー級がある。
どうせなら、コストを考えてゼラーナではなくグリムリーを製造してもおかしくはないのだから。
「なら、取りあえず今はゆっくりと行動するとするか。一応レンの海にいる恐獣から襲われないように警戒はしろよ」
「はい。ただ、海面からそれなりに高度を取っているので、今の状況では襲撃される可能性は少ないでしょうが」
「それでも、何があるのか分からないのがバイストン・ウェルだからな」
恐獣と一括りにしても、そこには色々な種類がいる。
それこそ、中にはトビウオ的な感じで海中から飛び出して空を飛ぶといったような真似が出来る恐獣がいても、おかしくはない。
その為、アルダムとタンギー、それとドラムロ部隊はいつ出撃命令が出てもいいように待機していた。
……そう、現在のヨルムンガンドには、未だにドレイク軍の兵士が派遣されたままだ。
ドレイクが停戦を受け入れた以上、ヨルムンガンドにいるドレイク軍の兵士を追い出すといった真似はしなくてもいいのだから、当然の話かもしれないが。
とはいえ、恐らく……いや、ほぼ間違いなく、ドレイクから何らかの命令を受けている兵士はいるだろうな。
その命令が、俺達がどういう行動に出るのかをしっかり見張っていて、何かあったら連絡をするようにとなるのは当然だが、それ以外にも場合によってはヨルムンガンドで破壊工作をしろとか、そういう感じの可能性も否定は出来ない。
とはいえ、ヨルムンガンドを普通に動かすにはやはりキッス家の面々だけでは人数が足りないのも事実。
この辺は、ショットに頼んでもっと自動化を進めるか、あるいはどうにかしてドレイク軍の息が掛かっていないような、別の人物をヨルムンガンドのクルーとして乗せるしかない。
だが、自動化というのはそう簡単には出来ない。
いや、簡単に自動化出来るところは、既にその多くが自動化されているのだから、それ以外の場所を自動化するのは、難しい。
その辺りを自動化するとなると、それこそ簡単にはいかない。
技術的な革新が必要となるだろう。
……そもそも、今のこのような状況を考えるとヨルムンガンドをキッス家の面々だけで動かすというのが、無茶な話なのだ。
現在のこの状況を考えると、やはりその人数不足をどうにかして解消する必要がある。
ただ、問題なのは一体どこから人を集めるか、なんだよな。
キッス家のように忠誠を誓ってくれる者達なら問題はないが、それ以外となるとドレイク軍の兵士のように、どこかの紐付きとなってしまう可能性が高い。
ガロウ・ランは? と一瞬思ったものの、ガロウ・ランは基本的に盗賊とかが大半だというのを考えれば、そんな連中をヨルムンガンドの中に入れるのは自殺行為でしかない。
金で特定の主人に雇われるといったようなガロウ・ランもいるにはいるが、そのようなガロウ・ランはどうしても少数だし。
そうである以上、ガロウ・ランを引き込むというのは、自殺行為でしかない。
だとすれば、もっと別の……それこそ、いるかどうかは分からないが少数民族とかそういう感じの奴を民族ごと雇うといった形に出来れば、最善だろう。
「キブツ、どこの国にも所属していないような少数民族って知らないか?」
「は? いえ、生憎とそのような者達には覚えがありませんが……一応聞きますが、それはガロウ・ランではないのですよね?」
「ああ。ガロウ・ランじゃない」
いっそ、ガロウ・ランの盗賊達を徹底的に叩きのめして心をへし折って、それで俺に従うようにするといった真似をしてもおかしくはないのだが。
「だとすれば、思い当たるようなところはないですね。ただ、クの国やラウの国と接している、まだ双方の国が領土内に入れていない場所になら、もしかしたらそのような者がいるかもしれませんが」
いると断言するのではなく、あくまでもいるのかもしれないという予想でしかないか。
その辺の事情を考えると、そちらに賭けるのは止めておいた方がいいな。
と、そんな風に話していると……
「敵機接近! 数は……1機です!」
不意にブリッジの中にそんな声が響き渡った。
は? と、そんな疑問を抱く。
この状況で襲ってくる敵がいるというのは……まぁ、分からないでもない。
ヨルムンガンドがナの国に向かったというのは、それこそガロウ・ラン辺りに見張らせておけば、すぐにでも分かるのだから。
だが……それでも、この状況で1機だけで攻めてくる?
そう考えた時、俺は誰が来たのかを察する。
考えてみれば当然だが、1機で襲ってくる以上、それは自殺志願者とかでもない限り、自分だけで目的を達せられると考えてのことだろう。
それはつまり、自分の実力に自信があるという事であり……現在のラウの国でそのような真似が出来る人物を、俺は1人しか知らない。
「ショウか」
そう、単独で1隻のオーラバトルシップを沈められるとすれば、それはショウくらいしか存在しないだろう。
その実力は、元々の高い素質もあったのだろうが、それ以上に味方に聖戦士は自分だけという状況で戦い、結果として数多くの修羅場を潜り抜ける事により、飛躍的に実力を伸ばした。
それこそ、始まりの聖戦士と呼ばれているマーベルであっても既に勝つ事は出来ず、何とか持ち堪えるといったような真似しか出来ない程に。
また、ドレイクの見立てによればドレイク軍に存在する全ての聖戦士……トッド、トカマク、アレン、ジェリル、フェイを全て使えば何とか倒せるといったように計算しているらしい。
それだけの実力の持ち主である以上、当然の話だがヨルムンガンドに搭載されていいるキッス家やドレイク軍の兵士では勝ち目はない。
ドラムロは当然の事ながら、アルダムに関してもショウが乗っているダンバインを相手にすれば、容易く一蹴されるだろう。
これで、ショウの乗っているのがダンバインではなくダーナ・オシーやボゾン、ボチューンとかなら、あるいはアルダムやドラムロであっても数を揃えればどうにかなるかもしれないが。
こうして考えると、ダンバインのように聖戦士専用として開発されたオーラバトラーというのはかなり厄介だよな。
ボチューンにもある程度その技術が流用されているようだが、ダンバインは完全に聖戦士専用として開発されただけに、そのオーラ力を最大限発揮出来る。
そして、当然ながらボチューンにダンバインの技術が流用……あるいはベースとして発展している以上、ダンバインの方も以前のままだという訳ではなく、恐らく何らかの改修がしてあるらしい。
「ダンバインです!」
映像モニタの表示された敵の姿を見て、ブリッジクルーの1人が叫ぶ。
やはり、俺の予想したようにダンバインだったらしい。
ヨルムンガンドの高い索敵能力があるからこそ、まだかなりの余裕があるが……
「俺が出る」
「アクセル? 私はどうするの?」
「ヨルムンガンドに残ってくれ。ショウのダンバインが囮の場合、そっちを頼む」
敵の戦力の中で最高戦力がショウだ。
だが、だからこそショウを囮にしてこちらの戦力を引き寄せ、それによってヨルムンガンドの戦力を薄くする……といったような事を企んでいる可能性は十分にあった。
そうである以上、こちらとしても相応の対処をする必要がある。
現在このヨルムンガンドにおいて、俺の次に高い戦闘力を持つマーベルを、ここに残すといったように。
「分かったわ。……気をつけて」
そう言うマーベルをその場に残し、俺は出撃の準備をするのだった。
「アクセル・アルマー、サーバイン、出るぞ!」
そう言い、サーバインをヨルムンガンドから出撃させる。
そのタイミングで、遠くからダンバインが姿を現す。
既にオーラソードを引き抜いており、左手の前腕部に装備するオーラショットを放ってきた。
そんなオーラショットの一撃を、左手の複合兵装から放ったオーラバルカンで迎撃する。
空中に生み出される爆発。
ショウのダンバインは、そんな爆発を目眩まし代わりに突っ込んでくる。
そうして振るわれるオーラソードの一撃を、俺もまたサーバインのオーラソードで受け止める。
「まさか、この状況でお前が1人で出て来るとはな。多島海でゼラーナが襲ってきた時に出て来なかったのに」
『貴様と話す事はない! はああああああっ!』
『やっちゃえ、オーラ斬りだぁ!』
ショウの他に聞こえてくる声は、以前も一緒にいたフェラリオの声だろう。
ショウ達が召喚された時も顔を出していたな。
チャム・ファウだったか。
そんなチャムの声と共に、ダンバインの振るうオーラソードの力が強くなる。
オーラバトラーは、イメージで操縦する面が大きい。
そうである以上、パイロットのテンションや気分次第でオーラバトラーの性能が上がるといった現象も起きる。
特にダンバインは、元々が聖戦士用に開発された機体で、パイロットのオーラ力に比例するように機体性能を上げていく。
サーバインを袈裟懸けに斬り裂くように振るわれたダンバインの一撃を、後方に回避する事によって回避し、オーラソードを振るったダンバインに向かってこちらもまたオーラソードを振るう。
そんな一撃をかろうじて回避するショウのダンバイン。
だが、サーバインとダンバインの性能差、そしてパイロットとしてのオーラ力――俺は魔力だが――の差により、徐々にオーラソードはダンバイン側に押し込まれていき……
『ショウ、このままだと危ないよ! 頑張ってよ!』
『うおおおおおおおおおおおっ!』
チャムの声に大きく叫び……同時に、ダンバインのオーラソードが微かにこちらの一撃を押し返そうとする。
「させるかよ!」
そうはさせじと俺もまたオーラソードを押し込んでいき……そして次の瞬間、不意に周囲が光に包まれる。
これは……もしかして、ショウとガラリアが地上に行った時の!?
そう思いつつ、まだ通信が通じているかどうかも確認しないまま、ヨルムンガンドにナの国に向かうように叫ぶのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1570
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1682