停戦交渉の襲撃があった翌日……ヨルムンガンド、ウィル・ウィプス、ゲア・ガリング……それ以外にもナムワンやブルベガーといったドレイク軍――それ以外もいるが――はタータラ城から距離を取る事になった。
昨日、俺がドレイクに提案したのが受け入れられた形だ。
ドレイクやビショットにしても、タータラ城で起こるだろう主導権争いに巻き込まれたくないと思ったのだろう。
それと同時に、ラウの国が最終的に敵になるのか、もしくは改めて停戦交渉が結ばれるのかは分からないが、ともあれ主導権争いで武力衝突に発展し、ラウの国の戦力が消耗されるのは望むところ……といったところか。
そんな訳で、タータラ城からかなり離れた場所まで移動した俺達は……特にやるべき事もないので、それぞれが自由にすごすことになる。
とはいえ、タータラ城からかなりの距離があるとはいえ、それでも攻撃をしてくる可能性は否定出来ないので、見張りの類はかなり厳重にしているが。
そんな中でも、ドレイクは既にこの地域を自分の領土とした時の為なのか、周囲の地図を作ったり、どのような場所があるのか調べたりと、頻繁に動いていた。
俺にしてみれば、今からそこまでする必要があるのか? と思うのだが。
そんな訳で、特に動きらしい動きがないまま、10日程が経過する。
タータラ城では予想通りにこれからどうするのか、誰が国や軍を率いるのかといったことで、主導権争いが勃発しているらしい。
せめてもの救いは、ドレイク軍を倒した者が後継者……などと言い出す者がいない事か。
いや、そんな風に言ってる者はいるらしい。
特にラウの国の重臣達……それも文官ではなく武官の中にはそのように主張している者もいるのだが、それをパットフットが何とか止めているとか。
とはいえ、パットフットはあくまでも臨時の代理といったような状況でしかない。
また、本人も一度は国を捨てたという自覚がある為か、強く言う事は出来ないらしいが。
ちなみにこの辺りの情報については、ドレイクから流れてきたものだ。
それだけに、ドレイクが得ている情報はこれが全てといった訳ではないのだろうが、それでも今は十分に情報を流して貰っている。
最悪、俺が影のゲートや気配遮断を使って情報を得るといった方法もあるのだが……
「アクセル王、ボゾンの生産設備、これで全てです!」
キッス家の面々が機械の館から運び出してきたボゾンの生産設備を、次々に空間倉庫に収納していく。
当然だが、この空いている時間に俺が何もしていないという訳ではなく、ラウの国に建造されている機械の館に行っては、その設備や物資を空間倉庫に収納していた。
「出来ればボチューンの生産設備が欲しいんだけどな」
「それは無理じゃない? ボチューンはダーナ・オシー系の最新鋭機だもの。基本は安全なナの国にあるでしょうし、ラウの国にあるとしてもタータラ城にあると思うわよ?」
マーベルの言葉には、強い説得力があった。
そう考えると、一応ボゾンもそれなりに新型のオーラバトラーなのだから、その生産設備を入手出来ただけでもよしとしておこう。
「まぁ、今回はフォウの現物もある程度入手出来たし、それでいいけど」
フォウというのは、ゼラーナ隊が使っているウィングキャリバーだ。
以前ギブン家の機械の館を襲撃した時に設計図か何かを見つけた覚えはあったのだが、今回は実物を入手した形だ。
……とはいえ、シャドウミラーの場合はウィングキャリバーってあまり使わないんだよな。
何しろ、俺達は基本的にヨルムンガンドで移動しており、遠く離れた場所まで戦いに行くといった事はない……とは言わないが、それでも機会は少ない。
それに、いざとなれば影のゲートを使えばいいし。
何より、使い道は……あ、いや。ショウのダンバインが以前使っていたのを見た事があるから、そう考えればマーベルのダンバインなら使えるのか?
とはいえ、フォウの中身を見た限りでは自動操縦といった感じではなく、しっかりと誰かが操縦する必要がある。
ただでさえヨルムンガンドの運用で人数が厳しい俺達にとっては、やはり使い道はない。
……技術班へのお土産コースだな。
オーラコンバータが使われているので、それなりに興味を惹くかもしれないし。
そうして機械の館にあった諸々の接収を終え、現在拠点となっている場所に戻ると……
「あら、補給隊が来ているみたいね」
俺達が出発した時と比べて、明らかにナムワンやブルベガーの数が多いのを見て、マーベルが呟く。
「まぁ、食料とかそういうのは毎日消費しているし、予備は多ければ多い程にいいだろ」
軍隊というのは、際限なく食料や物資を消耗する。
長期間……数ヶ月、あるいは年単位でここにいるのなら、ここで畑の類を作ってもいいのだが、ドレイクやビショットもそこまで国を空けるつもりはないだろう。
ちなみにバイストン・ウェルの大地はかなり豊かで、それこそ畑とかを作れば基本的には十分な実りとなる。
……恐獣やガロウ・ランによって、折角実った作物を奪われたりされることも、珍しくないらしいが。
「そうね。それにしても、バーンは何だかんだと真面目に働いているみたいよ?」
そう言い、マーベルの視線の先にいるのは……レプラカーン。
新型機である以上、乗っているのはバーンだろう。
以前はビランビーに乗っていたような……まぁ、補給隊の護衛をするには重装備の方がいいと判断したのかもしれないな。
「アクセル王、通信です」
「俺に? ドレイクか?」
「いえ、ショット様です」
「……ショットが? だとすれば、補給隊と一緒に来たのか? けど、何の為に?」
「いえ、それを私に聞かれても」
俺の言葉に、兵士は困ったようにそう言う。
それもそうか。
「分かった、なら繋げ」
その言葉と共に、通信が繋がる。
『アクセル、久しいな』
「そうだな。俺がラウの国に来てからだから、何気にそれなりに時間が経つか。けど、それで今日は何をしに来たんだ? まさか、ショットが自分から補給隊に参加するとは思えないけど」
『おや、随分な言い草だな。とはいえ、その答えは間違っていない。マーベルのダンバインと共に、ウィル・ウィプスの方に来てくれ。それとアクセルには土産がある』
「俺に土産?」
『ああ。ナの国への特使としての報酬と聞いている』
そう言われ、思い出す。
アの国とクの国で共同開発をしていた機体が2機に、オーラバトラーの最終形とドレイクが言っていた機体が1機。
……他にも色々と報酬――ダンバインの強化とか――はあったが、そのオーラバトラーが今回の報酬の目玉だったのは間違いない。
「分かった、すぐに行く」
そう言い、俺はマーベルにダンバインを持ってくるように言い、一足先に補給隊にいるショットに会いに行くのだった。
「へぇ、これが……」
輸送部隊のナムワンにやって来た俺が見たのは、2機の緑のオーラバトラーと1機の黒いオーラバトラー。
印象としては、緑のオーラバトラーの方はどことなく鳥を思わせ、黒い方は悪魔っぽい感じがしている。
「2機あるって事は、緑の方がアの国とクの国で共同開発したオーラバトラーなんだろうが、何でショット達が2機とも持ってきたんだ?」
「色々と手間を省く為だ。ともあれ、ライネックとズワァースの説明をしたいと思うのだが、構わないか?」
そう言うショットは、少し得意げといった感じだ。
いきなり新型のオーラバトラーを2種類も完成させて持ってきたのだから、そのようになるのは当然かもしれないが。
「ああ、頼む」
そんなショットの気分をわざわざ害することもないだろうと判断し、話の先を促す。
ショットは俺の言葉に笑みを浮かべると、口を開く。
「まずこちらの緑のオーラバトラーは、さっきも名前を言ったがライネックという。アの国とクの国で共同開発をしたオーラバトラーで、コンセプトとしては、バストールの機動力、ビアレスの運動性、レプラカーンの火力を融合させた機体だな」
「それは、また……」
バストール、ビアレス、レプラカーン……そのどれもが大きな特徴を持っているオーラバトラーで、それらの長所を融合させたというのは、かなり大きな意味を持つ。
勿論、その融合が上手くいっていれば、の話だが。
ズワァースがオーラバトラーの最終形とドレイクが言ってたが、この話を聞く限りではズワァースよりもライネックの方がそれっぽい感じがするな。
「ズワァースを見ても分かるが、このライネックは大型のオーラコンバータを装備しており、その性能は今までのオーラバトラーよりも高い。また、特筆すべきはコストだろうな。ズワァースの方は性能も高いがコストも高い。それに比べると、ライネックは性能はズワァースに若干劣るものの、コストはかなり安い」
「最初から量産機を目指していた訳か」
「そうなるな。ズワァースが腕の立つエース用のオーラバトラーとしては最終形だとすれば、このライネックは量産機としての最終形と言ってもいい。そして、武器だが……」
そう言い、ショットはライネックの武器について説明していく。
レプラカーンの火力を融合したという事もあり、そのライネックの武器はかなり豊富だ。
まず、オーラバトラーとしては必須と言ってもいいオーラソードが1本。左右の脚部に投擲用の短剣がそれぞれ1本ずつの合計2本
射撃武装としては、両前腕部にオーラバルカンがそれぞれ一門ずつ、胸部に内蔵式の6連装ミサイルポッドが2基、腹部に連装ミサイルポットが2基。
そしてオーラコンバータにショットクローが2基。
射撃武器の類はミサイルの他は威力の劣るオーラバルカンだけとなっており、オーラショットやオーラキャノンといったような武器はないが、この辺はレプラカーンで武器を搭載しすぎて、パイロットがどの武器を使えばいいのかを迷ってしまい、場合によっては武器を選ぶのに時間が掛かるという欠点を改善したものだろう。
とはいえ、それは使いこなせばレプラカーンの射撃武器は強力という事でもあるのだが。
多分、後方からの援護射撃に特化したトカマク辺りは、使いやすくなったライネックよりも、より射撃武器の多いレプラカーンを選ぶだろう。
結局のところ、ライネックは高性能量産機というところか。
「そして高性能量産機として設計されたこともあり、パイロットのオーラ力がかなり低くても十分に操縦出来るようになっている」
「聞いた話だと、かなり有望なオーラバトラーだな。……で、そうなると次はズワァースか」
ライネックの説明が終わると、次にズワァースの説明に入る。
ショット曰く、ライネックがバストール、ビアレス、レプラカーンのコンセプトを融合させたのに対し、ズワァースはビアレスとレプラカーンのコンセプトを融合させた機体という事らしい。
火力は高いが装甲が薄く機動性が他のオーラバトラーよりも低かったレプラカーンの反省を踏まえ、重武装重装甲でありながら、大出力のオーラコンバータを使う事で、高い機動性も有している。
武装は曲刀のオーラソードが1本。左腕に装備している、3連装オーラショットとショットクロー、そしてオーラソードの鞘と盾が一体になった複合兵装、頭部にオーラバルカンが1門、股間部に単砲身オーラキャノン2門、オーラコンバータに連装フレイボムが2基と、レプラカーンのコンセプトをこれでもかといった具合に表に出している。
ライネックがレプラカーンの重武装をデチューンしてパイロットに使いやすくしたのに比べると、こちらはレプラカーンの武装をそのまま昇華したような形だ。
当然だが一般の兵士がこのズワァースを使おうとしても、レプラカーンと同じくどの武器を使えばいいのかといった具合に迷う事になってしまう。
つまり、パイロットがエース級でなければとてもではないが使いこなす事が出来ない機体と言ってもいい。
それだけに生産コストが相当に高く、とてもではないが量産機として使う事は出来ないらしい。
「どうだろう? 満足して貰えたかな?」
「そうだな。満足したかどうかと言われれば、十分に満足した。満足はしたが……何しろ、俺は実際に乗れないしな」
幾ら高性能なオーラバトラーであっても、現時点で俺が乗れるオーラバトラーはオーラコンバータを改良したマジックコンバータとでも表現すべき物を使っているサーバインしかない。
ライネックやズワァースも、かなり魅力的な機体なのは見れば分かるんだが、それでも乗れない以上は、技術班に対するお土産にするくらいしか使い道はない。
いやまぁ、いざとなればヨルムンガンドにいるオーラバトラー隊に使わせるといった方法もあるのだが。
ただし、数が数だ。
また、複数のオーラバトラーが入り交じっている状況では面倒なところもある。
そう考えると、やはりここはアルダムを使った方がいい筈だ。
「ふむ、アクセルの専用機か。興味はあるが……」
「もし作ってくれたら……そうだな。俺達の世界で使われている何らかの機械を渡してもいいけど、どうする?」
「……少し考えてみよう」
そう言うショットだったが、これはちょっと期待出来なさそうだな。
そんな風に思いつつ、次にマーベルのダンバインの強化について話をしようとした時、ちょうどそのタイミングでダンバインに乗ったマーベルが姿を現すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1684