転生とらぶる   作:青竹(移住)

3079 / 4276
2948話

 ラース・ワウにショット達を送ってそちらで泊まり、マーベルにどのような形式にするのかといったような改修作業における話をし、最終的にラウの国に戻ってきたのは5日後の事だった。

 とはいえ、勿論その5日の間は全くラウの国に移動していなかった訳ではなく、最低でも1日に1度は俺だけでも影のゲートを使ってラウの国まで移動していたが。

 幸いにして、その5日の間もタータラ城から敵が攻めてくるといったような事はなく、ドレイク軍は普段通りの生活をしていたらしい。

 まぁ、普段通りとはいえ、ドレイクは周辺地域を実質的にアの国の領土にしようとしているように行動していたり、オーラバトラーの模擬戦を行ったり、見回りをしたり……といったような真似をしていたらしいが。

 

「平和だな」

「……一応、戦争中なんだけどね」

 

 ヨルムンガンドの甲板上……そこで周囲の様子を見ながら呟く俺に、マーベルはそう言ってくる。

 実際、その言葉は決して間違っている訳ではない。

 形式上は、現在もまだアの国とラウの国は戦争中なのだ。

 ただし、そのラウの国側で主導権争いが続いているらしい。

 いや、正確にはパットフットが名目上はラウの国を率いるという形になっており、フラオン軍やピネガン軍の残りも全て吸収するといったことが、俺とマーベルがラース・ワウにいる間に決まったらしい。

 そう考えると、一応話し合いは進んでいるらしいが……そうしてラウの国の軍隊という形で指揮系統が一本化されると、次にどのような行動に出るのかでまた揉めているとか何とか。

 即座に出撃し、ラウの国の領土に居座っているドレイク軍を倒すべきと主張する者もいれば、再度ナの国に戦力を派遣してくれるように交渉しようという者もいる。

 また、少数……本当に少数ではあるが、再度停戦交渉を行ってはどうかと主張する者もいるらしい。

 

「結果として、現在の状況はシーラが提案したように停戦状態になっているよな。……完全に成り行きだけど」

「そうね。とはいえ、ドレイク軍がラウの国にいる以上、このままなし崩し的に停戦や終戦といった感じになるとは思えないけど」

「カワッセ辺りが、どうシーラに報告するかだな」

 

 既に、カワッセはナの国に向かって帰っている。

 そこで今回の停戦交渉の件がどう報告されるかによって、事態は大きく動くだろう。

 とはいえ、正直なところナの国の判断がラウの国側に有利になるとは思えない。

 何しろ、ラウの国では緊急事態という事で有耶無耶にしているようだが、結局のところ停戦交渉の場を襲撃したのはボゾン……ラウの国側のオーラバトラーなのだ。

 黒騎士というパイロットはまだ見つかっていないようだったが。

 そう言えば、ショウが拘束されたといった話を聞かないな。だとすれば、黒騎士はショウじゃなかったのか?

 けど、聞いた話だと黒騎士の技量はかなり高かったらしい。

 だとすれば、ショウ以外で向こうにそんな戦力がいるのか?

 ……フラオンの事だから、もしそんな戦力がいるのなら、これ見よがしに使ってくると思うんだが。

 そうなると、停戦交渉の時の襲撃はフラオンの仕業ではないという事になるのだが……だが、フラオン以外にそんな馬鹿な真似をする奴がいるかと言われると、大半の者は首を横に振るだろう。

 実際、俺も現在の状況では半ばフラオンの仕業だと思っているし。

 自分で停戦交渉を襲撃させ、その結果フラオンが死んでいるという辺り、らしいんだよな。

 

「出来れば、もう一度停戦交渉をして欲しいと思うけど。ただし、そうなった場合はしっかりと護衛の戦力が必要になるでしょうね」

「だろうな。それは否定しない」

 

 ナの国という、この周辺で最大の国が仲介をして行われた停戦交渉だったのだが、タータラ城で行われたが故に、警備に関してはラウの国側が責任を持って行っていた。

 勿論、ドレイクやビショットもある程度の護衛を連れていき……その者達が、黒騎士の襲撃後の戦闘でフラオン、フォイゾン、ピネガンといった敵の首脳陣を殺す事に成功したのだが……まぁ、考えてみればこれはそんなに悪い結果ではないのか。

 フラオンに関しては言うまでもないが、ピネガンは最終的にミの国を取り戻すといった事を目的にしていただろうから、停戦交渉に素直に同意するとは思えなかった。

 フォイゾンも、ラウの国という大国の王で、頭が硬く血筋や伝統を重要視する人物だけに、停戦の条件としてドレイクが主張していた、領土や賠償金に関しては絶対に許容しなかっただろう。

 それに比べると、パットフットは穏便な性格をしている。

 とはいえ、俺は実際にパットフットと会った事はないので、これはあくまでも人伝の情報なのだが。

 また、普段は穏やかな性格をしていても、今回に限っては強硬派となる可能性も否定は出来ない。

 何しろ、祖国を捨ててまで結ばれたピネガンが、殺されたのだ。

 死んだ理由そのものは黒騎士の襲撃であるのは間違いないが、それでも実際に手を下したのはドレイク軍の兵士だ。

 だとすれば、愛故にパットフットが強硬派となる可能性も否定は出来なかった。

 個人的には、自分の感情よりもラウの国全体の事を考えてどう行動するのかを判断してくれると助かるんだが。

 

「あら。……アクセル、あれ」

 

 マーベルの示す方に視線を向けると、そこではオーラバトラーが模擬戦を行っていた。

 それも、ただのオーラバトラー……つまり、ドレイク軍の主力オーラバトラーであるドラムロの模擬戦ではなく、ビアレス同士の模擬戦だ。

 ビランビーではなくビアレス? と思ったが、クの国が開発したビアレスは、ビランビーの上位互換といった性能のオーラバトラーだ。

 レプラカーンのような重武装のオーラバトラーよりも、運動性が高いビアレスを好む者がいるのは当然の事だろう。

 まぁ、鎌型のオーラソードは使いにくいと思うんだが。

 

「ビアレスって事は、トッドとアレンか?」

 

 ジェリルとトカマクはレプラカーンに乗っていた筈だし、フェイは……うん? フェイは何のオーラバトラーに乗っていた?

 そんな風に考えている間にも、双方共に鎌型のオーラソードを使って激しくやり合う。

 

「あれ、本当に模擬戦だと理解しているのかしら? もしかして、本気で戦ってない?」

「トッドとアレンだと、有り得るだろうな」

 

 トッドとアレンの関係は、かなり複雑だ。

 地上においては、空軍のパイロットだったアレンに対して、トッドはまだパイロット候補生だった。

 それによって、トッドはアレンに対してコンプレックスを抱えていた。

 しかし、トッドが一足先にバイストン・ウェルに召喚された事により、トッドはその才能を発揮し、アレンが召喚されてもそれは変わらず、今となってはトッドは小国ではあったがミの国を領土とする領主になっている。

 そして立場としても、聖戦士筆頭という、アレンよりも上の立場だ。

 アレンにしてみれば、そんなトッドに対して思うところがあるのは当然だろう。

 自分よりも格下だと思っていたトッドが、今となっては自分よりも格上の存在になっているのだから。

 

「それにしても、鎌のオーラソードを器用に使うわね」

 

 ビアレスの動きを見ながら、マーベルが感心したように言う。

 今までずっとダンバインを使っていたので、オーラソードは長剣の形の物だけだった。

 ……というか、俺が知ってる限りビアレスだけが特殊なオーラソードなんだが。

 あ、でもズワァースのオーラソードは長剣じゃなくて曲刀状だったか。

 まぁ、それでも鎌じゃなくて剣という括りではあるが。

 

「そうだな。ビアレスを使うなら、あの武器に慣れるか、あるいは普通のオーラソードに換装する必要があるのか。とはいえ、鎌の形のオーラソードだからこそ、戦った相手は戸惑うんだろうが」

「そうね。それに、オーラソードを収納する盾も武器として使えるというのは大きいわ。……まぁ、アクセルが使っている複合兵装の方が使いこなせるのなら便利だと思うけど」

 

 それは気を遣ってというよりは、実際にラース・ワウにいる時に、俺が使っている複合兵装の予備をダンバインで使ってみた感じなのだろう。

 とはいえ、複合兵装は複数の武器が一緒になっている分、どうしても重量がある。

 その辺のバランスを取るのは、何気に難しい。

 マーベルくらいの実力があれば、その辺に慣れるのはそう難しくはないだろうが。

 

「何だかんだと、あの複合兵装やレプラカーンの複合兵装も含めて、かなり有用な装備なのは間違いないよな」

「そうね。問題なのは使いこなせるかどうかだけど」

 

 盾としても使えるが、それ以外にも外付けの武装である以上は、いざとなったら捨てるといった真似も出来る。

 それだけではなく、重量もかなりあるので、ただ捨てるのではなく、敵にぶつけても相応の武器になるのは間違いない。

 問題なのは、それだけの重量がある分、マーベルに言ったように機体バランスが大きく崩れるから、慣れない状態で複合兵装を使うと色々と危険だといったところか。

 後は、複合兵装の名前通り武器が複数存在するので、それを自由に使いこなせるかどかというのもパイロットの技量に掛かってくる。

 一般の兵士は使いこなすのは難しいかもしれないが、相応の実力のある者……精鋭と呼ばれるような者達なら、その辺に関してもどうにかなってもおかしくはない筈だった。

 そんな風に考えていると、不意に甲板の上に走って近づいてくる者がいる。

 一瞬敵か? と思ったが、見覚えのある人物……ブリッジメンバーだと知ると、何か動きがあったのだろうと、そう理解する。

 

「アクセル王、大変です!」

「何があった?」

 

 切羽詰まった様子を見ると、余程の何かが起こったのは間違いない。

 しかし、それが一体何なのかが分からない以上、こちらとしてもまずは相手を落ち着かせて話を聞く必要があった。

 

「周辺に派遣していたドレイク軍のナムワンが襲撃されました!」

「……そう、か」

 

 その一言は、驚きはするものの、驚愕するといった程ではない。

 それはつまり、タータラ城で行われていた主導権争いにおいて強硬派が勝利したといったところなのだろう。

 あるいは、パットフットが夫の仇、父親の仇といった風にそちらに傾いたか。

 ……夫と父親の仇とはなるが、フラオンの仇とならないのは……まぁ、パットフットにしてみれば、フラオンはミの国がアの国に占領される原因の一つである以上当然か。

 それにこれはあくまでも俺の予想でしかなく、実際にパットフットがどう思っているのかといった事は分からないし。

 

「それで、出て来た戦力は? ゼラーナ隊か?」

「いえ、ボゾンが1機らしいです」

「……ボゾンが1機?」

 

 それは、俺に嫌な予感を抱かせるには十分だった。

 これでナムワンを攻撃したのが、ゼラーナ隊なら……あるいはオーラバトラーであってもショウのダンバインであれば、まだ納得も出来ただろう。

 だが、ボゾンが1機。

 これで考えられる事は……

 

「まさか、黒騎士か?」

 

 そう、停戦交渉の場を襲撃したのも、1機のボゾンだった。

 そして際だった強さを持っていたと聞く。

 今の話を聞き、俺が思い出したのはその一件だった。

 

「どう思う?」

「実際に見て見ないと分からないわね。そもそも、黒騎士というのも私は直接見た事がないし」

 

 マーベルが難しい表情を浮かべつつ、そう告げる。

 黒騎士に関しては、俺も当然見た事がない。

 停戦交渉の襲撃についても、あくまで人から聞いての話だ。

 そうである以上、一度直接見てみる必要があるのだが……今のところその機会はないんだよな。

 黒騎士が最初に姿を現したのは、停戦交渉の場に攻め込んだ時。

 それ以後は全く姿を現していなかった。

 いや、あるいは俺の知らない場所で姿を現して、その情報がこっちに入っていないだけという可能性も否定は出来ないが……それでもあれだけの騒動を起こした黒騎士だ。

 目撃したという者がいれば、その情報は噂という形で出回ってもおかしくはない。

 そして、次にはっきりと姿を現したのが、今回。

 まるで……というか、完全にこちらに見つからないようにして動いている感じだな。

 まぁ、個人で軍に挑むとなると、有効なのは敵に見つからないようにして奇襲を仕掛けるといった感じだから、仕方がないのかもしれないが。

 

「ともあれ、ナムワンに攻撃をしたという事は、やっぱりその黒騎士ってのはラウの国側の戦力と見てもいいのかもしれないな」

「けど、問題なのは……ラウの国側でも黒騎士を知らないと言ってるんでしょう?」

「フラオンなら、奥の手を隠しておく……なんて真似は、到底出来そうにないか」

「そうね。だとすれば、やっぱり黒騎士の件はフラオンの仕業じゃないのかしら?」

「普通に考えればそうだろうけど、フラオン以外にこんな馬鹿な真似をする奴がいるか? ……フォイゾンの部下の強硬派とかなら可能性はあるかもしれないが」

 

 フォイゾンの部下にしてみれば、ラウの国に攻めて来たドレイク軍と停戦交渉をするのは許せない。

 だからこそ、それを滅茶苦茶にするといったように考えても、おかしくはないか?

 そんな風に考えつつも、俺はこれで事態が動くだろうと確信するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1684

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。